デスマーチからはじまる異世界空我   作:naogran

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DEATH MARCH74「散策」

『BGM:安穏』

 

キキヌ「妹さん用の入門書かな?」

 

サトゥー「いえ、入門書は不要です。中級以上の魔法書を見せて頂けますか?」

 

キキヌ「流石に子供に中級の魔法書は難し過ぎると思うが・・・」

 

ライト「そうか?この子の耳を見れば判るぞ?」

 

ミーア「ん。」

 

フードを脱いで自分の耳を見せた。

 

キキヌ「ま、まさかエルフ様!?」

 

ミーア「ん。」

 

サトゥー「ミーアはボルエナンの里のエルフなんです。」

 

キキヌ「こ、これは大変失礼を!」

 

ミーア「許す。」

 

トルマ「キキヌがエルフ信奉者だとは知らなかったよ。」

 

キキヌ「信奉者って言うか・・・俺の出身地が黒竜山脈の傍だって話はしたっけ?」

 

トルマ「あぁ、聞いた。」

 

キキヌ「黒竜山脈から魔物だけじゃなく、魔物由来の流行病も流れて来るんだ。毎年のように流行病で村人が倒れるけど、エルフ様が大昔に植えてくれた癒眠樹のお陰で死ぬ者は殆ど出ないのさ。」

 

ミーア「ん。癒眠樹凄い。」

 

トルマ「そんな便利な木なら、株分けしたら儲かりそうだね。」

 

キキヌ「無理さ。金儲けで他の所に植えようとした奴が居たけど、エルフ様が植えた最初の場所以外では枯れちまうんだ。」

 

タスク「それって、この前ミーアが言ってた精霊不足の事か?」

 

ミーア「ん。」

 

ライト(育つには精霊が必要なんだな。)

 

キキヌ「そんな訳で俺はエルフ様に恩があるのさ。」

 

そんな雑談を交えつつ、魔法書やスクロールのラインナップを教えて貰った。

 

サトゥー「この本は良いですね。」

 

キキヌ「こっちの本は定番だけど、それはネタ本の類なんだが・・・」

 

サトゥー「ネタ本なんてとんでもない。ジャハド博士の発明品は素晴らしい物がありますからね。」

 

『回転とロマン』。この本の著者はクハノウ伯爵領のセダム市で見付けたコマ型のマジック・アイテムの作者と同一人物。著者によると、王都滞在の老博士らしい。

 

サトゥー(王都に寄ったら、是非一度会ってみたい。)

 

同じ著者の本の他、店長の薦めの本を見る。『回転と往復運動の出会い』、『回転が生み出す新しい魔法』、『基礎から学ぶ杖と触媒』、『宝石とコア』、『魔法道具に使う30の定番回路』、『魔法文字ルーンの刻み方』、『刻印から始める魔法陣』。

 

サトゥー「中級の魔法書全種類と、こちらの本を頂きます。」

 

キキヌ「そ、そんなに!?・・・おっとそうだ。トルマの知り合いだから忘れていたけど、一応貴族の身分証を見せてくれないか?それと軍事転用出来る呪文が載っている書物はそれなりの許可証が必要なんだが・・・」

 

サトゥー「これで宜しいですか?」

 

ライト「一応俺のも拝見させておく。」

 

キキヌ「無制限の許可証?それも公爵閣下の公印付き!?どうやってこんな物を・・・」

 

ライト・サトゥー(美味しいテンプラの対価で・・・)

 

続けてスクロールを見せて貰う。

 

トルマ「ここで買わなくても、うちの工房で直接買えば良いのに。」

 

キキヌ「人の店の上客を取らないでkureyお。」

 

サトゥー「トルマ様の実家にお邪魔した時はとびっきり変なスクロールを注文しますから。」

 

変なスクロールと言うか、サトゥー自作魔法をオーダーメイドで作って貰う予定で、店買い出来るような品は先に購入するつもり。店長が見せてくれた一般的なスクロールはグルリアン市で買った物と変わらなかったが、軍用の魔法が何種類も手に入った。

 

『ファイヤーストーム』、『レーザー』、『エクスプロージョン』、『ウィスパー』、『テレフォン』、『ブレイク・マジック』。

 

サトゥー(・・・あぁ。これらの魔法があったら魔王戦も随分楽だったろうに。)

 

だがサトゥーが欲しかった治癒系のスクロールは存在しなかった。スクロールだと効果が低く、ポーションの方が何倍も効くのだそう。

 

サトゥー「マジック・ハンドやロック、アンロックだどのスクロールはないのですか?」

 

キキヌ「申し訳ありません・・・」

 

トルマ「サトゥー殿。犯罪に使えるロック、アンロックのスクロールは作製禁止なんだよ。」

 

ライト(成る程。軍事用はOKだが、ロックとアンロックはNGか。)

 

他にもクレヤボヤンスやクレヤミアンスのような諜報に使える魔法もダメらしい。公都の貴族屋敷にはそう言った魔法に対抗する特殊な建築がしてあると言う。

 

サトゥー(先程買った本にも防諜方法の解説が載っているらしい。)

 

マジックハンドのスクロールはトルマの実家の倉庫にあるようだから、子爵に面会した時に交渉する予定。

 

ライト「代金はこれで。」

 

注文した本とスクロールを購入した。

 

キキヌ「ほぅ?アイテム・バッグか。流石は貴族様だな。」

 

ライト「この店にも置いてあるのか?」

 

キキヌ「扱ってはいるけど、在庫はないな。受注生産で数年待って貰えるような高級品だよ。」

 

サトゥー(ほほぅ?)

