その道中にリザの持ってる魔槍を狙った輩達を払った。
『BGM:懊悩』
屋台で買った土産を平らげたライト達が、テニオン神殿へと出発した。
信奉者「人々よ!偽りの信仰から目を覚ますのだ!神は人の幸せなど望んではいない!」
ライト(彼奴は・・・!)
サトゥー(前にムーノ市で出会った魔王信奉者集団の『自由の翼』。)
信奉者「自由な発展を禁忌と言う言葉で妨げ、何時までも魔物の脅威に震える事を良しとするのは神の意志だ!人々よ!今こそ人族の自由を取り戻すのだ!」
イーナ「おのれ!魔王信奉者共めが!!」
信奉者「ちっ!愚神の番犬共め!」
イーナ「待てぇ!この痴れ者めぇ!」
逃げる信奉者をイーナが追う。
メイリン「マユナ様の護衛任務を放棄しちゃいましたよ・・・」
タスク「また取り乱してるな。」
市内の『自由の翼』が居る場所を再検索。
サトゥー(過半数が何者かに追い掛けられているかのような動きをしている。)
恐らく、演説をしては官憲や神殿関係者に追われている。
サトゥー(ん?)
突然マップ上に赤い光点が表示された。
サトゥー(この通りの先・・・)
ドロシー「ん?皆、この先に魔物よ!」
ライト・タスク「!!」
市民「大変だ!!町の中に魔物が出たぞ!!」
『BGM:突撃』
サトゥー「アリサ!」
アリサ「おーけー!
サトゥー(この通りの先に居るのは・・・ドロシーの言った通り魔族!)
種類は短角魔族。
ライト「タスク!」
タスク「よし!お前達はここで待ってろ。」
ローズ「気を付けてね!」
タスク「ドロシー、馬車を路肩に。」
ドロシー「えぇ。」
サトゥー「ルル以外は戦闘準備。ルルは馬車を路肩に寄せてくれ。」
現れたのは、短角魔族と言う種類の下級魔族。レベルは30。種族固有能力は変形と炎掌。スキルは怪力と剛身。
サトゥー(魔法系のスキル無し。前衛系の魔族みたいだ。)
既に戦闘中で、レベル33から13までの騎士や戦士が7人程で魔族を囲んでいる。魔族と同等の人が3人も居るから、ライト達が行く必要はないと見えたが。
サトゥー(いや違う!)
『騎士中隊が半壊する覚悟で挑まねば勝てぬような相手なのだぞ?』
サトゥー(それに・・・魔族の傍に知人を示す青い光点が2つもだ。これは見捨てる訳にはいかないだろう。)
ライト「サトゥー。」
サトゥー「あぁ。ルルはここで待機しろ。馬車と馬は任せる。ミーアとアリサも。」
ミーア「行く!」
アリサ「私も行くわよ!」
サトゥー「・・・分かった。後方からの援護に徹しろ。ナナはルルの護衛で待機。リザはポチとタマを指揮して俺に続け。」
リザ「はい!」
タスク「ジークとサヤはここで皆の護衛を頼むぞ。」
ジーク「任せろ。」
サヤ「判りました!」
アリサ「ご主人様。コレ。」
聖剣・トラザユーヤを渡した。
アリサ「ありがとうアリサ。行くぞ!」
ライト・タスク「おう!!」
後ろに付いて来る皆に、この先に居るのは魔族である事。レベルやスキル。戦う時の注意点を伝えた。ライトとタスクにはクウガとアギトの力がある。今の獣娘達は並の騎士以上の防御力があるから、サトゥーがちゃんとカバーすれば、下級魔族が相手でも引けは取らないだろう。
だが、こんな市内に突然魔族が出現した理由は不明。この都市に入る前・・・いや、公爵領全体でも居なかったと断言出来る。
サトゥー(テレポートが出来るようには見えないから、何者かが送り込んだか、召喚したのだろう。)
ライト「見えたぞ!」
現場に着くと、5人の騎士が魔族を囲んでおり、周囲には騎士達が横たわっていた。
サトゥー(奇跡的に死者は居ないらしい。でもこのままでは・・・)
すると短角魔族が尻尾を素早く振った。
騎士達「うわぁ!!」
尻尾で騎士達が吹き飛ばされた。
サトゥー「ミーア!膨張だ!」
ミーア「ーーーーーー!!
