デスマーチからはじまる異世界空我   作:naogran

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DEATH MARCH80「果実」

『BGM:懊悩』

 

公爵城での用事を済ませたライトとサトゥーは、公都地下にある迷宮遺跡にやって来た。

 

ライト「んで、ここで何の実験だ?」

 

サトゥー「昨日入手した黒竜の鱗でドラゴン・パウダーを作ろうと思って。」

 

ライト「ほほう。」

 

ナイフで黒竜の鱗を割ろうとしたが。

 

サトゥー「硬っ。」

 

ライト「この鱗、普通の竜の鱗の数倍の硬さがあるみたいだ。」

 

サトゥー「コボルトから貰った青鋼の工具でも傷1つ付けられないな。」

 

そこで聖剣デュランダルを取り出した。

 

サトゥー「永遠たれ!」

 

詠唱を唱えるとデュランダルの刃が白く輝いた。

 

ライト「魔王の時に傷んでた刃が新品みたいに戻ったな。」

 

折れた状態からでも復元するのか判らないが、中々得難い能力。

 

サトゥー「これからは聖剣デュランダルを主に使う事にしよう。相変わらず良く切れる。」

 

ライト「シュールだな。聖剣で鱗を削る光景は。」

 

少し出来たドラゴン・パウダーを研磨剤に使って研磨する。

 

サトゥー「最高品質?」

 

研磨したドラゴン・パウダーの状態が最高品質になった。もしやと思って少々をブルーにして聖矢を1本作ってみた所、従来の物より3倍近く強力な性能に仕上がった。

 

サトゥー「あまり強力過ぎると使い道が減るのだが、それはブルーの量を調整する事で何とかしよう。」

 

折角なので、鋳造弾丸を千発程量産した。これはオリジナル魔法の『シューター』で打ち出す為の物だ。また弾丸の幾つかを聖剣で開き聖矢の弾丸バージョンを作った。弾丸の幾つかの底にネジ穴。ここに矢軸を捩じ込めば聖矢としても使えると言う。序でなので普通のコアを素材にした魔弾も幾つか作った。

 

 

 

 

サトゥー「さて、この弾丸でシューターを試してみよう。」

 

ライト「ほれ。的描いたで。」

 

壁に的を描き上げた。

 

サトゥー「シューター!」

 

オリジナル魔法のシューターで弾丸を投げた。弾丸は逸れ、的の右の壁に命中した。

 

ライト「うっひょー。拳銃並の時速だったな。」

 

サトゥー「うーん、予想以上に命中制度が悪いな・・・」

 

ライト「なら改良版の呪文でも作る?」

 

サトゥー「その方が良いかも。元の世界の銃より弾丸を射出する時に、横方向の回転ベクトルを与える事で命中制度を上げよう。残りのスクロールの受け取りが5日後だったはずだから、それまでに呪文を仕上げよう。」

 

尚、リザの魔槍の強化パーツ用にと思っていた『竜爪矛の穂先』だが、接合部の強度を考えると迂闊な改造は不可能なので、少し検討をする事に。

 

 

 

 

 

 

翌日。黒竜退治の件で公爵城に呼ばれ、ハヤトと一緒に『オーユゴック公爵領退竜勲章』と言う勲章を授与した。前に授与された『オーユゴック公爵領蒼炎勲章』とは別の意味でレアな勲章らしい。公爵領に居る間は上級貴族の当主に近い待遇を受ける事が出来るらしい。同席していた影武者陛下からも『お褒めの言葉』を頂いた。国からの勲章は新年に帰属達が王都に集まる『大謁見の儀』で貰えると言う。

 

 

 

 

『BGM:安穏』

 

そして公爵城で勇者やメネアと別れて屋敷に戻ると、執事から客が待っていると報された。

 

サトゥー「お待たせして申し訳ありません。」

 

トルマ「やぁサトゥー殿!ライト殿!こちらこそ先触れの手紙も無しに来てすまないね!」

 

客室で待っていたのはトルマと1人の男性貴族だった。

 

トルマ「知っていると思うけど、こちらはエムリン子爵家の当主カーク・エムリン氏だ。」

 

サトゥー「はい。晩餐会でご挨拶させて頂いた事がございます。」

 

エムリン家は代々広大な果樹園を経営する名家で、彼が爵位を継いだ時から貿易に主力を移したと言う話。

 

ライト(果樹園経営の上級帰属が俺らに何の用だ?)

