命刻龍は異世界で何を守る?   作:遠弥 秋菜

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[今日の一言]
テスト週間なのに小説書きたくなってしまった…。

どうぞっ!


第九話[能力の暴走、そして再開]

飛龍船に乗った私達。部屋のドアの隙間から冷たい風が吹き込んでくる中、私達四人は旧砂漠へと向かっていた。

「エマ、今回もあの龍が関係するのか?」

バンが質問を投げかけてくる。

「分かりませんが…。もしかしたら関係してるかもです…」

「エマ、前みたいなことしないでよ?」

「もうしないってばっ!」

私達は古龍と思しきモンスターの元へ向かっているはずなのに気楽に話していた。これが私達の『普通』である。

「今回は調査だから戦闘は成るべく避けてください」

「かっ、考えとくわ…」

バンが誤魔化しながらも了承する。

(戦闘したいんだろうな…)

私は心の中で苦笑しながら、会話を続けた。

 

           ***

 

(アオアシラッ!?改造されてやがるっ!)

「俺もやるか…」

俺がそう呟き擬人化を解除しようとするとディブロに止められた。

「俺もやるっ、リザに危害を加えるやつなんだろ?なら殺す」

無慈悲にもそう告げる。だが俺はリザを守るとは別に理由があった。それは自分の『力』だ。セルレギオスに襲われたとき、俺は劣勢だった。多分リンたちにも叶わないだろう。今の俺じゃリザを守ることが出来ない。俺が守ると誓ったのに…。

(わかりました…。ですが何かあったら俺も加勢します…)

そう言ってディブロが了承してくれた。俺は擬人化を解除し、一歩前に出る。

「無茶しないでくださいね、兄さん」

(わかった。あいつは俺が殺すっ!)

「戦えるようですね、それでは始めましょうっ!」

「グァアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

「ガァアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

雄叫びとともに俺は空へ飛翔し魂蝕属性のブレスを打ち込む。だがアオアシラはその体躯に似合わない速度でブレスを躱し、飛び上がって攻撃してくる。俺はその攻撃を予測できず腹に傷を負ってしまう。だが怯まず次の攻撃へと転じる。地上へ降り爪に魂蝕属性を纏わせ、体感速度を上げる。最近になって気づいたのがこの時間操作を使うと体への負担が大きい。

「グァアアッ!」

一心不乱に爪を振りかざし、どんどんとアオアシラの額に傷を増やしていく。だがアオアシラはその傷をもろともせず、隙をついて大きな腕で俺の顔面を殴ってきた。俺はバックステップでその攻撃をよけ、威嚇する。睨み合う中、マネルガーの声が響く。

「貴方は、凄いっ!是非とも実験材料にしたいっ!」

(何言ってやがるっ!)

「人から龍、実に素晴らしいっ!古龍でしか実現できない高みっ!」

一人ぶつくさ独り言をこぼしている。

「早く仕留めてしまいなさい、この役立たずがっ!」

この言葉を聞いた瞬間、俺の中にあった何かがプツリと切れた音がした。

「グァアアアアアアアアアアア!!!」

俺は両爪に魂蝕属性を纏わせ、一段と属性を濃くさせる。

「…っ!?レン様、それ以上は危険ですっ!」

リンの叫ぶ声がするが今は俺の耳の中には入ってこない。今は只、マネルガーを殺すことだけに執着していた。自分の部下を道具の様に扱う。元人間の俺にしては何処か納得できないところがあった。

「ガァアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

アオアシラが咆哮すると同時に俺の爪がアオアシラの視界を奪う。俺は容赦なくアオアシラの眼球をえぐった。悶ている間にマネルガーの元へ行こうとするが、アオアシラに掴まれ行動を制限させられる。

「グァアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

うまく行かないことにイラついているおれは魂蝕ブレスをアオアシラに連発する。そして魂蝕属性がアオアシラの体を蝕みやがて絶命した。

「あのアオアシラが一発でっ!?」

マネルガーの後ろに突っ立ていた痩せた体の男がいう。

「グルルッ…」

マネルガー達を強く睨む。すると着ている服の中から何かを取り出す。

「引き際は大事じゃ。引くぞ、イチビッツくん」

「はいっ」

そういったかと思えばその場から二人は消えていた。

我に返った俺はそこで意識が朦朧とする。負担の少ない擬人化状態になる。

「大丈夫ですかっ?!」

俺の元へみんなが駆け寄ってくる。だがその声はどんどんと薄れていき、最後には意識が途絶えた。

 

           ***

 

「あっちー」

「旧砂漠…暑いな…」

男二人組が汗を流しながら『クーラードリンク』を豪快に飲み干す。

「では行きますか」

私はそう告げ遺跡のある場所へ向かった。

 

「えっ!?」

そこに着くと驚きの光景が広がっていた。私達は荷物を整えるために遺跡近くのアイルーたちが住んでいる村まで来たのだが複数の人間が居た。

「誰だお前…」

その光景を凝視していると一人の男性と目がある。その目は殺気を放っていた。

「いや…すいませ」

「てめぇこそ誰だっ!ってレンっ!?」

バンが驚いたように声を上げる。私も男性の足元を見ると一人の少女が横たわっていた。

「レンさんっ!?」

私は無意識に駆け寄る。だが男性に止められる。

「近づいては駄目だっ」

「でも…レンさんがっ…」

「部外者は今すぐここを立ち去れっ!」

男性の声に一喝される。

「あっ、エマさんっ!」

奥から聞き慣れた声がする。その声は

「リザちゃんっ!?」

「エマさんっ、兄さんがっ…」

そう言ってリザちゃんが私に抱きついてくる。

「どうしたんですか?」

そして私達は今までにあった話を聞いた。そして今、レンさんは特有の属性、『魂蝕属性』を使った。そしてその力を制御できずにいるらしい。命には別状はないが体がどんどんと蝕まれている状況だ。

「あのレンくんが?」

アリスが素っ頓狂な声を上げながら思案している。

「うぅ…んぁっ…」

体を蝕まれ、うなされているようだった。

「レン様の近くは今、魂蝕属性の影響を受けるので離れていておいて下さい」

男性がそう言う。

「失礼ですが、どなたでしょうか?」

「これは失礼しました。俺はディブロと申します。人間たちの中では俺は【焔角竜】と呼ばれているものです。

「「「「焔角竜っ!?」」」」

「どうかしましたか?」

「だって【焔角竜】って、厄災種の一体なんだぞっ?」

バンが困惑しながらもディブロさんに説明をしている。そこに続いてアリスも説明を重ねる。

「そうですよっ!この世界には厄災種と言う物が存在しています。その厄災種は禁忌種に最も近い個体です。その厄災種は五体いて、そのうちの一体がここにいるなんてっ!?」

厄災種は【氷獄龍】、【焔角竜】、【銀龍王】の三体だ。未だに確認されていない【氷獄龍】と【銀龍王】は封印されていると言われている。その封印場所はそれぞれ離れた地域の奥地、または遺跡である。この遺跡も一つ、【焔角竜】の封印場所だ。

「封印されているんじゃないんですか?」

アリスがディブロさんに聞く。

「封印されているものは俺だけです。他の二体はそれぞれ代々種族の中に生まれる強化個体が古龍を狩って厄災種というものになるんだと思います。俺はナナ・テスカトリを狩りました」

「そうですか…」

古龍を超える存在がいる事を知り、アリスが顔を青ざめている。すると…

「エ…マ…?」

「レンさんっ!?」

「兄さんっ!?」

話しているとレンさんが頭を抑えながら起き上がっていた。

 

 

 




どうだったでしょうか?
今回はかなり多くなってしまいました。
と言うか私、テスト週間なのに投稿してますね〜。
あははー。勉強しなきゃっ…。
感想、評価是非ともお願いしますっ。
それでは次回お会いしましょう!

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