デスマーチからはじまる異世界空我   作:naogran

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ムーノ市を発ったライト達は、ボルエハルト自治領に到着した。
そこでは、魔素(マナ)不足に陥った潅木や赤茶色に変色した茂みが増えていた。


##ボルエハルト自治領##
DEATH MARCH63「試練」


『BGM:懊悩』

 

サトゥー(精霊が居ない?魔素(マナ)不足?)

 

アリサ「成る程。・・・ご主人様、解説を。」

 

ライト「おい。」

 

チョップを喰らった。

 

サトゥー「精霊って言うのは、魔素(マナ)を自然界の事物に伝達する役目を持っているらしんだ。魔素(マナ)が植物にどんな影響を与えているのかは知らないけれど、不足すると悪影響があるみたいだね。」

 

この辺りの情報は揺り篭(クレイドル)事件で手に入れたトラザユーヤ氏の資料から得たモノ。

 

アリサ「ふ〜ん。ご主人様は精霊を見た事ある?」

 

ライト「ドライアドなら見た事がある。彼奴も木精だから精霊と同じか?」

 

ミーア「違う。」

 

ライト「え?精霊じゃねぇのか?」

 

ミーア「ん。」

 

サトゥー(どう違うのかは判らないけど、妖精族のミーアがそう言うのなら違うのだろう。)

 

ライト「ドライアドが違うなら、本物の精霊は見た事ないな。」

 

サトゥー「ミーアみたいに『精霊視』のスキルを持っていないと見えないんじゃないかな?」

 

アリサ「ミーア!精霊ってどんな姿なの?」

 

ミーア「キレイ。」

 

アリサ「それじゃ判んないわよ!」

 

ミーア「むぅ。・・・光る珠。ふわふわ。優しい。」

 

アリサ「ふ〜ん。1回見てみたいものね。」

 

サトゥー「そうだな。」

 

ライト「あぁ。」

 

サトゥー(色っぽいお姉さんタイプを希望。)

 

ライト(ちょっと幼い少女希望。)

 

ミーア「むぅ!」

 

アリサ「鼻の下が伸びてるわよ!浮気者!」

 

ライト「おっと聞かれてたか。」

 

タマ「浮気者〜!」

 

ポチ「キモノなのです!」

 

ライト「うおっと!」

 

後ろからタマとポチが飛び込んで来た。ライトは間一髪避けた。

 

ルル「仲良しですね。」

 

そこに偵察に向かったリザが戻って来た。

 

リザ「ご主人様!ライト様!前方に幾つもの煙が見えます!」

 

ライト「煙だと?」

 

サトゥー「大丈夫だよ。それは鉄の精錬なんかの煙だよ。」

 

リザ「そ、そうでしたか。取り乱して申し訳ありません。」

 

目の前にボルエハルト市が見えた。無数の精錬の煙が上がっている。

 

 

 

 

 

 

昼過ぎに到着したにも関わらず、ボルエハルト市の正門前には入門を待つ列が出来ていた。

 

タスク「結構長蛇の列が出来てるな。」

 

メイリン「長いですね。」

 

アリサ「20番目くらいかしら?結構待ちそうね。」

 

サトゥー「そうだな。」

 

ライト「来るまで退屈だな。」

 

アリサ「?」

 

ポチとタマがサトゥーに肩車する。

 

リザ「タマ、ポチ。馬車の後ろ側で盗難防止の歩哨に立ちなさい。」

 

タマ「あいあいさ〜!」

 

ポチ「らじゃなのです!」

 

2人は馬車の後ろへ走った。

 

リザ「ご主人様、ライト様、タスク様、この街はイタチ共が出入りしているようです。抜け目ない奴等なのでご注意下さい。」

 

サトゥー「うん、分かったよ。ありがとうリザ。(確か、リザの里を滅ぼしたのも鼬人族だったっけ?)」

 

ライト「忠告サンキューな。今上空にゴウラムを待機させている。」

 

ミーア「ナナ、乗る。」

 

ナナ「マスター。馬の操作権をミーアに譲渡します。許可を。」

 

サトゥー「良いよ。余り遠くへ行かないようにね。」

 

ミーア「ん。」

 

2人は馬に乗って長蛇の列の前方へ走って行った。

 

サトゥー(前方の様子を見に行ったのだろう。)

 

???「オニィサン。」

 

