そして、全身と心を癒す風呂を思う存分満喫した。
DEATH MARCH66「一族」
『BGM:懊悩』
グルリアン市まで後半日程の場所にある街道との交差地点で、ライトたちは旧知の騎士と再会していた。旧知の騎士に水を飲ませた。
騎士「ペ・・・ペンドラゴン卿!頼む!馬を貸してくれ!」
この騎士は、以前ムーノ市で出会った若き神殿騎士のヒースだった。
ライト「ヒース、何があったんだ?」
ヒース「実は、神託の巫女が・・・盗賊共に拉致されたと太守に報告せねばならないのだ・・・」
サトゥー(何と!?)
ライト(セーラが!?)
早速マップ検索をした所、彼女は無事にグルリアン市に居る事が判った。
ライト(どうやら別人みたいだ。)
サトゥー「では、この馬をお使い下さい。」
ヒース「っ!・・・感謝する!」
すぐに馬に乗り、太守に報告へ向かった。
アリサ「ねぇご主人様。ライト様。この盗賊はどうすの?」
既に何人もの盗賊がノックアウトされていた。この盗賊たちは神殿騎士を追っていた連中。事前にレーダーで追跡劇を察知していたライトたちは、神殿騎士との合流予想地点で、準備万端の状態で応戦を行い、盗賊達を一網打尽にしたのだ。盗賊の癖にやたらと装備が充実しており、軍用
サトゥー「さっきの騎士が援軍を連れて戻って来るだろうから、後始末は彼等に任せよう。」
盗賊のアジトから神託の巫女を救出する行動に移った。アジトの盗賊は10人。男が3人。女が7人。拉致された人物は男性が4人に、女性が3人。拉致された女性3人の中には、セーラの護衛をしていた女性神殿騎士イーナが入っていた。さっきの神殿騎士ヒースと一緒に神託の巫女を護衛する任務に就いていたのだろう。流石にライトとサトゥーの2人だけで行こうとしたのだが、要救助者が多かった。
サトゥー「何人か連れて行こう。盗賊のアジトから被害者を救出に向かう。アリサとリザ、それからタマは俺と一緒に来てくれ。」
ライト「タスクとジーク、ドロシーも俺達と行動してくれ。」
ナナ「マスター。行動許可を。」
ポチ「ポチはいらない子なのです?」
ミーア「むぅ。行く。」
サトゥー「3人はここでルルと馬車を守っていて欲しいんだ。」
ミーア「むぅ・・・」
ナナ「マスターの拠点防衛命令を受託。」
ルル「1人だと不安だな〜。強い剣士様や魔法使い様が守ってくれないかな〜?」
ポチ「ポチが守るのです!も、勿論ギーやダリー!それにニューとビーも守るのです!勿論ザードやドナやメルだって守るのですよ!!」
ライト(ルル、良い演技力だったな。)
ローズ「私達もあの子達と同じかな?」
メイリン「ライトさん、私達も馬車の護衛ですか?」
ライト「そうだ。お前達もここを守っててくれ。」
ローズ「分かったわ。」
ジーク「サヤ、ここを頼んだぞ。」
サヤ「はい!兄さんもお気を付けて。」
サトゥー「ミーアも頼むよ。」
ミーア「・・・ん。判った。」
ギュッとサトゥーをハグした。
アリサ「あーー!!」
タスク「よし、そろそろ行くぞ。ドロシー。」
ドロシー「えぇ。」
2人が馬のドナに跨る。
ジーク「よっと。」
馬のメルに乗る。
ライト「準備OKか。行くぞ!」
盗賊達を隔離した後、彼等は盗賊のアジトがある山へと向かった。
『BGM:不安』
山にある盗賊のアジト。
盗賊A「首尾はどうだ?」
盗賊B「メスガキ2匹と、ショボイ積荷だけだ。御者はメスガキを捨てて山に逃げたんで、血の気の多い若いのが追い掛けて行っちまったよ。」
盗賊A「お頭から『生かして連れて来い』って言われてるのを忘れてなきゃいいがな。」
盗賊B「ま、無理だろう。それに、生かして連れて来ても、お頭がいびり殺しちまうんだから一緒さ。」
ライトとサトゥーがアリサ達4人を待つよう指示し、タスクとジークと一緒にこっそり近付く。
盗賊C「全くだ。あの妙な花瓶を貰ってから、お頭のイカレ度が酷くなっているからな。」
盗賊A「紫ローブの連中から武器や火杖と一緒に貰ったあれか。」
盗賊B「やっぱり呪われた品なのかね・・・」
ライト「おりゃああああああ!!!!」
そこに現れたライト達が肉弾戦で盗賊達を蹴散らした。
盗賊A「ッ!!」
警笛を吹こうとしたが。
アリサ(警笛!吹かせない!!
