デスマーチからはじまる異世界空我   作:naogran

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DEATH MARCH81「洗礼」

『BGM:平穏』

 

アリサ「今日は1日中大丈夫なの?」

 

サトゥー「あぁ勿論さ。」

 

貴族関連のお仕事や付き合いが一段落し、今日は1日仲間達と久々の観光や工房体験に勤しむ。

 

 

 

 

最初に訪れたのはガラス工房。

 

ルル「ご主人様。あれは飴でしょうか?」

 

職人が拭き竿でガラスを膨らます準備をしている。

 

タマ「飴好き〜!」

 

ポチ「飴は甘いからポチも大好きなのです!」

 

アリサ「違うわよ。あれはガラスの器を作る為の道具よ。」

 

職人が拭き竿でガラスを膨らませた。

 

サトゥー(拭き竿が一種のマジック・アイテムになっているのか。凄く膨らんだ。)

 

タマ「不思議〜!」

 

ポチ「ふーってしたら丸くなったのです!」

 

リザ「落ち着きなさい2人共。」

 

ミーア「風船?」

 

ナナ「マスター。ふわっと膨らんだと報告します。」

 

ライト・タスク「待て。」

 

身を乗り出そうとするナナを抑えた。

 

ナナ「マスター。詳細な観察が必要と進言します。」

 

アリサ「観察はここからね。」

 

ミーア「我慢。」

 

ガイド「ご興味がおありなら、一通りの視察が終わったら体験されますか?」

 

サトゥー「はい。宜しければ是非。」

 

 

 

 

次に案内された場所が、ガラスの元になる素材の加工場所。

 

ガイド「ここでは花崗岩や珪岩と言うガラスの元になる石を砕いて粉にしています。ここにオークの石を砕いて作るこの青灰色の粉を混ぜて熱にすると、ガラスの元になるガラス片が出来るんです。」

 

ライト「オーク石?」

 

ガイド「これは北の葡萄山脈の辺りで取れる鉱石で、粉末にして水に溶くと気泡を出す石なのです。この気泡は・・・」

 

オーク石は天然ソーダのようなもの。

 

 

 

 

最後の部屋は物々しい場所。

 

ガイド「これがこの工房での板ガラス製造用のマジック・アイテムです。」

 

何でもここにある魔法装置は、シガ王国の前にあったオーク帝国の遺産らしい。

 

アリス「何かプレス機みたいね。」

 

ライト「だな。」

 

ここでは魔力の力場を皮膜代わりにして作っている。

 

サトゥー(マジック・モールドやキューブの魔法を使えば意外と簡単に出来そうな気がする。)

 

更にその板がガラスを使ったカガミの作成過程を見せて貰った。硝酸銀とやらを使うらしい。

 

サトゥー(元世界で使っていた鏡に近いな。)

 

硝酸銀の作り方は錬金術の資料にあったからオーク石とやらがあれば作成可能。

 

 

 

 

 

 

そして見学後。

 

アリサ「誰が一番格好良い器を作れるか勝負よ!」

 

タマ「タマ負けない〜!」

 

ポチ「ポチだって負けないのです!」

 

ジーク「面白そうだな。俺もやってみよう。」

 

ガラス作りを体験してみる。だが拭き竿で膨らませ過ぎて破裂してしまった。

 

アリサ「きゃあっ!!」

 

サヤ「だ、大丈夫ですか!?」

 

タスク「すまない。割れちゃって。」

 

ガイド「いえいえ。お怪我が無くて何よりです。それにしても普通はどんなに勢いよく吹いてもあんな風に破裂したりしないんですが・・・」

 

その後はガラス職人の指導通りに作業を進め、全員無事にグラスを作れた。ガラス細工スキルを得た。

 

 

 

 

帰りに姿見サイズのガラス鏡の値段を聞いてみたのだが、予約が詰まっているので2年後と言われた。

 

ライト「偉い人気なんだな。」

 

ガイド「えぇ。お陰様で。実は半年程前に透明なガラスを低価格で作れる技術が確立したのですが、それ以来注文が殺到して、魔法装置を休める暇もないのですよ。」

 

サトゥー(最近技術革新があったのか。)

 

ライト(まるで産業革命だな。)

 

長年の研究の成果が実ったのか、天才的な技術者が現れたのか。

 

サトゥー(もしかしたら、俺がセーリュー伯爵領でラットマンの赤兜から貰った『陶芸レシピ』みたいなメモのお陰だったりしてね。)

 

 

 

 

 

 

昼。カニ鍋と焼きガニで満腹。

 

アリサ「食った食った〜!」

 

タマ「まんぴく〜!」

 

ポチ「もう食べられないのです!」

 

ドロシー「こんなに食べたの久し振りね。」

 

メイリン「お腹いっぱいになったら眠くなっちゃいましたぁ・・・」

 

ローズ「もうメイリン。食べてすぐ寝ないの。」

 

姉のローズの膝枕でぐっすり眠る妹のメイリン。

 

ルル「もうアリサってば。食べ過ぎよ?」

 

アリサ「だって美味しいんだもん!今度はどんな工房に行くの?イモムシだらけの翠絹工房とか臭いのキツイ醤油工房みたいなのはやーよ。」

 

サトゥー「確かに凄かった・・・」

 

ライト「臭いもエグかったしなぁ・・・」

 