サトゥー「?」

 

ライト「ん?」

 

そこに、鼬人族達が何かを持って来た。

 

鼬人A「芋、買わないアルか?おいしいヨ?」

 

鼬人B「オッニィサン!そんなイモ娘よりも、ヤキトリの方がおいしいネ。ボルエハルトの岩塩がたっぷりヨ?1本銅貨3枚ね。」

 

鼬人C「ダンナサン!やはりニクよ!高山地下のイボガエルの姿焼きの方が歯応え抜群で満足させるアルヨ!」

 

ライト(鼬人族の女達の言葉が胡散臭く聞こえる。)

 

サトゥー(相場スキルが教えてくれる値段より高めの額だし・・・)

 

 

 

 

その後、順番を待っている間に鼬人族以外にも鼠人族や兎人族の子供達が色々な物を売りに来たが、相場を確認するだけで買わなかった。

 

ローズ「あ!帰って来た!」

 

ミーアとナナが戻って来た。ミーアが何かを咥えてる。

 

サトゥー(戻って来たか。前の方で何か買っていたようだけど・・・)

 

ミーア「サトゥー。」

 

咥えていた茎をサトゥーの口に入れた。

 

サトゥー(甘い!この茎からは花の蜜みたいなふわりとした優しい甘味を感じる。)

 

ライト(おっと?ナチュラルに間接キス。)

 

ルル「あー!」

 

アリサ「今の間接キスよね!?ちょっと次!私!」

 

だがミーアがすぐに自分の口に咥えて、アリサにピースサインを出した。

 

アリサ「ムッキー!!」

 

ドロシー「見事な関節キスね。」

 

鼬人D「旦那サン!美味しいヨ!」

 

丁度鼬人族の子が細長い茎を売りに来た。人数分買って皆に与えたが、アリサ達がすぐにサトゥーに咥えさせて間接キスしようとしてる。

 

サヤ「ん〜!甘いです〜!」

 

ジーク「何だこの甘味?優しい感じがする。」

 

???「よぅ!御者殿!」

 

誰かの声が聞こえた。

 

???「この馬車の持ち主は貴族様かよ?」

 

???「やぁ御者殿!それとも商人か?」

 

声がしたが、誰も居ない。だが下を見ると。

 

ドワーフA「こっちだぞ御者殿!」

 

ドワーフB「そうだ!こっちだぜ!」

 

2人のドワーフがそこに立っていた。

 

ライト(ドワーフ!?)

 

タスク(本物か!?)

 

サトゥー(まさにゲームでよく見たドワーフの姿だ!)

 

3人は馬車から降りた。

 

サトゥー「初めまして。ドワーフの衛兵殿。私はムーノ男爵の名誉士爵サトゥー・ペンドラゴンと申します。」

 

ライト「同じく名誉士爵のライト・アイラだ。」

 

タスク「俺はタスク。2人の仲間だ。」

 

ドワーフA「す、すまんこってす!貴族様本人だったのかよ。」

 

ドワーフB「御者台に座るなんて変わった貴族様だぜ。」

 

ライト「ドワーフとやら。俺達に何の用だ?」

 

ドワーフA「貴族様なら並ばなくて良いって言いに来たのさ!」

 

ドワーフB「貴族様なら並ばなくて良いんだぜ?」

 

ライト「え?マジで?じゃあ俺達の仲間のタスク達も同行しても良いか?」

 

ドワーフA「おう!貴族様の仲間なら良いぞ!」

 

ボルエハルト市に限らず、どの都市でも貴族は優先的に入れて貰えそうだ。中に入る時もライトとサトゥーの身元確認があっただけで、仲間達には一切なく。馬車の中も軽く眺められただけで、入市税を支払う必要も無かった。

 

サトゥー(不心得な貴族が居たら、密輸のし放題な気がする。)

 

 

 

 

 

 

『BGM:安穏』

 

ボルエハルト市・市庁舎。

 

ドリアル「初めまして。ペンドラゴン士爵。アイラ士爵。ロットル子爵から書簡は確かに受け取りました。あの女傑は健勝ですかな?」

 

サトゥー「えぇ。元気いっぱいに采配しておいでですよ。宜しければ私の事はサトゥーとお呼び下さい。」

 

ライト「俺の事はライトと呼んでも構わないぞ。」

 