 

トルマ「実は彼が2人の力を借りたいと言っているんだ。」

 

サトゥー「私達の力ですか?」

 

ライト「一体何を?」

 

トルマ「実は彼が方々で出資を募って編成した貿易船団が、海龍諸島近海で全滅したらしくてね・・・」

 

カーク「トルマ、その話は言わなくていい。ペンドラゴン卿とアイラ卿に頼みたいのは、この果実の事だ。」

 

テーブルに皿に乗せられた果実が置かれた。ルルの実と言う果実だが、妙な臭いが漂っている。

 

ライト(奇妙な見た目だな。果実から流れて来る悪臭は濃い香水を無節操に混ぜたかのような吐き気を催す強烈さだ。)

 

サトゥー「中々個性的な果実ですね。」

 

”コンコン”

 

ルル「お茶をお持ちしました。」

 

そこにルルが紅茶を持って入って来た。ドアの隙間からポチとアリサが覗いてる。

 

サトゥー「ありがとう。」

 

カーク「君達なら、この家畜用の果実から売り物になりそうな菓子を作れるかね?」

 

ライト(無理難題な話だな。)

 

サトゥー「それは味を確かめてみない事には何とも言えません。」

 

カーク「では食して貰おう。」

 

ナイフでルルの実を切ってみる。

 

ライト(ぐ、群青色・・・食欲失せる程だ・・・)

 

早速ルルの実を試食してみる。

 

サトゥー(酸っぱ!)

 

ライト(な、何だこりゃ!?レモン100個分食った程の酸っぱさだ!しかも酸っぱさ後に苦味と言う痛恨コンボ!)

 

生果のルルの実に続いて様々な加工品が出されて試食したのだが・・・

 

ライト(何かを掛けた位ではどうにもならない程不味い!)

 

サトゥー「手強そうですね。」

 

ライト「こりゃあ一筋縄ではいかないな。」

 

カーク「奇跡の料理人と言われる君達なら、このルルの実にも家畜の餌以外の使い道を思い付いてくれるかと思ったんだが・・・」

 

ルル「家畜の餌・・・」

 

するとサトゥーがルルを見て何かが閃いた。

 

サトゥー「お待ち下さい!この『ルル』の実には可能性が眠っています!私に数日程頂ければ必ずや、この果実の真の素晴らしさを開花させてみせましょう!」

 

カーク「た、頼めるのかね!?」

 

サトゥー「ええ。お任せ下さい。」

 

彼にとって子爵家を守る手がこの果実の商品価値を高める事なのだろう。

 

 

 

 

早速有言実行を始める為キッチンへ。

 

アリサ「ご主人様にしては珍しいわね。」

 

サトゥー「そうか?」

 

ライト「ああ。ルルを見て急にやる気になって。大方、ルルと同じ名前の果実が不遇のままでいるのが我慢出来なくて、ついムキになったんだろ?」

 

サトゥー「・・・・・」

 

ライト「あ。図星った。」

 

アリサ「それで、何か手があるの?」

 

サトゥー「勿論さ。」

 

試食したルルの実は実に不味かった。加工によって『酸っぱさ』『苦さ』『エグ味』『臭気』の4要素の強弱が違っていた。

 

タマ「うーぷす。」

 

ポチ「て、手強いのです。」

 

サトゥーは様々な湿度で蒸す煮る焼くといった加工を行い、その結果をメモ帳に纏めていく。

 

 

 

 

