デスマーチからはじまる異世界空我   作:naogran

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DEATH MARCH79「黒竜」

『BGM:捜査』

 

銀船のコックピットは、SF映画に登場する宇宙船のようだ。

 

ライト「凄え・・・」

 

タスク「見た事ないぞこれ・・・」

 

ウィーヤリィ「この子達か?リーンが言っていた将来有望な子って?」

 

ルスス「そうだよ!ハヤトに似た風貌だkど、ちょっとなよっとした感じだよね。」

 

フィフィ「リーンが将来有望って言ってたけど、手に豆1つないや。」

 

ルススとフィフィは、ライトとサトゥーの手を触る。

 

ルスス「促成栽培君か〜。」

 

フィフィ「つまんな〜い。レベルだけ高い貴族のボンボンじゃん。」

 

ライト「何か酷い言われようだな。」

 

ウィーヤリィ「仲間がすまない。リーンが君達の事をやたらと持ち上げるので過度な期待を抱いていたようだ。」

 

サトゥー「いえいえ。お気になさらず。」

 

ライト「こう言うの慣れっこだから俺ら。」

 

ハヤト「出発するぞ!総員シートに着け!」

 

勇者パーティ「了解!」

 

ハヤト「サトゥーとライトとタスクは、船長席の後ろにある補助席だ。」

 

サトゥー「分かりました。」

 

ライト「ありがとう。」

 

4つ補助席の内1つにはメネアが座っていた。

 

メネア「本当にいらしたのですね・・・」

 

タスク「彼女がルモォークの姫君か?」

 

ライト「まあな。」

 

サトゥー「えぇ。折角の勇者様のお招きですから。」

 

ライト「誘われて断る理由なんてないからな。」

 

メネア「ならば勇者様のお手を煩わせないように私の傍で一緒に護衛騎士に守られていて下さいね。」

 

サトゥー「お気遣い感謝します。」

 

元より勇者の邪魔をするつもりはない。黒竜戦の間は彼女達と一緒に観戦に徹底しようと思う。

 

ハヤト「ジュールベルヌ発進!」

 

ウィーヤリィ「ジュールベルヌ発進!」

 

銀船・ジュールベルヌが起動した。

 

ハヤト「次元潜行!」

 

ウィーヤリィ「ジュールベルヌ次元潜行!」

 

ジュールベルヌが次元の中を潜行する。

 

 

 

 

次元内。

 

ウィーヤリィ「次元潜行確認。自動航行に移ります。」

 

ハヤト「許可する。」

 

ジュールベルヌを自動操縦に切り替える。

 

ハヤト「ロレイヤ。コーヒーでも淹れてくれ。」

 

ライト(ッ!?コーヒーだと!?キルヴィス王国以外にもあったのか!)

 

サトゥー「勇者様、この船にはコーヒーがあるのですか?」

 

ハヤト「ああ。お前達も飲むか?」

 

サトゥー「はい是非!」

 

ライト「頂くぜ!」

 

タスク「コーヒーかぁ・・・」

 

リーングランデ「サトゥー。ライト。タスク。勇者物語を見て憧れているんでしょうけど、コーヒーなんて苦いだけで美味しくもなんともないわよ?」

 

サトゥー(デスマーチな徹夜作業の戦友たるコーヒーの良さが判らないなんて!)

 

ライト(元々カフェ巡りが趣味の俺がどれだけコーヒーを飲んで来たか判らないなんて可哀想だな!)

 

タスク(姉さんがよく飲んでたコーヒーが飲めるなんて。)

 

神官のロレイヤが淹れたコーヒーを飲む。

 

ロレイヤ「サトゥーさん。初めての方はお砂糖かクリームを入れないと苦いですよ?」

 

サトゥー「いえ。実に美味いです。(五臓六腑に染み渡る美味さだ。)」

 

ライト(あぁ〜、この懐かしい香りと味。やっぱコーヒーはエエわぁ〜。)

 

タスク(これが姉さんがよく飲んでいたコーヒー。実に旨いな!)

 

ライト「なあ。コーヒー豆ってのはサガ帝国でも栽培されているのか?」

 

メリーエスト「えぇ。今あなた達が飲んだのはサガ帝国の西方にあるキリマンジャロ侯爵領の特産品ですわね。他にもブルマン伯爵領やモカ子爵領のコーヒー豆が有名かしら。」

 

サトゥー(成る程。良い話を聞いた。)

 

ライト(領地主の名前が全部ブレンド豆とか面白いな。)

 

サトゥー(異世界ではコーヒーの人気がないようで、俺達と勇者以外は紅茶らしい。)

 

お茶請けに出たお菓子が砂糖の塊のような物だったので、ガレージ・バッグ経由でストレージから取り出した焼き菓子を提供した。

 

メリーエスト「こんな風に焼きたての風味を維持出来るなんて・・・余程腕の良いマジック・アイテム職人がいるのね。」

 

そう言いながら焼き菓子を1口。

 

メリーエスト「あら美味しい。」

 

ロレイヤ「口の中で溶けて上品な甘さが口の中に広がります。」

 

ルスス「何コレ!?」

 

フィフィ「クッキーだよね!?」

 

リーングランデ「でしょう?サトゥーとライトの料理は凄いのよ!」

 

ウィーヤリィ「本当!サクサクしていて素敵!」

 

メネア「流石は大国の料理人・・・これ程の味が我が国の宮廷料理人にも出せません・・・」

 

 

 

 

道中のお茶の間に、メリーエストやリーングランデからサガ帝国の魔法やマジック・アイテムについて色々と教えて貰った。

 

到着時刻まで6時間を切った頃に竜退治に備えて仮眠を取る事になった。女性陣は仮眠室で。サトゥー、ライト、タスク、ハヤトは艦橋でリクライニングされた座席がベッド代わり。

 

サトゥー(今頃公都の仲間達も大きなベッドで丸くなって眠っているに違いない。)

 