 

ライト(かなりの年数だな。)

 

聞けば最高性能のアイテム・バッグでもムーノ男爵領の怨霊砦で入手した劣化ガレージ・バッグとほぼ同じ性能だった。

 

 

 

 

その後トルマの案内で貴族区画の商会や本屋、そして下町の魔法屋を巡った。

 

ライト「結構買ったな。」

 

ジーク「酒樽に高級酒詰め合わせ。」

 

サトゥー(売ってくれた『フォージ』のスクロールは魔王戦で大活躍したからね。)

 

トルマ「この公都は私の庭のようなものだからね。」

 

と言う台詞の通り、変な路地や他人の庭を通り抜け。

 

ライト(裏道って言うか、悪ガキが好む最高コースだな。)

 

公都の方々を歩き回り、隠れた名所を案内して貰った。

 

 

 

 

『BGM:平穏』

 

そんな怪しい道を通ってやって来たのは・・・

 

ミーア「清涼。」

 

ライト(何だ?ここだけ別マップだ。)

 

サトゥー(確かに。でも幸い悪意ある存在は居ないようだ。)

 

トルマ「サトゥー殿!ライト殿!こっちだよ!」

 

案内された場所は、1つの店。

 

タスク「こんな所に店があるのか。」

 

ジーク「でも閉店って書いてあるけど、入って良いのか?」

 

 

 

 

閉店した店を入店。

 

トルマ「爺様!生きてるか〜!いてっ!」

 

???「勝手に殺すな!」

 

現れたスプリガンの老人が杖でトルマの頭を叩いた。

 

スプリガン「お前こそ!しばらく見なかったから死んだと思っておったぞ。」

 

ジーク「あの爺さん、トルマの知り合いかな?」

 

タスク「みたいだ。しかもスプリガンだ。初めて生で見た。」

 

スプリガン「それよりもトルマ。貴様何を連れて来たんじゃ?・・・眩しくて見えん・・・」

 

神々しく輝くサトゥーを見た直後、瞳が銀色に変わった。

 

ライト(瞳が銀色に変わった。)

 

スプリガン「見た目は人族の小僧か・・・うん?その鈴は『ボルエナンの静鈴』か。成る程のう。それなら判る。ほほぅ?そっちの小僧達も人族か。悪意は感じない。そしてそっちのお嬢はエルフ様かのう?シリルトーア様に似ておるが違うのう。」

 

ミーア「ん。ミーア。」

 

スプリガン「・・・こりゃ失礼したようじゃのう。ワシはボルエスエンのユーカム。見ての通りスプリガンの爺ですじゃ。」

 

ミーア「ボルエナンの森の最も年若いエルフ、ラミサウーヤとリリナトーアの娘。ミサナリーア・ボルエナン。」

 

トルマ「そろそろ良いかな?爺様。この2人に取っておきのアレを見せてやって欲しいんだ。秘蔵の本って言っていたアレ。」

 

ユーカム「ふむ、アレか・・・良かろう。待っていろ。」

 

秘蔵の本を探しに店の奥へ行った。

 

トルマ「ここには成人向け本をよく買いに来たものさ。」

 

サトゥー「まさか秘蔵の本って・・・」

 

トルマ「流石にこの歳になってそんな本を買いに来ないさ。ははは。お茶でも淹れようか。」

 

ユーカムを待ってる間のティータイム。

 

ライト「少しのティータイムか。ミーア、何食いたい?」

 

ミーア「茶菓子。蜂蜜ナッツ・クッキー。」

 

蜂蜜ナッツ・クッキーを食べていると。

 

ユーカム「何じゃ。美味そうな匂いをさせおって。」

 

サトゥー「宜しければどうぞ。」

 

ユーカム「・・・美味い。次に来る時も持って来い。」

 

ライト(接待してるみたいだ。)

 

サトゥー(持って来てくれた書物・・・これはもしかして・・・)

 

秘蔵の本と2つのスクロールだが。1つは魔法のスクロールではなく、書付を丸めて保管したノートのような物。紐綴じの書物には魔法の呪文が羅列されている。

 

サトゥー(それもシガ国語の解説が一切付いてないな。)

 

その代わりに、スクロールの方に呪文を読む為の手引きやメモが残されていた。これを頼りに読み解く。

 

サトゥー(聖剣の作り方のように暗号化されていなかったから、割と簡単に読み解ける・・・)

 

メモを読み解き終えた。

 

サトゥー「これは空間魔法ですか?」

 

ユーカム「その通りじゃ!こんな短時間でよく解読出来たな坊主!流石は静鈴を預けられるだけあるのう。それは昔々に旅の魔術師が置いて行った品でな。その魔法書を初見で見破った者に譲ってやって欲しいと頼まれておったのじゃ。」

 

サトゥー(屋敷で留守番をしているアリサに良いお土産が出来た。)

 

思わぬ所まで有用な魔法書が手に入った。

 

サトゥー「時にユーカム殿。後ろの棚にあるスクロールは売り物なのでしょうか?」

 

掘り出し物は、予想外な所に眠っている。棚にあるスクロール。

 

ユーカム「目敏いのう。普段なら売らぬが、先程の魔術師が持ち込んだものだし、欲しいなら譲ってやるぞ。」

 

サトゥー「それならば是非!」

 

棚にあるスクロールをサトゥーに譲った。『クレアボヤンス』『クレアヒアリス』『スルーアイ』『イリュージョン』。

 

ユーカム「覗きは程々にな。」

 

サトゥー「違いますよ。」

 

トルマはしばらくユーカムと昔話をしたいようなので、サトゥー達だけ先にお暇した。

 

 

 

 

ユーカムに教えられた通り、出口から真っ直ぐ進むと大通り近くの路地に出た。

 

サトゥー「へー。こんな所に繋がっているんだね。」

 

ライト「ん?塀の向こうに森が見えるな。」

 

塀から見える森を見て、ミーアが教えた。

 

ミーア「彷徨いの森(ワンダリング・フォレスト)。」

 

あの店は彷徨いの森(ワンダリング・フォレスト)と言う精霊魔法による結界に守られており、正しい道順以外だと、さっきのサトゥー達のように違い場所へ転移で排除されてしまうと言う。

 

サトゥー(トルマの気まぐれな道順にも意味があったようだ。)

 

 

 

 

 

 

『BGM:平穏』

 

帰る途中で、エルフの歌姫、シリルトーアが出演していると言う音楽堂を見掛け、ミーアに合わせられないかと寄ってみたのだが・・・

 

メイド長「シリルトーア様は、お約束の無い方にはお会い致しません。」

 

サトゥー「では、面会予約をしたいのですが・・・」

 