しかし味見係もしばらくすると。

 

タマ「ポチ〜!」

 

ポチ「タマー!」

 

タスク「辛そうだな。」

 

ドロシー「2人共、これ食べて元気出して?」

 

ポチ・タマ「・・・!」

 

ドロシーから貰ったブルーベリーを食べた。2人の手伝いはここまでで終了させ、そこからはライトと二人三脚で試作と試食を続けた。

 

 

 

 

 

 

その甲斐あって翌朝には理想的な加工方法を確立する事が出来た。ルルに試食させた。

 

サトゥー「どうだい?」

 

ルル「お、美味しいです・・・!これが昨日の果実なんですか?色も全然違いますし、香りだって・・・」

 

サトゥー「勿論さ。それに言っただろ?『ルル』の実には可能性が眠っているってね。」

 

ルル「・・・はい!私も頑張ります!」

 

励みの言葉にルルが嬉し泣きした。

 

ライト「うっ・・・ぶふっ!」

 

その後ろでライトが苦しんでいる。試食を繰り返したせいで腹がいっぱいになったのだ。

 

 

 

 

言外に伝えたかった事はルルにも届いたようだ。ルルの場合は可能性どころか元から綺麗だが、内面に自信が付ければもっともっと綺麗になっていくだろう。

 

アリサ「昨日の晩、寝物語に『みにくいアヒルの子』を語り聞かせたのよ。」

 

サトゥー(よくやった。)

 

アリサの頭をワシャワシャと撫でる。眠っている可能性は、無限大ーーー!!

 

 

 

 

 

 

こうして、ルルの実を使ったスイーツが完成した。

 

サトゥー「さぁ、皆も試食してみて。」

 

アリサ「わーい!」

 

タマ「遠慮〜。」

 

ポチ「ポチはお腹いっぱいなのです・・・」

 

タスク「ん!?これは美味いな!」

 

アリサ「そうね!思わず叫びたくなる美味しさね!」

 

ミーア「美味し。」

 

ナナ「マスター。甘くて美味しいと称賛します。」

 

リザ「こちらの氷菓にしたものは甘味も程よくシャリシャリとした食感が素晴らしいです。」

 

ローズ「本当だね!どれもこれも食べた事が無いのに美味しいよ!」

 

タマ「美味しい〜?」

 

ポチ「本当?なのです?」

 

腹一杯の2人も食べてみる。

 

タマ「あまうま!」

 

ポチ「すっごく美味しいのです!ご主人様はやっぱり凄く凄いのです!」

 

ジーク「これは、故郷の皆にも食わせたいな。」

 

サヤ「はい!」

 

サトゥー(やっぱり笑顔が一番だね。)

 

 

 

 

黒竜退治から3日連続の徹夜だったので、一眠りした後ルルの実の加工方法をレポートに纏めた。

 

サトゥー(仮眠を取る前にエムリン子爵に出した面会以来の返事が届いていた。馬車を用意して貰おうか。)

 

馬車に乗りエムリン子爵の面会へ向かった。

 

 

 

 

エムリン邸到着すると、見覚えのある人物が。

 

???「え?・・・どうして?」

 

ライト「あれ?彼女は確か、晩餐会の時にお前と踊ったお嬢さんじゃねえか?お前が一番最初に踊った。」

 

サトゥー「そうだね。ご無沙汰しておりますリナ様。」

 

リナ「ご、ごきげんにゅーししゃきゅさなっ!」

 

ライト(めっちゃ噛み噛み・・・)

 

執事「士爵様。旦那様がお待ちです。」

 

サトゥー「すみません、すぐ行きます。それではリナ様失礼致します。」

 

 

 

 

 

 

子爵室。

 

カーク「急に会いたいとは報酬の相談かね?君達も噂で知っているかも知れんが、今は手元不如意で金銭で報いる事は出来ん。だが・・・」

 

ライト「いや、金の話に来たんじゃないんだ。」

 

カーク「え?」

 

サトゥー「子爵閣下。私達への報酬は件の果実を馬車一杯分譲って頂けたら十分です。それよりもまずはご試食下さい。」

 

ルルの実を使ったスイーツをテーブルの上に並べた。持って来たのは3種だけ

 

カーク「・・・試食?まさか昨日の今日でもう試作品が出来たと言うのか!?