2人は市庁舎を訪問して、市長のドリアル氏と歓談中。アリサとタスクが側近として付いて来てる。

 

アリサ「ドリアル様。そちらの書簡にも書いてあるのですが、ムーノ領からの留学生を受け入れて頂きたいのです。」

 

ドリアル「ふむ。ロットル子爵には公都に留学していた時に世話になりましたから。年に数人の留学生くらい引き受けましょう。」

 

サトゥー(ここの自治領の領主は、この人じゃなくて彼の父親のドハル氏なのだが・・・)

 

ドリアル「大丈夫ですよ。父は重要な案件以外は私に任せてくれていますから。書簡ではサトゥー殿も鍛冶をされるとか。ご興味があれば、公営工房や精錬施設を視察されますか?」

 

サトゥー「是非っ!」

 

 

 

 

その後、アリサ達は市内の商業エリアに出掛けた。

 

アリサ「返事の書簡をムーノ市に届けてくれる商人を捜して来るわ。」

 

 

 

 

ライト、サトゥー、タスクはドリアル氏と施設へ向かった。

 

ドリアル「ここが、この街最大の高炉です。」

 

巨大な精錬施設。

 

ライト「デカッ!!」

 

ジョジョリ「開けますよー。」

 

彼女はドリアルの娘で秘書をしているジョジョリと言う。

 

 

 

 

精錬施設内では、ドワーフ達が黒い塊を竃に投入している。

 

タスク「皆頑張ってやってるな。」

 

ジョジョリ「彼処が高炉の天辺なんです。」

 

サトゥー(天辺?)

 

この建物の下には高炉の本体があるらしい。

 

サトゥー(男達が投入している黒い塊は、燃料や鉄鉱石のようだ。)

 

ライト「燃料は石炭か?」

 

ジョジョリ「あれは魔核(コア)と石炭から錬成された『練魔炭』と言う燃料です。普通の石炭よりも火力がありますし、魔核(コア)を燃料にする魔力炉よりは運転費用が抑えられるんです。」

 

サトゥー「ふむふむ。」

 

何となく検索してみたら、トラザユーヤの資料に練魔炭のレシピが載っていた。

 

ドリアル「ここは暑過ぎる。説明なら向こうでしましょう。」

 

 

 

 

施設の奥へ行く。高炉の本体が見えた。

 

サトゥー(吹き抜けになっている。ここからだと高炉の全貌がよく見える。)

 

ライト「高炉が凄ぇなぁ。」

 

タスク「大した設備ですね。」

 

ジョジョリ「えぇ。公都領で使用される鉄の3割がここで精錬されます。排煙は向こうの管を通る時に浄化されます。あの管の内側に水石と風石から錬成した触媒が使われていて、魔力の追加供給なしに煙の中の煤を取り除いてくれるんです。」

 

続けて転炉や圧延施設を見学させて貰う事にした。

 

 

 

 

圧延施設では、魔法道具(マジック・アイテム)の一種らしく、巨大な魔力炉が接続されていた。操作にも魔力が必要らしく、担当の男達は魔力切れ寸前だった。

 

 

 

 

サトゥー「中々大変なお仕事のようですね。」

 

ジョジョリ「えぇ。普段はもっと大勢居るのですが、ノーム達が里帰りしていて人手が足りていないんです。」

 

 

 

 

その後も色々と案内して貰ったが、地下の洞窟内に当たるミスリル関係の設備は見せて貰っていない。

 

サトゥー(恐らく、ボルエハルト市の重要機密なのだろう。ダメ元で。)

 

ダメ元でドリアルに言ってみた。

 

サトゥー「ミスリル関係の施設は地下なのですか?」

 

ドリアル「よ、よくご存知ですね。ロットル子爵からお聞きになったのですか?」

 

サトゥー「いえ。何となくそう思っただけです。それに、この街のミスリル製品が素晴らしいと聞いていたので、叶うなら見学してみたいと思いまして。」

 

ドリアル「そうでしたか・・・見学を許可したいのは山々なのですが、地下の施設は父の許可が必要なのです。う〜〜ん・・・」

 

ジョジョリ「お父様。お祖父様にお話ししてみれば良いではないですか?幾らお祖父様でも、初めて会う人にいきなり『剣を鍛えろ』とか言ったりしないと思いますよ?」

 

ライト・サトゥー・タスク(ジョジョリさん、それはフラグだと思うんだ。)

 

 

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

早速祖父のドハルと話し合ってみたら。

 

ドハル「では、剣を1本鍛えてみろ。話はそれからだ。」

 

サトゥー(ジョジョリさん?)