メイド長「例え、上級貴族のご子息であろうと、他国の王族であろうと、面会の予約は受け付けられません。お会いしたいのであれば、公爵閣下から『歌姫面会免除』を頂いて来て下さい。」

 

ジーク「・・・どうする?」

 

タスク「ここは諦め・・・ん?」

 

ミーア「シーア呼んで。」

 

メイド長「何ですかあなた?偉大なる至高の歌姫シリルトーア様を愛称で呼ぶなど!」

 

ミーア「呼んで。」

 

被っているパーカーを脱いで、自分の顔をメイド長に見せた。メイド長は驚いた。

 

メイド長「その耳・・・そのお姿!も、もしかしてシリルトーア様のご親戚なのですか!?」

 

ミーア「ん。ミーア。」

 

 

 

 

面会の許可を貰い、シリルトーアに会いに行った。

 

シリルトーア「いらっしゃい。ラーヤとリーアの子、ミサナリーア。」

 

ジーク(綺麗なお方だな。)

 

タスク(歌姫のイメージピッタリだ。)

 

シリルトーア「100年振り位かしら?あんなに小さかったミーアがこんなに大きくなるなんて素敵だわ。」

 

ミーア「お久。」

 

サトゥー(ミーアにそっくりだが。)

 

ライト(彼女の年齢はミーアの数倍ある。エルフ店長と比べても年上だ。)

 

 

 

 

サトゥーが提供したクッキーでお茶会をする。

 

シリルトーア「新鮮な山樹の果実なんて久し振り。」

 

ミーア「ん。美味し。」

 

シリルトーア「ボルエナンの森の元老院から、ミーアが行方不明になったと連絡が来ていたけど、この人族の子達と駆け落ちでもしたの?」

 

ミーア「相思相愛。」

 

ライト「ミーア、誤解されるような言葉は止めて。」

 

サトゥーが事情を説明した。

 

シリルトーア「素敵ね。悪い魔法使いに捕まったお姫様をサトゥーとライトが助けたのね。」

 

ミーア「ん。ろまんちっく。」

 

メイド長「シリルトーア様。そろそろ次の公演のお時間なのですが・・・」

 

シリルトーア「あら残念。しばらく公都に居るの?」

 

ミーア「ん。また来る。」

 

シリルトーア「そうだわ!ミーアにこれをあげる。」

 

棚に置いてるある物をミーアに譲ってあげた。

 

タスク「リュート?」

 

ミーア「シーア!」

 

シリルトーア「私には、もう用の無い物だから。ミーアが使ってあげて。」

 

ライト「ん?」

 

シリルトーアの黒い右腕を調べると、整体義手を嵌めていたのだ。

 

ミーア「・・・ん。判った。」

 

シリルトーア「またお話ししましょう。」

 

サトゥー「その時は喉に優しいお菓子でも作って来ます。」

 

タスク「ハチミツを使った紅茶も提供します。」

 

シリルトーア「うふふ。期待しているわ。」

 

 

 

 

帰路でミーアがシリルトーアの話をしてくれた。彼女は迷宮都市セリビーラで探索者として修行をしている最中に、悲惨な事件に巻き込まれ右腕を失くしてしまったらしい。ミーアの知っているシリルトーアの歌は平均レベルだったそうで、右腕を失ってから歌の修行をして大成したのだ。

 

サトゥー(逆境にへこたれない彼女の尊敬に値するね。)

 

ライト(今度は皆で舞台を観に行くか。)

 

 

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

その日の深夜。サトゥーはライトと共に昨夜に引き続き、公都地下にある迷宮遺跡にやって来た。

 

サトゥー「入手したスクロールのチェックをしよう。」

 

入手したばかりの空間魔法書をアリサやミーアやタスクに解説していて遅くなってしまった。アリサが空間魔法を覚えたがっていたが、転移のある中級魔法が使えるスキルレベルまで上げるだけのスキルポイントが足りなかったらしい。

 

ライト「よし、実験開始。」

 

サトゥー「火炎嵐(ファイア・ストーム)!」

 

まずは火炎嵐(ファイア・ストーム)。巨大な炎の嵐が吹き上がった。

 

サトゥー「ふむ。思ったよりも威力デカイな・・・」

 

ライト「鉱石が真っ黒焦げだな。」

 

温度自体は火炎炉(フォージ)よりも低いが、全体的な威力が格段に違う。

 

サトゥー「やはり、純戦闘用の魔法は凄い破壊力だ。」

 

ライト「これで一網打尽に出来たら気持ち良いだろうな。」

 

どの攻撃魔法も高威力だったが、光線(レーザー)の魔法が比較的周辺被害が少ない感じだった。

 

サトゥー「光線(レーザー)は発射する本数を減らせば、威力を落とせるので活用出来そうだ。」

 

ライト「周りの被害を格段と抑えれそうだ。」

 

前に入手した『集光(コンデンス)』の魔法も併用すれば、1本に束ねて威力を上げたり、光線(レーザー)の軌道を変えたりと応用出来る事が確認出来た。

 

ライト「集光(コンデンス)に光明が見えて良かったな。」

 

魔法干渉系の『ブレイク・マジック』も試行回数が足りないが、中々良さそうな感じだった。ただ下級は兎も角、『火炎嵐(ファイア・ストーム)』のような中級の攻撃魔法を『ブレイク・マジック』で解除した場合、周囲に余剰魔力の渦が吹き荒れる。

 

サトゥー「「これなら防ぐ方法が必要だな。」

 

魔法書によると、『マナ・セクション』と言う魔法が一番効率的に『渦』を防げるとあった。

 

サトゥー「必要スクロールリストに入れておこう。」

 

通信系はどれも便利だった。ライトと遠話して確認出来た。

 

サトゥー「特に『クレアヒアリス』で遠くに居る仲間達の様子が確認出来て、『遠話』で通話出来るのが良い。」

 

空間魔法の内、『遠話』だけでもアリサかミーアかタスク辺りが使えるようになって貰おう。

 

ライト「詠唱スキルがあるルルでも良いかもな。」

 

 

 

 

 

 

『BGM:休息』

 

朝。復活したアリサ達と屋敷を出ると。

 

リザ「ご主人様!ライト様!空をご覧下さい!」

 