お得意の精神魔法で気絶させた。
盗賊達「このオッ!!!」
タスク・ジーク「させるか!!」
高速で他の盗賊達に大打撃を与えて気絶させた。そして、拉致された者が入ってる袋を救出。
サトゥー「拘束を!」
リザ「はい!」
タマ「あい!」
ドロシー「観念しなさい!」
タスク「大丈夫か?怪我ないか?」
少女A「え?助かったの?」
少女B「お姉ぇちゃああん!!」
救出された妹が、先程の姉に抱き付いた。
ジーク「全員無事みたいだな。」
ドロシー「えぇ。」
サトゥー「アリサ。2人のケアを頼む。俺とライトとタスクが洞窟を偵察して来るから、リザとタマとジークとドロシーは外から戻って来る盗賊を警戒していてくれ。」
ドロシー「分かったわ。」
ライト「行くぞ。」
タスク「おう。」
3人はアジトの洞窟に潜入した。1番奥の広い部屋に拉致された人達が集められ、盗賊の頭目と副頭目の女と一緒に居るようだ。
サトゥー(出発した時と比較して、拉致された人達の数が減っている。男性3名が盗賊の手に掛かって殺されたようだ。)
だがそこに2人の女盗賊と出会してしまった。だがすぐにライトとタスクが気絶させた。
ライト「悪く思うなよ。」
タスク「お前達から拉致被害者を返して貰うだけだ。」
サトゥー「急がねば。」
アジトの1番奥まで来た。
イーナ「くっ・・・!!殺せ!!」
神殿騎士のイーナが両手を縛られ、盗賊達から蜂の死骸で拷問を受けていた。その周囲には他の盗賊と、牢屋には拉致された被害者達の姿があった。
サトゥー(罠もないみたいだし、サクサク終わらせよう。)
ライト(・・・タスク、久々に行くか?)
タスク(あぁ。彼奴らに現実を見せてやる。)
頭目「そんなに早く観念されちゃ楽しくないぜ!もっと激しく嫌がれよ!!」
イーナ「や、止めろ!それを近付けるな!!」
頭目「この蜂に刺された奴はどうなるかな?」
ライト(サトゥー、頼む。)
サトゥー(あぁ。)
小さな石を力強く投げた。
その石が、
頭目「何モンだ!!!!!」
そこにライトとタスクが現れた。
頭目「何だ貴様ら!!!!」
イーナ「・・・!!ムーノ男爵領の・・!!」
ライト「彼女を離せ!」
タスク「今度は俺達がお前達を拷問する!」
2人は密かにライトが作った棒状の
頭目「巫山戯んな!!お前等殺せ!!!」
ライト・タスク「ハァッ!!」
ストームロッドを振り回して、襲って来る盗賊達を一網打尽にした。
頭目「テメェ等!!!」
ライト・タスク「そこで寝てろ!!」
頭目「ガァッ!!」
盗賊全員を気絶させた。
イーナ「・・・・」
そこにサトゥーが駆け付け、半裸状態のイーナに毛布を着せた。
イーナ「き、貴公は確かムーノ男爵領の・・・」
タスク「フッ!!」
剣でイーナを縛ってる鎖を斬った。
サトゥー「これで汚れを。」
タスク「今回復させる。」
回復魔法でイーナを癒した。
イーナ「感謝する。ペンドラゴン卿。タスク殿。それにしても、どうしてここへ?」
サトゥー「若い神殿騎士を追って来た盗賊を締め上げたら、教えてくれたのですよ。」
ライト「そこの皆!助けに来たぞ!今救出するから待っててくれ!」