 

執事「旦那様、お待ち下さい。サラナ、毒味を。」

 

サラナ「良いんですか!?噂のペンドラゴン士爵様とアイラ士爵様のお菓子を食べられるなんて!」

 

ライト(そんな大袈裟な。)

 

ルルの実のスイーツをサラナが毒味ならぬ試食してみる。

 

サラナ「こっちの白いふわふわっとしたのが合う!これもこっちも・・・幸せ過ぎて怖い!」

 

カーク「こ、これがあの果実なのか?」

 

子爵夫人「でも色が違いませんか?」

 

ライト「加工すると変色するんだ。」

 

リナの姉「うーん!美味しい!今度のお茶会で出してみたいわね!」

 

ケーキに使ったのは生クリームの味が引き立つように酸味と苦味を少々ブレンドした品だ。

 

サトゥー「如何ですか?」

 

カーク「これなら引く手数多だ!流石は『奇跡の料理人』と呼ばれるだけはある!」

 

サトゥー「子爵様がお許し下さるなら、この『ルルの実のケーキ』をティスラード様の結婚式に出そうと思うのですが、如何でしょう?」

 

カーク「これを若殿の結婚式に?それは願ってもない事だ!私から君達にお願いしたい位だよ!」

 

サトゥー「ありがとうございます。」

 

ライト(許可が入ったし、ウェディングケーキにルルの実を使おうか。)

 

サトゥー(これで『ルル』の果実を良い意味で広められそうだ。)

 

ライト「それと、これはルルの実を使ったレシピ3冊だ。」

 

3冊のルルの実のレシピ本を提供した。

 

カーク「す、凄い・・・!これだけの研究を一晩で?」

 

サトゥー「子爵様のご期待に応えられたようで何よりです。」

 

カーク「サトゥー殿、ライト殿、私の事はカークで構わん。礼には先程の現物だけでは到底足りん。2人には細君はおらんと言う話だし、我が一族の傍系の娘を嫁にやろう。」

 

リナ「嫁っ!?」

 

カーク「どうしたリナ?」

 

リナ「い、いえ・・・な、何でもありま・・・せん・・・」

 

サトゥー(?)

 

ライト(穏やかじゃねぇぞ?)

 

この後雑談で有耶無耶にした。

 

 

 

 

 

 

『BGM:未来』

 

後日、ティスラードの結婚式が盛大に行われた。

 

タマ「綺麗〜!」

 

ポチ「なのです!」

 

ミーア「白いドレス。」

 

アリサ「素敵ね〜!やっぱ結婚式は着物よりもドレスよね!」

 

ナナ「マスター。新婦のあの花飾りの複製を希望します。」

 

メイリン「良いな〜結婚式。私も結婚したいですぅ〜。」

 

ドロシー「その前にお相手を探さないとね。」

 

リザ「豪華な行列ですね。」

 

ルル「すっごく幸せそうです。私もいつかあんなお嫁さんに・・・」

 

サトゥー「ルルならなれるさ。」

 

ルルの黒髪には純白のウェディングドレスが映えるとサトゥーが確信してる。

 

サトゥー(ルルの結婚式には俺のお手製のウェディングドレスをプレゼントしよう。)

 

ルル「・・・ご主人様。」

 

ミーア「ぎるてぃ?」

 

アリサ「微妙。」

 

ライト「おーお。妬いてる妬いてる。」

 

執事「士爵様。シーメン子爵家の使いの方がいらしてます。」

 

サトゥー「ああ、すぐ行くよ。」

 

 

 

 

シーメンの使いのナタリアがスクロールを持って来た。

 