そのイモムシの吐き出した糸から超高級布である翠絹が織られる。高い魔力伝導率と防刃性能を誇っている。

 

サトゥー(さてそれは兎も角臭いか・・・)

 

ライト「昼からは画家のアトリエ見学に行こうと思うがどうだ?」

 

タマ「絵〜!」

 

ポチ「絵本を作る場所なのです!?」

 

ミーア「興味。」

 

 

 

 

結局アリサが折れる形でアトリエ見学に向かう事になった。

 

アトリエオーナー「我が水彩魔術をとくとご覧じろ!」

 

初めは普通に画家達が描く油絵を鑑賞していたのだが、ライト達の来訪を知ったオーナーがやって来て、彼の得意技と言う『魔法による描画』を実演してくれる事になった。

 

アトリエオーナー「ーーーーーーーーーパレット・コントロール。」

 

キャンバスに向かって筆と絵の具を華麗に操る。

 

アトリエオーナー「青。白。黄・・・」

 

タマ「綺麗〜!」

 

ポチ「凄いのです!」

 

サヤ「わぁ〜!色が綺麗です!」

 

ミーア「むむぅ・・・」

 

芸術に厳しいミーアが眼を細める。アトリエオーナーの絵が完成した。

 

アトリエオーナー「ふう。お目汚しだったかな?」

 

サトゥー「いいえ。実に素晴らしかったです。」

 

ライト「魔法を使った絵画。中々良かったぞ。」

 

執事「旦那様。そろそろ執務室にお戻り下さい。」

 

アトリエオーナー「いや私はペンドラゴン卿とアイラ卿を歓待せねば・・・こら引っ張るな!」

 

執事に強引に引っ張られ、後は女性画家に任せる事になった。

 

女性画家「士爵様。宜しければ絵画教室などもありますので、ご体験されてみては如何でしょう?」

 

 

 

 

 

 

絵画教室で絵を描いてみる。ライトとサトゥーは絵画スキルで絵を描く。

 

女性画家「士爵様は料理だけでなく絵もお上手なんですね。これはアイラ士爵の紋章ですか?」

 

ライト「ああ。中々気に入ってるからな。」

 

女性画家「ペンドラゴン卿のはご家族の絵ですか?」

 

サトゥー「いいえ。前に博物館で見た絵を模写してみました。マジック・アイテムの一種だと思うのですが、描かれた絵の少女が手を振ってくれる面白い絵でしたよ。」

 

女性画家「・・・絵が動くマジック・アイテムですか?」

 

イリュージョンのマジック・アイテムやだまし絵のような物はあるが、サトゥーが言ったような『動く絵』は知らないらしい。

 

サトゥー(絵画関係のアトリエで働く彼女が知らないとなると、俺が見たのは公開前の秘密の新作だったのかも?)

 

ポチ「見てなのです!」

 

彼女の絵は、サトゥー達が笑顔に溢れた絵だった。

 

サトゥー「へー。上手に描けているね。」

 

ポチ「これがポチとご主人様とライト様なのです。それとこっちが・・・」

 

タマ「タマも描けた〜!」

 

リアルなハンバーグの絵を皆に見せた。

 

サトゥー「・・・上手いな。」

 

タスク「リアルなハンバーグの絵だ・・・!」

 

アリサ「タマ上手っ!」

 

ミーア「上手。」

 

ポチ「凄く美味しそうなのです・・・!」

 

ライト「ミーアは花園の絵か。ちょっと見せてくれるか?」

 

ミーア「ん。結婚式。」

 

花園の絵かと思いきや、サトゥーとミーアの結婚式の絵だった。

 

ライト(ウエディングアート・・・)

 

ナナ「マスター。評価を希望します。」

 

出来上がった黄色い絵をサトゥーに見せた。

 

サトゥー「中々良いね。一面黄色・・・」

 

ミーア「ひよこ?」

 

ナナ「ミーアの問いを肯定します。」

 

 

 

 

リザはタマとポチの絵。

 

ルルはアリサの絵。

 

ジークは大好きな妹サヤの絵。

 

サヤは大好きな兄ジークの絵。

 

タスクは姉との思い出の絵。

 

ドロシーは今の仲間達の絵。

 

ローズとメイリンはお互いの絵を描いていた。

 

人生初の絵だろうから、心の赴くままに描くのが一番だと思う。

 

 

 

 

アリサはサトゥーの裸の絵を描こうと企んだが、サトゥーが阻止した。アリサ以外の大過なく絵を完成させ、ライト達は満足感を得て絵画教室を後にした。

 

 

 

 

絵画教室の帰り道で商会に寄り、絵画道具を買い求めた。

 

 

 

 

序でにセーリュー市とムーノ男爵領の手紙を委託出来る商人が居ないか確認した所、知り合いの貴族関係の御用商人が目的のクハノウ市から足を延ばして運んでくれる事になった。

 

サトゥーが書いた手紙はセーリュー市のゼナ。

 

ライトが書いた手紙はムーノ男爵領の復興を勤しんでるエレナ達。

 

サトゥーが書いた手紙を公都で買った品と一緒に同封。タマとポチもセーリュー市のユニに手紙を書いたので一緒に送る事にした。アリサの門前宿の女将モーサ宛の手紙も一緒に。

 

サトゥー(門前宿宛にも公都産の品を同封。)

 