突然リザが声を上げた。空を見ると、1隻の飛空艇が飛んでいた。

 

サヤ「何ですかあれ!?」

 

タマ「魔物〜!」

 

ポチ「おっきな落花生なのです!」

 

キキヌから買った本によると、空力機関と言う魔法装置で飛行するらしい。

 

アリサ「まさにファンタジーね!燃えるわ〜!」

 

ルル「どうやって浮いているんでしょう?」

 

ミーア「飛空艇。」

 

メイリン「飛空艇?」

 

ローズ「何なのそれ?」

 

サトゥー「空飛ぶ船の事だよ。」

 

カリナ「人が乗っているのですか?」

 

ポチ「凄いのです!乗ってみたいのです!」

 

普通に考えて軍事用だと思うから乗せて貰えるかは不明。

 

サトゥー(上手く交渉出来ても全員は無理だろう。何か良い方法が無いかトルマに相談してみよう。)

 

ナナ「マスター。あれが欲しいと懇願します。」

 

ルル「可愛い形ですよね。」

 

アリサ「ご主人様に飛空艇ヌイグルミを作って貰ったら?可愛い上に柔らかいわよ?」

 

ナナ「マスター。飛空艇ヌイグルミを希望します。」

 

サトゥー「いいよ。折角だから作り方を教えてあげるよ。」

 

ナナ「作り方ですか?と問います。」

 

サトゥー「あぁ。自分で作れたら好きなヌイグルミが手に入るだろう?」

 

ナナ「それは!とても良い考えだとマスターを賞賛します!」

 

サトゥー「それは良かった。・・・下町の大市場に行く予定だったけど、飛空艇発着場まで見物に行こうか?」

 

ライト「サトゥー。俺達は先に大市場へ行って来る。何か良い掘り出しもんがあるかも知れないからな。」

 

サトゥー「じゃあ俺達は飛空艇を見て来るから、後で合流だ。」

 

ライト「OK。」

 

タスク「ドロシー。ローズ。メイリン。行くぞ。」

 

メイリン「姉さん早く早く!」

 

ローズ「ドロシーさんも早く!」

 

ドロシー「そ、そんなに引っ張らないで!」

 

 

 

 

 

 

公都の大市場。

 

ライト「うわぁ〜。人が多いなぁ〜。」

 

タスク「最近大きな大会が開かれているからな。こんなに多いのは当たり前だ。」

 

ドロシー「そうね。迷子になりそうだわ。人種の坩堝ね。」

 

タスク「安心しな。俺が感知魔法ですぐ見付けてやるから。」

 

メイリン「あ!姉さん見て下さい!この服可愛いですよ!」

 

赤色のワンピースをローズに見せる。

 

ローズ「本当可愛いわね!これ、メイリンにも似合うんじゃないかしら?」

 

メイリン「え?私ですか?」

 

ドロシー「あの2人、凄くはしゃいでいるね。」

 

タスク「色んな店があるからな。」

 

ライト「何か掘り出しもん無いかな〜?」

 

 

 

 

アリサ「おーーーい!」

 

 

 

 

ライト「お!来たか!」

 

そこにサトゥー達と合流した。

 

ライト「よう。見物楽しめたか?」

 

サトゥー「途中まではね。」

 

ライト「何かあったのか?」

 

事情をライトに話した。

 

ライト「成る程。イバーサと再会し、飛空艇から降りた聖剣士のシャロリック第三王子に、晩餐会で手伝ってくれた侍女が躓いて花を被らせてしまったと。側近の少年兵が侍女を斬り殺そうとした所、レイラスと言う老騎士が助けてくれたと。サトゥー、その少年兵の顔をテレパシーで送ってくれ。」

 

サトゥー「判った。」

 

テレパシーで少年兵の顔をライトに送信した。

 

ライト「この男だな?俺の方もマークしておく。何か突っ掛かって来たら俺が対処する。」

 

サトゥー「助かる。」

 

アリサ「ご主人様!アレ見て!アレ!」

 

サトゥー「こっちじゃ初めて見るな。」

 

イチゴのような果物を買って食べる。

 

アリサ「ちょっと酸っぱいけど美味しいわ〜!ねね!帰ったらお砂糖と練乳を掛けて食べたい!」

 

タマ「練・乳〜?」

 

ポチ「お砂糖だからきっと甘くて美味しいのです!」

 

ライト「帰ったら作ってみようか。」

 

アリサ「やったー!」

 

ポチ「わーい!」

 

サヤ「干し葡萄があります!」

 

アリサ「本当だわ!チーズスフレに入れたら美味しそうね!」

 

ミーア「ん。干しイチジク。」

 

魚の燻製や干物を物色し、カツオ節や干し貝柱なんかを大人買いした。

 

 

 

 

日用品やお洒落用品のエリアに到着。

 

アリサ「口紅に白粉がある!」

 

サトゥー「アリサにはまだ早いよ。この口紅なんかはナナやカリナ様やドロシーに合うんじゃないかな?」

 

ナナ「マスター。塗って下さいと申請します。」

 

カリナ「わ、私も塗って下さると言うのなら、お、お願いしようかしら?」

 

ドロシー「私に似合うのかしら・・・」

 

口紅を買い、カリナに塗る。現代日本と違い、化粧品のテストコーナーは無い様で、買ってからしか試せないと言う。

 

サトゥー(ちょっと得した気分だ。)

 

リザ「ライト様。石鹸と軽石だけで宜しいでしょうか?」

 

ライト「それだけだと勿体無いな。こっちの匂い袋はどうだ?優しい甘い香りだし、リザに1つ買ってやるよ。」

 

リザ「で、ですが、奴隷の身でこのような高価な物を買って戴く訳には・・・」

 

ライト「そう遠慮するな。リザは何時も皆の面倒を見てくれているんだ。これ位当然の報酬だ。受け取れ。」

 

優しく甘い香りのする匂い袋を買って、リザに与えた。頑張り屋さんには、しっかりとご褒美を。

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

???『暗殺と気軽に言うが、聖剣使いの王子やシガ八剣には勝てぬぞ?』

 

???『真面に戦ってどうする。毒を使うのだ。』

 

ライト・サトゥー「?」

 

聞き耳スキルが不穏な会話をキャッチした。

 

???『ヒュドラの毒があれば確実だが、ここで手に入るのは精々・・・』

 

ライト(聞き耳がキャッチした会話・・・何処から聞こえる?)