ライト(ドロシー達は眠ってるアリサ達を見守ってる頃だろうな。)

 

遠見魔法の『クレアボヤンス』で様子を確認したかったが、船の対魔法警戒が鳴っても困るので自重しておく。

 

ライト・サトゥー(おやすみ・・・)

 

 

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

翌朝。宇宙食のようなレーションとコーヒーの組み合わせした朝食を頂いた。

 

メリーエスト「そろそろ到着かしら?」

 

サトゥー「早いですね。」

 

ライト(凄いな。出発してからまだ12時間程しか経過してないぞ。)

 

到着が夜明けになるように調整したそうで、実際はもっと早くする事が可能だったらしい。

 

ハヤト「通常空間に戻るぞ。全員席に着け。」

 

全員が席に着き、シートベルトを着ける。

 

サトゥー(シートベルトはこちらの人達には一般的ではないようだ。ウィーヤリィ嬢くらいしか着けていない。)

 

ハヤト「通常空間復帰。」

 

ウィーヤリィ「通常空間に復帰します。」

 

通常空間に復帰した瞬間。ライトとサトゥーの危機感知スキルとタスクの魔法感知が反応した。

 

ライト・サトゥー・タスク「避けろ!!」

 

ルスス「面舵一杯!!!」

 

ジュールベルヌが風を受けて大きく揺れ始めた。

 

メネア「ひゃっ!!」

 

バランスを崩したメネアをサトゥーが受け止める。

 

ハヤト「総員何かに捕まれ!!」

 

フィフィ「何がどうなってんのよ!」

 

ルスス「いいからフィフィ!早く手すりに掴まれぇええ!!」

 

メリーエスト「キャーッ!」

 

ロレイヤ「あれぇ〜!」

 

バランス崩して転ぶ2人をサトゥーが受け止めた。サトゥーは今3人を全力で受け止めてる。

 

タスク「ライト!これは一体・・・!!」

 

ライト「分からない・・・だが近くに何か居るみたいだ・・・!!」

 

ハヤト「ウィー!スタビライザーだ!」

 

ウィーヤリィ「もう全力!!」

 

サトゥー(全マップ探査!マジック・ハンド!)

 

マジック・ハンドで風を打ち消した。ジュールベルヌが軌道が水平に戻った。

 

ライト(軌道が水平に戻った。流石はサトゥー。)

 

メリーエスト「あ、ありがとうペンドラゴン卿。もう離して下さっていいわ。」

 

ロレイヤ「感謝致します士爵様。」

 

サトゥー「大丈夫ですか?」

 

メネア「は、はい・・・」

 

ポカーンとなってるメネアを席に座らせてシートベルトを着けてあげた。

 

ライト(サトゥー。マップに赤い光点が映ったぞ。)

 

サトゥー(こっちでも確認した。成竜か。)

 

ライト(どうやらご機嫌斜めみたいだな。)

 

メリーエスト「ハヤト!前方地表に竜よ!この強大な反応は間違いなく黒竜山脈の主に違いないわ!」

 

ハヤト「ウィー!次元潜行だ!」

 

ウィーヤリィ「ダメ!次元潜行機能が『はんぐあっぷ』してる!」

 

ライト(機能がフリーズしたか。)

 

先程の衝撃は『ドラゴン・ブレス』か何らかの魔法攻撃だったのだろう。

 

ハヤト「分かった。俺様は船首に向かう。」

 

ライト「俺達も。」

 

タスク「ああ。」

 

リーングランデ「ちょっと?サトゥー!?ライト!?タスク!?」

 

 

 

 

『BGM:脅威』

 

船首に出ると、大木の傍に屯む巨大な黒竜がいた。

 

ハヤト「本物の竜か!」

 

すると黒竜が口に魔力を集め始めた。

 

ハヤト「ヤバイッ!ドラゴン・ブレスだ!《奏でろ》トゥーナス!」

 

ジュールベルヌの前に巨大なシールドが展開。

 

サトゥー(フレキシブル・シールド!)

 

タスク「ーーーーーマジックシールド!」

 

更に3つのシールドが重ねて展開した。

 

ハヤト「サトゥーとタスクか!」

 

サトゥー「はい。スクロールの魔法ですので気休め程度ですが・・・」

 

タスク「俺のは持ってる中で高度なシールド魔法だ。これで少しは・・・」

 

黒竜がドラゴン・ブレスを放った。

 

ハヤト「うぉおおおおおおお!!!!!」

 

ドラゴン・ブレスを防ぐシールド。

 

ハヤト「ぬぅおおおお!!!」

 

ブレスの風圧にハヤトが飛ばされたが。

 

ライト「危ねえ!!」

 

飛ばされたハヤトをライトが掴んだ。

 

ハヤト「助かったぜライト!」

 

ドラゴン・ブレスでシールドにヒビが入り始めた。

 

ハヤト「ちっ!俺様の防御はこんなもんじゃねぇぜ!」

 

絶体絶命のピンチと言えるが、同時にチャンスも近い。ドラゴン・ブレスもそろそろ時間切れしそうな感じ。

 

サトゥー(このまま耐え切れそうな気もするが、念の為に『フレキシブル・シールド』を2枚程・・・)

 

再びフレキシブル・シールドを発動し、2枚に増やした。

 

ハヤト「・・・サトゥーか?」

 

サトゥー(やばい。勇者が疑問を抱いたようだ。ライト、勢いで乗り切ってくれ。)

 

ライト「今だ勇者!聖剣の力を!」

 

ハヤト「おう!任せろ!《歌え》アロンダイト!」

 

聖剣アロンダイトに膨大な魔力が収束する。

 

ハヤト「これでも食らいやがれぇえ!!シャイニング・ストラッシュ!!!!」

 

勇者の一撃が、竜を穿つ・・・!!

 

竜『GWROROOOOOUNN!!!』

 

サトゥー(今のは言葉だったのか。)

 

ライト(何か苦しんでるみたいだ。)

 

竜語スキルを獲得しアクティベートした。

 

ライト(何だあれ?)