 

ライト(おい、目を逸らすな。)

 

タスク(張本人、何か言え。)

 

狭い地下坑道を通ってやって来たのは、ドハルの仕事場だった。

 

ドリアル「父さん、サトゥー殿達はロットル子爵のお知り合いで・・・」

 

ドハル「うむ。ニナには世話になったが、それとこれとは話が別だ。剣を鍛える事で人となりが判るのだ。ザジウル。ミスリルのインゴットを熱したのを出してやれ。」

 

ザジウル「うっす師匠!」

 

サトゥー(まぁ、ムーノ市滞在中に鍛冶屋で剣を打つ所を見学させて貰った事があるから、大体の手順は分かるし、1回やってみるか。鍛冶スキルはMAXだし、何とかなるだろう。)

 

早速サトゥーが剣を鍛えてみる。熱した剣をハンマーで叩いた。

 

サトゥー(あれ?何だ今の違和感?)

 

ドハル「・・・」

 

ハンマーを持ったドハルが剣を叩いてみると、違う音が響いた。

 

ドハル「ザジウル!」

 

ザジウル「うっす!」

 

するとドハルがザジウルにゲンコツを下した。

 

ドハル「バカヤロウ!何十年ミスリルを扱ってやがる!溶かしてインゴットを作る所からが鍛冶だって何時も言ってるだろうが!!」

 

ザジウル「うっす師匠・・・」

 

ライト(怖ぇ・・・)

 

タスク(ゲンコツ痛そう・・・)

 

サトゥー(良く判らないが、ザジウルさんが準備したインゴットに問題があったみたいだ。)

 

説教が終わり。

 

ドハル「よしミスリル炉へ行くぞ。若いの付いて来い。」

 

サトゥー「はい!」

 

ライト(何だ?以外とあっさり。)

 

タスク(今の下り必要あったか?)

 

サトゥー(ドハル老が直接案内してくれるようだ。剣を鍛えていないが合格と言う事なのだろう。どんな炉なのか、知らないが楽しみだ。)

 

サトゥー、頑固ドワーフに認められた!

 

 

 

 

ミスリル炉が設備されてる地下。

 

ライト「おぉ〜。」

 

サトゥー(これがミスリル炉。鉄用の高炉に比べて小さい。)

 

これは魔力のみで作動するようで、上端から投入するのはミスリル鉱石だけらしい。

 

タスク「あれ、ヒヒイロカネか?」

 

ミスリル炉の赤い金属に目を付けた。

 

サトゥー(ん?日緋色金・・・日本神話に出て来る空想上の金属の名前だったはずだ。前にセーリュー伯爵領で見た石の鳥居跡のように、勇者由来以外でも思い出したように和風テイストが混ざってくるのは何故なんだろう?気になる・・・)

 

ザジウル「ほら立て!!」

 

ドワーフA「ザジウルの兄ぃ、品質の悪い魔核(コア)しか持ってなくて、火力が出ないんっす!」

 

ドワーフB「もうちっと等級の高い魔核(コア)がないと、魔力炉をぶん回しても無駄なんじゃ。ノーム達でも居れば、そこの非常用の魔力供給端子から補充出来るんだがのう。」

 

ザジウル「馬鹿野郎!!ボルエハルトの若い衆が泣き言なんて言ってんじゃねぇ!根性見せてみろ!全員でそこの魔力供給端子から魔力を上乗せするぞ!」

 

ドワーフA「ザジウルの兄ぃ!?よ、よし!皆やるぞ!」

 

ドワーフB「ワシ達だけでかのう?」

 

ザジウル「休憩中の野郎共も全部呼ぶに決まってんだろ!!」

 

魔核(コア)をミスリル炉に投入し、ミスリル炉を作動させる。

 

ザジウル「行くぞ!!」

 

するとミスリル炉が朱金色に変色した。

 

サトゥー(薄っすらと朱金色の輝きが・・・)

 

ライト「凄え・・・!」

 

タスク「これがミスリル炉・・・」

 

サトゥー(でも魔力量が足りていないのか、輝きが不安定だ。)

 

ドハル「少し足りんようだな。ワシも手伝おう。」

 