 

???「犯罪ギルドに依頼を出して来た。」

 

ライト・サトゥー「!」

 

サトゥー(今度は違う声か・・・)

 

???『奴らが騒ぎを起こしている間に、公爵城の地下牢に収監されている同志達を救うぞ。』

 

???『これで俺達も幹部の仲間入り・・・』

 

ライト(また別の奴か。会話を聞いた限り、奴らは犯罪ギルドと自由の翼の残党みたいだな。)

 

サトゥー(みたいだ。だがこの辺りには行動中の犯罪ギルドが多過ぎて判らない。)

 

残党の方は周囲に公都の衛兵達が包囲網を構築していた。

 

サトゥー(俺達の出る幕はなさそうだ。)

 

ライト(そっか。なら、引き続き観光を続けますか。)

 

ルル「ご主人様!ライト様!珍しい食べ物が売ってます!」

 

1つの屋台に売ってる四角い魚を見付けた。

 

ライト「煮凝りか。」

 

店主「お貴族様は食べないような下々の品なのによく知っているね。」

 

ライト「俺達は成り上がりの貴族だからな。」

 

煮凝りを買い、リザ、ルル、ミーア、ローズ、メイリンに食べさせた。

 

サトゥー(見た目や具材を改良すれば、貴族にも広まりそうな気がする。)

 

ポチ「くんくん。良い匂いなのです。」

 

ドロシー「何処からかしら?」

 

アリサ「むむむ?これは!醤油の焼ける匂いね!あれよ!イカの照り焼きだわ!ポチ隊員!タマ隊員!至急容疑者を確保するのよ〜!」

 

タマ「確保〜!」

 

ポチ「逮捕なのです!」

 

タスク「あの2人、憲兵団に昇格したのかよ。」

 

サトゥー(確かに良い匂いだ。)

 

ライト「イカ焼き。久し振りだな。」

 

ナナ「マスター!」

 

突然ナナがサトゥーの腕を抱き、ライトのジャケットの裾を引っ張った。

 

アリサ「ご主人様?」

 

サトゥー「子供達を任せる。ナナの用事を済ませたらすぐ戻るよ。」

 

ライト「タスク。ドロシー。皆を頼む。」

 

タスク「ああ。行って来い。」

 

ドロシー「気を付けてね。」

 

 

 

 

ナナに連れて行かれた通りには。

 

サトゥー(あれは・・・子供?)

 

2匹のアシカ人族が歩いている光景が見えた。

 

ライト「アシカ人族。珍しいな。」

 

サトゥー(子供達は姉妹のようだ。)

 

ナナ「あの幼生体の動きは計算不能です。効率的ではないのに目が離せないと告げます。」

 

サトゥー(確かに可愛い歩き方と言えなくもない。)

 

ライト(あの2人を狙う奴は・・・居なさそうだ。)

 

男性「暴れ馬だ!皆避けろ!!」

 

だが、男を乗せた暴れ馬が通りに現れ暴走し始めた。

 

ナナ「マスター!幼生体の危険が危ないと訴えます!」

 

アシカ人族の姉妹が逃げるが、虎人の男にぶつかって倒れてしまった。

 

ナナ「幼生体!」

 

大ジャンプしアシカ人族の姉妹を助けに行った。暴れ馬はそのまま通りを去って行った。

 

サトゥー「虎人と暴れ馬も気になるが、先にナナの方へ行こう。」

 

ライト「なら、アイツらはゴウラムが。」

 

黒い水晶玉からゴウラムを召喚した。

 

ライト「ゴウラム!暴れ馬を追え!」

 

ゴウラムが暴れ馬を追跡する。

 

ナナ「マスター!幼生体の口から体液を出しています!緊急処置を要請します!至急が緊急で急いで欲しいと懇願します!」

 

ライト「分かった。すぐに治す。」

 

ポーションを取り出し、アシカ人族の姉妹に飲ませた。2人のHPが全快した。

 

ライト「間に合ったか。」

 

周囲の人達が、全快したアシカ人族の姉妹を見て歓声を挙げた。

 

サトゥー(アシカ人の人気は凄いらしい。)

 

先程の暴れ馬は『自由の翼』の残党が乗っていたらしい。ゴウラムが残党を転がせ、衛兵達が残党を確保した。一方、虎人の男は血みどころで気絶していたものの、命に別状はなかった。

 

サトゥー(他にも『自由の翼』の残党が居たらイヤだな。)

 

他には公爵城の地下牢や尖塔に収監されている者達。少し検索範囲を広げると、港に入港中の1つに『自由の翼』の残党が乗り込んでいるのが発見した。

 

サトゥー(ここは本職の人に任せるか。ライト。)

 

ライト(よし。)

 

1人の衛兵に気付かれないように近付き、腹話術スキルで話し掛けた。

 

ライト『公爵閣下よりの伝令だ。』

 

衛兵「何?何処からの声だ?」

 

ライト『港に入港中の『解放』号に『自由の翼』の残党が乗り込んでいる。臨検を行い残党を捕縛せよ。』

 

衛兵「・・・・・・!?」

 

ライト『速やかに行動せよ。』

 

衛兵はすぐに行動を開始した。

 

ライト(後は任せて大丈夫だな。)

 

妹「・・・おいし。」

 

ライト「蜂蜜入りのポーションが美味しいんだな。」

 

ナナ「マスター。この子達もうちの子になる事を提案します。」

 

サトゥー「ダメ。」

 

ナナ「マスター。再考を。」

 

ライト「却下だ。」

 

”ゴーン!ゴーン!ゴーン!”