拉致被害者達が喜んだ。
サトゥー(鉄格子の鍵・・・壁際の机の上か。)
イーナ「若い神殿騎士?ではヒースも一緒なのですか?」
タスク「いや、彼はグルリアン市まで応援を呼びに行ってる最中だ。」
ライト「な、何だこれ?」
サトゥー「ん?どうした?」
ライト「この壺だ。」
机の上に置いてあったのは、悍ましい顔が描かれた瓶だった。
タスク「呪怨瓶!?何でここに?」
サトゥー(これは・・・『黄金の陛下』とやらの復活に必要だと言っていた
ライト「知ってるのか?」
タスク「聞いた事がある。怨念や負の感情を集める為の危険な
サトゥー(さっさとストレージに没収。)
呪怨瓶をストレージに収納。
ライト「鍵あったぞ。」
牢屋の鍵で、拉致被害者達を救出。
サトゥー「もう大丈夫ですよ。」
女性「あ、ありがとうございます!」
その女性の後ろに、大怪我を負った男性が。
タスク「酷い怪我だな。大丈夫か?」
女性「私達を守ろうとして盗賊に殴られて・・・」
男性「娘や妻を守るのは当たり前だろ?」
サトゥー(公都の上級貴族の一員のようだ。恐らく、身代金目当てで生かされていたのだろう。)
ストレージバッグからポーションを出した。
サトゥー「これを。」
男性「これはポーションかい?悪いね。」
ポーションを飲み、傷が一気に回復した。
男性「凄い!良い薬だね。もう治ったよ!私はトルマと言うんだ。こっちは妻のハユナと娘のマユナ。公都に来たら、シーメン子爵家に寄ってくれよ。シーメン家の名に賭けて、君達を歓迎させて貰うよ。」
サトゥー「子爵家の方でしたか。」
タスク「シーメン家。確か公都で
そしてこの娘のマユナが、神託の巫女。
マユナ「うぁう。」
3人も自己紹介を返した。
トルマ「ムーノ男爵領の家臣?はとこ殿の所に貴族の家臣が居るなんて初めて聞いたよ。はとこ殿は壮健かい?」
彼とムーノ男爵は親族関係らしい。
サトゥー(ムーノ男爵も元は公都の出身だと言っていたな。)
ハユナ「きゃああああ!!」
ライト・サトゥー・タスク「!?」
突然ハユナが悲鳴をあげた。その理由は、イーナが盗賊の首を斬った光景を見たからだった。
サトゥー(盗賊への復讐か・・・無抵抗の者を殺すのはどうかと思うが、広間に積まれた遺体の山に合流寸前だった女性騎士からしたら当然の復讐だっただろう。)
ライト「残酷な有様だな・・・」
タスク「あぁ・・・」
イーナ「・・・何だ?騎士道に反すると言いたいのか?」
ライト「いや、盗賊を殺すなとは言わない。だが、人前で無闇に殺生するのは控えてくれ。誰かにトラウマが芽生えてしまうからな。」
イーナ「判った。次からは配慮する。」
サトゥー(全く。グロいのは勘弁して欲しい。)
『BGM:休息』
救出した人達を地上のリザ達と合流させ、生き残りの女盗賊や戦利品を回収。そして移動手段の確保を済ませて、皆の待つ場所へと戻る事にした。
走竜と鈍歩竜を確保した。
リザ「ご主人様、この走竜は素晴らしいですね。実に機敏に動きます。」
タマ「くいっくたーんも思いのまま〜にゃん!」
ライト(ま〜たアリサが変な語尾を提案しやがったな?)
