デスマーチからはじまる異世界空我   作:naogran

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ボルエハルト市を発ったライト達。
ドワーフ製の挽肉機で作ったハンバーグが好評を呼んだ。


DEATH MARCH65「実験」

『BGM:安穏』

 

昼食後、ナナのすべすべとした背中を堪能・・・もとい、魔力供給を行った。

 

ナナ「うっ・・・っ・・・はぁ・・・」

 

ライト「喘ぐな喘ぐな。」

 

サトゥー(自重自重。)

 

 

 

 

魔力供給を終えて外に出た。

 

サトゥー(リビドー発散の食後の腹ごなしを兼ねて、妖精剣を使い熟す為の練習をするか。)

 

剣を振り上げた所で止め、魔力を篭めて振り下ろす。今度は振り下ろした姿勢で魔力を吸い上げ、軽くなった剣を素早く返す。妖精剣を使い熟す要である重量の変化を、ゆったりとした動作で確実に出来るようにして少しずつ速度を上げて行った。

 

 

 

 

先程の動作をもう何度も何度も繰り返した。

 

サトゥー(・・・30分経ったか。納得の行く動きが出来たから終わりにしよう。)

 

”パチパチパチパチ”

 

後ろから拍手の音が。

 

サトゥー(何時の間に・・・)

 

ギャラリーであるライト達の拍手の音だった。

 

ライト「かれこれ30分。よくやり切ったな。」

 

アリサ「本当〜にチーとね。自分が何していたか判ってる?」

 

サトゥー「型の練習だけど?」

 

アリサ「判ってないみたいね。普通はそんな速さで魔力を剣に注いだり出来ないのよ。序でに言うと、剣に注いだ魔力を()()()事は出来ても、もう1度吸収するなんて出来ないの。」

 

サトゥー「(そうなのか?リザの魔槍の時に出来たから、当たり前のようにしていたんだが・・・)やろうと思わないから出来ないとかじゃないのか?」

 

アリサ「そんな訳ないでしょう?そんな事がホイホイ出来るなら、魔力回復薬(マナ・ポーション)なんていらないじゃない。魔力を使って魔力を消費する度に、魔法道具(マジック・アイテム)に篭めた魔力を吸って回復とか、1人で砲台が出来るわよ。」

 

サトゥー(成る程。良い話だ。アリサに礼を・・・言葉だけじゃ悪いので。)

 

ハグして感謝の意を与えた。

 

アリサ「うは!いきなりはらめぇ〜!」

 

ジーク「お。サトゥー大胆だな。」

 

サトゥー(自分から迫る分には平気なくせに、相手から積極的に振る舞われると恥ずかしいのは相変わらずのようだ。たまには不意打ちにすると実に楽しい。)

 

ぎゅぎゅーっとアリサをハグ。

 

アリサ「ぎにゃー!うひょー!」

 

タスク「嫌がってるのか嬉しがってるのか分からねえな。」

 

ミーア「むう。」

 

剣に魔力を篭めて吸い出した時の効率チェックと、ストレージに一晩仕舞った後で、魔力を吸い出してどの程度減衰しているのか調べる事にした。

 

サトゥー(予想通りならば、何時も大量に余っている魔力の貯蔵が出来そうだ。)

 

 

 

 

出発前にボルエハルト市で買った巻物(スクロール)を全部使い、魔法欄に登録した。

 

サトゥー「ーーーーーー。」

 

『光魔法』『氷魔法』『水魔法』スキルを得た。

 

サトゥー(スキルポイントを最大まで割り振って有効化(アクティベート)しておこう。魔法欄でのテストは、日が暮れてから山奥に行ってやろう。)

 

ライト「出発だ。準備しろ。」

 

リザ「承知しました。」

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

街道の移動中は、灰色狼の群れに襲われた他は、特筆する事もなく実に平和だった。

 

サトゥー(狼肉の大量補充が出来た。)

 