落下する騎士達を受け止めた。落下の衝撃を緩和出来た。
サトゥー(男なら耐えろ!)
だが1人軌道が違う
サトゥー「無茶は止めて下さいね?カリナ様。」
カリナ「サ・・・いえ、
彼女の正体はカリナ・ムーノだった。
ライト「カリナ、久し振りだな。」
タスク「しばらく。」
カリナ「ア・・・アイラ卿にタスク様!?2度も抱かれるなんて、意外に力持ちなのね・・・新婚旅行は王都かしら?」
アリサ「お姫様抱っこ禁止ーーー!!」
ミーア「ん。禁止。」
ラカ『救援を感謝する。ペンドラゴン卿。』
サトゥー「主人の無茶は止めてくれ。ミーア、カリナ様に治療を頼む。」
ミーア「ん。」
カリナ「あ・・・?」
リザ「ご主人様!戦線が乱れそうです!」
タマ「加勢行く〜!」
ポチ「カリナも後から来るのです!」
ポンポンとカリナの豊富な胸を触る。
サトゥー「羨ましい・・・」
タスク「言ってる場合か。」
サトゥー「判った!俺達が先鋒を務めるから、リザ達は怪我人の救出を優先しろ!」
ライト「よしタスク。久々に行くぞ!」
タスク「あぁ!」
カリナ「?」
2人は腰にアークルとオルタリングを出した。
ライト・タスク「変身!!」
仮面ライダークウガと仮面ライダーアギトへ変身した。
カリナ「そ・・・そのお姿は・・・?」
ライト「そっか。カリナは初めてだったか。超古代の戦士・クウガ。」
タスク「アギトだ。」
カリナ「クウガ・・・アギト・・・」
『BGM:激闘』
騎士達「ぐぁあ!!」
短角魔族の圧倒的な力に騎士達が力尽きる。
短角魔族『ガァァ!!!』
6つの腕と尻尾で騎士を圧倒する。
騎士隊長「うぉお!!」
剣を振り下ろしたが、短角魔族が腕で防いだ。
サトゥー(
短角魔族の立ってる位置が空いた。短角魔族が落ちる前に騎士隊長を吹き飛ばした。
ライト「おりゃあああああ!!」
タスク「はああぁぁぁぁぁ!!」
駆け付けたクウガとアギトが短角魔族にダブルパンチした。
騎士隊長「ぐっ・・・!」
サトゥー「(体力ゲージが1割も残っていない・・・それに
リザ「承知!」
クウガとアギトが短角魔族から距離を取った。
ライト「クソッ!頑丈な奴だ・・・!」
タスク「そう簡単にはいかないみたいだな・・・!」
サトゥー「ライト!タスク!」
ライト「サトゥー、一緒に行くぞ!」
サトゥー「あぁ!こっちだゴリラ野郎!!!」
挑発スキルを発動。短角魔族が3人に向かった。
タスク「来るぞ!」
気を引き締めて、強敵と一戦へ!
短角魔族が3人に迫る。
ライト・サトゥー・タスク「!!」
短角魔族の左パンチが3人に激突した。
カリナ「ペ・・・サトゥー!!」
アリサ「ご主人様!!」
ミーア「サトゥー!!」
ローズ「ライト!!」
メイリン「タスクさん!!」
しかし。
短角魔族「・・・!?」
激突したのは地面であり、3人は無傷。
短角魔族「グオオオオ!!」
今度は右パンチで3人に攻撃。
ライト「超変身!!」
だがクウガがタイタンフォームへ超変身し、短角魔族の右パンチを受け止めた。
タスク「フッ!」
アギトがオルタリングの両スイッチを押してトリニティフォームへ姿を変え、最初にフレイムセイバーを握った。サトゥーは聖剣を出した。
短角魔族「ッ!!」
尻尾でアギトとサトゥーに攻撃するが、2人がそれを避け、サトゥーが聖剣で尻尾を弾き返した。
短角魔族「グホッ!!」
尻尾が短角魔族の顔面に直撃した。
サトゥー(丁度良い隙だ。斬り落としたりはしないように・・・!)