シガ王国には往復郵便のようなものはないが、ユニが返信の手紙を出せるようにその分の費用を先払いした。

 

アリサ「それにしても奮発したわね〜。」

 

サトゥー「そうか?金貨3枚程だよ?」

 

ライト「お茶会1回贈り物代より安いもんよ。」

 

そう言ったらアリサに呆れられてしまった。大切な相手にはお金を惜しんではいけない。

 

 

 

 

 

 

アリサ「皆で絵本を作りましょう!」

 

ミーア「絵本?」

 

アリサ「そうよ!お話を決めて1人1枚ずつ絵を描いていくの!」

 

リザ「面白そうですね!」

 

タマ「タマ絵描く〜!」

 

ポチ「ポチはお話作ってみたいのです!」

 

ナナ「アリサ。絵本作りのアルゴリズムを提示して欲しいと申請します。」

 

サヤ「私も作ってみたいです!」

 

ドロシー「絵本・・・面白そうね。」

 

メイリン「お姉様はどんなお話にするんですか?」

 

ローズ「そうねぇ〜。」

 

サトゥー(皆乗り気だ。)

 

アリサ「それじゃここじゃなくて、大きなテーブルのある食堂に行きましょうか?」

 

女性陣「賛成!」

 

ライト、サトゥー、タスク、ジークは絵本の表紙を描かせて貰い、皆と楽しい時間を過ごした。

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

その夜。仲間達を寝かせた後、ライトとサトゥーは趣味の工作をやる為に『リターン』で公都地下にある迷宮遺跡へと向かった。

 

ライト「さて、ここに来て1発目の実験は?」

 

サトゥー「そうだなぁ。まずはナイフサイズの魔剣からチャレンジしてみよう。マジック・モールド!フォージ!」

 

灼熱魔法のフォージでナイフサイズの魔剣を作る。

 

ライト「大まかな形になったな。」

 

サトゥー「ここで、リキッド・コントロール。」

 

固まる前の青銅短剣にサーキットを組み込む隙間を作った。隙間が出来たら、予め作っておいたリキッドをストレージから取り出し。

 

サトゥー「リキッド・コントロール。マジック・ストリング。」

 

サーキット用の隙間に流し込んだ。ある程度冷えるまでは引き続き魔法でサーキットが歪まないように維持。ここの工程は難しかったが試行錯誤し、ナイフサイズの魔剣1号が完成した。完成した魔剣を持ってみる。

 

サトゥー「魔力の通りは良いな。」

 

ライト「こんなに軽い魔剣なんてこの異世界で初じゃね?」

 

サトゥー「言われてみれば。」

 

妖精剣とは比べ物にならないが、初めて作った物としては上出来。

 

サトゥー「これで次のステップに移れそうだ。」

 

魔剣をストレージに仕舞ってメニューを開く。

 

ライト「次の実験は?」

 

サトゥー「う〜ん・・・複雑な機能を追加するのは大変そうだし、取り敢えず魔力の通しやすさを追求した魔剣から順番に作ってみよう。」

 

 

 

 

 

 

そうして幾度もの失敗を積み重ね、夜明け前には大量の魔剣が完了した。

 

複雑な機能の大半は失敗してしまったので完成品の殆どは、シンプルな魔力循環重視タイプと、魔剣の表面に保護膜を形成する継戦能力重視タイプの2つ。

 

刻印魔法を応用した『帯電』機能搭載の魔剣が何本か出来た。

 

同様の仕組みで衝撃波を発生させる機能を実装した魔剣も作製してみたが、試作の1本で止めておいた。

 

ライト「こうなって来ると、やっぱり刻印による機能付与はサーキットによる機能付加よりも制約がデカいな。」

 

サトゥー「でもその分組み込みが簡単んだし。それに複雑なサーキットが組み込めるようになるまでは刻印魔法による機能追加を実用化させていこう。斧や長槍、ハルバードなんかも作ってみよう。」

 

ドワーフ達の作るミスリル合金製の剣を超える性能を発揮出来る。だがドハルと一緒に鍛えた『妖精剣』と比べると、魔力伝達性能以外で勝る点が無い。手持ちのミスリル鉱石から抽出したインゴットで表面をメッキにしたら格段に性能が向上したので、魔剣の素体が青銅製なのがボトルネックになっていると考えられる。

 

サトゥー「オリハルコンのような伝説級へ素材が手に入れば『竜の谷』の戦利品に匹敵する物が作れるかも知れない。」

 

ライト「じゃあ本格的な魔剣製作はオリハルコン級の素材をゲットしてからで良いんじゃねえか?」

 

サトゥー「そうだな。」

 

聖剣も作ってみたが、威力的にブルーが勿体無いので3本しか作っていない。1本は魔力循環重視タイプのブロードソード。もう1本は同じコンセプトのままクラウソラスそっくりに作ってみた。

 

2本目は2本目に作った時に入手したスキルをアクティベートしてから作製した。

 

偽造スキルと贋作スキルを獲得した。

 

サトゥー「外見は本物と見分けが付かない出来になった。」

 

この偽物は影武者陛下へのプレゼントにする為に作った。

 

ライト「おいおい、偽物を渡しちゃって大丈夫?」

 

サトゥー「俺に聖剣を預けたばかりに、王都の門閥貴族達に因縁を付けられたら可哀想だからね。」

 