タマ「お肉〜!」

 

ポチ「なのです!」

 

 

 

 

その日の夕食後、日課の詠唱練習を済ませた後、ライトとサトゥーは夜陰に紛れて空を舞う。ライトはゴウラム、サトゥーは風圧(ブロウ)を使ってパラグライダーで空を飛ぶ。

 

サトゥー「この辺りなら実験場に良さそうだ。」

 

ライト「よし、降りるか。」

 

実験場に最適な場所に着地した。

 

サトゥー「さて、魔法の実験に入ろう。」

 

最初に選んだのは『火炎炉(フォージ)』。鍛冶魔法の本によれば、『火炎炉(フォージ)』は中級の火魔法に分類されると言う。

 

サトゥー「熱に強い作業台が欲しいが・・・それなら・・・巨大隕石。」

 

ストレージから巨大隕石を出した。

 

ライト「い、隕石!?」

 

サトゥー「そう。流星雨の魔法で天から落ちて来た物だ。だから熱に強いはず。」

 

妖精剣を出して隕石を斬った。

 

ライト「おぉ!斬れた!」

 

サトゥー「聖剣で斬ったにしては、妙な抵抗を感じる。」

 

ライト「やった後に言ってもしょうがねえ言葉だな。」

 

専用台座を作り、鉄製の短剣と銅貨とミスリル鉱石を置いた。そして魔法欄から『火炎炉(フォージ)』を選択した。

 

サトゥー「火力の強さと維持時間によって、消費魔法が変わるようだ。」

 

ライト「ほえぇ〜。」

 

サトゥー「ライト、行くよ。」

 

ライト「やってくれ。」

 

サトゥー「『火炎炉(フォージ)』発動!」

 

短剣と銅貨と鉱石を焼く。徐々に温度を上げる。

 

サトゥー「金属の焼ける異臭が・・・」

 

ライト「臭いがキツイな・・・」

 

消臭(デオドラント)』を使用。

 

 

 

 

しばらくして、2人が汗を流した。

 

ライト「くっ・・・!暑い・・・!」

 

サトゥー「この体になってから気候の変化に強くなったけど・・・『火炎炉(フォージ)』の炎の傍に居ると汗が・・・」

 

発動してから10秒程で銅貨が溶け、30秒で短剣も溶けた。ミスリルの融解は3分程掛かった。

 

ライト「ふぅ・・・結構暑かったな・・・」

 

サトゥー「AR表示の炎の温度を基に、それぞれの融点をメモしておこうか。」

 

ライト「これ、皮膚がヒリヒリするな・・・」

 

サトゥー「日焼けした時のようだ・・・これ程の高温になると、普通の人には致命的かも知れないな。」

 

ライト「あの子達が巻き込まれたら一大事だな。」

 

サトゥー「使う時は周囲に気を使おう。」

 

今度は最大火力のテスト。

 

ライト「ミスリル合金の短剣を使うのか。」

 

サトゥー「あぁ。少し勿体ないけど。」

 

ミスリル合金の短剣を台座に置いた。

 

サトゥー「加減なしの全開に設定。『火炎炉(フォージ)』使用!」

 

すると、巨大な炎が周囲に広がった。

 

ライト「っ!!」

 

『光量調整』スキル使用。『火炎炉(フォージ)』停止。『風圧(ブロウ)』使用。炎が消えた。

 

ライト「はぁ・・・」

 

ゴウラムがライトを守ってくれた為、ライトは無傷。

 

サトゥー「短剣が蒸発・・・俺の体は・・・軽い火傷か。耐火性の高いヒュドラの革製の外套さえも穴が・・・」

 

『自己治療』スキルを使用。

 

ライト「かなり危険な魔法だったな。」

 

サトゥー「あぁ。にしても、我が身の事ながら気持ち悪い程の自己修復能力だ。」

 

ライト「いや、逆に心強いスキルじゃねえの?それ。」

 