 

鐘の音が鳴り、アシカ人族の姉妹が走り出した。

 

ライト「何処行くんだ?」

 

サトゥー(子供達の向かう方向に、何故かアリサ達が居るようだ。)

 

 

 

 

『BGM:休息』

 

向かった先には、7つの神殿が立ち並ぶちょっとした広場があり、神官や有志による炊き出しが行われている。巫女長が居るテニオン神殿は貴族区画。

 

ライト(来たのは良いが・・・)

 

タマ「並べ〜!並ぶのだ〜!」

 

ポチ「ちゃんと並ぶのです!横入りはメッなのです!」

 

ローズ「割り込まないように気を付けてね。」

 

サヤ「ダメですよ!横入りはダメですよ!」

 

リザ「最後尾はこちらです。自分の椀を持って3列に並んで下さい。」

 

アリサ「そこ!喧嘩するなら最後尾に並び直させるわよ!」

 

メイリン「横入りは皆の迷惑ですよ〜!」

 

ライト「何であの子達が・・・」

 

アリサ「あらご主人様。ライト様。ナナの用事って何だったの?」

 

サトゥー「あの子達の保護だよ。」

 

先程助けたアシカ人族の姉妹の方を見てそう言った。

 

ライト「んで、君らはどう言う経緯で行列整理をするハメになったんだ?」

 

アリサ「成り行きかな?」

 

ライト「成り行き?」

 

アリサ「年甲斐もなく行列に割り込んで騒いでいた獣人の男達をポチが注意して、それに逆ギレして殴り掛かって来た連中をタスク様とジークが制圧しちゃって。その流れのままに行列整理を買って出る事になったのよ。」

 

その際、ポチより先に止めに入った給仕の女性が怪我をしてしまったらしく、ルルとドロシーが手伝いを買って出たらしい。

 

ライト「成る程な。タスクとジークは?」

 

アリサ「騒ぎがないか見回っているわ。途中で投げ出すのも悪いから、後1時間程は手伝いたいんだけど、良いよね?」

 

サトゥー「勿論だ。」

 

ライト「その方が人の為になるしな。」

 

ルル「ご主人様!ライト様!」

 

手を振るルルを見ると、1人の女性が。

 

セーラ「サトゥーさん!ライトさん!」

 

その女性の正体は、神子のセーラだった。

 

サトゥー「お久し振りです。セーラ様。」

 

ライト「お元気そうで何より。」

 

セーラ「また、お会い出来ましたね・・・」

 

サトゥー「えぇ。約束しましたから。」

 

セーラ「・・・・・はい。」

 

サトゥーの後ろで”ぐぬぬ・・・”と悔しがるアリサとミーアが居た。

 

ライト「そうだ。神殿からの緊急召喚の事なんだけど。もう解放されたのか?」

 

セーラ「は、はい・・・あれは誤報だったそうなのです。」

 

あの緊急召喚は、セーラを魔王の生贄に狙っていた奴が仕組んだ罠だった。命を落とした直後だけにセーラの護衛は彼ら以外も居たらしく、広場には市民に変装した公爵の近衛兵達が巡回していた。

 

サトゥー「すみません、お邪魔してしまって。私は向こうで料理の手伝いでもしておきますので。セーラ様も奉仕活動にお戻り下さい。」

 

ライト「んじゃこっちは。」

 

再びゴウラムを召喚した。

 

ライト「ゴウラム。騒ぎがないよう見回りを頼む。」

 

ゴウラムは行列の真上を回る。

 

サトゥー「手伝いますよ。」

 

給仕A「いや大丈夫だよ、でございます。貴族様に手伝って貰うのは恐れ多い、でございます。」

 

ピナ「士爵様は気さくな方ですから大丈夫ですよ。地元でも町の子達に手作りのお菓子を振る舞っておられましたから。」

 

給仕A「ピナがそう言うなら、お願いしようかね?」

 

給仕B「お嬢ちゃん達。こっちに来て一緒に団子を作らんかね?」

 

ミーア「ん。やる。」

 

サヤ「はい!やらせて下さい!」

 

サトゥー「カリナ様もミーアとサヤと一緒にやってみませんか?」

 

カリナ「わ、私は・・・その・・・え、遠慮しておきますわ!」

 

サトゥー(人見知り・・・)

 

給仕C「あんた、貴族の割に筋が良いね。家を継がなくて良いからうちの店で働かないかい?うちの娘を嫁にやるよ。」

 

ミーア「ダメ。」

 

ルル・カリナ・セーラ「だ、ダメです!え?」

 

ドロシー「あらあら。見事にハモったわね。」

 

 

 

 

そして、大したトラブルが起こる事もなく炊き出しが終わった。ただ、途中から肉団子が高級なものに変わったと騒いでいる者達も居たが、リザとタスクとジークが一睨みで騒動になる前に静かになった。

 

アリサ「手伝うのは良いけど、手加減しなさいよ?」

 

騒ぎの原因は、調理スキル最大のサトゥーが原因だった。

 

この炊き出しは、下町にある5つの神殿が交代が行なっている。隔日に一食のみ行われ、その費用は神殿だけでなく貴族や町の名士からの寄付で賄われている。

 

タマ「片付け〜!」

 

ポチ「なのです!」

 

セーラ「すみません。片付けまで手伝っていただいて。」

 

サトゥー「いえ。大した事はありませんから。気にしないで下さい。」

 

ライト(レベルアップの恩恵で、今ではルルも一般的な男性より力持ちになった。)

 

タスク「見回り終わったぞ。」

 

ジーク「異常なしだ。」

 

ライト「おう。ご苦労さん。ゴウラムもご苦労さん。」

 

男性「あれを見ろ!リーングランデ様だ!」

 

ライト「本当だ。」

 

空を飛ぶリーングランデの姿が見えた。

 

サトゥー(こちらに降りて来るようだ。)

 

セーラ「リーン姉様・・・」

 

彼女はサトゥーを引っ張って逃げ出した。

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

近くの物置小屋に身を潜める。

 

ライト「良いのか?姉上の出迎えは。」

 

セーラ「か、構いません。私はオーユゴック公爵家を出た身ですから・・・」

 

サトゥー(やはり、セーラはお姉さんのリーングランデ様が苦手なようだ。)

 

リーングランデ「セーラ!こんな所に居たのね!」

 

身を潜めていたが、すぐ見付かってしまった。

 

リーングランデ「前に会った時はあんなに小さかったのに、大きくなったわね。・・・あら?サトゥー?ライト?」

 

ライト「ハロー。」

 

サトゥーの手を握ってるセーラを見て、リーングランデが察した。

 

リーングランデ「サトゥー。あなた随分セーラと仲が良いのね。」

 

サトゥー(あれ?)