偽物である旨を書いた手紙と一緒に公爵城の影武者陛下の枕元に。この偽物をどう使うかは本物の国王陛下に任せる事にした。

 

 

 

 

 

 

『BGM:世界』

 

翌日。朝食後、ライト達は仲間達とカリナとオリオンを連れて、貴族街にあるテニオン神殿を訪れた。

 

オリオン「ペンドラゴン卿。アイラ卿。神殿にどのような用件だ?」

 

サトゥー「私の従者達は洗礼を受けた事が無いので。寄付の序でに神官様に洗礼の儀式をして頂こうと思いまして。」

 

オリオン「洗礼だと!?」

 

突然オリオンが驚いた表情で声を上げた。

 

ライト「どうした?何か問題が?」

 

オリオン「い、いや・・・何も問題はない。何も・・・」

 

ここで洗礼を受けるのは、公都のテニオン神殿が保有する『蘇生の秘宝』の使用条件を満たす為である。

 

 

 

 

 

 

テニオン神殿の来客室。

 

セーラ「サトゥーさん!ライトさん!ようこそおいで下さいました!」

 

サトゥー「お久し振りですセーラ様。」

 

久し振りのセーラとの再会を喜んだ後。

 

セーラ「サトゥーさん。ライトさん。こちらです。」

 

 

 

 

案内された場所は、神殿の祭壇。

 

アリサ「何だか不思議な雰囲気ね。」

 

ミーア「ん。清浄。」

 

巫女長「あら?あなた達がサトゥーさんとライトさんね?」

 

ライト(巫女長だ。)

 

以前悪魔に憑依されたセーラを救出し、ラットとナナシの偽名で対面した巫女長と本格的に対面した。

 

サトゥー「お初にお目に掛かります。ムーノ男爵の家臣サトゥー・ペンドラゴン名誉士爵と申します。」

 

ライト「同じく名誉士爵のライト・アイラ。以後お見知り置きを。」

 

巫女長「・・・ナナシさん?ラットさん?」

 

ライト(何!?)

 

サトゥー(バレた!?)

 

2人はポーカーフェイススキルで表情をコントロール。

 

セーラ「あの、巫女長様?」

 

巫女長「あら?ごめんなさい。少しぼうっとしていたみたい。」

 

ライト(どうやら無意識に出た言葉だったみたいだ・・・)

 

サトゥー(信託スキル持ちの高レベル巫女さんは中々侮れないようだ。)

 

ライト「ナナシとラット。噂では聞いているが、公都を救ってくれた勇者の名前?」

 

巫女長「えぇそうよ。とても強くて、とても謙虚で、素敵な方々だわ。」

 

セーラ「巫女長様は勇者ナナシ様に恋をされているようですわね。」

 

巫女長「あら?女は何歳でも乙女心を秘めているものよ?セーラは誰に恋をしているのかしら?」

 

セーラ「わ、私は・・・恋なんて・・・」

 

サトゥーを見るが、彼の後ろからアリサとミーアの威圧が襲っている。

 

タスク「分かり易いな・・・」

 

巫女長「うふふ。あまりからかってはダメね。そうだわサトゥーさん、ライトさん。あなた達が差し入れて下さったとても美味しいスープのお陰で最近調子が良いの。だから感謝の気持ちとして、今日の儀式は私がさせて頂くわ。」

 

サトゥー(ミーアを説き伏せてもう1回コンソメスープの差し入れをしよう。)

 

他の仲間達の紹介を行い。続いて洗礼の儀式となった。

 

オリオン「申し訳ないが私は次期領主なので神殿の洗礼は受けられない。」

 

ライト(ん?そう言や前にアリサが。)

 

 

 

 

アリサ『シティ・コアと契約する国王や領主は洗礼を受けられない。』

 

 

 

 

ライト(なんて言ってたな。)

 

だが領主から都市や街を預かる『太守』や『守護』は洗礼の有無は関係ないとの事で、ライトやサトゥー、カリナが受ける分には問題無い。

 

巫女長「皆さん、跪いて心を穏やかにして下さい。」

 

全員が跪いて心を穏やかにする。

 

巫女長「では参ります。ーーーーーーーーーーーー」

 

詠唱が祭壇を包み込み。そして。

 

巫女長「イニシエイション。」

 

無数の光が祭壇に降り注いで、全員に隠し称号のテニオン教の洗礼が付与された。だが。

 

サトゥー(あれ・・・?)

 

アリサ「・・・?本当に洗礼されたのかしら?」

 

サトゥー(何故だ・・・?)

 

ライト(どう言う事だ?何で俺とサトゥーとアリサには称号が付与されてないんだ?)

 

巫女長の洗礼を受けても称号が増えない。

 

サトゥー(俺とライトは兎も角、レベルの低いアリサが高レベルの巫女長さんの儀式をレジスト出来るとも思えない。)

 

3人の共通点と言ったらユニークスキル位。

 

サトゥー(勇者の情報を確認・・・)

 

メニューを開いて勇者の情報を確認。付与されているのは祝福:パリオン神のみ。

 

ライト(隠し称号に洗礼:パリオン教は持ってない。代わりに別の称号が付与されてる。)

 

因果関係はよく判らないが、ライトとサトゥーとアリサは『蘇生の秘宝』の恩恵を受ける条件は満たせてなかったようなので、今後はアリサの生存を最優先事項。誰1人も死なせない為に。

 

サトゥー(巫女長様。本日の儀式と関係ない話で恐縮なのですが・・・この2人に掛けられた『ギアス』を解く方法を探しているのですが、ご存知ありませんか?)

