デスマーチからはじまる異世界空我   作:naogran

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山樹にある結界へ入ったライト達。そこでライトとサトゥーは、嘗て揺り籠で出逢った木の精霊・ドライアドと再会した。


DEATH MARCH57「巨人」

『BGM:懊悩』

 

サトゥー(森巨人の長?)

 

ドライアド「幼子ちゃんも来るでしょ?」

 

サトゥー「待ってくれ。連れて行くなら全員にしてくれないか?」

 

ドライアド「はいよ〜!でもそれだと魔力が足りないから、ちょっと貰うわよ!」

 

そう言ってナチュラルにサトゥーにキスした。アリサとミーアが嫉妬した。

 

ライト「ナチュラルにやりやがったな。」

 

サトゥー(今回は子供達が見ているし、此方から魔力を流し込んでみよう。)

 

自分からドライアドに魔力を流し込んだ。

 

ドライアド「腕を上げたわね人間!!」

 

サトゥー(しんな風に好敵手を讃えるような発言されても・・・実態はただの魔力供給だ。だから抗議しないでように。)

 

アリサとミーアがサトゥーを叩く。

 

ライト「おいアリサ止めろ。」

 

アリサ「ちょっと離しなさいよ!!」

 

タスク「ミーアも。」

 

ミーア「タスク離して!」

 

ライト「ドライアド、続けてくれ。」

 

ドライアド「はいよ!じゃ、跳ぶわよ!」

 

周囲にあるフェアリーリングが全員を囲んだ。

 

ミーア「フェアリーリング。」

 

ロゼッタ「凄い!初めて見た!」

 

 

 

 

『BGM:太古』

 

そしてある場所へ飛ばされた。

 

???「ドライアド!そいつらは何者じゃ!!」

 

それは、2人の巨人の目の前だった。そして今叫んだのは、ブラウニーの老爺だった。

 

ブラウニー「答えんか!ドライアド!」

 

ドライアド「人間よ。」

 

ブラウニー「そうではない!誰かと聞いておるのだ!」

 

ドライアド「つーんっだ。私が言う事を聞いてあげるのは、源泉の主たる「石鎚」の坊やだけですよ〜だ。」

 

すると1人の森巨人が。

 

森巨人「ーーーーーーーー」

 

何かを唱えた。

 

サトゥー(森巨人語じゃなくて、巨人族の共通語みたいなもののようだ。スキルレベルを上げてみよう。)

 

巨人語スキルを得た。

 

ライト「ん?言葉が分かるぞ。」

 

森巨人「何者だ。この里に何用で参った。」

 

ブラウニー「・・・と言っておる。」

 

サトゥー「私は行商人のサトゥーと申します。」

 

ライト「俺は旅人のライトだ。」

 

巨人語スキルと拡声スキルを覚えた。

 

サトゥー「幻想の森の魔女殿から貴方様に、手紙を届けて欲しいと依頼を受けたので罷り越しました。」

 

カリナ「ま、まさか・・・これは巨人の言葉ですの?」

 

ラカ『うむ、サトゥー殿とライト殿は随分博識のようだ。』

 

カリナ「何でも出来てしまうのですわね。」

 

森巨人「ほぅ、我らの言葉が判るのか。それは重畳だ。老魔女からの手紙を見せよ。」

 

魔女の手紙を森巨人に差し出した。その手紙をブラウニーが読み上げる。

 

森巨人「よくぞ遠方より参った。我が古い友人のそのまた友人の小さき子よ、我が名は・・・」

 

巨人族の名前は、先祖代々の名前を連結するものらしく、名乗りは20分以上続いた。その間にポチとタマとナナとドリューとサヤが眠ってしまった。

 

森巨人「・・・だ。長くて呼び難かろう。我の事は「石鎚」と呼べ。」

 

ライト「呼びやすい名前をサンキューな石鎚。」

 

サトゥー「ご丁寧にありがとうございます。私とライトは先程名乗らせて戴いたので、仲間を紹介させて頂きます。」

 

ミーア「・・・ミーア。」

 

何故か耳を塞いでいるミーア。

 

サトゥー(巨人の大声で耳が痛かったのかな?)