 

望遠スキルで、竜の顎下で光ってる白いナイフを発見した。

 

サトゥー(白いナイフのような物が・・・マジック・ハンド。)

 

マジック・ハンドで竜の顎下に刺さってる白いナイフを秘密裏に引き抜いた。

 

ウィーヤリィ「ハヤト!左舷空力機関が消失!右舷側も出力が低下している!竜から離れた位置に不時着するぞ!」

 

ハヤト「俺様はフライング・ブーツで飛行して竜の注意を引き付ける!その間に船から離れて潜伏しろ!」

 

メリーエスト「ダメよ!危険過ぎるわ!」

 

竜『RUWULOOOUUNN!!!』

 

サトゥー(ご機嫌そうな声だ。)

 

ナイフが取れた事に機嫌が直ったのか、竜はその場から飛び去った。

 

ハヤト「どう言う事だ?」

 

ライト「多分機嫌が良いから見逃してあげたんだろう。」

 

サトゥー(多分顎に刺さっていたナイフが不快で怒っていたんだろう。)

 

ハヤト「はは。あれが竜か・・・魔王はあれと同じか・・・それよりも強いのか・・・」

 

サトゥー(確かに魔王の方が強かったが、攻撃力ならさっきの黒竜の『ドラゴン・ブレス』の方が強かったりする。)

 

称号『竜を退ける者』を得た。

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

銀船が大樹の前に不時着し、乗組員達全員降りた。

 

ハヤト「随分デカい木だな。」

 

メネア「あれは癒眠樹と言う木でしょう。ルモォーク王家に伝わる逸話によると、何百年も前に旅のエルフが植えたものだそうです。」

 

ライト「ガーデニングするにはデカ過ぎるなアレ。」

 

船の修理をウィーヤリィに任せて、徒歩で竜が寝そべっていた付近の調査に来た。

 

サトゥー(大きさの対比から考えると、さっきの黒竜は全長100メートル近くあったらしい。)

 

この村の住人は山2つ向こうにある街に避難しているようで、この近辺には誰も居ない。この谷底がルモォーク王国を始めとした周辺の小国とシガ王国を結ぶ街道になっており、街道沿いの宿場として栄えていた可能性がある。

 

ライト(癒眠樹は公都魔法屋のキキヌの旦那に聞いた事あるな。)

 

彼の故郷は遥か彼方に見える黒竜山脈の麓だった。旅のエルフとやらは複数の場所に癒眠樹を植林したのだろう。

 

リーングランデ「こ、これ・・・蛍鈴蘭じゃないかしら?」

 

メリーエスト「昼だから判り難いけど間違いないわ!他にも宝石草に一夜百合・・・ああ!水晶茸まであるわ!摘むわよリーン!」

 

リーングランデ「えぇ!処理用の安定剤の在庫が心許ないけど摘めるだけ摘みましょう!」

 

ライト「レア素材がたんまりあるとは。」

 

タスク「珍しい事があるもんだな。あんなに貴重な素材が所狭しと咲き乱れているなんてな。」

 

サトゥー「タスクはあの素材を知っているのか?」

 

タスク「ああ。旅の途中で聞いた事があるんだ。あの氷結花と呼ばれる妖花はな、乾燥させた粉末を一摘みヒールポーションに混ぜると重度の火傷でも綺麗に治る効果があるから各国で高値で取引されているんだ。」

 

ライト「じゃあこの瞬間は取り放題って訳か。」

 

メネア「この里は癒眠樹と食芋が取り柄の村だったはずなのですが・・・」

 

フィフィ「どうやら竜の寝ていた周囲に生えているみたいだよ。」

 

ルスス「あっちの水たまりの方から酒の臭いがしているよ。もしかしてもしかしたら、伝説の竜泉酒じゃないかな?」

 

ロレイヤ「竜泉酒と言えば、竜が魔法で作り出す美酒ですよね?飲むと100年寿命が延びるとか・・・」

 

ライト(伝説の酒かぁ。)

 

サトゥー(ちょっと興味がある。)

 

ロレイヤ「私はあちらの調査に参りますね。」

 

メリーエスト「ロレイヤ。飲み過ぎちゃダメよ?」

 

ロレイヤ「判ってます。」

 

リーングランデ「サトゥー!ライト!タスク!あなた達も摘みなさい!すぐに処理しないと効能は落ちるけど、こんな希少な素材が取り放題なんて滅多にないわ!」

 

メリーエスト「リーンの言う通りよ。多分『竜の息吹』の影響で生えた物だから、竜が去った以上数日と経たない内に枯れてしまうはずよ。」

 

サトゥー「はい・・・」

 

ライト「周辺を調べようと思ってたのに。」

 

タスク「まあまあ。今は採取に専念しよう。得られる物は得られるだけ持とう。」

 

4人はメリーエストから積み方を教えて貰いながら採取に励む。尚、自分の摘んだ薬草は自由らしい。本来ならルモォーク王国に権利があるのだが、王国の人間がここに辿り着く前に枯れる可能性が高い事と、竜を追い払うと言う難事をなしてくれた勇者一行の報酬として王女から許可を貰った体裁になっている。霊草が高価で売れると聞いてメネアも摘み始めた。

 

サトゥー(それでも、この人数では摘み切れない程ある。)

 

1時間程で処理可能な限界数に達して採取作業は終了となった。

 

ハヤト「それじゃ、この周辺の探索を行う。メネア王女はロレイヤの近くに居ろ。正午になったらこの巨大岩に集合だ。」

 

ロレイヤ「あら?サトゥー君?一緒に飲むぅ〜?」

 

そこに酔ってるロレイヤがやって来て、サトゥーを誘う。

 

サトゥー(俺としてはこの機会に竜の鱗をゲットしたいのだが・・・)

 

ロレイヤ「ねぇ、こんな機会滅多にないわよぉ〜?」

 