ドリアル「父さんがやるなら、私も手伝いましょう!」

 

サトゥー「(魔力なら余っているし、俺も手伝いに参加してみよう。)ドハル様、私も手伝って宜しいでしょうか?」

 

タスク「ドハル様、俺達も手伝わせて下さい。」

 

ライト「そう言うなら俺も何かないか?」

 

ドハル「空いてる端子を使え!」

 

ドワーフ達「し、師匠!?」

 

空いてる端子を握る。

 

サトゥー(普段は関係者以外に触らせないようだ。)

 

ザジウル「野郎共!呼吸を合わせろ!」

 

ドワーフ達「おう!!」

 

ドハル「ハイ!」

 

ザジウル「ホー!」

 

ライト・サトゥー(独特の掛け声だ・・・)

 

サトゥー(炉が壊れないように慎重に魔力を流していたが・・・まだまだ余裕がありそうだ。ほんの僅かだが、魔力の流れが詰まるのを感じる。)

 

魔法道具(マジック・アイテム)調律スキルを得た。

 

ライト(お?新しいスキルゲット。)

 

サトゥー(称号を変えて、魔力経路の掃除をしてあげよう。)

 

ドワーフ達が流す魔力を押すように魔力を加えた。調律師の称号を得た。

 

ドハル「ハイ!」

 

ザジウル「ホー!」

 

サトゥー(今度は経路の僅かな魔力の歪みを矯正して・・・)

 

ライト「お?何か安定したようだ。」

 

サトゥー(うん。良くなった。)

 

ジョジョリ「安定してきましたよ!頑張って!」

 

彼女の応援にドワーフ達が顔を赤めた。

 

サトゥー(どの世界の男達も、美女の応援に弱いようだ。)

 

ライト(チョロいなおい・・・)

 

そして魔力を流し続け。

 

ドハル「今だ!ミスリル鉱石を投入しろ!」

 

ドワーフ達「おう!!」

 

ミスリル鉱石を投入。

 

ドハル「ミスリル高炉稼働準備!隊員!対閃光防御!」

 

全員がゴーグルを装着。

 

ライト「閃光防御?」

 

サトゥー「え?そんな物はないぞ?」

 

ジョジョリ「はいサトゥーさん。」

 

サトゥー「?」

 

ジョジョリ「ライトさん、タスクさん。」

 

3人にゴーグルを装着させた。

 

タスク「これは?」

 

ジョジョリ「遮光具です。目を痛めますので、掛けてる時でも炉の輝きを見詰めちゃダメですよ。」

 

サトゥー「ありがとうございます。」

 

タスク「すみません。」

 

ライト「助かる。」

 

ドハル「ミスリル高炉!稼働!」

 

ザジウル「おう!!」

 

ミスリル高炉の稼働開始。

 

 

 

 

ミスリル高炉が光り輝いた。

 

 

 

 

サトゥー(綺麗だ・・・)

 

暗視スキルを得たが、目が暗くなった。

 

ライト(うげっ!マジか!)

 

サトゥー(しまった!遮光具の意味なく過剰な光を受けて網膜が・・・)

 

ライト(あれ?どうしたんだ?視力が回復した?自己治療か?)

 

サトゥー(実に便利だ。)

 

2人は自己治療スキルを得た。更に光量調整と光耐性のスキルを得た。

 

サトゥー(有効化(アクティベート)。よし、これで大丈夫。)

 

ライト(OK。これで盲目の心配なし。)

 

ドハル「野郎共!仕事は終わっていないぞ!魔圧力を維持しろ!」

 

ドワーフ達「おう!」

 

サトゥー(輝きに見惚れている場合じゃなかったようだ。)

 

最終的に、累計300ポイント程の魔力を注いだ。

 

サトゥー(このペースなら、俺の回復量の方が上だから、何時間でも手伝えそうだ。)

 

最も、他のドワーフ達はかなり無理をしたらしく。

 

タスク「ふぅ・・・かなりキツイな・・・」

 

更にはタスクも疲れてしまった。

 

ライト「タスク、少し休んでろ。」

 

タスク「お前達、色々とタフだな・・・」

 

サトゥー(最後まで立っていたのは、ライトとドハル老とザジウルさんだけか。)

 

市長のドリアルは途中で帰った。

 

ザジウル「人族の小僧共!見直したぜ!ガハハ!」

 