サトゥー「そうだ。トルマ卿。回収した戦利品の中に・・・」
ミスリル製の短剣を出した。
トルマ「おお!これは我が家の家紋入りの短剣!」
サトゥー「やはりトルマ卿の物でしたか。」
トルマ「実にありがたい!これで実家に帰った時に兄上に面目が立つ。本当に感謝するペンドラゴン卿!」
サトゥー「サトゥーで結構ですよ。」
トルマ「ではサトゥー殿!この礼は公都で必ず!当主の兄上と違って手元不如意だけどさ。これでも社交界じゃちょっとした顔だからね。きっと君の役に立てると思うよ。」
社交デビューしたい訳でもないが、トルマから道中にでも公都の話を聞かせて欲しいとお願いした。到着までの間に
トルマ「そうだ。
バッグから1枚の
トルマ「この『
サトゥー「戴いて宜しいのですか?」
トルマ「短剣の対価には全く届かないけど、喜んでくれるなら幸いだ。」
ルル達の待つ馬車の合流後、応援を連れた神殿騎士ヒースが戻って来た。
ヒース「無事だったか。」
イーナ「心配掛けた。」
神殿騎士ヒースが連れて来た太守の騎士と従士は合計30名。その内24名が盗賊の残党狩りをする為に山道へと分け入って行った。
ライト「じゃあ後は宜しく頼むぞ。」
リーダー「はっ!盗賊共の護送はお任せ下さい!」
彼をとする合計6名の騎士と従士が、捕縛した盗賊達の運搬を担当してくれている。
ポチ「ご主人様!リザに譲って貰ったのです!」
走竜を譲って貰った。
ルル「ご主人様。アリサや他の方達は馬車に乗り込まれています。」
サトゥー「判った。」
タスク「ライト。皆も馬車に乗ったぞ。」
ライト「OK。」
サトゥー「ルル、発進してくれ。」
ルル「はい。ご主人様。」
ライト「タスク。」
タスク「おう。」
馬車が出発した。
姉「こんな良い馬車乗るの初めて!」
妹「うん!ふわふわしてる!」
アリサ「いいでしょ〜!最近ようやく柔らかくなった椅子なのよ!」
トルマ「いや〜、本当に乗り心地が良い馬車だね。我が家の馬車と変わらないよ。」
サトゥー「満足戴けて光栄です。」
トルマ「相当高かったんじゃないか?」
ハユナ「ちょっとトルマ。」
するとマユナが泣き出した。今空腹の状態。
そのままグルリアン市まで夜を徹して走り抜けるのかと思っていたのだが、神殿騎士2人の勧めで途中の村に泊まる事になった。
イーナ「夜の街道には大河から魔物が這い上がって来て・・・」
トルマ「やー。こんな大人数でいきなり押し掛けて悪かったねぇ。」
村長「い、いえ。そのような事はございません。このような場所で申し訳ありませんが・・・」
トルマ「集会場かい?」
村長「はい。皆様を歓待出来る広さのある部屋がここしかございませんです。」
集会場では、女性達がテーブルにクロスを敷いている。
『BGM:安穏』
しばらくして夕食が到着した。
妹「わ〜!ご馳走だよお姉ちゃん!」
姉「お、お祭りみたいだね・・・!」
サトゥー(俺やライトやルルやミーアには丁度の量だが、他の子達には少し足りないかも知れない。)
姉「ちょ。サトゥーさん。」
サトゥー「何だい?」
姉「私達、こんなご馳走の代金払えないよ。」
サトゥー「心配しなくて良いよ。俺達の奢りだから安心して食べなさい。」
ライト「思う存分食ってくれ。腹いっぱいになるまで。」
姉「う、うん。」
村長「粗末な食事でまことに・・・」
トルマ「たまには貧乏そうな食事でも構わないよ。食えればそれで良いさ。」
ハユナ「トルマ!食事を作ってくれた人達に失礼よ!」
サトゥー「同行者が失礼しました。皆さんの心尽くしはありがたく頂戴させて戴きます。」
村長「も、勿体無いお言葉で。」
気のせいか村長は、公都の上級貴族がサトゥーだと勘違いしている気がする。彼の服装は仕立ての良いローブで、トルマとハユナは普通の貴族の服装。
トルマ「さぁ、戴こう!」
全員「いただきます!」
皆が夕食を食べる。だがそんな中、ポチとタマが悲しそうな表情をして、椅子から立って食べ掛けの料理を持って行った。
サトゥー(どうしたんだろう?)