ライト「めっちゃ酔ってる・・・サトゥー、俺達先に鱗の所へ行っとくわ。」

 

サトゥー「ああ。」

 

タスク「また後で。」

 

先にライトとタスクが鱗がある場所へ向かう。

 

サトゥー「では一杯だけ。」

 

酒を一杯だけ飲む。

 

サトゥー(これは旨い。辛口の日本酒に近い味だ。口に含むと少し硬い感じがするが、舌の上で転がすとまろやかを帯び、深い味わいを伝えてくれる。少し持って帰りたい所だが、この水たまりぐらいしかない。ポーション用の小瓶に3本だけ貰っておこう。)

 

酒を飲み終え、メネアとロレイヤと別れて竜の鱗付近へ向かう。

 

 

 

 

一方のライトとタスクは鱗がある場所で待っていた。

 

ライト「お、来たか。」

 

サトゥー「見付かったか?」

 

タスク「ああ。あれだ。」

 

丘に刺さってる竜の鱗を発見した。

 

サトゥー(これは簡単に見付けられない位置だな。)

 

タスク「ウインド・フック!」

 

風の鈎爪を射出し、丘に刺さってる鱗を回収させた。

 

タスク「これがあの黒竜の鱗か。」

 

サトゥー(どれも割れたり欠けたりしているけど、ドラゴン・パウダーにする分には問題ない。序でに竜の逆鱗から回収した白い短剣も確認・・・)

 

ストレージから白い短剣を出した。白い短剣には、下級竜の爪を加工して作った武器。竜爪矛の穂先があり、ヒュドラの呪縛が付与されている。

 

サトゥー(誰かがこの穂先を使った竜爪矛で黒竜を刺したのだろう。相変わらずヒュドラの毒は大人気の方だ。ストレージ内で毒と穂先を分離しよう。)

 

ストレージに仕舞って穂先と毒を分離した。短剣が元通りになった。

 

サトゥー「タスク。鱗貸して。」

 

タスク「ああ。」

 

黒竜の鱗に短剣の穂先を刺した。

 

ライト「穂先が欠けたな。」

 

サトゥー「ふむ・・・」

 

今度は右人差し指の爪で鱗を掻く。

 

タスク「傷が付いた。」

 

人差し指に黒いオーラが付着した。

 

サトゥー(魔刃・・・)

 

因みに聖刃でも易々と傷付いた。

 

サトゥー「見なかった事にしよう。」

 

 

 

 

 

 

『BGM:平穏』

 

採取した鱗をリーングランデとメリーエストに見せた。

 

リーングランデ「成竜の鱗!」

 

メリーエスト「どこにあったのですか!?」

 

ライト「皆が探されていたのと丁度反対側だ。竜の逆鱗付近から何かが飛んで行ったのが見えたから、もしかしたら竜の鱗が落ちたんじゃないかと思って。」

 

ハヤト「サトゥー。そっちの短剣みたいなのは何だ?」

 

サトゥー「よく判らないのですが、鱗の近くに落ちていました。」

 

白い短剣をハヤトに見せる。

 

ハヤト「ふむ。竜爪矛の穂先か。ロレイヤ!こっちに来てくれ!」

 

座っているロレイヤを呼んだ。

 

ハヤト「これの鑑定を頼む。」

 

ロレイヤ「はぁ〜い。」

 

竜爪矛の穂先を鑑定する。

 

ロレイヤ「鼬人族の作った物ですね。この布の織り方が鼬帝国北部の物ですし、軸に使っている木もあの辺りが原産の物に違いありません。」

 

ハヤト「そうか・・・」

 

メリーエスト「この騒動の原因は鼬人族みたいね。」

 

リーングランデ「全く!あの連中は方々で騒動を起こすんだから!」

 

リザの故郷の村も鼬人族に滅ぼされたと言っていたし、色々と問題のある種族かも知れない。彼女達の見解もサトゥーの推測と同じく、この穂先で逆鱗に傷を負った竜が治療の為に癒眠樹の木陰を陣取っていたのではないかとの事だった。

 

メリーエスト「そう言えば鼬人族の帝国も魔王出現の預言がありましたね。」

 

リーングランデ「えぇ。竜に喧嘩を売るなんて正気じゃないから、本当に魔王が背後に居るかも知れないわね。」

 

ハヤト「それこそ望むところだ。オーユゴック市に現れた魔王はナナシや謎の戦士が倒したらしいからな。そっちは俺様の獲物だ。」

 

ライト・サトゥー(頑張れ勇者。)

 

メリーエスト「ねぇペンドラゴン卿、アイラ卿。この竜の鱗なんだけど、1枚で良いから譲って貰えないかしら?」

 

リーングランデ「成竜の鱗から作るドラゴン・パウダーがあれば対魔族用の道具が色々と用意出来るの!」

 

サトゥー「元より独り占めする気はありませんよ。」

 

ライト「欲しいならやるよ。」

 

リーングランデ「本当!?」

 

メリーエスト「ありがとう!対価は何が良いかしら?こんなに貴重な素材を分けて頂くんだもの。サガ帝国の爵位なんてどうかしら?准男爵くらいの地位なら訳即出来るわよ?」

 

リーングランデ「サトゥーとライトなら魔法鎧の方が良いのではないのかしら?」

 

サトゥー「成り上がりの者の私には今の地位でも過分です。魔法鎧もサガ帝国の名のある武人に使って頂いた方が宜しいかと。」

 

ライト「俺も同じだ。上の爵位なんて俺の性に合わないし、鎧なんて暑苦しいからいらない。」

 

リーングランデ「欲がないわね・・・」

 

ライト(こう言うのは手頃な報酬がピッタリだ。)

 

サトゥー「では、何か珍しい『魔法の巻物』か上級の魔法書を閲覧させて頂けませんか?」

 

メリーエスト「・・・あなた達リーンみたいに魔法剣士を目指すの?」

 