褒めながら2人の背中をバシバシ叩く。

 

サトゥー(普通の人族だと大怪我するな。)

 

ジョジョリ「お疲れ様ですサトゥーさん。ライトさん。タスクさん。喉が渇いたでしょう?」

 

飲み物を差し出した。

 

サトゥー「水かな?」

 

ライト「何だこれ?」

 

タスク「飲んでみよう。」

 

水のような飲み物を飲んでみる。

 

サトゥー「っ!お酒ですか?」

 

タスク「しかもかなり旨い。」

 

ライト「何だこの味?」

 

ジョジョリ「公都の米酒を蒸留した物です。火酒みたいに酔えませんけど。汗を掻いた後に飲むと身体に良いんですよ。」

 

ライト(高アルコール度数の蒸留酒をスポーツドリンクの代わりか。)

 

サトゥー(流石ドワーフ。)

 

ドハル「ザジウル!」

 

ザジウル「うっす!師匠!」

 

ミスリル高炉からインゴットが生成された。

 

サトゥー(ちゃんとインゴットに整えられている。途中で鋳型があるようだ。)

 

”ガチャ””ドサドサ”

 

ライト「ん?」

 

ミスリル鉱石の余分のミスリル屑(スラッグ)が流れ出た。

 

ドハル「ザジウル。あれとそれとこの辺りのを鍛治場へ運べ。」

 

ザジウル「うっす!師匠!」

 

ドハル「若いの共、付いて来い。『相槌』を打たせてやる。」

 

ライト「え?」

 

ザジウル「師匠!人族のガキに相槌なんて無理だ!」

 

ドハル「喧しい!ワシが決めた事に口を出すな!若いの共!朝まで眠れないと思え!ジョジョリ!肉だ!バジリスクの燻製があっただろう!あれを丸ごと持って来い!まずは腹拵えだ!」

 

サトゥー(食べられるのか。バジリスク・・・)

 

毒があったからストレージに死蔵してあるが、毒を抜いて食べる方法があるなら、今後味次第で調理してみる事に。

 

 

 

 

食堂。戻って来たジョジョリにアリサ達への伝言と、食事の手配を頼んだ。

 

サトゥー(今晩は市長公邸の来賓用の館に泊めて貰う予定だったし、問題ないだろう。)

 

 

 

 

戻って来ると、ザジウルがデカイハンマーを置いた。

 

ライト「?」

 

ザジウル「どうした?若いの。相槌用の大鎚を見て尻込みか?どれくらいドワーフなら、片手で持ち上げるぞ!気合を入れて行け!」

 

タスク「かなり重量ありそうだな。」

 

サトゥー(凄いなドワーフ。これを片手か。)

 

挑発するザジウルが大鎚を片手で持ち上げてアピールした。

 

サトゥー(アピール先がジョジョリさんなのはスルーしてあげよう。ドハル老からまたゲンコツが・・・)

 

早速大鎚を持ってみる事に。

 

サトゥー(俺の体が軽いせいでバランスが・・・少し腰を落として・・・これなら大丈夫そうだ。)

 

運搬スキルを得た。

 

ライト(タイタンフォームなら軽々と持てそうな重さだ。)

 

タスク(かなり重量があるが、これなら何とか。)

 

ドハル「ちと弱いな。もっと強いのを出して来い。」

 

ドワーフA「師匠、今はこれしかねぇですぜ。」

 

ドハル「無ければガンザに調合させろ。」

 

ドワーフA「ガンザならボルエヘイムの一大事だとかで里帰りしてやすぜ。」

 

サトゥー(レシピが判れば代わりに調合するんだが・・・部外者に教える訳にもいかないだろう。)

 

ドハル「ジョジョリ!誰でも良いから表に行って錬金術士を連れて来い!」

 

ライト(大雑把な注文。だがそれなら。)

 

サトゥー「ドハル様。」

 

ドハル「ん?」

 

サトゥー「誰でも良いなら、私達が調合しましょうか?」

 

ライト「俺達も手伝うぜ。」

 

タスク「同じく。」

 

ライト、サトゥー、タスク、買って出る!