2人はハユナの前に立った。
タマ「ご飯分ける〜?」
ポチ「半分あげるのです。」
ハユナ「え・・・?」
トルマ「おいおい。幾ら食事の量が足りなくても、亜人奴隷の残飯なんか食える訳ないだろう?」
ハユナ「トルマ!口を開く前に相手の事を考えなさいと何時も言ってるでしょう!」
彼女のビンタがトルマを引っ叩いた。
この国には厳格な身分差があるから、トルマなら当然の反応なのかも知れない。だが2人の善意を罵声で塗りつぶすのは承服出来ないサトゥーであった。
サトゥー(もうトルマ氏とか言ってやらない。)
そこでライトとジークがポチとタマに寄る。
ライト「おいおい、どうしたんだ?」
ジーク「困り事か?」
タマ「沢山食べないと、赤ん坊死ぬ〜?」
ポチ「オッパイがないと赤ん坊が泣くのです。」
リザ「ライト様。ジーク様。以前の持ち主の所に居た時に、赤子を連れた豹頭族の女が居た事があるのです。食事が少なかったせいか、母乳が出なくて赤子が餓死し掛けました。その時に亜人奴隷達で協力して食事を半分ずつ分けていたのを2人は覚えていたのでしょう。」
ジーク「そうか。ポチとタマは優しいな。」
ライト「けど心配しなくても大丈夫だ。それは2人が食べなさい。」
ハユナ「心配してくれてありがとう。」
トルマ「酒の1つも出ないのか。」
夕食後。
ハユナ「さっきはウチの亭主がごめんなさい。」
トルマ「痛たた!ハユナ!反省したから耳を引っ張るのは止めてくれ!」
ハユナ「ダメですよ。この子達に謝るまで許してあげません。」
トルマ「サトゥー殿。ライト殿。君達の奴隷の厚意を無にしてしまってすまない。」
ハユナ「謝る相手が違うでしょ?」
トルマ「いや、貴族同士の時はこれで合っているんだよ。それにさっきも言ったじゃないか。亜人奴隷は不潔にしている者が多いんだ。食事を共有して変な病気を貰ったら危ないんだよ。母親の君が病気になったら、マユナにだって
サトゥー(成る程。雑菌への抵抗力が低い赤ん坊への配慮だったのか。)
ライト(言い方が酷かったけど、家族想いの良い大黒柱じゃないか。)
サトゥー「お2人共。喧嘩はお止め下さい。トルマ殿の謝罪を受け入れます。この件に関してはここまでに致しましょう。」
トルマ「そうかい?そう言ってくれるとありがたい。」
ハユナ「全くもう・・・」
サトゥー(彼とはグルリアン市までの付き合いだ。
『BGM:安穏』
翌日。馬車内にて。
妹「グルリアン市に着いたら、銘菓グルリアンを食べなきゃダメだよ!1個で大銅貨1枚するから、そう簡単に食べられないけどね。」
サトゥー「どんなお菓子なんだい?」
妹「えっとね〜。白い粒々で作った本体に、黒くて甘い粒々で作った皮が付いてるの。」
リザ「ご主人様。グルリアン市の城壁が見えて来ました。」
姉「アンタは食べた事ないでしょ。」
ペシッと妹にツッコミを入れた。
姉「村に来た商人さんが大袈裟に自慢していたので、この子も食べた気になっているんですよ。」
妹「ふ〜んだ。奉公先でお給金が貰えるようになったら真っ先に食べるんだ〜。」
姉「お給金って・・・そんなの何年も先じゃない。」
この姉妹は商家に奉公する為にグルリアン市に向かっていたらしい。一人前になるまで衣食住が保障される代わりに給金などは出ない。
グルリアン市の正門前は入市待ちの列が出来ていたが、ライト達は神殿騎士の先導で列の横を抜けた。
騎士「グルリアン市を訪れた商人達よ!我等は魔剣を欲している!魔剣を提供した者には、将来御用商人として引き立てると約束しよう!」
数人の騎士が魔剣の提供を願っている。
妹「ねぇねぇ。あの貴族様に魔剣を提供したら御用商人にしてくれるんだって!凄いねお姉ちゃん!」