 

石鎚「ほぅ、これはボルエナンの森のエルフ殿か。100年程前にユサラトーヤ殿が訪れて以来だ。里を挙げて歓迎させて貰おう。」

 

ライト(何でも屋の店長の名前か。何か懐かしいな。)

 

サトゥー(彼もここに来た事があったのか。)

 

その後も皆が自己紹介する。

 

 

 

ポチ「ポチなのです。」

 

タマ「タマ〜!」

 

リザ「リザと申します。」

 

アリサ「アリサよ。」

 

ルル「ルルです。」

 

ナナ「ナナと紹介します。」

 

タスク「俺はタスクだ。」

 

ドロシー「ドロシーよ。」

 

ローズ「ローズです。」

 

メイリン「私はメイリンです。」

 

エレナ「エレナよ。こっちは妹のロゼッタ。」

 

ロゼッタ「宜しく!」

 

エレナ「そしてこっちはドリュー・ラミアスよ。」

 

ドリュー「ドリュー・ラミアス。」

 

ダリー「オイラはダリーだ!」

 

ジーク「ジークだ。宜しく。」

 

サヤ「妹のサヤです。」

 

アイーダ「魔女のアイーダよ。」

 

ティア「同じくティア。」

 

チャールズ「チャールズです。」

 

リカルド「リカルドだ。」

 

クレア「クレアです。」

 

 

 

しかし最後のカリナで。

 

カリナ「わ、私はカリナ・ムーノと申します。ムーノ男爵の次女・・・」

 

ブラウニー「ムーノだと!?あの腐れ侯爵の血族がのこのこ首を狩られにやって来たのか!!」

 

怯えたカリナがサトゥーの後ろに隠れた。

 

サトゥー(こう言った悪意を向けられるのに慣れていないようだ。)

 

ライト(どうすんだ?)

 

サトゥー(ライト、彼女の代わりに弁護してやろう。)

 

ライト(分かった。)

 

サトゥー「お待ち下さい!」

 

ライト「話を聞け!」

 

弁明スキルと調停スキル。

 

カリナ「サトゥー・・・ライト・・・」

 

サトゥー(っ!)

 

ライト(初めて名前で呼ばれた。)

 

サトゥー「ムーノ侯爵の一族は滅びました!彼女の父は名を継いだだけの、侯爵とは縁も所縁もない家の者でございます!」

 

ブラウニー「屁理屈を!」

 

ライト「屁理屈じゃない!本当の話だ!」

 

石鎚「その辺りで止めよ。」

 

ブラウニー「し、しかし・・・」

 

石鎚「止めよと申した。小さき子のサトゥー、そしてライトよ。貴公が何故ムーノを名乗る娘を連れてこの地に参ったのかは聞かぬ。貴公は見知らぬ地を見聞するのが目的と魔女からの手紙に書いてあった。里の小巨人の屋敷に部屋を用意させよう。手紙を届けてくれた礼だ。好きなだけこの里に滞在するが良い。」

 

サトゥー(おお!老魔女グッジョブ!)

 

ライト(よっしゃラッキー!)

 

サトゥー「(おっとそうだ。)石鎚様、図々しいお願いで大変恐縮なのですが、私の友人のムーノ男爵令嬢の滞在もご許可頂く存じます。」

 

石鎚「良かろう。その娘も滞在して構わぬ。」

 

サトゥー「(これでカリナ嬢も、滞在期間中に石鎚達と交渉する余地が出来るだろう。)寛大なお言葉に感謝致します。」

 

ライト「ありがたき幸せ。」

 

2人は石鎚に向かって頭を下げた。

 

 

 

 

『BGM:安穏』

 

彼らは広間の隣にあった部屋で、小巨人達の迎えを待つように言われて待機中。

 

ラカ『サトゥー殿、ライト殿、先程の助力を感謝する。』

 

カリナ「ありがとう・・・ございます・・・」

 

ライト「気にすんなよ。アンタが怯えてるのを見てられなかったからな。」

 

アリサ「前途多難みたいだけど、頑張ってね。」

 

カリナ「えぇ、まさかあんなに・・・」

 

ナナ「落ち込んでいても意味は無いと助言。落ち込む暇があれば前を向くべきと語ります。」

 

ルル「そうですよカリナ様!お腹一杯ご飯食べて、一眠りしたら嫌な事なんて大抵何とかなるものです。」

 

ライト「おぉ、ルルがカリナに良い事言ったな。」

 

サヤ「カリナ様、私達はカリナ様の味方です。何かあったら何でも言って下さいね?」

 