ナタリア「これがご依頼の品でーす!全部ある?」

 

ライト(相変わらずナタリアは敬語が苦手のようだな。)

 

彼女が持って来たスクロールを全て拝見する。

 

サトゥー「ええ、確かに。ファイアワークスのスクロールは間に合いそうですか?」

 

ナタリア「はい!工房の皆が不眠不休で頑張ったので、披露宴の終盤には間に合わせられるよ!」

 

サトゥーは『シューター二式』、『マルチプル・ツール』。前から準備していた『ピクチャーレコーダー』、『サウンドレコーダー』、『エアコン』、『UVカット』のスクロールを追加注文した。『マルチプル・ツール』に任意の形や大きさの工具が作れる魔法だ。

 

 

 

 

 

 

その日の晩、ライトとサトゥーとタスクはルルとアリサを助手にして、ティスラードの披露宴で料理人をしていた。

 

ロイド「サトゥー殿のテンプラは格別だ。」

 

ホーエン「まさに!私はベニショウガのテンプラこそが究極だと思っておりますが、だからと言って他のテンプラを否定するつもりはありません。」

 

サトゥー(何故俺達の料理ブースの横にロイド侯爵とホーエン伯爵専用の特別席が・・・)

 

ライト(一足先に俺らの料理を食べたいが故の欲望か。)

 

カリナ「サト・・・ペンドラゴン卿!アイラ卿!」

 

そこにカリナと弟のオリオンとメネアと1人の貴族娘が来た。

 

オリオン「ペンドラゴン卿、アイラ卿、紹介しよう。こちらは私の婚約者でラゴック男爵令嬢のミューズだ。」

 

サトゥー「初めましてミューズ様。私はサトゥー・ペンドラゴン名誉士爵と申します。」

 

ライト「ライト・アイラ卿だ。こんな口態度で申し訳ない。」

 

ミューズ「こ、こちらこそ・・・お噂はオリオン様やカリナ様から伺っております。」

 

メネア「サトゥー様、カリナお姉様ったら凄いんですよ?ここに来るまでに何十人もの貴公子達からダンスのお誘いを受けていたんです!」

 

カリナ「も、勿論全て断りましたわ!」

 

オリオン「メネア殿の人気も姉上に負けていなかったのではないか?」

 

メネア「オリオン様ありがとうございます。ですが私には心に決めたお方がいらっしゃいますから。」

 

ライト・サトゥー「?」

 

メネア「カリナお姉様が先ですから、私は太守の第二夫人を目指そうと思ってますの。」

 

アリサ「ご主人様とカリナをくっ付けて太守にしてから自分はその第二夫人に収まる気ね。この雌狐め・・・」

 

サトゥー(最下級貴族の俺が太守になる可能性はないので杞憂も良い所だ。)

 

メネア「サトゥー様、折角の披露宴なのですから。料理など使用人に任せて私と踊って下さいませ。」

 

ホーエン「料理など・・・だと?他国の王女と言えどその言葉は聞き捨てならん!」

 

メネア「え?あ、あの?」

 

ロイド「サトゥー殿の料理は最早芸術!」

 

ホーエン「その芸術を解さぬとは・・・王祖様が至宝と呼んだ桃色の髪を持つルモォーク王族とは思えぬ言葉!」

 

ライト「まあまあロイド侯爵もホーエン伯爵も。ここは披露宴なんだからその辺りで怒りを収めてくれ。」

 

ロイド「う、うむ。ライト殿がそう言うなら。」

 

ホーエン「止むを得ませんな。」

 

メネア「申し訳ございません・・・サトゥー様を踊りに誘いたくて、心にも無い事を言ってしまいました・・・」

 

サトゥー(黒竜退治の復路以降メネア王女がやたらと懐いて来る。彼女に気に入られるような事をした覚えがないので、何を思っての事なのか謎だ。)

 

メネア「改めてお願い致しますわ。サトゥー様、私と踊って下さいませ。」

 