リーングランデ「巻物はないけど、風と炎なら上級の魔法書を見せてあげられるわ。爆裂魔法と破壊魔法もあるけど、こちらは呪文数が少ないわね。」

 

ライト「助かる。公都に戻るまでの期間で構わないから見せてくれ。」

 

リーングランデ「えぇ。風と炎なら写本しても良いわ。」

 

1番大きな黒竜の鱗が勇者一行の物となり、小さめの鱗2枚と竜爪矛の穂先がサトゥーの所有となった。証拠品として提出しなくて良いのかと尋ねたが、国家間では有効な祥子とならないと言われた。

 

サトゥー(折角の竜素材の穂先だし、公都に戻ったらリザの魔槍の強化パーツとして使えないか試してみよう。)

 

 

 

 

 

 

銀船内。

 

リーングランデ「サトゥー。ここにお願い。」

 

酔って眠ってしまったロレイヤをベッドに寝かせた。

 

サトゥー「完全に寝ていますね。」

 

リーングランデ「全く。ロレイヤったら弱い癖に酒好きなんだから。」

 

 

 

 

船を出ると、兵士達がテントを設営している。

 

リーングランデ「メリー。船の修理状況は判った?」

 

メリーエスト「えぇ。次元潜行装置は自動修復機能のお陰で明日の朝くらいには直るらしいけど、空力機関の方がダメそうね。左舷機関が消失、右舷機関が動作不良。」

 

ハヤトと経戦士2人は谷の北側にある『ドラゴン・ブレス』痕を調査に行っているので不在。

 

リーングランデ「ハヤトの『インベントリ』に入れてある予備に換装出来ないの?」

 

メリーエスト「左舷はドラゴン・ブレスで接合から消失しているから無理ね。右舷は動作不良が空力機関本体なら換装で済むけど、魔力伝達回路が壊れていたら原因を究明するだけで数日は掛かりそうだわ。」

 

タスク「そんなに大掛かりになるのか。」

 

サトゥー(思ったよりも銀船の損害は大きいな。)

 

ライト(けどこれなら。)

 

何か閃いたライトとサトゥーがお互いを見て頷く。

 

サトゥー「リーングランデ様。私もウィーヤリィ様の手伝いをしたいのですが宜しいでしょうか?」

 

ライト「俺も手伝う。」

 

リーングランデ「サトゥー。ライト。あなた達の剣の腕も料理の腕も認めるけれど、空力機関の修理なんて高位のマジック・アイテム技師にしうか手を出せる物ではないのよ?」

 

ライト「構わない。雑用係でもいいから作業の手助けをしたいんだ。」

 

実際サトゥーの持つ空力機関の知識は公都の魔法屋で買った本で得た物だけだ。

 

メリーエスト「ウィーの邪魔にならないように。それが守れるなら手伝いに行って構いませんわ。」

 

リーングランデ「そうね。調理スキルのあるサトゥーとライトにはポーションの処理を手伝って欲しかったのだけど、こちらはいいからウィーを手伝ってあげて。」

 

ライト「ポーションの処理なら、タスクが得意だぞ。」

 

リーングランデ「そうか。タスク、頼めるかしら?」

 

タスク「まあ俺は技師じゃないから、ポーションの処理ならお手の物だ。手伝わせてくれ。」

 

 

 

 

 

 

空力機関の修理をしているウィーの元へ向かった。

 

サトゥー「手伝います。」

 

ウィーヤリィ「そう?ならこのフィンに魔力を流して壊れていないか確認して欲しい。」

 

サトゥー(思ったよりも簡単に手伝いを許可して貰えた。)

 

ライト(これが空力機関の基盤か。)

 

参考書の情報によると、フィンを構成する薄膜が怪魚のヒレで作られておる、フィンに魔力と空気を送り込む事で浮力が発生する仕組みらしい。ライトとサトゥーのストレージにある大怪魚や王子を廃人にしていた寄生虫型の魔物の何匹かがフィンに利用出来る部位を持っているようだ。

 

サトゥー(こうかな?)

 

フィンに魔力を流し込む。

 

ライト(お。故障箇所発見。)

 

ウィーヤリィ「どう?やり方判る?」

 

サトゥー「はい。このフィンだけ魔力の通りが悪いようです。」

 

ライト「他にも故障箇所がないか探してみる。」

 

ウィーヤリィ「まずは17番か・・・って早くない!?もうそんなに検査したのか!?」

 

魔力を流すだけでなんだからこれ位が普通だと。

 

サトゥー「魔力の微調整は得意なんですよ。」

 

ライト「過去にやった事あるから朝飯前だ。(嘘だけど。)」

 

ウィーヤリィ「そ、そう・・・それならあっちの伝達路の方の検査も頼むよ。」

 

ライト「任せとけ。」

 

 

 

 

伝達路。

 

サトゥー「検査的にはフィンの時と同じだ。」

 

ライト「けど魔力を流して異常箇所を検査するだけの話だ。」

 

透視で検査をする。

 

ライト「僅かに魔力が漏れる場所や抵抗のある場所が・・・お!発見!」

 

サトゥー「どうやら翼内構造の一部が僅かに歪んで経路を圧迫しているようだ。」

 

作業中の『ドール』に頼んで歪んだ部分の装甲を外して貰った。

 

ライト「ウィーヤリィ。ここが故障の原因みたいだ。」

 

ウィーヤリィ「確かに伝達管が裂けているね。」

 

修理自体はウィーヤリィに任せ、ライトは工具の受け渡し役、サトゥーはテスト時の魔力供給役に徹する。その甲斐があってか、2時間程度で作業が完了した。

 

サトゥー(これなら次元航行装置の自動修復が終わる明朝には出発出来そうだ。)

 

遠話の魔法で公都にいるアリサに帰還予定を伝えた。

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

キャンプへ戻って皆と合流。

 

リーングランデ「あら休憩?」

 

ウィーヤリィ「終わった。」

 

リーングランデ「もう?」

 

ウィーヤリィ「あぁ。サトゥーとライトのお陰だ。」

 