ジーク「サヤ・・・こんなに成長しやがって・・・嬉しいぞ。」

 

タスク「嬉し泣き?」

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

やがて小巨人達が迎えに現れ、3つの輿にそれぞれ乗せられ、彼らの里に向かって出発した。

 

小巨人「お待たせして申し訳ないダホ。輿を準備するのに時間が掛かってしまったんダホ。」

 

サトゥー(塹壕のような道・・・)

 

ライト(何だ語尾のダホって・・・Fischer'sを思い出すわ。)

 

 

 

 

やがて外に出た。小巨人達が果実を収穫してる様子が見えた。

 

サトゥー(どうやら山樹の枝から果実を採取しているようだ。この塹壕の外には、高さ3メートル程の土壁が見える。)

 

マップで確認した所、その土壁が山樹を中心に200メートル間隔の同心円状に作られていた。

 

サトゥー(防御にしては低いし、所々隙間が出来ている。里まで後少しか。)

 

するとその時。

 

 

 

 

”カーンカーンカーン!!”

 

 

 

 

『BGM:緊迫』

 

ドロシー「何?警鐘の鐘の音?」

 

アリサ「何かしら?」

 

小巨人「山樹の実が落ちたみたいダホ。」

 

サトゥー(成る程、高さが2キロ近い山樹の上の方の枝から果実が落ちて来たら惨事になるだろうからね。さっきの土壁も外敵用ではなく、落下した果実を防ぐ為の物だったようだ。)

 

警鐘の鐘の音は鳴り止まない。

 

小巨人「すぐに通路に防御蓋が出来るから安心して欲しいダホ。」

 

ライト達を乗せた3つの輿をゆっくり下ろす。すると空から、無数の果実が落ちて来た。

 

アリサ「きゃああああ!!」

 

ジーク「うわっ!!」

 

落下の衝撃で振動が走り、果実はスーパーボールの様に弾んだ。

 

小巨人「まずいダホ!あれは『弾み果実』ダホ!」

 

弾み果実は岩壁に激突し、岩が次々と崩れ始めた。

 

タスク「崩れちまったぞ・・・」

 

小巨人「あ〜あ、あの辺はスプリガンの大将の家ダホ。明日は皆で家の修理の手伝いダホ。」

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

再出発してしばらく進むと、小巨人の里に着いた。。

 

サトゥー(落ちた果実は。)

 

ライト「なぁ、果実が落ちる事ってよくあるのか?」

 

小巨人「いんや、実りの季節は別として、普段は月に1個あったら多い方ダホ。だけど、先月くらいに上の実を食べていたエルダー・スパローが減ったから、喰い残されて熟し切った果実が落ちて来てるんダホ。」

 

ライト(あの老魔女が乗っていたデッカい雀か。)

 

サトゥー「結構大きな鳥だったと記憶していますが、何か危険な獣が居るのですか?」

 

小巨人「今は居ないから安心するダホ。前の新月の頃だったダホが、ヒュドラの群れが結界内に侵入したダホよ。そいつらに喰われてしまったんダホ。」

 

ドロシー「ヒュドラに喰べられたのね。」

 

サトゥー(機動力のある害獣は始末に負えない。)

 

小巨人「ヒュドラ達はフォレスト・ジャイアント様方が総出で『堅殻果実』を投げて追い払ったんダホが、その時に『ポイズン・ブレス』を受けたフォレスト・ジャイアント様方が毒に冒されてしまったんダホ。」

 

サトゥー「それは大変でしたね。」

 

小巨人「大変だったんダホ!ワシが生まれて300年で、魔物が侵入したのは初めてだったから焦ったダホ。」

 

ライト「巨人達も色々苦労してるんだな。」

 

サトゥー(邪推し過ぎかも知れないけど、里にヒュドラを嗾けたのは、もしかしたら魔族の可能性も・・・)

 

エレナ「その後どうなったの?」

 

小巨人「それで、大人のフォレスト・ジャイアント様方はムーノの作る解毒薬で治ったんダホが、子供のフォレスト・ジャイアント様方が、まだ3人臥せっているんダホ。」

 

ダリー「また調子悪いって事なのか?」

 

小巨人「そうダホ。」

 

サトゥー(一月前の毒がまだ残っているのか?マップで検索。)

 