 

ドハル「錬金術にも手を出しているのか!よし、任せた!!」

 

全員「・・・!!」

 

ドワーフA「え・・・えーと、じゃあこっちだ!」

 

3つの壺を持って来た。

 

ドワーフA「ワシは調合の手伝いをした事があるだけだが・・・壺の並び順に混ぜて・・・」

 

説明を聞きながら、鍛冶で使う薬品の調合を進めていく。サトゥーが壺を調べる。

 

サトゥー(壺の中身は判らないようになっているが・・・錬成板の設定も固定されてる。)

 

 

 

 

薬品の調合を完了。

 

サトゥー(出来た。)

 

ドワーフの秘薬。

 

 

 

 

ライト「よっしゃ。」

 

タスク「よし。」

 

此方もドワーフの秘薬が調合出来た。

 

ドハル「うむ。良い出来だ。ガンザに暇を出して交代させるか。」

 

ライト(冗談とは思えない言動だ。)

 

サトゥー「タスクも調合の経験があるのかい?」

 

タスク「過去に2回あってな。その事を未だに暗記に残ってる。」

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

その後、ドハル専用の鍛冶部屋に移動した。部屋にはミスリル合金製の台と、ヒヒイロカネ製の暖炉がある。

 

ドハル「ーーーーー。魔脈接続。」

 

暖炉に火が通った。

 

サトゥー(領主達が使う都市核(シティ・コア)の力かな?)

 

その中に水らしき液体もあった。

 

ライト「ん?あの液体は何だ?」

 

ドワーフB「あれは冷却用のドワーフ水だ。油を3杯に火酒を1杯ってな。ミスリルも酒好きなんだぜ。」

 

サトゥー(それは油では?)

 

ザジウル「師匠!準備出来ました!!」

 

ドハル「よし!行くぞ!!」

 

他のドワーフから嫉妬の視線を浴びせられてる。

 

ライト・サトゥー・タスク「・・・」

 

サトゥー(ここは集中しよう。有名な刀鍛冶の人と一緒に打つチャンスなんて。)

 

ライト(タスク、行くぞ。)

 

タスク(あぁ。)

 

サトゥー(二度と無いかも知れないんだから、楽しまないとね!)

 

3人が大槌を振り上げる。そして、剣を思いっ切り叩いた。

 

 

 

 

『BGM:安穏』

 

翌朝、剣は完成した。

 

サトゥー(夢に見そうなくらい叩いた・・・瞼の裏に火花が・・・)

 

ドワーフの秘薬は、溶解炉でミスリルを熱する時に使っていた。材料に魔核(コア)の粉が入っていたので、ドワーフ独自の魔法武器の製法かも知れない。

 

サトゥー(魔液を使う魔剣とは技術系統が違うみたいだ。)

 

終盤はドハルの仕上げ作業を見学するだけだったが、彼にとって良い勉強になった。

 

サトゥー(今なら俺も名剣が打てそうな気がするよ。)

 

ドハル「よく交代せずにやり切ったな。本気で修行するなら何時でも来い。貴様等なら、すぐにでもワシを越えられる!!」

 

”ドバン!!”

”ドバン!!”

”ドバン!!”

 

サトゥー(ぐはっ!)

 

ライト(ぐへっ!)

 

タスク(ぐあっ!)

 

背中を強く叩かれた。

 

ドハル「ワシはまだやる事がある。先にメシを食って来い。ザジウル、行くぞ!」

 

ザジウル「うっす!」

 

2人は他の仕事へ向かった。

 

ドワーフA「人族のくせにやるじゃないか!!」

 

ドワーフB「全くだ!実はヒゲが生えてないだけでドワーフなんじゃないか?」

 

ドワーフC「ドハル師匠以外であの大槌を朝まで振るえる者が居るとは思わなかったぜ!!」

 

他のドワーフ達から賞賛の声が巻き起こった。

 

ドワーフA「アンタ達なら大歓迎だ!何時でも来な!」

 

ライト「いや、毎日は勘弁だな・・・」

 

サトゥー(朝までドハル老の指示通りに大槌で叩いていただけなんだが・・・ドワーフの鍛冶師達に認められたようだ。)

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

肉と酒の朝食でエネルギーを補給した後、地下にある広間に呼び出された。

 

ドハル「振ってみろ。」

 

朝まで一緒に打っていたミスリル製の剣を手渡された。

 

サトゥー(軽く感じる。)

 

持ってみると、重さは軽かった。

 