 

巫女長「随分と危険な目に遭っているのね・・・ギアスはとっても危険なギフトよ。本来はウリオン神が罪人を裁く為にお与えになったものだと伝わっているわ。」

 

 

 

 

解く方法は3つ。

 

1つ目はギアスのギフトを持つ者による解除か上書き。

 

2つ目はウリオン神殿に伝わるアーティファクトを用いる。

 

3つ目は高位の聖職による祈願魔法を使った命令の消去。

 

この3つのどれかと言うのがギアス解除の条件だと言う。

 

 

 

 

ギアスの使い手として名が知られているのは、西方諸国を暗躍する闇賢者のみ。アリサとルルにギアスを掛けた宮廷魔術師は、クボォーク王国が侵略された時に殺されてしまったと言う。ウリオン神殿のアーティファクトは何処の国のウリオン神殿にあるか判明されていない。

 

そして大陸では祈願魔法が使える聖職者は秘されており、公にされているのはパリオン神殿のザーザリス法皇のみ。巫女長も昔は使えたようだが、願いを叶える為にはテニオン神をその身に降ろす必要があり、高齢で身体が弱まった今では奇跡の発動まで耐えられないらしい。

 

 

 

 

巫女長「ごめんなさい。私がもう少し若かったら良かったのだけど・・・」

 

自身が情けないと思っていると、セーラが声を上げた。

 

セーラ「大丈夫ですサトゥーさん!私が修行してきっと祈願魔法が使える位になってみせます!」

 

サトゥー「ありがとうございますセーラ様。」

 

巫女長「恋する乙女は無敵ね。」

 

セーラ「み、巫女長様!」

 

巫女長「私が初めて祈願魔法を使えたのも、先代勇者様への恋墓だったもの。テニオン神なら応援して下さるわよ。」

 

 

 

 

儀式を終えてセーラと巫女長と別れた。その際、ライトとサトゥーの聞き耳スキルが発動した。

 

巫女長「魔王。そして大怪魚・・・王祖様やサガ帝国の初代皇帝の時代のような『大乱の世』始まるわ。ナナシさん。ラットさん。あなた達なら公都を破滅から救ってくれたように世界を救ってくれるのかしら・・・」

 

サトゥー(巫女長さん。そう言う危ないフラグを立てるのは止めて下さい。)

 

ライト(アンタのその台詞、余計なプレッシャーを感じるんだが・・・)

 

 

 

 

 

 

『BGM:休息』

 

翌日。仲間達と一緒に公都の下町にある養護院にお邪魔した。理由は、慰問に来たセーラの手伝いの為。

 

 

 

 

養護院の庭でアリサ、ポチ、タマ、サヤが子供達と遊ぶ。

 

アリサ「よーし!ちみっ子集まれ!影鬼やるわよ!」

 

子供A「アリサちゃん。かげおにってな〜に?」

 

タマ「タマも〜。」

 

ポチ「ポチも初めて聞くのです。」

 

サヤ「影鬼ってどんな遊びなんですか?」

 

アリサ「今から説明するから静かに!影鬼って言うのはね。」

 

 

 

 

養護院内では、ミーアが音楽を奏でて赤ん坊達に安らぎを与える。ルルとナナが赤ん坊を抱いてる。リザは周囲に不審者が居ないか見張りをやっている。

 

子供B「ししゃくさま。つみき?」

 

サトゥー「そうだよ。こうして重ねると。」

 

積み木を使って小さな家を作った。

 

子供C「いえだ!」

 

子供D「しゅごい!ぼくもやる!」

 

すると後ろからザワザワした声が聞こえた。

 

ライト「何だ?」

 

ハヤト「ようサトゥー!ライト!お前達も擁護院の慰問か?」

 

サトゥー「えぇそうです。」

 

勇者ハヤト達が訪問したのだ。

 

リーングランデ「サトゥー!あなたまたセーラと!」

 

セーラ「リーン姉様!」

 

ライト「お2人さん喧嘩は止してくれ。子供達が怖がってるぞ。」

 

ハヤト「サトゥー!ライト!『YESロリータ!NOタッチ!』の精神は・・・」

 

日本語で説明しようとした時。

 

貴族娘「勇者様!私達もご一緒に!」

 

後ろの貴族娘達が押し掛けて来た。何でも勇者の慰問を聞き付けた貴族や商家の娘や婦人達が駆け付けたのだと言う。勇者も中々大変。

 

 

 

 

 

 

『BGM:意志』

 

洗礼の翌々日。屋敷にメネア王女が来訪した。

 

メネア「サトゥー様のお誘いを待ち切れなくて来てしまいました。」

 

にっこり笑うメネア。以前黒竜退治の帰りに公都見物に付き合うとサトゥーが約束していたが、彼はその事をすっかり忘れていた。

 

ライト「んで、そちらのお2人はどなただ?」

 

椅子に座ってる2人の子供がそこに居る。

 

少女「ねぇ殿下ー。私達いつまで黙ってたら良いのよ?」

 

少年「ユイちゃん。」

 