マップ検索すると、ヒュドラの位置情報と体力が表示された。

 

サトゥー(体力ゲージは3割から4割の位置、魔力やスタミナのゲージはどちらも枯渇寸前だ。)

 

ローズ「それで、子供達には解毒薬が効かなかったの?」

 

小巨人「それが・・・材料がなくて、蛇毒用の解毒薬だったから効きが弱かったらしいんダホ。それで今はフォレスト・ジャイアント様の『編み髭』様が解毒薬の材料になるヒュドラを狩りに出掛けているんダホ。」

 

サトゥー(ああ!男爵領のマップ検索で1人だけ見付けた森巨人か。)

 

マップを更に確認したら、その巨人は結界壁の近くに居た。アイテム検索で彼と同じ位置に『ヒュドラの生首』と言う品があったお陰で無事に材料をゲット出来た様だ。

 

サトゥー(俺のストレージのヒュドラの屍骸は必要無さそうだ。)

 

 

 

 

『BGM:休息』

 

しばらくして小巨人の家に着いた。

 

小巨人「到着ダホ。」

 

すると家から、小巨人の妻が。

 

妻「おかえりなさい貴方。此方の方々がフォレスト・ジャイアント様のお客様ね。」

 

小巨人「そうダホ。エルフ様もいらっしゃるから丁重に頼むダホ。」

 

そんな中ミーアはサトゥーの後ろに隠れてこそこそしている。

 

妻「まあまあ、我が家にエルフ様をお迎えするなんて100年振りかしら。初めまして、私は『山樹の里』の里長を務めます『セイタカ』の妻『ユビシロ』でございます。」

 

サトゥー(彼は里長だったのか。)

 

フォレスト・ジャイアント達と同じく、長い名前を呼びやすくする為の渾名らしい。

 

ライト「すまんな、ミーアはちょっと人見知りなんだ。あ、俺は人族の旅人のライト。こっちは行商人のサトゥーと俺達の仲間だ。」

 

ユビシロ「まあミーア様と仰るのね。お気になさらないで、エルフ様が無口なのは存じていますもの。前にいらしたユサラトーヤ様も滞在中に三言だけでしたから。」

 

 

ユサラトーヤ『ユーヤ。・・・世話になる。・・・世話になった。』

 

 

サトゥー「店長・・・」

 

ライト「本当無口だなぁ・・・」

 

 

 

 

その後他の皆が名乗りを上げ、滞在期間中に使う部屋に通された時に、ミーアがポツリとユビシロにに名乗っていた。

 

ミーア「ミーア。」

 

ユビシロ「まあ!エルフ様の声はなんて素敵なのかしら!今晩は山樹の実を使ったご馳走を作りますね。何か嫌いな物はございますか?」

 

ミーア「肉。」

 

ユビシロ「では肉料理は無しにしますね。」

 

肉料理は無し。ポチとタマとリザに絶望感が湧いた。サトゥーがユビシロにヒソヒソ話す。

 

サトゥー「ミーア以外の料理には肉も入れて下さい。」

 

セイタカが少し後で山樹の実を貰いに行くと言って、ライトとサトゥーとタスクとエレナとジークも同行させて貰う。

 

カリナ「少し疲れましたので、休んでいますわ・・・」

 

疲れた様子のカリナが部屋へ行った。

 

サトゥー(カリナ嬢・・・)

 

ライト(何か心配だな。様子を見に行ってみるか。)

 

 

 

 

『BGM:孤独』

 

お茶や菓子を持って、カリナの部屋へ。

 

サトゥー「少しでも口にして下さい。お腹が減っていると余計に気分が落ち込むとルルが言っていました。」

 

カリナ「食べたくありませんわ・・・」

 

”キュルキュル〜・・・”

 

ライト「腹鳴ってんじゃねえか。」

 

恥ずかしがりながら菓子を食べる。

 

サトゥー(小動物のようで可愛い〜。)

 

カリナ「どうして・・・」

 

ライト「?」

 

カリナ「どうして・・・会った事もない方にあんな嫌われるのかしら・・・」

 

サトゥー「ムーノ侯爵が酷い事したかも。」

 

カリナ「どうして!!」

 

激怒してサトゥーの胸元を掴んだ。

 

カリナ「私が縁も所縁もない人の事で!!!」

 

ライト「おいカリナ落ち着けよ!」

 

