卒業式シーズンですね。卒業生の皆さん、お疲れ様です!
それではどうぞっ!
「疲れ…た…」
「大丈夫ですかっ!?」
風呂でエマたちにもて遊ばれてから三十分が経過した。今の状態はエマにお姫様抱っこをされている状態だ。この状態に至った理由は簡単だ。俺は余り長風呂は得意ではない。だが今回は長時間風呂に使ったため、のぼせてしまっている。フラフラになったせいで歩くこともままならず、お姫様抱っこされている訳だ。な、簡単だろ?
「おい、どうしたんだ…?」
ノアが訪ねてくるが、意識が朦朧としている俺は返答すら出来なかった。
「少しありましてね…」
「エマ〜、てめぇ〜レンに何やったんだよぉ〜」
「行きましょう、レンさん。酔っ払ったバンを相手するのは骨が折れますから」
そう言われ俺はエマにそそくさと部屋に連れて行かれた。
「ここ…は…?」
「寝室です。あっ、襲ったりはしませんからね?」
「あたり…まえだ…。うぅ…」
視界がぼやけ、睡魔が襲い掛かってくる。なんとかエマに返答したが俺は耐えられなくなり、睡魔に身を任せることにした。
✳✳✳
「すぅ…すぅ…」
私は寝室でレンさんの隣で寝顔を見ていた。今は夜、あたり一面は薄暗くなり月明かりがより一層明るかった。
月明かりはレンさんの顔を照らし、妖艶な雰囲気をかもし出している。
「男の子じゃないみたいですね…」
中身が男性なのはある程度分かるが言動が少し、女性のように感じる。例えばさっきのお風呂での話だ。あれは…思い出すのはやめましょう…。
———ガチャ
ドアの開く音が部屋に響き渡る。ドアの方向へと視線を向けるとそこには浴衣を着たリザさんがいた。リザさんもレンさんに見劣りしない可愛らしさを持っていた。同じ女性としてはとても羨ましい。
ゲフンゲフン、余り嫉妬するのはやめましょう。
「どうしたんですか?」
「お姉ちゃんは大丈夫かなと思いまして…」
「大丈夫ですよ。少し体温が高いですけど直ぐに下がると思います」
「良かった…」
安堵のため息を付くリザさんを見て、私は改めて兄思い(姉思い)と感じた。
「そういえばリザさんはレンさんのことを『お姉ちゃん』って呼ぶことにしたんですね」
「なんだかそっちの方がしっくりくるので。周りから見られたときにも違和感が無いですしね」
確かに何一つ事情を知らない人が見ると『お姉ちゃん』と言っても違和感が無い。でも事情を知っている私達が見ると違和感そのものだった。
私が思考を巡らせているとリザさんがレンさんのもとへ歩み寄ってくる。
「さっきはごめんなさい…、お姉ちゃん。…私は下の部屋にいますね」
「あっ、わかりました!」
ドアの音が閉まるとまた先程の静寂が訪れる。なんだか今の私はこの静寂が心地よい。私とレンさんだけ、今までなら特に何も感じなかったのだが…。そこから私はレンさんの寝ているベットで寝てしまった。そして寝ているときに良い夢を見ていたのは私だけが知る『イイコト』だ。
———このときの私はまだこの感情は知らない。この感情を知るのはもっと先の話である。
✳✳✳
「昨日はすいませんでした!」
俺が目を覚まし、下の部屋へ降りていくといきなりリンに謝られた。
「何誤ってるん…、あっ…」
先程まで昨日の記憶が薄れていたが、今になってふと思い出す。思い出すと同時に体から冷汗が大量に出てくる。
「もういいよ…」
「本当に申し訳ありません…」
あれは黒歴史だ。そう割り切って忘れることにした。気分転換に俺は外へでて新鮮な空気を胸一杯に吸い込む。
「天気がいいなぁー!」
俺は無性に空が飛びたくなり、擬人化を解く。影が大きくなり、龍の形となって現れる。
「グルルルッ!」
俺は翼を大きくはためかせ、空へと舞い上がる。空は青く、太陽の光がギラギラと輝いている。
「グァアアアアアアアアアッッッ!」
俺は全速力で空を飛びまわる。目の前には青空が広がっていて、下を見ると全てが小さく見える。なんとも不思議な光景だ。
「グァアッ!」