姉「本当ね。でも魔剣なんて縁が内から関係ないよ。」
アリサ「アンタ達。そんなんで町で騙されるんじゃないわよ?いい?あれはね・・・『俺達は金が無い。』『だが魔剣が欲しい。タダでくれ。』『その代わりもし将来出世したら贔屓にしてやる。』『出世出来なくても文句言うな。』・・・って言う自分達の都合の良い与太話よ。」
妹「うわ〜!そうなんだ!判らなかったよ・・・」
姉「アリサちゃん小さいのに頭良いのね!」
騎士「魔槍・・・」
リザの持ってる魔槍ドウマを欲しているが、リザはお構いなしにスルー。同じく神殿騎士達もスルー。
門を入った所で村人姉妹を降ろした。ライトはビートチェイサー2000を降りた。平民には入市手続きが必要。
『BGM:平穏』
神殿騎士ヒースと門衛が顔見知りだったらしく、村人姉妹の入市手続きはすぐに終わり、その門衛が奉公先まで送ってくれると言う話になった。
妹「サトゥーさん。ライトさん。ありがとね〜。」
姉「本当にありがとう。盗賊達から助け出して貰った上に色々とお世話になっちゃって・・・」
サトゥー「気にしなくていいよ。」
ライト「当然の事をしたまでだ。」
姉「そうはいかないよ。『緑屋』って言う食物問屋で奉公だからさ、何か入り用になったら来てよ。」
ライト「そうか。じゃあ次の機会で寄ろうかな。」
こうして村人姉妹と別れた。
神殿騎士ヒースに一足先にテニオン神殿へと伝令に向かって貰い、馬車は人が多い大通りをゆっくり進む。ライトはタスクの馬車に乗ってる。
タスク「へぇ〜。賑わっているな。」
ドロシー「活気で溢れてるわね。」
サトゥー(今の内にマップで再検索。)
魔族や
サトゥー(構成員の名前と居場所を書いた紙を、夜陰に紛れて衛兵詰め所に投函しておこう。)
タマ「ご主人様〜!チャンバラしてる〜!」
ポチ「あっちで大人の人が戦っているのです!」
ライト「チャンバラ?」
タスク「ルル。」
ルル「ご主人様。タスク様。彼処です。」
野次馬が集まってる場所を指差した。
サトゥー「何だろう?人垣が出来ているけど、試合かな?」
アリサ「ジョジョリさんが言っていた武術大会じゃない?」
サトゥー(そう言えば公都で大会が開かれるって言っていたっけ。)
トルマ「多分一次予選への参加権を賭けた予備選だよ。見学して行かないか?」
ライト・タスク・サトゥー(何時の間に降りた?)
イーナ「トルマ卿。まずテニオン神殿に参りませんと。」
トルマ「固い事言うなよ。ちょっと出店で美味い物摘んだら行くさ。」
そう言ったトルマが人混みの奥へ行ってしまった。
ハユナ「ごめんなさい。トルマは何時もあぁなの。」
イーナ「・・・ペンドラゴン卿。アイラ卿。すみませんがトルマ卿を連れ戻す為に配下の方を貸して貰えませんか?」
サトゥー「えぇ。構いませんよ。」
彼女の警護対象は『神託の巫女』であるマユナのみで、ここを離れる訳にはいかない。
ライト「ジーク、すまないが頼めるか?」
ジーク「分かった。すぐに連れ戻す。」
彼の回収をリザとナナとジークに頼んだ。
リザ「行って参ります。」
しばらく進むと。
タマ「甘い匂い〜!」
ポチ「蜜菓子とも甘草とも違う匂いなのです!」
ライト「ん?甘い匂いがするな。」
タスク「本当だ。
サトゥー(和菓子と言うか餡の匂いだ。)
アリサ「良い匂い!和菓子かな?かな?」
女給「そこの皆様。銘菓グルリアンは如何ですか?」
1人の女給が、黒い菓子が入ったカゴを持って来た。
サトゥー「それじゃ11個貰うよ。」
ライト「こっちは7個貰おうか。」
女給「まいど!大銅貨18枚です。」
銘菓グルリアンを1個ずつ配った。