カリナ「落ち着いていられませんわ!!!」

 

サトゥー「あの人達にすれば『ムーノ』の名を持つ『人族』と言うだけで充分なのでしょう。」

 

カリナ「どうして・・・・・」

 

泣き崩れたカリナを、サトゥーが優しく抱いて慰める。

 

サトゥー(カリナ嬢・・・弱気になってしまって痛ましい・・・しかし・・・)

 

頭の中で自分の天使と悪魔が言い争っている。

 

悪魔『押し倒してしまえー!』

 

天使『ダメだ!』

 

リザ「ご主人様、ライト様、セイタカ殿がそろそろ出発出来ると・・・」

 

ライト「ゲッ。」

 

サトゥーとカリナが抱き合ってる光景を見て、リザが誤解する。

 

リザ「申し訳ありません。出直して参ります。」

 

サトゥー「待て!出直さなくていい!!」

 

その結果、自分の中の天使が悪魔に打ち勝った。

 

ライト「カリナ、諦めるのはまだ早えよ。」

 

サトゥー「ライトの言う通りです。私とライトの国の有名な指導者も言っていました。諦めたらそこで終わりだと。」

 

ライト(安西先生?)

 

カリナ「・・・・・」

 

サトゥー「カリナ様、彼らの好感度がゼロなら、もう下がる事はありません。彼らを欲する行動を取って好感度を上げれば良いのです。」

 

カリナ「好感度・・・?」

 

サトゥー「そうです。嫌いな相手の為に行動してくれる人は滅多に居ません。ですから、まずは仲良くなる事から始めるのです。」

 

カリナ「仲良く・・・?どうやったら仲良くなれるのかしら・・・?」

 

サトゥー「それはこれから探しましょう。幸い滞在期間は戴いています。」

 

ライト「な〜に心配すんな。何れ何とかなるぜ。」

 

カリナ「ありがとう・・・・・サトゥー・・・・ライト・・・・」

 

サトゥー(もう大丈夫だろう。)

 

安心したカリナを見て、手を離した。

 

サトゥー「では、私とリザとライト達はセイタカ殿の用事に同行して、情報収集に行って参ります。」

 

カリナ「私も!!」

 

ラカ『待てカリナ殿。我らが同行しては、情報収集の妨げになりかねない。ここは自重すべきだ。』

 

カリナ「ラカさん・・・・」

 

サトゥー「お任せ下さい。何か良い話を仕入れて参ります。」

 

 

 

 

『BGM:休息』

 

彼らはセイタカと共に山樹の実を貰いに向かう。里では多くの子供達が楽しく遊んでいる。

 

サトゥー「良い里ですね。」

 

ライト「楽しく遊ぶ子供達、良い風景だ。」

 

セイタカ「誉められると照れるダホ。自慢の里ダホ。」

 

ジーク「俺の故郷もこんな感じだったな。」

 

タスク「ジークの集落を思い出すと懐かしく感じるな。」

 

 

 

 

加工所。

 

サトゥー(ここが果実の加工所か。)

 

中に入ると、小巨人達が山樹の実の殻を割る作業をしていた。

 

サトゥー(この実は鋼鉄のような感触・・・種類によって違うようだ。)

 

ライト「結構堅いな。」

 

小巨人「ダメだ堅過ぎる!セイタカ代わってくれ!」

 

セイタカ「仕方無いダホ。ちょっと行って来るダホ。」

 

斧で殻を割ろうとしても、殻は破れない。

 

セイタカ「う〜ん・・・・」

 

サトゥー「私にもやらせて貰って良いですか?(こう言う体験は是非やってみたい。)」

 

セイタカ「多分持てないダホよ?」

 

サトゥー「身体強化のマジック・アイテムがあるから大丈夫ですよ。」

 

詐術スキル発動。

 

サトゥー(これが丁度良いかな?)