メネア「サトゥー様、ライト様。無作法で申し訳ありません。この子達は私が保護している者達で・・・2人共サトゥー様とライト様に自己紹介なさい。」

 

ユイ「はーい!私はユイ・アカサキでーす!アイドルやってました!お兄さん達、私の顔に見覚えないかな?」

 

少女の名はユイ・アカサキ。13歳でレベル2。演技のスキルを持ってる。

 

ライト・サトゥー(元の世界で見た事はない。)

 

サトゥー(けどユイの口と動きと発音が合っていない。)

 

読唇術スキルがユイの力を見抜いていた。

 

ライト(恐らく彼女は日本語を使ってる。聞こえて来る言葉はシガ国語。翻訳機能を持ったマジック・アイテムを装備しているに違いない。)

 

メネア「ユイ。お2人に失礼ですよ。ちゃんとした言葉を使いなさい。」

 

ユイ「は〜い。」

 

不満気に椅子に座った。

 

少年「アオイ・ハルカです・・・」

 

この少年の名はアオイ・ハルカ。10歳でレベル1。算術スキルを持っている。

 

ユイ「こんな見た目だけど、アオイっちは男の子だからね?」

 

ライト(男の子で女の子の顔立ち・・・現実世界におったら世の男子が興奮しそうだな。)

 

この2人は名前から判るように日本人。

 

サトゥー(メネア王女の国で召喚されたのだろう。)

 

勇者が『神の祝福がない召喚』と言っていたようにこの2人はユニークスキルは持っていない。それどころかアリサが転生者や転移者なら必ず持っていると言っていた『セルフ・ステータス』スキルさえも持っていない。

 

考え込んでる2人にユイが日本語で尋ねて来た。

 

ユイ「それで、あなた達はどの日本から来たの?この子のいた大倭豊秋津島帝国?それもと私が居た南日本連邦?まさか来た日本人民共和国の人間じゃないでしょうね?」

 

ライト・サトゥー(・・・はい?)

 

突然聞いた事ないワードに2人が内心困惑してる。

 

ライト(大倭豊秋津島帝国?南日本連邦?北日本人民共和国?聞いた事ないワードだ。)

 

サトゥー(落ち着け。無駄に高いMND値の効果を見せてみろ。)

 

2人はポーカーフェイススキルで乗り切る。

 

ライト(ユイの発言からすると、推測出来るのは戦記物のフィクションでよくあるIF世界の日本だな。)

 

サトゥー(そうだろうな。彼女達の召喚元の国はパラレルワールドの日本なのだろう。)

 

ライト(アリサや勇者が普通に日本と言っていたから、恐らくこの子は全員同じ世界から召喚されたと思い込んでいるようだ。)

 

ユイ「ねぇーどれよー?」

 

サトゥー「どれでもありませんよ。私の祖先は日本国の出身と記録に残っています。」

 

ユイ「なーんだ。佐藤さんが8人目かと思ったのに現地人だったのかー。残念だったね殿下。8人目が見付かったかも知れないって凄く嬉しそうだったのに。」

 

サトゥー「人目と言うと、殿下の国で召喚された日本の方ですか?」

 

メネア「え、ええ。行方不明なのです。」

 

ユイ「魔族に攫われちゃったんだー!」

 

メネア「ユ、ユイ!」

 

ライト「この子はっきり言うな・・・んで、攫われたってどう言う事だ?」

 

メネア「じ、実は・・・」

 

彼女はこれまでの経緯を話した。

 

メネア「最後の召喚儀式が行われた日に、王城を黒い上級魔族が襲ったのです。上級魔族は召喚儀式に使う祭壇ごと城を半壊させ、召喚されたばかりの8人目を攫って行ったそうです。」

 

その時に儀式を行っていた人達は、城の下敷きになって全員死亡したと言う。目撃情報によると、8人目は黒いショートヘアの少年。顔は見えなかったそうで少女かも知れないとの事。

 

サトゥー(そんな話何処かで聞いたような・・・あ。)

 

以前にアリサの祖国でも上級魔族が王城を襲ったと言う話を思い出した。

 

ライト(にしても黒い上級魔族か。セーリュー市に現れたあの吾輩君とは無関係なのか?)

 

サトゥー「その事件はいつ頃の事でしょう?」

 

メネア「2ヶ月以上前です。北の空に沢山の流星が降った日を覚えていますか?」

 

ライト(流星が降った日?サトゥーがこの前俺にだけ話した出来事か。)

 

メネア「あの前日です。」

 

サトゥー(え・・・)

 

ライト(なぬ・・・?)

 

サトゥー(攫われた8人目って、俺じゃないよね?ね?)