サトゥー(軽くて扱い易いが、剣は重量が威力に直結するから、軽さは利点にならないはずだが・・・多分何か理由があるのだろう。)

 

剣を構えてみる。

 

サトゥー(バランスが絶妙だ。手に吸い付くように馴染む。)

 

今度は数回振ってみる。

 

サトゥー(良い感じだ。)

 

安物の剣だと空気抵抗みたいなのを感じるのが普通。しかしこの剣は聖剣並みに空気抵抗が皆無。

 

サトゥー(うん。良い剣だ。)

 

ドハル「今度は魔力を篭めて振ってみろ。」

 

サトゥー(レア・スキルの魔刃ではなく、普通に魔力を通す感じで行こう。)

 

普通の魔力を剣に注いでみると、刃が光った。

 

サトゥー(おぉ!リザの槍並みに魔力が通り易い。流石ドワーフの名匠が打った剣だけある。波紋のような緑色の線が・・・)

 

ライト「凄え。」

 

タスク「これがミスリル製の剣か。」

 

ドハル「上質なミスリル製の武器の特徴だ。」

 

そのまま剣を振った。不思議な事に篭めた魔力が増える程、剣が重くなった。

 

サトゥー(ミスリル自体の特性なんだろう。)

 

ドハル「うむ。スジが良い。少し手合わせするぞ。」

 

懐から黒い斧を出した。呪いが篭められてる。サトゥーが危機察知スキルを発動。

 

サトゥー(呪われた武器を愛用しているのか。)

 

ドハル「では行くぞ!!」

 

 

 

 

タスク「大丈夫かな?」

 

ライト「サトゥーなら。」

 

 

 

 

呪いの斧を強く振った。しかしサトゥーが避けた。

 

ドハル「避けてどうする!打ち合った程度で傷むような剣を打つと、ワシを愚弄するか!!」

 

サトゥー「・・・!!失礼しました。では、参ります!」

 

剣に魔力を通し、呪いの斧を受け止めた。

 

ドハル「そうだ!魔力を篭めれば、ミスリルの強度が増す!!戦いの最中も魔力の供給を絶やすな!!」

 

サトゥー(ドハル老の戦い方は・・・縦横無尽で気が抜けない!)

 

なるべく避けたり、受け流ししたりするのに専念したが、詰め将棋みたいに段々と避ける場所が無くなって行く。

 

サトゥー(やはり、実戦経験が豊富だと凄い。)

 

最終的に逃げ場がなくなってしまい、サトゥーの敗北で決着した。

 

 

 

 

決着後。

 

ライト「いやぁ、凄かったな。」

 

タスク「良い見物だったぜ。」

 

ドハル「剣を見せてみろ。」

 

ミスリルの剣をドハルに見せる。

 

ドハル「良い剣だ。刃毀れはしていないし、剣に歪みも無い。」

 

サトゥー(俺の剣の腕を褒めてくれている・・・?)

 

ドハル「詮索する訳では無いが、見た目通りの歳ではないな。高高10年や10年程度でそこまでの腕にはなるまい。」

 

サトゥー(確かに見た目通りの歳ではありません。)

 

中身は29歳の青年。

 

サトゥー(レベルが高いのがバレないように動いたつもりだったんだが、見透かされたのかも知れない。)

 

ドハル「・・・・うむ。ーーーーー。」

 

突然ドハルが詠唱を唱えた。そして。

 

ドハル「命名(ネーム・オーダー)。妖精剣トラザユーヤ。」

 

ライト・サトゥー(トラザユーヤ!?)

 

その聞き覚えのある名前に。

 

 

 

〜ツヅク〜




         キャスト

       ライト:山崎大輝

      サトゥー:堀江瞬
        ポチ:河野ひより
        タマ:奥野香耶
        リザ:津田美波
       アリサ:悠木碧
        ルル:早瀬莉花
       ミーア:永野愛理
        ナナ:安野希世乃
       ジーク:相葉裕樹
        サヤ:大野柚布子
       タスク:小林裕介
      ドロシー:山村響
       ローズ:藤田咲
      メイリン:佐藤亜美菜

      ドリアル:高橋伸也
     ジョジョリ:衣川里佳
      ザジウル:小林康介

       鼬人族:長野佑紀
           小若和郁那
           久地岡涼菜

      ドワーフ:浜田洋平
           松田修平

       ドハル:田中進太郎

DEATH MARCH64「観光」
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