 

セーラ「サトゥーさん。リーン姉様とお知り合いなのですか?」

 

サトゥー(この修羅場風の状況は何?)

 

ライト(美人2人に問い詰められるサトゥー。どう出る?)

 

サトゥー「公都への船旅の途中でリーングランデ嬢が乗船していらした時に面識を得ました。」

 

リーングランデ「あら。あんなに熱い時を過ごしたのに、サトゥーったら他人行儀なのね?」

 

セーラ「・・・あ、熱い時!?」

 

ライト「誤解してるな。ただ船の上で稽古をしていただけだ。」

 

リーングランデ「手料理もご馳走してくれたんじゃない。王城やサガ帝国の宮廷でしか食べられないような味だったわ。」

 

サトゥー(何故余計な情報を・・・)

 

セーラ「も、もしかして、あの透明なスープですか?」

 

ライト「悪いな。あれは作るのに時間を費やすんだ。滅多に作らないんだ。」

 

セーラ「そうですか・・・」

 

リーングランデ「透明なスープって、お祖父様が次の夜会でサトゥーとライトに作れって言っていたコンソメスープの事?」

 

セーラ「夜会ですか・・・」

 

サトゥー「今度、巫女長様へのお見舞いにテニオン神殿の皆様にもコンソメスープをお持ちしようと考えているのですが、問題ないでしょうか?」

 

セーラ「ええ!きっと皆喜ぶと思います!」

 

リーングランデ「むっ?サトゥー。あなたはセーラを狙ってるの?この子は貴族の生活が嫌で家を出て神殿に入ったのよ?あなたがセーラを出世の道具にしようと言うのなら、私は全力であなたを排除するわよ。」

 

セーラ「リーン姉様!」

 

サトゥー「リーングランデ様。そのような心配は無用でございます。セーラ様には、友人のように接して頂いていますが、そのような大それた望みは抱いておりません。」

 

リーングランデ「そう・・・それなら良いわ。」

 

セーラ「友人・・・」

 

リーングランデ「取り敢えず信じてあげるわ。それで、何処でセーラと親しくなったの?」

 

ライト「実はセーラはムーノ男爵領への視察の際に案内役を仰せつかったんだ。その縁で親しくさせて頂いたんだ。」

 

セーラ・リーングランデ「親しく。」

 

するとそこに、1人の巫女が慌てて駆け込んで来た。

 

巫女「セーラ様!大変です!殿下が!シャロリック殿下がお見えになっています!」

 

ライト(シャロリック?サトゥーが言ってた危ない坊ちゃんか。)

 

サトゥー(そうだ。しかし、セーラに何の用だろう?)

 

リーングランデ「殿下の相手は私がするから、セーラはここで待っていなさい。」

 

セーラ「いいえ。私も参ります。」

 

ライト「俺も行く。」

 

タスク「同行する。」

 

サトゥー「アリサとミーアはリザ達に合流するように。」

 

アリサ・ミーア「うん。」

 

 

 

 

シャロリックが居る神殿へ向かった。

 

リーングランデ「シャロリック殿下が神殿に足を踏み入れるなんて、珍しい事もあったものね。」

 

シャロリック「リーン!やはりあの飛翔木馬に乗っていたのは君だったのか!」

 

リーングランデ「殿下。私を愛称で呼ぶのは止めて下さい。」

 

シャロリック「何故だ?婚約者を名前で呼んで何が悪い?」

 

リーングランデ「()婚約者です。王国を出奔する前に陛下から許可を頂いております。」

 

シャロリック「君が一方的に破棄しただけで、私は了承した覚えはない。庶子は纏めて処分したし。それにユリーンもデメティーナも君の事を歓迎すると言っている。何の問題はない。」

 

サトゥー(問題だらけな気がする。)

 

タスク(他にも婚約者が居るのか。)

 

リーングランデ「他家に嫁ぐ結婚前夜の花嫁に手を出して、伯爵領の1つを王国から離反させ掛けたのをお忘れですか?」

 

シャロリック「ラーゼナの事既に解決済みだ。ぐずっていた伯爵も代替わりした。」

 

ライト(なんつー大馬鹿な殿下様だ事。)

 

セーラ「それで・・・本日は神殿にどのようなご用件でしょう?」

 

シャロリック「この無礼者!!」

 

セーラ「キャッ!!」

 

突然シャロリックがセーラを見て殴った。だが・・・

 

ライト「止めとけ。罪の無い少女を傷付けて良い事起きないぞぉ〜?」

 

シャロリックの拳を、ライトの右足が受け止めた。

 

リーングランデ「殿下!」

 

シャロリック「私とリーンの会話に割り込んだばかりか、王族の玉体に触れるなど万死に値するぞ下郎。やれ!」

 

少年兵「は〜い!3人共やっちゃって良いんだよね〜。」

 

側近の少年兵が剣を抜いた。

 

リーングランデ「止めなさい!」

 

少年兵「ごめんね〜。殿下の命令なんだ〜。」

 

サトゥー(王族に向けて剣を抜いたと取られると少々マズい。)

 

ライト(おいサトゥー、試したい物があるんだ。俺がやる。)

 

サトゥー(失礼のないようにね。)

 

前に出たライトがポケットから何かを出した。少年兵が剣をライトに振り下ろしたが、ライトがボールで剣を防いだ。

 

少年兵「何なのそれ?何かのマジック・アイテム?」

 

ライト「いーや?ただのボールさ。近くの出店で買った奴。」

 

少年兵「・・・ボール!?バ・・・バカにしやがって!!!」

 

逆上した少年兵が剣を振るが、ライトがボールで何度も防ぐ。

 

ライト「おいおい、たった1個のボールすら切れないのか?お前の剣。今度おすすめの砥石紹介してやろうか?」

 

少年兵「巫山戯やがって!!!!」

 

タスク「ーーーーーーー!」

 

聖書を持って詠唱を唱えると、少年兵が金縛りになった。

 