サトゥー「それもそうか。」

 

服を着替える。

 

サトゥー「皆を心配させないように同じ種類の服に・・・さて。」

 

火炎炉(フォージ)』の魔法は、非戦闘用のはずだが、この常軌を逸した高温は攻撃魔法として転用可能になった。だが効果範囲は狭く、自爆攻撃になってしまう為、奥の手として大切に仕舞った。

 

サトゥー「魔族相手だと、聖なる武器が勝敗を決するし、使う機会はなさそうだけど。」

 

ライト「可哀想な『火炎炉(フォージ)』ちゃん。」

 

続けて、他の魔法も色々と実験を行った。

 

サトゥー「『風壁(エア・カーテン)』、『理力の型(マジック・モールド)』、『研磨(ポリッシュ)』、『氷結(フリーズ・ウォーター)』、『浄水(ピュア・ウォーター)』は色々と使い道が多そうだ。」

 

ライト「それと、あの子達の薬草採取に『害虫避け(バグ・ワイパー)』や『痒み止め(アンチ・イッチ)』が便利そうだな。」

 

 

 

 

そして『土壁(ウォール)』、『岩砕き(ロック・スマッシャー)』、『泥土硬化(ハード・クレイ)』は土木作業時の効率が凄い。たった3分で築城した。

 

サトゥー「インスタントラーメン並みだ。」

 

ライト「腹減ったな。」

 

一方で『集光(コンデンス)』は使い道を思い付かなかった。

 

サトゥー「『防護柵(フェンス)』は使えない事もないが、『防御壁(シェルター)』や『(シールド)』の方が便利だろう。『探知(ソナー)』はレーダーがあるしね。」

 

ライト「殆ど使い道ないなぁ。」

 

そして最後の『立方体(キューブ)』の魔法は。

 

ライト「おぉ!此奴は良いな!」

 

サトゥー「これた楽しい!」

 

空中に一辺十センチから十二メートルまでの透明な立方体を作るまほうで、大きさによって支えられる重量が違う。

 

サトゥー「何処まで上がれるんだろう?」

 

ライト「上ってみようぜ!」

 

効果時間は最長10分。普通の術者なら魔力切れで落下してしまう。

 

サトゥー(俺とライトの場合は体重を支える程度のサイズなら、魔力の自然回復量で賄えるから、何時までも作り続けられる。)

 

ライト「ん?おいサトゥー、何か来るぞ。」

 

サトゥー「ん?」

 

MAPを確認すると、何かがこっちに迫って来てる。

 

サトゥー「空中戦の練習をしてみるか。」

 

それは、甲虫兵(ソルジャー・ビートル)と言う巨大なカブトムシだった。『立体機動』スキルと、『空中機動』スキルを使用して躱した。

 

ライト「よっ!ほっ!」

 

2人が華麗に避け続ける。

 

サトゥー「我ながらゲームのキャラみたいな動きだ。」

 

ライト「ヤッホー!」

 

スキルの補助もあって、機動に合わせた『立方体(キューブ)』の最小サイズを学んだ。更に最適な動きを模索。甲虫兵(ソルジャー・ビートル)の体力が尽きる頃に、地上と遜色のない戦いが出来るようになった。

 

ライト「じゃあな〜カブトムシちゃ〜ん。」

 

サトゥー「これなら竜や魔族とも空中戦が出来そうだ。」

 

ライト「ゴウラムが使用出来ない場合とかでも役に立つな。」

 

『天駆』スキルを得た。称号『空を歩む者』、『翼なき飛行者』、『空の覇者』を得た。

 

サトゥー「天駆・・・早速『有効化(アクティベート)』してみよう。」

 

ライト「じゃあ俺も。」

 

この天駆スキルは『立方体(キューブ)』を足場にして飛ぶのとほぼ同じ効果を、より少ない魔力で実現出来るスキル。

 

ライト「おぉ!おぉ!これも良いな!」

 