トラザユーヤを振り、短角魔族の毛皮を斬り裂いた。
タスク「ハッ!!」
同じくアギトもフレイムセイバーを振り降りして毛皮を斬り裂いた。
ライト「おりゃあああ!!」
地面に落ちてる折れた剣を拾ってタイタンソードへ変貌させて、そのまま短角魔族の腹を連続で斬り込む。
市民A「硬い魔族の毛皮と腹を斬り裂いたぞ!」
市民B「騎士達でさえ攻めあぐねていたのに凄い!」
子供「綺麗な剣・・・」
市民B「ドワーフ製のミスリル剣に違いないぞ!」
子供「ならきっと名のある剣士様だよね。誰だろう?それにあの2人は一体・・・」
次々と迫る短角魔族の近接攻撃を避け続ける。その間に短角魔族の攻撃力が30%ダウンしてる。
ライト(これは・・・!)
それは、アリサが鳴らしてる魔封じの鈴の効果だった。
リザ「足を狙いなさい!」
タマ「あいあいさ〜!」
ポチ「らじゃなのです!」
ドロシー「足止めするわよ!」
ローズ・メイリン「はい!」
リザとポチとタマが短角魔族に攻撃を仕掛け、ドロシーとローズとメイリンが魔法で遠距離援護を仕掛ける。
短角魔族「グォオッ!!」
だが尻尾でリザ達3人を払い、地面を叩き付けて石の破片を飛ばし、ドロシー達3人を妨害した。
サトゥー「お前の敵はこっちだ!」
挑発スキルで標的を自分達に向かわせた。
ライト「俺達が遊んでやるぞ!」
タスク「来い!」
すると炎が短角魔族に向かったが、短角魔族がそれを打ち砕いた。
アリサ・ミーア「・・・・!!」
サトゥー(盗賊から没収した火杖を使ったようだ。)
ライト(だが魔法が効かないとか、厄介だな。)
子供A「魔法が効かないわ・・・」
子供B「あの毛皮は炎に耐性があるみたいだ。」
子供C「口の中なら攻撃が通るんじゃ?」
カリナ「加勢致しますわ!ペンドラゴン卿!!」
加勢に入ったカリナが、短角魔族に飛び蹴りを喰らわす。
サトゥー(俺の名前を大声で叫ぶのは止めて欲しい・・・)
飛び蹴りが決まったカリナが、サトゥーに目を向ける。
ライト(おい彼女、自分の名前も呼んで欲しいそうだぞ。)
サトゥー(いや、甘やかしてはいけない。)
ミーア「
ライト(結構キツい・・・!)
タスク(変身しても咳き込んでしまう・・・!)
サトゥー(俺の肺まで焼かれそうだ・・・!)
3人がミーアを見るが、ミーアは冷や汗掻いて外方向いてる。
短角魔族「グオオ!!」
ライト・サトゥー・タスク「ッ!!」
真後ろを取られた3人だが、カリナが再び飛び蹴りした。
カリナ「戦場で余所見は禁物ですわ!」
ラカ『カリナ殿!油断するな!』
短角魔族のパンチが結界を張ったカリナに直撃し、そのままカリナを遠くへ飛ばした。
カリナ「きゃーーーーー!!」
ライト(自分が余所見してんじゃねぇか・・・)
サトゥー(ラカに守られているから大丈夫だろうが・・・)
『BGM:戦士』
尚も続く短角魔族との激闘。
短角魔族「BUFOOOOW!!!!」
突然短角魔族が両腕を素早く振り回し始めた。
サトゥー「下がれ!!」
全員が距離を取る。短角魔族が周囲の地面を斬り裂き始めた。
市民達「うわっ!目が!目がぁああああ!!」
地面を斬り裂いた時の砂煙りで市民達の目にダメージが入った。
ライト「周囲の耳目がなくなった!」
サトゥー「今の内に!」
ライト「超変身!!」
ドラゴンフォームからライジングドラゴンフォームへ超変身し、サトゥーから槍を受け取ってライジングドラゴンロッドで何度も叩き込む。
タスク「ッ!!」
今度はオルタリングからストームハルバードを握って、フレイムセイバーとの二刀流でクウガと共に何度も叩き込む。
サトゥー(序でに両肩も!!)