ミーア「むぅ。黒いブツブツ。」
1人警戒しているミーア。
サトゥー「穀物や豆で作った甘いお菓子だよ。」
恐る恐る口に入れると。
ミーア「美味し。」
アリサ「もうちょっと砂糖が多くても良いかな?」
メイリン「凄く美味しいです!」
ローズ「本当!私も食べるの初めて!」
ドロシー「これ・・・私も好きかも・・・」
タスク「レシピがあったら作れそうだ。」
サヤ「ん〜!とっても甘いです〜!」
アリサ「これはアレね。」
サトゥー「うむ。アレだ。」
ライト「・・・この味、まさしくアレか。」
そう。御萩である。粒状のままもち米の団子。そして粒餡。名前はその名の通り
アリサ「やっぱりさ、この都市の名前って。」
サトゥー「駄洒落なんだろうな。」
ライト「洒落てんのか洒落てねぇのか。」
命名した奴が駄洒落好きの日本人なのは確定。
サトゥー「(御萩を食べ終わってもリザとナナとジークと
ライト「俺も行って来る。」
タスク「ジークが心配だ。」
武術大会予備選へ見学。
男「予備選の参加証が欲しい奴はここだ!役場まで行かなくても、この出張所で銅貨3枚で販売しているぞ!」
サトゥー(どうやらあのバッジを賭けて試合をしているようだ。)
レフェリー「勝者!『ワルト村の狼』トン!」
男A「凄ーよトン!後3枚で一次予選に出場だぜ!」
トン「へっ!これ位余裕だぜ!」
男B「トンなら一次予選を4回勝ち抜いて公都の二次予選まで行けるぜ!」
サトゥー(野試合で9勝利したら大会の一次予選に参加出来るらしい。)
男C「そこまで行けたら騎士様にだってなれるじゃないか!」
男A「グルリアン市の一次予選枠は後4つだから余裕だな!」
男B「油断は禁物だぜ?去年も残り3枠からは1日で決まっていたからな。」
トン「あぁ。休んでられねぇ!次の挑戦者は居ないか!」
ライト「活気で溢れてるなぁあの男。」
タスク「常に熱血を溢れ出してるな。」
サトゥー(居た。リザとナナとジークだ。)
向こうにリザとナナとジークの姿があった。
タスク「あれ?」
ライト「何か様子が可笑しいぞ。」
タマ「あれれ〜?」
ポチ「リザが苛められているのです!」
『BGM:懊悩』
5人の男達に絡まれてる3人に近付く。
ナナ「マスター!」
ジーク「ライト!タスク!」
ナナ「助力を要請します!」
ジーク「彼奴等、聞く耳を持ってねぇんだ。」
ライト「何だと?おい。」
サトゥー「うん。」
男「何だアンタは?」
サトゥー「この2人の保護者さ。」
ライト「そして俺達の仲間だ。」
タスク「俺達の仲間に手を出すとは、一体何をしたって言うんだ?」
この若者達はグルリアン市在住の貴族子弟で、5人共所属が空欄。恐らく全員が無位無官。有り体に言って無職。
ホラン「そ、その亜人の持つ魔槍を譲れと命じたのに、言う事を聞かんのだ!」
男の名はホラン。レベル4。槍スキルを持っている。
貴族A「その魔槍は槍の名手たるホランにこそ相応しいと言うのに。」
貴族B「貴様が主人なら、ホラン殿に献上するように命ずるのだ!」
要は、リザの魔槍が欲しいからくれと言う実に馬鹿馬鹿しい言い分だった。
サトゥー(よく臆面もなく馬鹿馬鹿しい発言が出来るものだ。)
ライト「ほほう。アンタ達は彼女より強いと言う証拠か。」
ホラン「そうだ!さぁ、その魔槍を私に献上しろ!」
タスク「なら、これ持ってみろ。」
そう言って出したのは、ストームロッド。
タスク「これを扱えたら、彼女の持ってる魔槍を献上してやろう。」
リザ「タスク様!?」
ライト「待てリザ。見てろよ。」
ホラン「フンッ。良いだろう。」
ストームロッドを手にしたその時。
ホラン「ッ!?」
突然ホランがバランスを崩して後ろに倒れた。