サトゥー「レスポンスも早いし、毎回『立方体(キューブ)』を作る大きさや位置を意識しないで済むのが良い。」

 

魔力消費の多い『天駆』の加速時でも、魔力の自然回復速度より少し多い位なので、飛び方を工夫すれば、航続距離は幾らでも増える。

 

サトゥー「風圧や減圧に耐えられるのは俺とライトだけだからな。」

 

ライト「じゃあ誰かを連れて飛ぶ時は注意が必要だな。」

 

2人だからこそ有用に使える、珍品の数々・・・

 

 

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

魔法の実験を行った翌々日の朝。彼等は山間部を抜け、大河沿いの街道まで目前と言う場所まで辿り着いていた。

 

ルル「ご主人様、主街道との合流地点が見えてきました。」

 

タスク「ローズ、メイリン起きろ。そろそろ着くぞ。」

 

メイリン「はぁ〜い・・・」

 

ローズ「今起きるわ〜・・・」

 

リザ「ご主人様!!」

 

そこにリザが急いで戻って来た。

 

リザ「彼方をご覧下さい。林の向こうに何かいます。」

 

林の奥を見ると、巨大な帆があった。

 

タスク「船か。」

 

サトゥー「あれは船の帆だよ。林の向こうに大河があるから、そこを行き来しているんだろう。」

 

タマ「船〜?」

 

ポチ「何処なのです?」

 

サトゥー「危ないからこっちにおいで。」

 

タマ「捕虜〜?」

 

ポチ「捕まっちゃったのです。船、見たいのです。」

 

サトゥー「このまま座っていてもすぐに見えて来るよ。」

 

アリサ「そうなの?」

 

 

 

 

しばらく進むと、船が見えた。

 

サトゥー「ほら。」

 

タマ「おっき〜船〜!」

 

ポチ「船が見えたのです!」

 

タマ「お〜い!!」

 

大きく手を振ると、船に乗ってる人達も手を振ってくれた。

 

ポチ「向こうも振り返してきたのです!」

 

アリサ「よく見えるわね。向こうも獣人なのかしら?」

 

タマ「鳥〜?」

 

ポチ「鳥頭さんなのです!」

 

サトゥー(相手は鳥人属なのだろう。)

 

ライト「船・・・か。」

 

タスク「あんまり良い思い出がないな・・・」

 

ジーク「ん?どうかしたのか?」

 

ドロシー「いえ、私達以前に奴隷船で奴隷の子達を助けた事があるのよ。」

 

ローズ「商人達が卑劣で、とても胸苦しかったわ・・・」

 

メイリン「私達の前で平然と子供達を痛め付けたのよ・・・」

 

サヤ「酷いです・・・」

 

しばらくして船が去り、出発した。

 

サトゥー(さて、この辺りで少しオーユゴック公爵領の情報を再調査しよう。)

 

この領土には、全長800キロに近い長大な大河がある。大河はセーラやカリナが向かったダレガンの街を北端に、公都をはじめ4つの都市を経由して海へと続いている。そんな大河があるオーユゴック公爵領は広く、凡そ日本の本州位の面積を有している。これだけの広さがありながら、都市の数は僅か7つ。公都の人口は20万とこれまで見た都市とは桁違いの大都市。

 

サトゥー(大河沿いには無数の村があり、亜人だけの村も沢山ありそうだ。)

 

マップ検索した限りでは、魔族や転生者やユニークスキルを持つ者は存在しなかった。ただ、レベル30を超える人や魔物は多数に上った。

 

サトゥー(全てにマーカーを付けるのは面倒だから、旅程上に絡んで来そうな相手だけにしよう。)

 

魔王心棒者の『自由の翼』の構成員も公爵領全体で、300名を超える大人数だった。

 

サトゥー(基本的に都市や街中にしか居ないようだし、最寄りの都市や街に居る分にマーカーを付けよう。)