サトゥー「私達はウィーさんの言う通りに作業しただけですよ。」

 

リーングランデ「あら。ウィーが愛称呼びを許すなんて珍しいわね。」

 

ウィーヤリィ「そんな事ない。」

 

メリーエスト「ようやく半分か・・・ウィー。魔力が余っていたら手伝ってくれない?」

 

ウィーヤリィ「無理。もう残ってない。」

 

サトゥー「私で宜しければお手伝いしましょうか?」

 

メリーエスト「あなた錬成も出来るの?」

 

サトゥー「えぇ。調合の前処理や魔力供給程度ならお手伝い出来るかと。」

 

メリーエストやリーングランデに頼まれるママに前処理作業や魔力供給作業を手伝う。

 

リーングランデ「サトゥー。この霊草を処理して。」

 

サトゥー「根を取って茎と葉を洗うんですね?」

 

リーングランデ「えぇそうよ。」

 

メリーエスト「ペンドラゴン卿。こちらの錬成板に魔力を補充して下さらない?」

 

サトゥー「はいすぐに。」

 

錬成板に魔力を補充させる。

 

サトゥー(俺の魔力供給速度は異常らしいから、なるべく彼女達と同じかそれよりも緩やかな速度になるように・・・)

 

リーングランデ「さっきも思ったけど、サトゥーの魔力供給速度は凄いわね。」

 

サトゥー「そうですか?」

 

周りと同じ位遅めにしたつもりがリーングランデとメリーエストに見抜かれてた。

 

メリーエスト「えぇ。私やリーンくらいの速さで魔力を注げるなんて帝国にもそうそういないわよ?」

 

サトゥー(しまった。ここにいる人間が高水準なのを忘れていた。)

 

元々リーングランデとメリーエストの魔力供給は高い。

 

サトゥー「皆さんに追いつこうと必死なだけですよ。」

 

ライト(白々しいな。)

 

メリーエスト「うふふ。謙遜しなくていいわ。あなたには才能がある。夕食の後にでもハヤトに魔刃スキルのコツを教えて貰いなさい。あなたならきっと使えるようになるわ。」

 

残念だが魔刃スキルは既に取得している。けど彼女の厚意は嬉しく思ったサトゥーだった。

 

 

 

 

しばらくしてハヤト達が戻って来た。ルススとフィフィが巨大な虎を狩ってきた。

 

ルスス「じゃじゃーん!」

 

フィフィ「大物だよ!」

 

メネア「ひいいっ!」

 

護衛騎士「さ、流石勇者様とそのお仲間だけある・・・まさか城砦砕きのフォレストタイガーをたった3人で狩るとは・・・」

 

タスク「フォレストタイガー。かなり獰猛な虎だな。」

 

ハヤト「街道の障害物は排除しておいたぞ。馬車が運行するには多少の手入れは必要だろうが、人や荷駄くらいならすぐに行き来出来るはずだ。」

 

メネア「ありがとうございます勇者様!」

 

竜退治のルモォーク王国軍は竜と出会うかなり手前で壊滅していたらしい。竜以外の魔物による被害を受けていたようだ。

 

ルスス「ハヤト!フォレストタイガーの内蔵からこんなのが出て来たよ!」

 

フィフィ「笛みたいなの!」

 

フォレストタイガーの体内から笛らしき異物を取り出した。

 

ライト「笛?」

 

ハヤト「メリー。リーン。これを見てくれ。」

 

取り出した笛をリーングランデとメリーエストに見せる。

 

リーングランデ「これは・・・」

 

メリーエスト「鼬人族の魔物使いが使う操魔笛。」

 

ハヤト「やはりそうか・・・」

 

どうやらルモォーク王国軍を壊滅したのは鼬人族の仕業だったらしい。マップ検索してみたが、近くの街に数名の商人がいるくらいで魔物使いらしきスキルや称号を持つ者はいなかった。

 

ルスス「あんた達料理人なんでしょ?この肉を焼いてよ!」

 

ライト「虎肉か。」

 

ルスス「そう!う〜んと美味しくしてね!」

 

フィフィ「私のは分厚くね!」

 

ライト「OK。ご要望通りに焼くぜ。」

 

タスク「大いに焼くか。」

 

 

 

 

『BGM:安穏』

 

虎肉を早速調理。油を敷いたフライパンに肉を入れてジューシーに焼く。

 

ハヤト「すっげー美味そうな匂いじゃねぇか!」

 

ルスス「ダ、ダメだよハヤト!1番は私なんだから!」

 

フィフィ「私2番〜!」

 

ハヤト「おいおい俺様は3番かよ。」

 

ウィーヤリィ「残念だが3番は私だからハヤトは4番だな。」

 

そんな風に順番を守っていたのは最初だけで、すぐに肉が焼ける端から前衛系の4人が奪い合うようになった。

 

メリーエスト「美味しい!ハヤト達がみっともなく取り合うのも判るわ!」

 

リーングランデ「でっしょ〜。サトゥー達の料理は凄いのよ。」

 

ロレイヤ「本当ですね。赤ワインが欲しくなります。」

 

ウィーヤリィ「ロレイヤは飲んじゃダメだ。」

 

メネア「・・・魔物の肉なんてと思ってましたけど、フォレストタイガーとは美味しいものなのですね!」

 

護衛騎士「い、いいえ姫様。これとはまるで違います。」

 

旅の間に魔物の肉で色々と研究したから獣肉は大体美味しく加工出来るようになった。その内マズいと評判のワイバーンも美味しく料理しようと心の中で意気込む3人が肉を焼き続ける。

 

 

 

 

夕食後。

 

メネア「勇者様。そして皆様。民の安寧と我が国の危機を救って頂き感謝致します。」

 

ハヤトに感謝の加護を与えた。

 

メネア「ルモォーク王城においで頂く事は出来ないでしょうか?勇者様の偉業に対して国を挙げてお礼を申し上げたいのです。」

 