ハヤト「サトゥー!ライト!こんな所でも料理か?」

 

勇者一行もパーティーに来ていた。

 

カリナ「ゆ、勇者ハヤト・マサキ様!?」

 

オリオン「姉上!ペンドラゴン卿は勇者様とお知り合いなのですか?」

 

ハヤト「テンプラじゃないか!俺様も貰って良いか?」

 

ライト「ああ構わないぞ。炊き立ての飯も用意出来るが頂くか?」

 

ハヤト「マジか!それはナイスな提案だぜ!大盛りで頼む!」

 

勇者一行と仲良く会話していると。

 

アリサ(仲良くなり過ぎていないでしょうね?)

 

小声でアリサが疑念の目を2人にぶつけた。

 

ライト・サトゥー(当たり前だ。)

 

サトゥー(折角だし調理の前に、カリナ嬢達を勇者に紹介しておこう。)

 

そんな中ライトは天ぷらを揚げてる間に。

 

貴族A「お、おい!サガ帝国の勇者様がペンドラゴン卿に声を掛けたぞ?しかもペンドラゴン卿の方も勇者様を名前で・・・」

 

貴族B「貴公らは知らなかったのか?ペンドラゴン卿とアイラ卿は勇者様の竜退治に同行したらしいぞ?」

 

貴族C「それは真か?ならば今の内に縁戚を・・・」

 

ライト(露骨に俺らと仲良くしようとしてるなぁ。)

 

 

 

 

揚げた天ぷらをアリサが運ぶ。

 

アリサ「お待たせしました。勇者様。」

 

ハヤト「あ、アリサ王女!?どうしてアリサ王女が給仕の真似事なんか・・・」

 

アリサ「元王女ですわ。主のサトゥー様とライト様が働いているのに、その従者が遊んでいてはいけませんもの。それよりこのメイド服は素敵だと思いませんか?」

 

ハヤト「勿論!最高に似合っているぜ!」

 

ヴィクトリアンメイドのアリサにハヤトがデレデレ。リーングランデとメリーエストが睨んでる。

 

ライト「2人も如何かな?」

 

コンソメスープを出した。

 

リーングランデ「あら。これもあったのね。」

 

メリーエスト「水みたいな見た目だけど良い香りね。」

 

ライト(コンソメスープ。このパーティーの隠しメニューだ。)

 

ミーアが量産を嫌がったので、一鍋分の予約制となっている。メリーエストがコンソメスープをご賞味する。

 

メリーランド「・・・美味しい。まるで神々の食卓に上がる奇跡の皿ね。」

 

貴族A「今の言葉を聞いたか?」

 

貴族B「コンソメスープはやはり凄い・・・」

 

司会者「皆様!ご注目下さい!新郎新婦のご入場です!」

 

パーティー会場にディスラードと夫人が入場した。

 

司会者「今回は王祖様の逸話にある幻のケーキ入刀の儀式を執り行って頂きます!そうした新郎新婦に健やかな世継ぎが生まれるそうです!」

 

異世界では古の儀式になっているケーキ入刀。

 

アリサ「素敵ね〜。私も1度でも良いからご主人様とケーキ入刀したいわ〜。」

 

ルル「私もあんなドレスが着てみたいです。」

 

サトゥー「良いとも。」

 

アリサ「本当に!?」

 

ルル「本当ですか!?」

 

ライト「軽いな。」

 

サトゥー「あぁ。ケーキのカット係はアリサに。ルルには素敵なドレスを作ってあげよう。」

 

アリサ「お1人様は嫌ー!」

 

ポカポカとサトゥーを叩いていると、外が眩く光った。

 

アリサ「うわっ!もしかして花火!?」

 

夜空に美しい花火が咲き誇った。シーメン子爵のスクロール工房の面々の超過勤務の成果だ。

 

ルル「綺麗・・・」

 

ローズ「あんな魔法初めて見たわ・・・!」

 