 

ライト(もしサトゥーが8人目なら、偉い事になりそうだな。)

 

サトゥーが8人目と符合する点は確かにある。だが、竜神を倒した使い捨ての『流星雨』が上級魔族が与えた物であるなら、わざわざサトゥーを介する意味が判らない。勇者達の話によると、ルモォーク王国で召喚された他の者はユニークスキルを持っていないはず。サトゥーが8人目の可能性はあるが、完全にそうだと決め付けるのは早い。

 

ユイ「でも佐藤さんが8人目じゃないなんて残念だなー。」

 

サトゥー「どうしてでしょう?」

 

ユイ「だってさ。日本から来た普通の人が大国の貴族になっているなんてアツイじゃん?私らだったら盛り上がれるかもって目標になるしさ!」

 

アオイ「ユイちゃんなら玉の輿の方が早くない?」

 

ユイ「うーん。こっちの貴族ってバタ臭い顔なんだよね。私は醤油顔の方が好きなんだー。」

 

ライト(醤油顔って・・・)

 

ユイ「そうだ!佐藤さんが上級貴族になったら私が奥さんになってあげようか?」

 

メネア「ユイ!貴族に嫁ぎたいなら最低限、礼儀作法を覚えねば相手にもされませんよ?」

 

ユイ「あ、そっか!佐藤さんは殿下が狙っているんだっけ?」

 

メネア「ユ、ユイ!サトゥー様、ユイが失礼な発言をして申し訳ございません。」

 

サトゥー(出来れば俺を狙っているって発言を否定して欲しかった。)

 

ユイ「でも殿下って戦死した婚約者の代わりに、シガ王国の上級貴族を落とさないといけないんでしょ?」

 

アオイ「ユイちゃんもう少しオブラートに包もうよ。」

 

ユイ「えー?鼬帝国に滅ぼされた小国の王子様の事なんて忘れて新しい恋に生きなきゃ!殿下もろくに会った事がない相手だって言ってたじゃん!」

 

メネア「ユイ!その辺にしておきなさい。」

 

ユイ「は、はい・・・」

 

彼女の威圧にユイが縮こまった。

 

ライト(威圧で鎮めたな。)

 

色恋に逸れた会話を召喚された日本人の話に戻す。8人目以外の召喚者について聞かせて貰った。

 

 

 

 

1人目と2人目は召喚直後に奇矯な叫び声を上げて王族に詰め寄った為、警備の騎士によって処刑。

 

3人目は10代後半の男性。翻訳指輪を受け取ったその日に城を抜け出し、森の中で魔物に喰われて死亡。

 

4人目は30代の男性。連日の厳しい戦闘訓練に耐えかねて視察に来た貴族に斬り掛かって処刑。

 

5人目は20代後半の女性。翻訳指輪を渡して事情を説明したその日の晩に自殺してしまったらしい。

 

 

 

 

ライト「何で自殺したんだ?」

 

メネア「送還の方法がないと先王が話してしまったのです。」

 

ライト「元の世界に帰れず半狂乱に陥ったって訳か。でもないのか?召喚の術式を送還に変えれば出来そうだけど。」

 

メネア「ニッポン人召喚の核をなしていたユリコ様の力は不安定で、鼬人族の儀式装置を補助をもってしても、ただの一度も同じ世界には繋がった事がないのです。」

 

同じ世界かどうかは転生者のユリコの使うユニークルキル『ワールド・コネクション』で判別していたそうだ。

 

メネア「そして6人目がアオイで、7人目がユイだったのです。」

 

ライト(成る程。つまり目の前に居る2人以外の日本人は全員死亡もしくは消息不明って事になってるのか。)

 

サトゥー(ルモォーク王国の名前を聞いた勇者達は怒るはずだ。)

 

ライト「んで、今後ルモォーク王国はこの子達をどうするつもりなんだ?」

 

メネア「王国の方では何も・・・私がシガ王国の王立学院に留学する事になったので2人を従者として連れて行くつもりです。」

 

そんな話をしていると、1人の執事がドアを開けた。

 

執事「士爵様。勇者様がおいでです。」

 

ユイ「本当ー?ラッキー!勇者に聞きたい事があったんだー!」

 

メネア「こらユイ!」

 

ライト「ハヤトか。通そう。」

 

サトゥー「うん。入って貰って下さい。」

 

執事「承知致しました。」

 

部屋にハヤトとリーングランデを入れてあげた。

 

ハヤト「よう!サトゥー!ライト!いきなり来て悪かったな。」

 

ライト「気にしてねえよ。」

 

ユイ「うっわー!ちょーイケメンじゃん!」

 

走ってハヤトに抱き付こうとしたが、リーングランデに止められた。

 

リーングランデ「何?この礼儀知らずの子。ハヤトやサトゥーやライトみたいな顔立ちだけど・・・」

 

ライト「悪いな。この子達はハヤトとは違う別の日本から来た日本人らしいんだ。」

 

ハヤト「そうか。ルモォーク王国の犠牲者達か・・・」

 

右手でユイを優しく撫でる。

 

ユイ「もう!子供扱いしないでよ!これでも芸能界でいっぱしのアイドルしてたんだから!」

 

ハヤト「そうか。すまんな。」

 

ユイ「いいよ!それよりさ、勇者さんに聞きたい事があるの。私達が日本へ帰る事は可能?」

 

ハヤト「・・・?メリー。リーン。ロレイヤ。俺様の知らない方法を知っているか?」

 

メリーエスト「いいえ。サガ帝国には伝わってないわ。」

 

リーングランデ「私が知る限りシガ王国にもないと思う。王城の禁書庫を調べる手もあるけど、彼処は国王か『禁書庫の主』であるシスティーナ第六王女位しか入れないのよ。」

 

ロレイヤ「サガ帝国のパリオン神殿にも伝わっていません。大陸西方のパリオン神国になら何か情報があるかも知れませんが、あまり期待しない方が宜しいかと思います。」

 

ライト(何だと・・・!?)