後ろに回り込んで、短角魔族の両肩を斬り裂く。HPが徐々に削られている。
サトゥー(手加減をミスして、魔族の体力を7割位削ってしまった。)
子供A「・・・う・・・」
子供B「あ!見て!」
市民A「何時の間にか優勢になっているぞ!」
市民B「魔族が血だらけだ!」
市民C「きっと魔槍の鱗人がやったんだ!」
市民D「じゃあ、足はあのちっこい子達が?」
ライト「タスク!」
タスク「あぁ!」
頭部のクロスホーンが展開させた。そして足元にアギトの紋章が浮かび、それを右足に吸収させる。
ライト「超変身!」
マイティフォームへ超変身したクウガが、右足に封印エネルギーを集める。
ライト「フッ!!」
タスク「トォ!!」
クウガとアギトが同時にジャンプした。
カリナ「カリナキィイイイイイイイック!!!」
飛ばされたカリナが急降下する。
ライト「おりゃああああああ!!!」
タスク「タアアアァァァァァ!!!」
マイティキックとライダーシュートのダブルライダーキックとカリナとサトゥーのダブルキックが短角魔族に直撃した。HPは残り僅か。
サトゥー「リザ!やれ!」
リザ「承知!ハッ!!!」
最後はリザの魔槍で短角魔族の頭部を貫いた。HPがゼロになり、短角魔族が倒れた。そして封印エネルギーと大地の生命エネルギーを受けた短角魔族が爆発した。
ライト・タスク「・・・・」
2人が変身を解いた。
サトゥー(リザ本人は気付いていなさそうだが、今のは魔刃だろう。)
『BGM:閑寂』
するとリザが、爆煙から
リザ「ご主人様。ライト様。タスク様。
サトゥー「角?」
ライト「何?」
タスク「見せてみろ。」
それは短角と言う小さな角だった。これは、現地の知的生物を魔族に変換する危険なアイテムだった。街の中に突然魔族が出現したのはこのアイテムが原因。マップで
サトゥー(もっとも『
ライト「怪我人の救出作業を始めてくれ。」
リザ「はい。」
3人は横転してる馬車に近付く。レーダーの青い光点が近くなってる。馬車の中には・・・
サトゥー「セーラ嬢。」
倒れているセーラを発見した。彼女は昏倒と内臓損傷の状態に陥っていた。
タスク「すぐに手当てを。」
ポーションを出して、セーラに飲ませるが、彼女の口に溜まってしまった。
タスク「ダメだ。飲み込ませられない・・・」
ライト「昏倒している。」
サトゥー「なら申し訳ないが、この方法で・・・タスク。貸して。」
タスク「どうするんだ?」
ポーションをサトゥーに渡し、サトゥーがポーションを口に含んで、それを口移しでセーラに飲ませる。
ライト「口移しか。」
タスク「・・・あ!」
ポーションでセーラの意識が戻った。
セーラ「・・・ペンドラゴン卿?」
サトゥー「気が付きましたか?」
セーラ「え、ええ・・・」
ライト「良かった。心配してたんだ。」
セーラ「アイラ卿・・・」
タスク「お怪我はありませんか?」
セーラ「タスク様・・・」
馬車から出た4人。セーラは右手で口を隠してる。
サトゥー(どの辺りからセーラ嬢の意識があったのかは判らないが・・・さっきのは治療行為だったんだからノーカンだよね?)