ホラン「ガハッ!?」
貴族達「ホラン様!?」
タスク「それすら持てねえのかよ。」
貴族A「貴様!!何をした!!」
タスク「何をしたって、ただ俺の武器を貸してやっただけだ。まぁ、重量は60キロ程あるからな。」
そう言ってストームロッドを拾い上げ、軽々振り回す。
ライト「これ位持てないようじゃ、魔槍は献上出来ねえなぁ。」
それに続いてライトも、自分のストームロッドを振り回す。
ホラン「ひ・・・卑怯だぞ!!あんなの持てる訳がない!!」
ライト「じゃあ交渉決裂で良いんだな?早くここから去ってけ。」
ホラン「貴様・・・!!」
トルマ「やぁ君達!」
そこに出店へ行っていたトルマが顔を出した。
ホラン「何だ?平民は引っ込んでいろ!」
トルマ「悪いけど、これから僕達はテニオン神殿でセーラ嬢に会った後、ウォルゴック卿に挨拶しないといけないんだ。大した用事がないなら立ち去ってくれないか?」
貴族A「セーラって・・・テニオン神殿に滞在している公爵家のお嬢様じゃ?」
貴族B「ウォルゴック卿って太守様の事だろ?」
取り巻き達は驚くが、それを信じないホランが食い付く。
ホラン「おい平民!!尊き方との仲を騙るとは無礼千万!!この場で成敗してくれるわ!!」
トルマ「気が短いな。これを見たまえよ。」
シーメン家に代々伝わる剣を見せた。
ホラン「あ、あれは!こ、公都の大貴族・・・」
その剣にビビったホラン達は。
貴族達「申し訳ありませんでしたーーーー!!!」
一目散に逃げ出した。
トルマ「あれ?」
サトゥー(まさか彼に助けられるとは・・・)
ライト(自由人の癖に気が利くじゃん。)
サトゥー「助かりました。トルマ卿。」
トルマ「いや何。ちょっと僕もサトゥー殿達の助けが借りたい所だったのさ。」
彼の後ろでは、3つの屋台の主人達が代金待ちをしていた。
タスク(おいおい。代金を持ってなかったのかよ・・・)
サトゥー(これからは脳内の呼び名をトルマにしよう・・・)
代わりに代金を払った後、トルマのオススメの屋台で皆へのお土産を買って回った。冷えた瓜や焼き鳥等。
タスク「リザ、大丈夫だったか?」
リザ「はい・・・すみません・・・」
サトゥー「では、『武術大会の一次予選を免除される』と言う慣例の為に、彼等は魔槍を必要としていたんですか?」
トルマ「そうさ。魔槍に限らず、魔剣やミスリル製の剣を所持している者も一緒だね。」
ライト「けど免除されたとしても、実力が伴わなければ二次予選で惨敗して終わりなんじゃねぇの?」
トルマ「そうじゃないんだよ。『一次予選突破』と言うのが公爵軍の近衛隊に入隊する条件にあるのさ。」
タスク「つまりこうか。近衛隊に入隊したいが為にリザにあんな真似を?」
トルマ「タスク殿が考える以上に。近衛隊と言うのは継ぐ爵位のない若手貴族にとって花形職業なんだよ。」
タスク「そう言うものか・・・」
貴族子弟達がリザの魔槍を求めた真意は、高嶺の華の就職先から内定を取る為の卑劣な裏技に過ぎなかった。
サトゥー(でもそれに協力してやるかどうかは別問題だ。)
どんな理由でも、実力行使は、いけません!!!
〜ツヅク〜
キャスト
ライト:山崎大輝
サトゥー:堀江瞬
ポチ:河野ひより
タマ:奥野香耶
リザ:津田美波
アリサ:悠木碧
ルル:早瀬莉花
ミーア:永野愛理
ナナ:安野希世乃
ジーク:相葉裕樹
サヤ:大野柚布子
タスク:小林裕介
ドロシー:山村響
ローズ:藤田咲
メイリン:佐藤亜美菜
イーナ:衣川里佳
ヒース:興津和幸
トルマ:狩野翔
ハユナ:八木侑紀
盗賊:浜添伸也
高橋伸也
小林康介
頭目:田中進太郎
DEATH MARCH67「騒動」