 

 

 

 

『BGM:激闘』

 

昼休憩を終えてしばらく進むと、彼等は困った来客の対応に追われていた。それは、『大針蜂(ニードル・ワスプ)』と言う蜂だった。

 

サトゥー「ポチ!タマ!囲まれないように注意しなさい!」

 

タマ「あい!」

 

ポチ「はいなのです!」

 

ライト「タスク、俺達も行くぞ。」

 

タスク「よし。」

 

タマ「ひらひら〜!」

 

避けて相手を煽らせる。

 

ポチ「とー!なのです!」

 

剣で一刀両断。

 

ライト「これでも持って行け!」

 

マジック・リボルバーで2体抜き。

 

タスク「ーーーーーファイヤー・ボール!!」

 

ファイヤー・ボールで3体を燃やした。

 

ミーア「水渦刃(スウィル・ブレード)!」

 

次々と大針蜂(ニードル・ワスプ)を討伐していく。だが残存する大針蜂(ニードル・ワスプ)がアリサとミーアを襲い始めた。

 

アリサ「うはっ!まっず!こっち来た!」

 

ミーア「ごめっ。」

 

ドロシー「トルネード!」

 

前に出たドロシーがトルネードで竜巻を起こしてバラバラにした。

 

ドロシー「大丈夫?」

 

アリサ「た、助かったわドロシー・・・」

 

ミーア「ありがと。」

 

ルル「えい!!」

 

魔法銃を連射。

 

アリサ「えい!!」

 

精神攻撃で狂わせる。

 

ローズ・メイリン「ウォーター・ウィップ!!」

 

水の鞭を振り回し、6体を叩き付けた。

 

ナナ「ミーアの保護を実行します。」

 

シールドを展開してミーアを護衛する。だが1体の大針蜂(ニードル・ワスプ)がミーアに迫る。

 

ミーア「サトゥー!ライト!」

 

アリサ「ご主人様!ライト様!へるぷー!」

 

ルル「ご、ご主人様!ライト様!」

 

ローズ「ミーアさん!!」

 

メイリン「シールド!!」

 

そこにローズとメイリンが駆け付け、シールドで防いだ。

 

ミーア「ローズ・・・メイリン・・・」

 

ローズ「大丈夫?」

 

メイリン「お怪我はありませんか?」

 

ライト「おりゃああああああ!!!」

 

そこにライトも駆け付け、飛び蹴りで大針蜂(ニードル・ワスプ)を粉々に砕いた。

 

ライト「大丈夫か?」

 

ミーア「うん・・・」

 

だがまだまだ大針蜂(ニードル・ワスプ)が迫り来る。

 

タスク「埒が明かない・・・!!」

 

サトゥー(ここからでは射線が確保出来ないから、魔法が撃てない!!短期絶弾(ショート・スタン)!!)

 

気絶魔法で大針蜂(ニードル・ワスプ)をスタンさせた。

 

サトゥー(一瞬だけヌルリとした変な感じがしたが・・・)

 

 

 

 

ようやく大針蜂(ニードル・ワスプ)を全て討伐し、タスクが魔核(コア)を抜かれた大針蜂(ニードル・ワスプ)を炎で焼却する。

 

サトゥー「お疲れ様。」

 

アリサ「ありがと!」

 

ライト「結構多かったな。彼奴等。」

 

アリサ「えぇ。でもやっぱ前衛が誰も『挑発』スキルを持ってないと、後衛が攻撃の主役(ダメージ・ディーラー)になるのは無理ね。」

 

多人数参加型のゲームの定番で、モンスターの攻撃目標(ターゲット)を盾役の重装キャラに集めるモノ。

 

サトゥー「あるのか?」

 

アリサ「こくり。」

 

ナナ「アリサ。挑発とは、どのような事が追加情報を求めます。」

 

アリサ「つまりねー・・・」

 

リザ「ご主人様、ライト様。魔核(コア)を回収して参りました。」

 