少年兵「な・・・何だこれは・・・!?」

 

タスク「あんまりヤケになるなよ?これ以上暴れると面倒になるからな。」

 

ライト「ほらよっと!」

 

投げたボールが、少年兵の剣の刀身を折った。

 

シャロリック「その聖書・・・エクソシストか。」

 

リーングランデ「殿下。私の妹を殺そうとした挙句、それを守った私の弟子達まで殺そうとするなんて。今度はオーユゴック侯爵領をシガ王国から離反させたいのかしら?」

 

シャロリック「こやつがリーンの妹だと?なんと地味で面白みのない娘だ。こんな娘を娶らねばならぬとは・・・」

 

リーングランデ「何ですって!?あなた正気なの!?」

 

シャロリック「無論正気だ。私は三侯爵の娘を娶り、至尊の地位を目指せねばならぬ。」

 

リーングランデ「簒奪でも目指すつもり?文武に優れたソルトリック第一王子のことを誰もが世継ぎと認めているはずよ?」

 

シャロリック「簒奪だと?貴様も所詮はただの秀才どまりか。複数の神殿で神託が分かれた意味を知れ!」

 

サトゥー(おや?王子は理由を知っているのかな?)

 

リーングランデ「何を・・・!?」

 

シャロリック「やがて『大乱の世』が始まる。王祖様やサガ帝国の初代勇者が国を興した時のような、波瀾万丈の時代が始まるのだ!そして魔王を下し、その波乱の時代を乗り切ってあらたな王国・・・いや、人族を全て集めた新たな帝国を築くのが、この私シャロリック・シガなのだ!リーンよ!サガ帝国の勇者など捨てて、我が下に戻れ!今なら過去のことは忘れて快く迎え入れてやろう!」

 

ライト(コイツ・・・狂ってやがる・・・!)

 

タスク(完全に悪魔に取り憑かれた器だな・・・!)

 

ライト・サトゥー(!)

 

マップのレーダーに異変が起きた。レーダーに映る赤い光点が増えたのだ。神殿前の7つは『自由の翼』の残党。そしてテニオン神殿の裏手の3つが暗殺ギルド『豚の爪』。前者は船で来た連中。

 

サトゥー(船上で残党と衛兵達が激しく戦っている。)

 

そこに神殿騎士が慌てて駆け込んで来た。

 

神殿騎士「セーラ様!!賊が接近して・・・!」

 

神殿の外では、残党と神殿騎士が剣を交え、暗殺者達は神殿の裏口の倉庫に向かって移動している。アリサ達は戦いに加わらず、ライト達と合流する為に神殿の倉庫に向かって移動している。

 

サトゥー「(ここは高レベルのリーングランデと王子に任せて、俺達はセーラを連れて皆と合流しよう。)リーングランデ嬢!セーラ様の事は私に任せて賊の討伐を!」

 

リーングランデ「仕方ないわね。」

 

 

 

 

『BGM:戦慄』

 

神殿の扉が破壊され、自由の翼と2体の下級魔族が現れた。

 

構成員「居たぞ!セーラ公女だ!あの娘を攫えば同士の救出も魔王陛下の復活も思いのままだ!周囲の雑魚共は魔族に転生した元同志に任せろ!!」

 

ライト「おーお。続々とお客様がおいでなすったな?」

 

そこにリザがやって来た。

 

リザ「ご主人様!ライト様!タスク様!ご指示を!」

 

サトゥー「俺達と一緒にセーラ様を守るんだ!」

 

タスク「セーラ様、失礼します。」

 

彼女を抱えてアリサ達と合流しに行く。

 

構成員「逃げたぞ!追え!」

 

リーングランデ「追わせると思う?」

 

構成員「追うとも!!」

 

迫り来る下級魔族の羽虫。だがリーングランデが剣を抜いて羽虫を粉砕した。

 

構成員「雷の大剣・・・!?まさか『天破の魔女』か!?勇者の従者がどうしてこんな場所に!?」

 

驚く構成員お構いなしに魔族をを討伐。シャロリックと少年兵も加勢する。

 

 

 

 

 

 

『BGM:幕間』

 

倉庫で皆と合流した。

 

サトゥー「リザ!倉庫内に引き込んで羽虫」

 

リザ「承知!」

 

サトゥー「タマとポチは2人で1匹を狙え!ナナは他の子達の護衛だ!」

 

タマ「合点〜!」

 

ポチ「承知の助なのです!」

 

ナナ「イエスマスター。」

 

ライト「ジークとサヤはポチ達の援護を頼む。」

 

ジーク「任せろ。」

 

サヤ「はい!」

 

タスク「ドロシーとローズとメイリンは魔法で援護してくれ。」

 

ドロシー「ええ。」

 

ローズ「分かったわ。」

 

メイリン「任せて下さい。」

 

カリナ「わ、私も戦えますわ!」

 

サトゥー「なら、カリナ様も1匹をお願いします。」

 

ライト「セーラはナナとドロシー達の近くに。」

 

セーラ「は、はい。」

 

カリナ「アリサ!これを!」

 

アリサ「おっけー!」

 

魔封じの鈴を鳴らす。

 

ライト「タスク!」

 

タスク「ああ!」

 

ライト「タスク!」

 

2人がマジックリボルバーと剣と聖書を構える。急襲!大乱戦を潜り抜けろ!

 

 

 

 

『ツヅク』




         キャスト

       ライト:山崎大輝

      サトゥー:堀江瞬
        ポチ:河野ひより
        タマ:奥野香耶
        リザ:津田美波
       アリサ:悠木碧
        ルル:早瀬莉花
       ミーア:永野愛理
        ナナ:安野希世乃
       ジーク:相葉裕樹
        サヤ:大野柚布子
       タスク:小林裕介
      ドロシー:山村響
       ローズ:藤田咲
      メイリン:佐藤亜美菜

       セーラ:前川涼子
    シリルトーア:高橋美佳子

       トルマ:狩野翔
       キキヌ:木村雅史
      ユーカム:田中進太郎

   リーングランデ:Lynn

       少年兵:千葉翔也

    シャロリック:松風雅也

DEATH MARCH75「巻物」
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