ハヤト「悪いがそう言う仰々しいのはごめんだ。礼が言いたいならサガ帝国宛に感謝状でも出すようにルモォーク王に言っておいてくれ。」

 

ロレイヤ「どうぞ。」

 

3人にコーヒーを出した。

 

サトゥー(やはりコーヒーは最高だ。)

 

ライト(あ〜旨い。)

 

タスク(ホッコリする〜。)

 

ルスス「満足だ〜!旅先でこんな料理が食べられるなんてね!」

 

フィフィ「全くだよね!サトゥーとライトとタスクはハヤトの従者になるべきだよ!」

 

ウィーヤリィ「2人共!3人が困っているだろう!でも、従者に勧誘するのは賛成。私以外にも旅先で船の整備が出来る人がいると便利。」

 

ライト・サトゥー・タスク(あ、酔ってる。)

 

メリーエスト「でも流石にレベル30だと辛いと思いますわ。」

 

リーングランデ「そうね。迷宮都市で後15レベルくらい挙げてくれた考えましょう。」

 

ハヤト「案外3人なら従者どころか自力で『勇者』の称号を手に刷るかも知れないぞ。」

 

ライト・タスク(うっ。)

 

サトゥー「・・・・」

 

3人が図星した。

 

ルスス「ハヤトは面白いな〜!」

 

フィフィ「全くハヤトらしいや!」

 

ハヤト「そうでもないさ。卿だってサトゥーとライトがいなかったら黒竜のブレスでジュールベルヌから吹き飛ばされていた。」

 

サトゥー「私達は勇者様と手摺に掴まっていただけですよ。」

 

ハヤト「俺様の事はハヤトでいい。スクロールで援護してくれただろ?今俺達が全員揃っていられるのもお前達のサポートのお陰だ。感謝するサトゥー。ライト。」

 

2人が『勇者の友』の称号を得た。

 

ライト「当然の事をしたまでさ。ハヤト。」

 

サトゥー「ハヤト様。」

 

ハヤト「まぁいいだろう。タスクも、俺様の事はハヤトと呼んでくれ。」

 

タスク「分かったハヤト。」

 

ここで話を変える。

 

ライト「気になってた事があるんだが。ハヤトが聖剣を使う時に言っていた『歌え』と言う合言葉はどんな聖剣にもあるのか?」

 

ハヤト「聖句か。それなら俺様よりリーンの方が詳しいぞ。」

 

リーングランデ「私が覚えているのは王祖様の時代の勇者が使っていた聖剣デュランダルの『永遠たれ』と、亜人戦争の頃の勇者が使っていた聖剣ジョワユーズの『陽の下で』くらいかしら?」

 

サトゥー(ラッキー。棚ぼたで聖剣デュランダルの聖句がゲット出来た。)

 

リーングランデ「他のも知りたければレオン小父様の著者にある『聖剣と聖句』を読んだ方が詳しいわよ。サトゥーとライトは小父様の家臣なのだから直接尋ねてみてもいいと思うわ。」

 

ライト「レオン・ムーノ男爵に?」

 

サトゥー(そう言えばムーノ男爵は勇者研究家だっけ?)

 

図らずも、ここでまたムーノ男爵へと繋がる・・・!!

 

サトゥー(ムーノ男爵領は遠井から、公都の勇者好きである魔法屋のキキヌに『聖剣と聖句』を持っていないか尋ねてみよう。)

 

リーングランデ「サトゥー。腹ごなしに稽古を付けてあげるわ。」

 

腹ごなしのリーングランデとの稽古。ライトとタスクは見物。

 

ルスス「次私ね!」

 

本能で戦ったような彼女達相手に手加減するのが大変だったが、上手く相手に華を持たせる事が出来た。

 

ハヤト「中々の腕だな。俺様ともやろうぜ。」

 

サトゥー(何故か勇者とも・・・)

 

今度はハヤトと稽古。

 

サトゥー(従者達とは違い、勇者の剣は威力も速度も段違いだ。)

 

ハヤト「やるじゃねぇか。」

 

サトゥー「ハヤト様。もう少しお手柔らかに。流石にハヤト様はお強いですね。」

 

ハヤト「俺様と剣を合わせといて話す余裕がある奴なんて久し振りだぜ!」

 

サトゥー(勇者は戦闘特化のスキルを色々と持っているので相手をしていて楽しい。)

 

瞬動や予測回避と行ったサトゥーも持っていないスキルを駆使して来る。するとハヤトの剣先がサトゥーの右肩に当たった。

 

メリーエスト「そこまで!」

 

ライト(視界内にあるレーダー枠の死角からの攻撃か。中々の腕だな。)

 

サトゥー(避け切れなかった・・・)

 

稽古を終えた後、ハヤトは右手に何か違和感を感じている。

 

メリーエスト「どうかしたのハヤト?」

 

ハヤト「いや・・・何でもない。」

 

メネア「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

翌朝。予定通り銀船の自動修復は完了しており、ライト達は無事公都に戻る事が出来た。

 

メネア「ーーーーなのです。サトゥー様はどう思われますか?」

 

サトゥー「・・・・・・ええ、そうですね。」

 

眠気に襲われてるサトゥーが適当に返した。

 

メネア「もうサトゥー様ったら、本当に聞いていますか?」

 

サトゥー「えぇ勿論です。」

 

往路では愛想の無かったメネアが、復路ではやたらとサトゥーと話し掛けて来るのが不思議だ。

 

ライト・タスク「zzzzz・・・・・」

 

一方のこの2人は絶賛爆睡中。サトゥーは昨晩夜通しでリーングランデから借りた上級魔法書を読んでいたので非常に眠い。

 

 

 

 

 

 

数時間後。

 

リーングランデ「サトゥー?公都に到着したわよ。」

 

サトゥー「はっ!」

 

すぐに起きたサトゥー。

 

ライト「ふああぁぁぁ〜〜〜〜〜・・・・・」

 

タスク「あ〜〜〜良く寝た。」

 