下を見て飛んでいると数匹のアプケロスを発見した。このとき、『朝食』という単語が頭をよぎる。そして俺は急降下してアプケロスの下へ向かう。仕留め方は単純に爪で心臓部を貫く。魂蝕属性を使ってしまったら体に悪影響が出てしまうかもしれないため使わないことにする。
「ウォォオッ!?」
「グルァッ!」
俺の爪はアプケロスを仕留め、絶命させる。ついでに周りにいた一匹のアプケロスも仕留め、再び空へと舞い上がる。そして俺はアプケロスを掴みながらアイルーの村へと帰還した。
✳✳✳
「ただいまー!」
擬人化をし、家の中へと入る。すると奥の部屋からリザの声が木霊する。
「あ、お帰りなさい、お姉ちゃん!」
「俺は男だっ!」
「リザ、朝ご飯まだか?」
「まだ作ってませんね」
「なら久しぶりに一緒に作ろうぜ!」
そう言って俺はリザの手を引き、外へ連れ出す。
「これ使おうぜっ!」
「お姉ちゃん…朝からお肉ですか?」
「俺風サンドイッチとかいいかなぁーって…」
「……もうそれでいいです。お姉ちゃんと一緒に作れるんだし…(ボソッ)」
「なんか言ったか?」
「えっ!?いやなんでもないですよ!」
何か小声で言ってた気がするが気にしないでおこう。
そこからしばらく俺達の料理がスタートした。
俺はこんがり肉を作り、リザは村にあったパンなどをいい具合に焼いていく。こおばしい匂いが漂う。その匂いに釣られて男三人衆が玄関から出てきた。
「レン様、何を焼いておられるのですか?」
「アプケロスの肉」
「朝から肉か…それいいなぁ!」
「肉は旨い…」
バンたちは喜んでいるがその横でディブロが何かを探している。ディブロは家の隅や家の近くにある川まで行っていた。何を探しているのか気になった俺は肉を焼き上げ、質問した。
「何探してるんだ?」
「俺の好物の『サボテン』を探していまして…」
「サボテンを食うのかお前っ!?」
「あのみずみずしい感じがいいじゃないですか!」
「そっ、そうだな。そういえば革の向こう側にサボテンがあったぞ」
それを言うと同時にディブロは駆け出していった。その目は光り輝いていて無邪気な表情だった。
俺は肉を持って家に入る。
「出来ましたか?」
「おぉ、出来たぞ。うまい具合に焼けた」
「私もいい感じです!」
「偉い偉い」
そう言いながら頭をなでてやるとリザは嬉しそうに笑った。俺はこの笑顔を見れて腹一杯だ。
「それじゃあサンドするか!」
俺達は人数分、こんがり肉をスライスし、パンの間に挟み、特性ハチミツソースをかける。今なんで甘いものをかけたと思った人がいるだろう。それはこのハチミツは俺が調味料を混ぜてこんがり肉にマッチするようにしているからだ!って誰に解説してるんだ俺…。
最後に更に盛り付け、俺とリザが味見をした。
「大丈夫ですね!」
「そうだな。おっとリンを起こしてなかった」
「起こしてきてください。料理は運んでおくので」
そう言われ、俺は残りをリザに任せ、二階への階段を登る。そしてリンの寝ている部屋に入る。
「起きろー、朝飯できたぞー!」
「むにゃむにゃ…、レンしゃまぁ〜…」
———ゴツンッ!
部屋に痛そうな音が響き渡る。
「いったぁぁぁいっ!」
「お前どんな夢見てた…」
「それは…言えません」
「はぁ…、もう朝食だぞ。降りてこい」
俺はそう言って部屋を出た。そして階段を降り、外は出る。外へ出ると人数分の皿が置かれたテーブルとマタタビが置かれていた。マタタビはアイルーたちの分だ。
「リンさんは置きましたか?」
「あぁ、起きたぞ。もうそろそろ来ると思う」
リザの質問に返答し、席につく。隣にはエマとリザが座っており、まさに『両手に華』という言葉がピッタリだ。
「待ってくださーいっ!」
「遅いぞー」
「すいませんっ!」
走ってきたリンが席に座る。それと同時に同じ言葉が遺跡に響いた。
「「「「いただきまーすっ!!!」」」」
どうでしたでしょうか?
またみんなでご飯食べてる話でしたね…
申し訳ないです。
それでは次回お会いしましょう!