『BGM:世界』
セーラを救出した後、目紛しく事態が進行した。負傷者やセーラを神殿に運び、トルマ一家と別れた後、太守の城に呼ばれた。太守から感謝の言葉と褒美を貰った。褒美は勲章と金貨100枚。そのまま晩餐にまで招待されてしまった。参加出来たのはライトとタスクとサトゥーとカリナだけ。
その晩餐も先程終わり、今は場をサロンに移して談笑タイムとなっている。
貴女「カリナ様の婚約者はペンドラゴン卿ですの?」
カリナ「・・・い、いいえ違います。」
太守「魔族を倒せる程の剣豪や戦士ならば、武術大会でも優勝を狙えるのでは?」
サトゥー「先程も申しましたが・・・私達は騎士達や戦士殿が半死半生にした魔族に止めを刺しただけなのです。それに仲間達の協力や魔法の援助がなければ、力及ばず屍を晒していたでしょう。」
太守「では、公都に行っても武術大会に出ないと言うのかね?」
サトゥー「はい。太守閣下。」
太守「私の推薦枠で本戦出場も可能だが?」
ライト「いや、それは太守閣下の配下のお方に使って頂ければ幸いだ。」
太守「欲の無い者達だ・・・」
そんなやり取りの中で、昼間の下級魔族戦で神殿騎士のケオンではなく、近衛騎士のイバーサがセーラの護衛に就いていた理由を教えて貰った。神殿騎士達は『自由の翼』掃討作戦に出動して不在だったからとのことだった。あの時マップ検索で見付けた追い駆けっこの相手は神殿騎士達だったらしい。因みに、マユナの護衛を放棄した女性騎士は、神殿の偉い人から大目玉を喰らっていた。
太守「特にペンドラゴン卿、貴公の剣は魔族の毛皮を斬り裂く名剣と聞いたが、やはり名のある名匠の作品であるか?」
サトゥー「はい。ボルエハルト自治領のドハル老に鍛えて戴きました。」
太守「な、何と!!」
それを聞いた太守達が驚いた。
トルマ「あの気難しいドハル翁に作らせるなんて、やるじゃないかサトゥー殿!」
貴族A「あの御仁は、大貴族相手でも気に入らない相手には頑として剣を鍛えてくれぬからな・・・」
貴族B「や、やはりロットル子爵の紹介で?」
タスク「影響力が凄いなぁ、ドハルは。」
ライト「何処まで伸びてるのやら。」
どんな剣がみたいと太守達にせがまれたので、来訪時に預けていた妖精剣をサロンに持って来て貰った。
太守「これはまさか・・・真印!?」
貴族A「ドハル老の作品の中でも傑作にしか入れられないと言うあの真印!」
貴族B「この柄の細工も素晴らしい!」
貴族C「この鞘だけでも美術品としての価値がある!私の佩剣にもこのように流麗で品のある鞘を作りたいものだ!」
鞘は招待前に慌てて書こうした自作である。サトゥーが鞘を抜いて、刃を見せる。
サトゥー「銘を『妖精剣』と申します。」
太守「何と言う美しい刃紋だ。」
貴族A「この緑銀の刃紋は、厳選された一級品のミスリルでも中々出せませんぞ。」
綺麗な剣だと思っていたのだが、目の肥えた貴族達ですら虜にする程の代物だった。
サトゥー(変な相手には見せびらかさないようにしないと・・・)
名刀の登場に騒然・・・
サロンで談笑は続く。話題がグルリアン市の権益関係に変わり始めたので少し中座する事にした。
サトゥー「少し風に当たって来ます。」
ライト(流石に部外者が聞いて儲け話になりそうにないからな。)
3人はサロンを出た。このドアのガラスは雑談の中で聞いた話では、公都のガラス工房で作られている。
サトゥー(オーユゴック公爵領では、ガラス製品は然程希少ではないようだ。)
???「ペンドラゴン卿?アイラ卿?タスクさん?」
そこにセーラが3人を見付け声を掛けた。
タスク「セーラ様?」