 

加工所にある剣を借りる。そして剣を振り上げて、力強く振り下ろす。山樹の実の殻が綺麗に割れた。

 

セイタカ「おお!凄いダホ!一度で斬れたのなんて初めて見ただほ!」

 

小巨人「凄い腕だぜ!もしかしたら『堅殻果実』だって割れるんじゃないか?」

 

後ろでリザが拍手している。

 

ジーク「サトゥーの奴凄えな。」

 

タスク「一撃で斬れるなんてな。俺も負けてられないな。」

 

セイタカ「試してみるダホ!もし割れたら今晩の宴会は『堅殻果実』の酒が飲めるダホ!」

 

堅殻果実とは、鋼鉄並みに堅い果実であり、フォレスト・ジャイアントの使う殻割りの器具が無いと割れない。

 

サトゥー(入り口付近にあった果実の事か。)

 

しかもこの酒は味が濃く、アルコール度数も高く甘い。

 

サトゥー(もしかしてクハノウ伯爵領のセダム市で飲んだ蒸留酒『巨人の涙』の原材料かな?)

 

ライト「サトゥー、俺にもやらせてくれ。」

 

今度はライトが試す。サトゥーから剣を借りる。

 

ライト「おりゃあああああああ!!!!」

 

力強く剣を振り下ろして、殻を斬ろうとしたが、剣が折れてしまった。

 

ライト「すまん、逆に剣が割れてしまった・・・」

 

小巨人A「やっぱり堅殻果実は無理かぁ・・・」

 

小巨人B「そりゃそうだよな・・・」

 

小巨人C「お、おい!あれ!!」

 

だが堅殻果実の殻が斬れており、切れ目から汁が。

 

小巨人A「き、斬れているぞ!!」

 

小巨人B「凄え!!」

 

セイタカ「ほ、本当ダホ!サトゥーとライトは剣の名人ダホ!」

 

ライト「けどすまんな、剣を1つ無駄にしちまった。」

 

セイタカ「構わないダホ。果実割りで斧や大剣が折れるのは何時もの事ダホ。後で鍛冶屋の所に果実酒を持って行けば、2つ返事で修理してくれるダホ。それは工場の人間に任せれば良いダホ。」

 

ライト「そうか、色々悪いな。」

 

一応工場の人達にも謝った。しかし、皆から責められるどころか、何本も折っても良いから他の堅殻果実も斬ってくれとせがまれてしまった。サトゥーは大道芸人の称号を得た。

 

タスク「よし、俺もやってみるか。サトゥー、代わってくれ。」

 

今度はタスクが、剣を持って構え、剣に魔力を収束させる。

 

タスク「ハァッ!!」

 

魔力が収束された剣を振り下ろし、堅殻果実の殻が綺麗に斬れた。小巨人達が歓声を上げた。

 

タスク「こんなもんか。ジーク、お前もやってみるか?」

 

ジーク「そうだな、これも良い経験になれるし。」

 

今度はジークも剣を持って、剣に魔力を収束させて振り下ろす。殻が斬れた。

 

ライト「2人共やるじゃねえか。」

 

タスク「結構面白い作業だな、これ。」

 

ジーク「今回もサヤに自慢話が出来るぞ。」

 

サトゥー「ジークはぶれないなぁ・・・」

 

するとそこに。

 

???「ここに達人が居ると聞いたが。」

 

獣のマスクを被った人物が。

 

???「本当に『堅殻果実』を割れるような者が居るのか?」

 

小巨人「ほれコボルトの姉ちゃん、そこに沢山切断されたのが転がっているだろ?」

 

コボルト「ほ、本当だ!」

 

ライト「コボルト?」

 

サトゥー(へー、あれがコボルトか。)

 

コボルト「この剣を使ってみろ。コボルトが鍛えた青鋼の大剣だ。」

 

ライト「サトゥー。」

 

大剣をサトゥーが持つ。大剣の材質はコバルト合金。

 

サトゥー(鋼の刃にうっすらと青い色が・・・)

 

その大剣で堅殻果実を斬る。

 

コボルト「見事!」

 

サトゥー「良い剣だね。」

 

コボルト「剣士殿、その腕を見込んで頼みがある。拙をドワーフ達の住むボルエハルトかエルフ様のお暮らしになるボルエナンの森まで連れて行って貰いたい。報酬はこの青鋼の大剣『蒼牙』だ。」

 

ライト「ボルエナンの森?」

 

タスク「ミーアの故郷か。」

 

サトゥー「理由を聞いても良いかい?」

 

コボルト「ここでは人目が・・・」

 

ジーク「じゃあ場所を変えるか。」

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

場所を変えて加工所の外に。

 

コボルト「拙らだけでは、ボルエナンの森まで辿り着くのが難しいのが同行を頼んだ理由だ。コボルトに子供が生まれた時に『青晶』と呼ばれる宝石が必要になるのだ。拙らの鉱山が涸れてしまったのだ・・・」

 

サトゥー「(鉱山が涸れて・・・か。あれ?もしかして・・・)クハノウ伯爵の銀山を襲っていたのはそのせいかい?」

 

コボルト「そうだ。ムーノ男爵の執政官と言う男が銀山の下に、『青晶』が眠っていると教えてくれたのだ。」

 

サトゥー(執政官って魔族じゃないか!何処か近くに『青晶』がある山が見付かれば良いのか?)