タマ「翅〜!」

 

ポチ「針なのです!」

 

タスク「こっちも焼却完了だ。」

 

ライト「ご苦労さん。」

 

サトゥー「もうすぐ大針蜂(ニードル・ワスプ)の第2陣が来るから、休憩しておきなさい。」

 

ライト「タスク。お前挑発スキルとかあったっけ?」

 

タスク「あぁ。」

 

ライト「なら丁度良い。ちょっとお願いしたいんだ。」

 

 

 

 

10分後。予告した大針蜂(ニードル・ワスプ)の第2陣が到着した。折角なのでナナと一緒に挑発スキル獲得にチャレンジしてみる。

 

ナナ「アリサ。タスク。サンプルの提供を希望します。」

 

アリサ「おっけー。」

 

タスク「思う存分学んでくれ。」

 

アリサ「このグズでノロマなハチめ!!貴様等なんぞハチミツクマさんに食われてしまえ!!」

 

大声で挑発するが、大針蜂(ニードル・ワスプ)は無反応。

 

アリサ「さ、やったんさい。」

 

ナナ「了解。このグズでノロマなハチよ!その翅は飾りかと愚弄します!」

 

だがこれも無反応。

 

タスク「何もじゃないか。俺のを見ろ。来い!!」

 

挑発スキルを発動すると、大針蜂(ニードル・ワスプ)が一斉にタスクに迫り始めた。

 

タスク「ウォーター・カッター!!」

 

水の刃で斬り裂いた。

 

サトゥー「今度は俺も。来い!!」

 

挑発スキル発動。大針蜂(ニードル・ワスプ)の残存がサトゥーに迫り始めた。

 

サトゥー「短期絶弾(ショート・スタン)!!」

 

大針蜂(ニードル・ワスプ)が陥落した。

 

アリサ「ああっ!経験値が・・・!」

 

タマ「けいけち〜?」

 

ポチ「ケイケンチなのです?」

 

サトゥー「アリサ安心しろ。大針蜂(ニードル・ワスプ)をここまで追い掛けて来た奴が来るぞ。」

 

大河から鎧井守(ハード・ニュート)の大群が現れた。レベルは25。強酸攻撃を有している。

 

サトゥー(アリサ達を正面から戦わせる気はない!)

 

ライト「タスク!」

 

タスク「おう!」

 

サトゥー「来い!!」

 

タスク「こっちだ!!」

 

2人が挑発スキルを発動した。

 

サトゥー「皆!全部のイモリに一撃入れろ!絶対近寄らず、遠くから攻撃するのを徹底しろ!!」

 

パワーレベリングと言う言葉を体現するような戦闘により・・・子供達は2から4もアップした。ミーアは11。ポチとタマは16もレベルアップした。皆色々な新スキルを覚えたが、特筆すべきはリザの『魔刃』とナナの『挑発』。だが元のレベルが低かった子達はレベルアップ酔いが始まってしまい、今日の野営は急遽この場で行う事が決まった。

 

 

 

 

『BGM:安穏』

 

夕方まで時間があるので、鎧井守(ハード・ニュート)の解体が終わった後は自由時間にした。ルルとミーアとナナは睡眠。リザは魔刃の練習。ポチとタマは川原で採取。タスクとジークは魔法の練習。サヤとドロシーとローズとメイリンは景色を眺めている。

 

アリサ「ボルエハルト市で手に入れた魔道書よ。」

 

読書しているアリサ。

 

ライト「いやぁ〜、気持ち良い風だぁ〜。」

 

一方ライトはゴウラムに乗って空を飛び回ってる。

 

サトゥー(俺は久々にものづくりをしようか。)

 

予備の仮面や新色のカツラは移動中の手慰みで色々作ったが、手間の掛かる魔法道具(マジック・アイテム)や武器はご無沙汰になってしまったのだ。

 

 

 

 