ライト「おや、奇遇だな。」
そんな中サトゥーが、セーラに見惚れてる。それはまるで・・・
サトゥー「・・・妖精のようだ。」
ライト「ん?サトゥー?」
サトゥー「はっ!つい・・・」
セーラ「まぁ、ペンドラゴン卿ったら・・・」
サトゥー「こんばんはセーラ様。先程の失言はお忘れ下さい。」
セーラ「うふふ。忘れてあげません。」
ライト「意外とイタズラっぽいな。」
サトゥー「私の事はサトゥーとお呼び下さい。」
ライト「俺の事はライトって呼んでくれ。」
サトゥー「ではサトゥーさん、お庭を散歩しませんか?ライトさんもタスクさんも。」
サトゥー「えぇ。喜んでお供致します。」
ライト「仰せのままに。」
タスク「では。」
3人はセーラと庭の散歩へ。
『BGM:休息』
庭で散歩してると、無数の蛍が飛んだ。
セーラ「あ。蛍。」
サトゥー「綺麗ですね。」
ライト「良いね蛍。」
タスク「神秘的だぁ。」
幻想的な風景に神秘的な美少女。これは実に絵になる。
セーラ「ねぇ、サトゥーさん・・・ライトさん・・・タスクさん・・・あなた方は・・・運命を変えられると思いますか?」
ライト(中々重そうなテーマだな。)
サトゥー「(ここは当たり障りのないポジティブな答えを・・・)勿論です。この世に変えられない運命なんてありませんよ。」
セーラ「本当に・・・そう思いますか?」
タスク「えぇ。私もそう思います。理不尽な運命なんて、私達が力尽くでねじ伏せてやります。」
セーラ「うふふ。魔王に殺されそうになっても?」
サトゥー「えぇ。その時は魔王からでも助け出してみせます。魔王なんてサクサクと退治しちゃいますよ。」
セーラ「ふふっ。」
笑ってるセーラが涙を流した。
タスク「セーラ様、お使い下さい。」
1枚のハンカチをセーラに渡した。
セーラ「・・・あなた方が居て良かった。ありがとうございます。皆さん。」
ライト「セーラ・・・」
それはまるで、月の光に消えそうな儚い笑顔。
サトゥー(いけない!自分の半分位の年齢の少女に何をしようと・・・)
???「おや?サトゥー殿とセーラじゃないか。それにライト殿にタスク殿まで。こんな所で逢い引きかい?」
セーラ「ト、トルマ小父様!私とこの方々は逢い引きなんてふしだらな真似は致しません!」
ライト「ってか男3人居るから取り合い合戦でも始まると思ってるのか?」
タスク「それはちょっと勘弁だな。」
トルマ「そうかい・セーラにしては距離感の近い呼び方だと思ったんだけど?」
セーラ「もう・・・小父様ったら!」
サトゥー「トルマ卿。からかうのはその辺にしてあげて下さい。」
ライト「セーラが困ってるだろ?」
タスク「彼女が可哀想だ。」
トルマ「君達は歳の割に老成していてからかい甲斐がないねぇ。」
セーラ「3人に今日のお礼を申し上げていただけです。」
トルマ「こんな人気のない場所で?」
セーラ「小父様!」
トルマ「ごめん。もう言わないよ。」
サトゥー「夜風に当たり過ぎて風邪を引いてもいけません。そろそろサロンに戻りましょう。」
セーラ「・・・そうですね。」
トルマ「おや?戻るのかい?逢い引きか取り合いの続きをするなら先に帰ってあげたのに。」
セーラ「小父様!!」
トルマ「でも、魔族との戦闘で死者が1人も出ないなんて奇跡だね。」
セーラ「・・・はい。神のご加護とサトゥーさん達のお陰です。怪我人は魔法で癒せますが、死者はどうにもなりませんから・・・」
タスク「やはり、死者で蘇らせる魔法はないんですか?」
セーラ「・・・ありません。」
ライト(ファンタジー世界なのに死者蘇生が存在しないとは!)
サトゥー(残念過ぎる!)