 

ライト「なぁ、その青晶って銀鉱脈の傍で採れるものなのか?」

 

コボルト「銀鉱脈の傍にあるとは限らぬ。だが、エルフ様やドワーフの青銀鉱脈なら確実に青晶が採れるはずだ。」

 

サトゥー(青銀の傍に青晶か。)

 

コボルト「青銀はあの、山樹の葉の様な美しい色をしているのだ。」

 

サトゥー「(常緑色らしく緑色の葉だが・・・もしかして色の見え方が違うのか?緑色・・・緑色の刃と言えばミスリル・・・)もしかして青銀ってこれの素材か?」

 

ストレージから青銀が素材となる短剣を出した。

 

コボルト「ほぉ。綺麗な短剣だな。そうとも!その美しい青を出しているのが青銀なのだ。」

 

サトゥー(つまりミスリルの鉱脈を探せば良い訳か。折角だからムーノ男爵領の山々をマップ検索して探してやろう。)

 

ムーノ男爵領の山々をマップ検索。

 

サトゥー(この里から一番近い山をターゲットにして検索してみたが見付からなかった。そうだ、怨霊の砦でゲットした劣化格納鞄の中に鉱山候補地の資料があったはず。)

 

そして、大森林の中にそれらしき鉱脈候補の記述を発見した。

 

サトゥー(少し範囲が広いので順番に検索。)

 

無事にミスリル鉱脈を発見した。そしてそのミスリル鉱脈の下の空洞に。

 

サトゥー(さてどう伝えたものか・・・よしここは。)

 

詐術スキルを発動。

 

サトゥー「青晶があるかは判らないけど、ミスリルの鉱脈なら心当たりがある。」

 

コボルト「ほ、本当か!」

 

タスク「サトゥー、それって本当なのか?」

 

サトゥー「あぁ。仮面の隠者と言う謎の男が言っていた。」

 

ライト(それお前の事だろ?)

 

サトゥー「この山に住んでいる名刀を得る為に、山で1人鉱脈を探していたと言っていた。」

 

コボルト「なら、この剣を渡せば・・・いやダメだ、この剣は汝に与えると約束した物だ。他には工具しか無いし・・・」

 

ライト・サトゥー・タスク・ジーク(律儀な奴だ。)

 

サトゥー「俺は情報を教えただけだ。無報酬が悪いと思うなら青鋼で作った工具を分けてくれないか?」

 

コボルト「そんな物で良いのか?」

 

サトゥー「あぁ、問題無い。」

 

コボルトも、これで安心・・・

 

 

 

〜ツヅク〜




         キャスト

       ライト:山崎大輝

       タスク:小林裕介
      ドロシー:山村響
       ローズ:藤田咲
      メイリン:佐藤亜美菜

      サトゥー:堀江瞬
        ポチ:河野ひより
        タマ:奥野香耶
        リザ:津田美波
       アリサ:悠木碧
        ルル:早瀬莉花
       ミーア:永野愛理
        ナナ:安野希世乃
      ロゼッタ:上田麗奈
       エレナ:山本希望
 ドリュー・ラミアス:長縄まりあ
       ダリー:村瀬歩
       ジーク:相葉裕樹
        サヤ:大野柚布子
      アイーダ:日高里菜
       ティア:小倉唯
     チャールズ:関根明良
      リカルド:細谷佳正
       クレア:桜川めぐ

   カリナ・ムーノ:川澄綾子
        ラカ:髙階俊嗣

    ユサラトーヤ:山谷祥生

     ドライアド:森永千才

     ブラウニー:浜添伸也
     
      セイタカ:浜田洋平
      ユビシロ:衣川里佳

       小巨人:松田修平
           狩野翔

      コボルト:小若和郁那

        石鎚:田中進太郎

DEATH MARCH58「決意」

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