防火用の土壁を張り、鋳造してみる。

 

サトゥー(新しい魔法も手に入った事だし、鋳造で遊んでみよう。)

 

1時間程で色々作った。銀杯と銀の小瓶。更に真鍮のアクセサリーも無数に作成した。

 

 

 

 

ライトのクウガのリング。

タスクのアギトのリング。

ナナのヒヨコのイヤリング。

ポチとタマの犬と猫のワッペン。

ミーアのウサギのヘアピン。

アリサとリザとルルの花のカフス。

サヤとドロシーとローズとメイリンの星のブローチ。

ジークの太陽のブレスレット。

 

これは全て錬成で銀メッキを施してある。

 

 

 

 

まだ時間があったので、聖なる武器も作る事にした。

 

サトゥー「さて、材料は何を使うか・・・」

 

前に聖矢の時に使った黒曜石の手持ちがなかったので、隕石の作業台を作った時の端材を流用する事にした。端材の加工には聖剣を使う。何時もの聖剣エクスカリバーは魔力充填実験に使っているので、今回は聖剣デュランダルを使用。因みに聖剣は他にも2本。魔剣が2本に聖槍も1本。ストレージに眠っている。

 

サトゥー「竜の谷の時で・・・」

 

端材から鉄や穂先を作り、魔法回路(サーキット)用の溝を掘る工具も作る。余った欠片は礫にした。それらに回路用の溝を作る。

 

サトゥー(終わったら青液(ブルー)の作成に入ろう。前のはもう使い切ったし。)

 

完成した青液(ブルー)を小瓶に注いでストレージに収納。さっき作った銀の小瓶5本分。後は鉄や穂先に青液(ブルー)を流し込んで魔法回路(サーキット)を仕上げる。

 

 

 

 

こうして聖矢10本と、聖短槍3本が完成した。

 

サトゥー(聖剣を使いながら弓を構えられないから、その欠点を補助する為に片手で使える聖短槍を用意してみた。)

 

アリサ「ご主人様!ルル達が目覚めたわよ!」

 

 

 

 

なお、アクセサリーはとても好評だった。

 

 

 

 

夕食後の片付けはリザ達に任せて、ライトとサトゥーは兼ねてからの念願を果たすべく木立の中に居た。

 

サトゥー「よし。こんな感じで良いだろう。ライト。皆を呼んでくれ。」

 

ライト「いよっしゃ!」

 

 

 

 

早速皆を呼びに行った。

 

ライト「おーい皆!風呂出来たぞ!」

 

タスク「風呂だと!?」

 

ジーク「何!?」

 

因みにルルとナナは風呂を知らなかった。ライトが簡単に説明した。

 

 

 

 

 

 

現場へ連れて行くと、風呂場が用意されてあった。

 

土壁(ウォール)落とし穴(ピット)で作り、泥土硬化(ハード・クレイ)で固めた浴槽。

 

ストレージで大河の水を確保し、浄水(ピュア・ウォーター)で綺麗な水に変えた。

 

泥土硬化(ハード・クレイ)で作った洗い場スペース。

 

火炎炉(フォージ)でお湯を沸かす。

 

アリサ「くう!少年との混浴!あぁ、これまでの苦労が報われるようだわ!」

 

サトゥー「風呂は男女別だよ。俺達のは少し離れた場所に。」

 

アリサ「な、何だとぉー!これだから草食系は!!ここはイチャラブ温泉回でしょう!!」

 

ライト「いや、そもそも温泉じゃねぇよ。」

 

ナナ「マスター。背中を流す任務に志願します。」

 

ミーア「ダメ。」

 

ルル「そう。ダメです。」

 

リザ「久し振りのお風呂ですね!()()ご主人様のお背中をお流しします!」

 

アリサ「?」

 

ジーク「ドロシー。ローズ。メイリン。サヤを頼むぜ。」

 

ドロシー「えぇ。」

 