トルマ「忘れたのかいセーラ?公子殿が謀殺された時に聖女様が・・・」
セーラ「トルマ小父様!」
何か言おうとしたが、セーラに止められた。
トルマ「ごめんごめん。他言しちゃいけなかったんだっけ。サトゥー殿にライト殿にタスク殿も。今のは聞かなかった事にしてくれよ。」
サトゥー「えぇ。私は何も聞いていません。」
ライト「今上の空だったから聞いてなかった。」
タスク「虫の音で聞こえなかったぞ。」
恐らく蘇生アイテムの情報は秘匿されている可能性がある。もしくは、使用条件が厳しくて簡単に使えないのどっちかだろう。
サロンのセーラの部屋に戻ると、太守夫人とカリナが居た。
太守夫人「セーラ様。散歩に行ってらしたのね。」
セーラ「太守夫人。」
カリナ「・・・・」
何故かサトゥーをじと〜っと見てる。
サトゥー(?)
太守夫人「お庭にも人を呼びにやったのだけど、お会いにならなかったようですわね。」
セーラ「私に何か用でしたか?」
太守夫人「えぇ。先程テニオン神殿から急使が来られたのです。此方へ。」
サトゥー(急使・・・?)
ライト(こんな時間に何を・・・?)
すぐに急使の面会へ。
セーラ「公都のテニオン神殿からの緊急召喚ですか?」
急使「はい。大河の信号灯を使用したモノだったので、詳細な内容までは判り兼ねます。」
セーラ「判りました。太守様から快速艇をお借りして帰還致します。」
その間にライトとサトゥーがマップで公都周辺やテニオン神殿を確認したが、大きな騒ぎが起こっている様子はなかった。
ライト(神殿内部に問題はなさそうだ。)
例え緊急時でも夜間航行は禁止されているようで、セーラは夜が明けてから太守の用意した快速艇に乗って公都に帰る事になった。
『BGM:平穏』
翌日。港でセーラと別れる。
サトゥー「道中お気を付けて。セーラ様。」
セーラ「はい。また公都でお会いしましょう。サトゥーさん。」
後ろのアリサとミーアから睨まれてる。
サトゥー(友人との別れに後ろめたい事は欠片もない。)
”カラーンカラーン!”
鐘が鳴ると、快速艇が物凄いスピードで出航した。
タマ「速い〜!」
ポチ「凄く速いのです!」
サヤ「目にも止まらない速さです!」
快速艇には、魔法による高速推進機構が搭載されているそうで、時速100キロもの速度で水上も走って行った。だが、快速艇の定員は少なく、セーラに同行するのはケオン卿ただ1人。トルマ一家や残りの神殿騎士達は後からでる太守の大型船で公都に向かう予定になっている。ライト達も魔族退治の褒美として、便乗させて貰う予定になってる。
そして2日後。
船長「出航!!」
彼等を便乗させた大型船が出航した。
太守令嬢「サトゥー様ぁ〜!ライト様ぁ〜!ミーア様〜!また遊びに来て下さいねぇ〜!後アリサも!」
出航時に太守のご令嬢の別れの言葉を貰った。太守令嬢は、魔族退治に時にギャラリーをしていた子供達の中に交ざっていたらしい。ミーアがエルフだと知った太守令嬢が、魔法の教えを請い、ライトとサトゥーとアリサが通訳と解説を担当した。
アリサ「うふふ・・・」
笑顔で太守令嬢に手を振った。
サトゥー(オマケ扱いされたのに。流石はアリサ。転生者だけあって大人だ。)
しかし彼女の本音は。
アリサ「フフフ。新キャラにフラグなんて立てさせてたまるもんですか・・・!こうして消えていけばいいのよ!」
ライト(此奴。ご令嬢様をモブ扱いしてやがるぜ・・・)
しばらくして、船の船首。サトゥーとアリサがタイタニックのワンシーンを再現しており、ライトが手摺に凭れてる。