 

サトゥー(自分で調べる前から帰還がほぼ絶望的だと教えられるとは思わなかった・・・!)

 

ユイ「そっかー。無理かー。」

 

アオイ「もう変えれないんだね・・・お祖父ちゃんにもお祖母ちゃんにも・・・クラスの皆とも会えないんだ・・・」

 

事実をあっさり受け止めたユイとは対照的に、アオイは帰れないと言う事実に絶望し、泣いてしまった。メネアが彼を抱き締めて慰める。

 

ユイ「よっし!」

 

両手を叩いて意気込む。

 

ユイ「悲しむの終わり!これからはこっちで世界一のアイドルか、どっかの国の王妃様にでもなってやるわ!ほらアオイ!あんたも頭が良いんだからこっちで世界一の発明家にでもなりなさいよ!」

 

アオイ「放っておいてよユイちゃん・・・!世界一なんてなれる訳ないよ・・・!」

 

ユイ「試す前から諦めてどうすんのよ!子供なんだから全力で突っ走って前のめりに失敗したら良いのよ!」

 

アオイ「・・・失敗してどうすんのさ・・・」

 

ユイ「バカね。走り出すのが重要なのよ!私達はそう言う生き物なんだから!」

 

アオイ「もー・・・そんなのユイちゃんだけだよ。」

 

絶望して泣いていたアオイがユイに励まされ元気になった。

 

ライト(ユイって子はマイペースでポジティブだな。)

 

サトゥー(でも子供達が前向きになっているのに、大人の俺達がショックを引き摺る訳にはいかないな。)

 

こっちの世界の生活にも慣れたし、ライトはクウガ、サトゥーはチート過ぎる能力や資産があり、元の世界よりも快適に暮らせる。

 

サトゥー(ただ元の世界に残して来た人達には手紙の1つも送りたい。)

 

ライト(俺にクウガの力を与えてくれた親切な神様の期待を裏切る訳にはいかないからな。)

 

上級の空間魔法には『アジエイセント・プレーン』へゲートを開く魔法があるから、それをベースに『無数にある世界全てにメールをブロードキャストする魔法』を作ろうと考えてる。

 

サトゥー(でも一応禁書庫やパリオン震電の調査位は何れしよう。)

 

ハヤト「悪いな。良い話をしてやれなくて。」

 

ユイ「勇者さんのせいじゃないよ。」

 

ハヤト「そう言ってくれると助かる。メネア王女。悪いがサトゥーとライトを借りるぜ?」

 

メネア「は、はい!私の用件は急ぎではありませんので。これで失礼致します。」

 

 

 

 

『BGM:懊悩』

 

メネアが退出し、ハヤトに頼まれてありさを応接間に呼んだ。従者達も室外へ。

 

ハヤト「これで誰にも盗み聞き出来ないはずだ。」

 

ここに残ってるのは、ライトとサトゥーとアリサとハヤトの4人のみ。テーブルにはサガ帝国甲型防諜十三式と言うマジック・アイテム。室外への情報漏洩を防ぐ。

 

ハヤト「アリサ王女。俺様の所に来る気はないか?」

 

サトゥー(おっと。何事かと思ったら。)

 

ライト(いきなり告白かい。)

 

アリサ「ごめんなさい勇者様。私はサトゥー様達と一緒にいたいのです。」

 

ハヤト「・・・本心か?」

 

アリサ「はい。」

 

ハヤト「そうか・・・振られちまったな。」

 

彼女の意志を受け止めて潔く諦めた。

 

ハヤト「それにしてもアリサ王女も人が悪いぜ。」

 

アリサ「何の事でしょう?」

 

ハヤト「2人に教えて貰ったよ。」

 

アリサ「!?」

 

何を言ったと言いそうな顔で2人を睨む。

 

ライト・サトゥー(心当たりはない!)

 

ハヤト「日本人なのは予想がついていたが、サトゥーとライトがユニークスキルを持つ転移者だったなんてな。」

 

アリサ「げ!喋っちゃ・・・」

 

サトゥー「アリサ。」

 

ライト(やっちまった。寧ろアリサを呼んだ俺らの方が致命的だったのかもな。)

 

ハヤト「本当にそうだったのか・・・竜退治の夜にサトゥーと手合わせした時に違和感を覚えたのは間違いじゃなかったんだな。」

 

サトゥー(あの時から疑われていたのか・・・)

 

 

 

『ツヅク』




         キャスト

       ライト:山崎大輝

      サトゥー:堀江瞬
        ポチ:河野ひより
        タマ:奥野香耶
        リザ:津田美波
       アリサ:悠木碧
        ルル:早瀬莉花
       ミーア:永野愛理
        ナナ:安野希世乃
       ジーク:相葉裕樹
        サヤ:大野柚布子
       タスク:小林裕介
      ドロシー:山村響
       ローズ:藤田咲
      メイリン:佐藤亜美菜

       ガイド:浜田洋平
      女性画家:衣川里佳
  アトリエオーナー:高橋伸也

       セーラ:前川涼子
  オリオン・ムーノ:広瀬裕也

 メネア・ルモォーク:楠木ともり
   ユイ・アカサキ:稲垣好
   アオイ・ハルカ:田中美海

   ハヤト・マサキ:熊谷健太郎
   リーングランデ:Lynn

       巫女長:能登麻美子



DEATH MARCH82「伝授」
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