メイリン「見てるだけで癒されます・・・!」

 

ライト・サトゥー「っ。」

 

花火を見詰めるハヤトの目に涙が流れている。

 

サトゥー(彼の望郷の涙は見なかった事にしよう。)

 

 

 

 

花火が終わると恋人の居ない貴族子弟達が、フリーの令嬢達をダンスに誘う姿が増えた。そして切り分けられたウェディング・ケーキが来客に振る舞われた。

 

貴族娘「美味しい!」

 

貴族老婆「凄く美味しいけど、この果実は何かしら?」

 

ケーキに乗ってある果実はルルの果実。

 

ジーク「これは美味いな。甘くて優しい味だ。」

 

シア「はい!美味しくて笑顔になっちゃいます〜!」

 

カーク「ペンドラゴン卿!アイラ卿!こんな所におられたのか!」

 

サトゥー「これはカーク様。」

 

カーク「ペンドラゴン卿のお陰でルルの実の取引が色々と纏まりそうだ。」

 

サトゥー「それは何よりですね。」

 

ライト「安心した。」

 

カークの娘「・・・あ、あの、サトゥー様。宜しければ私と・・・」

 

彼の娘がサトゥーをダンスに誘おうとした時。

 

メネア「カリナお姉様!このままだとサトゥー様が取られますわよ!」

 

カリナを連れたメネアが割り込んだ。

 

メネア「ごめんなさい。サトゥー様とは私達が先にダンスのお約束をしているの。」

 

サトゥー(そんな訳即していないぞ?それにダンスくらい幾らでも踊るのに・・・)

 

するとそこに、久し振りの顔と再会した。

 

セーラ「サトゥーさん。ライトさん。」

 

サトゥー「セーラ様!お久し振りです。」

 

第三王子のシャロリックの求婚から逃れる為にテニオン神殿の聖域に篭っていた彼女だが、シャロリックが王都へ送還されたので出て来れたのだろう。

 

巫女A「この方々がサトゥー様とライト様なのですね。」

 

巫女B「セーラお姉様のお気に入り。」

 

この2人の巫女はセーラと同じく魔王復活の生贄にされそうになった所を、勇者ナナシとクウガとアギトとして救った事がある。彼女達の後ろに居るのは、三神殿の司祭長や巫女長。

 

セーラ「サトゥーさん。踊りませんか?」

 

メネア「・・・・っ!」

 

リーングランデ「セーラ!」

 

ダンスに誘われた直後、リーングランデに止められた。

 

セーラ「・・・リーン姉様。」

 

タスク「サトゥー。お前モテモテだな。」

 

サトゥー「そんな事ないよ。」

 

残念ながらサトゥーの好みには5年から10年程歳が足りない。

 

 

 

 

結局メリーエスト皇女の仲裁で、全員と順番に踊る事になった。セーラ、カリナ、メネア、リナ辺りは良いとして、セーラ以外の巫女達やリーングランデ。メリーエストとも踊る羽目になったのは何故だろう?

 

サトゥー(まあ、美女達や美少女達と踊れたので役得だと思おう。)

 

女性陣から、大人気でした♪

 

 

 

『ツヅク』




         キャスト

       ライト:山崎大輝

      サトゥー:堀江瞬
        ポチ:河野ひより
        タマ:奥野香耶
       アリサ:悠木碧
        ルル:早瀬莉花
       タスク:小林裕介
      ドロシー:山村響
       ローズ:藤田咲
      メイリン:佐藤亜美菜

       トルマ:狩野翔
       カーク:浜田賢二
 メネア・ルモォーク:楠木ともり
      ミューズ:杉山里穂

       セーラ:前川涼子

   カリナ・ムーノ:川澄綾子
  オリオン・ムーノ:広瀬裕也

   リーングランデ:Lynn
    メリーエスト:若山詩音

   ハヤト・マサキ:熊谷健太郎


DEATH MARCH81「洗礼」
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