アリサ「この先の公都にも邪教集団が居るの?」
サトゥー「あぁ。居る。」
ライト「それもわんさか。規模のデケェ組織らしいぞ。」
アリサ「じゃ、今回みたいに掃除するの?」
サトゥー「可能な限りね。」
ライト「その時はタスクとジークにも協力を要請する。」
サトゥー「それと、公都の高位貴族にもメンバーが居るから、今回みたいに簡単にはいかないかも知れないけどさ。」
グルリアン市に居た『自由の翼』の構成員達は所在を密告して牢獄送りにしてある。逃れた数名は変装して捕縛。
アリサ「例の角の事は公爵様に伝えるの?」
ライト「あの短角野郎か。そこは公爵に会って人となりを確認してから判断する形になってる。」
アリサ「うん。それが良いと思う。全く。異世界にまでテロリストが存在するとは思わなかったわ。」
サトゥー「全くだ。」
ライト「もしクウガに似た力が現実世界で実現したら世界中の犯罪者をとっちめたいわ。」
アリサ「やり過ぎると闇落ちフラグになるわよ。」
ライト「その時はアリサにこらしめられたいわ。」
添乗員「あの、士爵様。危ないですからそろそろ・・・」
ライト「添乗員さん。」
船首は立ち入り禁止区画なのだが、アリサの頼みで無理を言って入らせて貰っていた。
アリサ「前世で遣り残した事がまた1つクリア出来たわぁ〜!」
ライト「タイタニックを思い出す。あの映画好きだったなぁ。」
大型船の船内。
添乗員「では、皆さんのお部屋にご案内致しますね。」
サトゥー(客室は二層目か。)
部屋に荷物を置いた後、皆に自由行動を許可した。
ジーク「ほぉ〜。結構広いもんだなぁ。それにこんな大型船なんて初めてだ。」
サヤ「何か、とってもワクワクします!」
メイリン「姉さん!この船を探検しましょうよ!」
ローズ「あんまりはしゃいでると迷子になるわよ?」
ドロシー「メイリン楽しそうね。」
公都は300キロ下流にあるが、今回は太守の御用船を使わせて貰ったので、僅か2日で辿り着くらしい。
大型船のソファーに座りながら風を当たる。
サトゥー「良い風だ。」
リザ「はい。河の匂いと緑の香りを運んで来てくれます。」
ライト「やっぱり自然の香りは格別だなぁ。」
タスク「全くだ。」
そこにカリナがやって来た。
カリナ「暇ですわ。」
サトゥー「カリナ様も皆と一緒に船内の探検に行ってみては如何ですか?」
カリナ「むぅ・・・ペンドラゴン卿は私が邪魔ですの?」
サトゥー「そんなつもりはありませんよ。お掛けになりますか?」
ライト「よっと。」
防水シートをソファーに被せる。
カリナ「・・・えぇ。失礼致しますわ。」
5人で談笑する事にした。
サトゥー「果実水は如何ですか?中々刺激的ですよ?」
ライト「1度飲んだら癖になるぞ。」
カリナ「刺激ですの?」
サトゥー「えぇ。これまで見た事のなかった世界が見えますよ。」
カリナ「刺激的・・・癖になる・・・見た事がない・・・!」
既にサトゥーにしか眼中がない。
カリナ「い、今は喉が渇いていないから!え、遠慮致しますわ!」
ライト(何を連想したんだ?後魔乳のダンス止めろ。)
彼女のドキドキは、増すばかり!!
〜ツヅク〜
キャスト
ライト:山崎大輝
サトゥー:堀江瞬
ポチ:河野ひより
タマ:奥野香耶
アリサ:悠木碧
ルル:早瀬莉花
ミーア:永野愛理
ジーク:相葉裕樹
サヤ:大野柚布子
タスク:小林裕介
ドロシー:山村響
ローズ:藤田咲
メイリン:佐藤亜美菜
イーナ:衣川里佳
太守:浜添伸也
トルマ:狩野翔
カリナ・ムーノ:川澄綾子
ラカ:髙階俊嗣
セーラ:前川涼子
DEATH MARCH68「大河」