ローズ「うん。」

 

メイリン「お任せ下さい!」

 

タマ「背中〜!」

 

ポチ「流すのです!」

 

サトゥー「俺は大丈夫だから。」

 

何とか皆を浴場に行かせた。

 

 

 

 

男子用を満喫していたのだが。

 

サトゥー「ふぅ・・・染み渡るようだぁ〜・・・」

 

ライト「あぁ〜。気持ちの良い湯加減だぁ〜・・・」

 

タスク「日頃の疲れが癒されるぅ〜・・・」

 

ジーク「やっぱり風呂は至高だなぁ〜・・・」

 

そこにミーアが乱入した。

 

サトゥー「エルフの里にもお風呂があるのか?」

 

ミーア「共同。」

 

更に襲撃斑第2陣も到着。

 

タマ「一緒〜!」

 

ポチ「入るのです!」

 

タスク「狭い・・・」

 

アリサ「ちょっと3人共!抜け駆け禁止よ!!」

 

他の女性陣もやって来た。

 

アリサ「ご主人様は向こうの大浴場で一緒に入るべきだと思うの!」

 

満場一致の女性陣。そんな訳で・・・

 

 

 

 

混浴と言う形で大浴場で満喫する事にした。

 

サトゥー(やっぱり風呂は広い方が良い〜・・・)

 

ジーク「サヤ、どうだ?」

 

サヤ「とても気持ち良いです〜・・・」

 

メイリン「ジークさん、私がじっくりサヤさんを洗ってあげますからね!」

 

ジーク「程々にな〜。」

 

タスク「混浴に入ったのは1年振りだなぁ〜。」

 

ライト「確かに。」

 

ドロシー「本当ね。」

 

ローズ「癒される〜。」

 

アリサ「くそぅ、明かりが・・・明かりが足りないわ。やっぱり覚えるのは光魔法にするべきかしら?」

 

サトゥー(残念ながら、湯着代わりのものを穿いている。)

 

男性陣は真新しいトランクスを着用している。

 

ルル「さ・・・鎖骨の曲線が・・・」

 

サトゥー「・・・・ん?」

 

ポチとタマとミーアがサトゥーに寄り添った。ルルはその順番待ち。

 

サヤ「兄さん・・・寄り添って良いですか・・・?」

 

ジーク「あぁ。おいで。」

 

ライト「本当、ジークとシアは仲良いな。」

 

タスク「まぁ兄妹だからな。」

 

ナナ「マスター!大変な事を発見しました!確認を要請します!」

 

ライト「どうした?」

 

ナナ「オッパイは水に浮くのです!しかも軽くて、何か可愛いのです!」

 

湯着を脱いで確認させようとする。

 

ルル「ナナさん!ダメです!」

 

ミーア「えっち!」

 

サトゥー「・・・・」

 

ライト・タスク・ジーク「・・・・」

 

こんな感じでゆったりと、時に姦しくお風呂タイムは過ぎて行った。

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

タマ「おはよ〜!」

 

ポチ「なのです!」

 

サトゥー「おはよう。」

 

ライト「あぁ〜、良く寝た。」

 

タスク「ん?」

 

大浴場を眺めてるリザを見た。

 

 

 

 

冷えたお風呂を沸かし直してやったら、朝風呂に入っていた。

 

サトゥー(相変わらずリザはお風呂好きのようだ。)

 

 

 

『ツヅク』




         キャスト

       ライト:山崎大輝

      サトゥー:堀江瞬
        ポチ:河野ひより
        タマ:奥野香耶
        リザ:津田美波
       アリサ:悠木碧
        ルル:早瀬莉花
       ミーア:永野愛理
        ナナ:安野希世乃
       ジーク:相葉裕樹
        サヤ:大野柚布子
       タスク:小林裕介
      ドロシー:山村響
       ローズ:藤田咲
      メイリン:佐藤亜美菜

DEATH MARCH66「一族」

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