2人は既に起きてる。メネアはサトゥーにぷんぷんと怒ってる。

 

サトゥー(どうやらメネア王女との会話中に寝落ちしてしまっていたらしい。)

 

彼女に不作法を詫び、公都見物に付き合うと訳即した。

 

 

 

 

 

 

そして。

 

アリサ「ご主人様!ライト様!タスク様!」

 

ルル「お帰りなさい!」

 

ローズ「船旅どうだった?」

 

公都に無事帰還した3人は、仲間達と楽しい夕食タイムを過ごした。

 

 

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

そしてその夜。勇者の姿で城のある部屋へ赴いた。

 

オーユゴック公爵「勇者ナナシ殿とラット殿か。」

 

サトゥー「そぅ。」

 

ラット「久し振りだな公爵殿。」

 

オーユゴック公爵とシガ王国の影武者もいる。

 

影武者「窓から現れるとは破天荒な勇者殿だ。勇者ナナシ殿。ラット殿。シガ王国滅亡の危機を救ってくれた事を感謝する。」

 

2人に頭を下げて感謝の意を申した。

 

ラット(おいおい、幾ら公式の場じゃないとは言え、国王が頭を下げるのはヤバいんじゃねぇの?)

 

サトゥー「頭を上げて。」

 

影武者「貴公の功績を讃えて皆の前で褒美と爵位を与えたい。私の専用飛空艇で王都まで来てはくれぬか?」

 

サトゥー「いらない。」

 

ラット「俺達には性に合わない。」

 

影武者「だが、貴公は魔王倒滅のみならず、古参上級魔族の討伐。そして、7体に及ぶ大怪魚の群れを退治してくれた。」

 

ラット「あの刻は俺じゃなく、古代の戦士と名乗る者だ。俺は無関係だ。」

 

影武者「いや、それでも貴公も魔族退治を貢献してくれた。王祖様に並び立つ程の功績に、何1つ報いない訳には・・・」

 

サトゥー(ここはさっさと用件を済ませて姿を眩まそう。)

 

ストレージから布で覆われた聖剣クラウソラスを出した。

 

サトゥー「王子の忘れ物。」

 

影武者「聖剣クラウソラス・・・勇者ナナシ殿。貴君がその聖剣の真の姿を現す事が出来ると言うのは本当だろうか?」

 

ラット(聖剣を偽物と疑っている様子だ。)

 

影武者「見せて貰えないだろうか?」

 

布を剥がし、クラウソラスを発動させる。

 

サトゥー「踊れ。」

 

クラウソラスの刃の幻影が無数に現れ縦横無尽に踊る。

 

オーユゴック公爵「なんと!伝説は真であったか!」

 

影武者「美しい・・・あの絵は創作ではなかったのだな!」

 

ラット(いや驚き過ぎ〜。)

 

影武者「王祖様以降、聖句も唱えて剣を『踊らせる』事が出来る者は幾人もいたが、真の姿を解き放つ事が出来る者はいなかった。」

 

サトゥーはクラウソラスを再び布で包んだ。

 

影武者「そのまま所持されるが良い。真の力を引き出せる貴公に託したい。」

 

ラット(影武者陛下・・・独断はアカンやろ。)

 

サトゥー「いいの?」

 

影武者「無論だ。そして聖剣クラウソラスを携え新年の『大謁見の儀』に参られよ。」

 

ラット・サトゥー「行けたら行く。」

 

影武者「その刻に貴公を『シガ王国の勇者』として発表しようぞ。」

 

ラット(って事は、行かなければ発表キャンセルって訳か。)

 

サトゥー(それは良いとして、聖剣クラウソラスがなくて王都防衛は大丈夫なんだろうか?)

 

ラット「王都は大丈夫なのか?」

 

影武者「うむ。王都には魔剣を持つシガ八剣達が控えておる。」

 

サトゥー(シガ八剣か・・・)

 

ラット(黄肌野郎で役立たずの第三王子の同僚達か。)

 

影武者「それに魔剣は使い手を選ぶ。貴公がいる内は誰にも使う事は出来ぬだろう。それこそ王祖様が伝説『無晶霊廟』から蘇りでもせぬ限りな。」

 

サトゥー(成る程、返しても使えないんじゃ意味ないか。そうだ。王都防衛用に聖剣ジュルラホーンはどうだろう?他の神授の聖剣と違って、王祖ヤマトが自作した物だったはずだ。)

 

聖剣ジュルラホーンを出した。

 

サトゥー「代わり。」

 

オーユゴック公爵「こ、これは聖剣ジュルラホーン!」

 

影武者「17年前に魔人に奪われた聖剣か!おぉ!神よ!王祖ヤマト様が鍛えられた聖剣が再びシガ王国に帰って来るとは!」

 

オーユゴック公爵「感謝する勇者ナナシよ!」

 

サトゥー(もっと早く返してあげれば良かったかも知れない。)

 

それと影武者陛下の言っていた魔人と言うのは、サトゥーに聖剣をくれた『不死の王』ゼンの事だろう。アンデッドの彼が普通に持っていたので判るように、この聖剣には神授の聖剣と違って使用者限定の機能はない。尚、黄肌魔族戦で老化してボロボロになっていた第三王子のシャロリックは、治療と静養の為に王都へと送還されてしまったようだ。

 

 

 

『ツヅク』




         キャスト

       ライト:山崎大輝

      サトゥー:堀江瞬
       アリサ:悠木碧
        ルル:早瀬莉花
       タスク:小林裕介
       ローズ:藤田咲

       ルスス:高田憂希
      フィフィ:山口愛
    ウィーヤリィ:遠野ひかる
      ロレイヤ:内山夕実

   リーングランデ:Lynn
 メネア・ルモォーク:楠木ともり
    メリーエスト:若山詩音

  オーユゴック公爵:津嘉山正種
       影武者:土師孝也

   ハヤト・マサキ:熊谷健太郎

DEATH MARCH80「果実」
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