デスマーチからはじまる異世界空我   作:naogran

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DEATH MARCH82「伝授」

『BGM:懊悩』

 

ハヤト「『ラーニング』系のユニークスキルなんだろ?」

 

サトゥー(違う。それは普通のスキルだ。)

 

ハヤト「俺様の能力も規格外だから判るが、どんなに天才でもあんな速度で腕が上がるはずがないんだ。」

 

サトゥー「勇者様。本題に入って頂けますか?」

 

ライト(俺らの事はナナシとクウガだとは思ってなさそうだが、サガ帝国の諜報員にさせるつもりなのか?コイツ。)

 

ハヤト「すまんサトゥー。そんなに警戒しないでくれ。俺様はお前に俺様の技を伝授したいんだ。」

 

サトゥー「どう言う事でしょう?」

 

ハヤト「お前もライトも知っていると思うが、この世界は難易度調整を失敗したクソゲーだ。俺様みたいに召喚された時から50レベルもあるなら兎も角、一般人が城塞都市の外で生きるのはありえない位難しい。」

 

ライト・サトゥー(それは全面的に同意する。)

 

サトゥー(俺もレベル310と言うアドバンテージがなければ、竜の谷からセーリュー市に辿り着く前にワイバーンに喰われて死んでいただろう。)

 

ライト(この世界に来る前にクウガの力や諸々のアイテム、そしてレベル310。それを神さんがくれた大事な物ばかりだ。)

 

ハヤト「だから、アリサ王女を守って貰う為にも俺様の学んだ戦闘技術や必殺技をお前に伝えたいんだ。」

 

サトゥー(もしかして、100%善意で言ってくれていたのか?)

 

ライト「随分とお人好しなんだな。アンタは。」

 

ハヤト「自覚しているよ。それでサトゥー、受けてくれるか?」

 

サトゥー「えぇ。ご厚意に甘えさせて頂きます。」

 

ハヤトと違い、サトゥーには戦闘系のスキルは少ない。

 

ハヤト「何処か人目に付かない場所はあるか?」

 

サトゥー「えぇ。ございます。公都地下にある迷宮遺跡です。」

 

 

 

 

ハヤトの仲間達には、『アリサを賭けた勝負を行う』と告げて、ハヤト側の随員なしで向かう事になった。公爵の諜報員がハヤトを見張っていたので、地下道の入り口までは銀船で送って貰う。

 

 

 

 

 

 

迷宮遺跡。奥地へ移動中。

 

サトゥー(ん?人影が・・・諜報員か?)

 

曲がり角からオーク族の女性が出て来た。オークの女性は驚いて逃げた。

 

ライト(オーク族の女性か。)

 

前のマップ検索で見付けた下町の錬金術店の従業員らしい。

 

サトゥー(ハヤトとの戦いを目撃されても困るし、マーカーだけ付けておこう。)

 

 

 

 

 

 

迷宮遺跡の奥地に到着。アリサは結界で守られてる。ライトは見物。

 

ハヤト「まずは基本からだ。魔力を足の裏に集中して、踏み込むと同時に解放する!!」

 

するとハヤトが超高速で走った。

 

サトゥー(俺の模倣出来るのは戦闘パターンのみで、スキルは覚えられない事。それとハヤトやアリサのようにスキルリストからスキルを選べないと伝えた所、こんな風なスキル取得のレクチャーが始まった。)

 

ハヤト「これが瞬動だ。魔法や遠距離攻撃の多い魔法や魔族相手には必須のスキルだ。」

 

ライト「それって縮地のようなものか?」

 

ハヤト「いや、あれはハズレスキルだ。確かに縮地は移動時間がゼロだ。だが、移動距離が短過ぎる。」

 

サトゥー(はて?100メートル以上移動出来たら十分だと思うんだが?)

 

ハヤト「スキルレベル5もあれば数メートルまで伸びるが、必要なスキルポイントがシャレにならないんだ。それだけあれば瞬動がスキルレベル9まで上げられる。そっちの方が実戦で役に立つのさ。」

 

サトゥー(成る程。どんなスキルでもスキルポイント10で最大スキルレベルまで上げられるのは物凄いズルだとよく判る。)

 

ハヤト「そんな訳だから『瞬動』を覚えた方が良い。取り敢えず俺様の説明通りにやってみろ。足に集中するMP量は能力値のDEXやAGIの平均位にすると成功し易いぜ。」

 

サトゥー(ハヤトがアドバイスをくれるが、残念ながら能力値は表示が99で止まっていて正確な値が判らない。魔力量も個人差がある事だし、縮地で消耗する魔力量と同じ位で試してみよう。魔力を足の裏に集めて・・・踏み出す!)

 

縮地の応用で瞬動を発動する。見事成功した。飛脚、瞬動、身体強化のスキル。韋駄天の称号を手に入れた。

 

ハヤト「やるなサトゥー!今の感じでこれから毎日練習してみろ。次にレベルアップした時に『瞬動』スキルが手に入るはずだ。」

 

サトゥー(メモしておこう。物理アタッカーである獣娘達には有効な訓練方法だろう。)

 

メニューを開いて、先程ハヤトが言った言葉をすぐにメモに残す。

 

ハヤト「身体強化は全身の太い血管に魔力を循環させる感じでやるんだ。」

 

血管に魔力を循環させると、全身からゆっくりと魔力が溢れた。魔力視スキルを得た。

 

ハヤト「今の魔力を筋肉や骨格の強化に使った奴だ。下位スキルに『剛力』や『持久強化』なんかもあるが、身体強化の方が便利だ。魔力の皮膚に集めた『金剛殻』や『鉄皮』なんかのスキルもあるが、動きが鈍るから軽戦士のサトゥー向きじゃないな。ま、取り敢えず魔力循環からだ。」

 

サトゥー(流す魔力は最小限に絞って・・・)

 

さっき見た事を同じ様にやってみた。全身から魔力が溢れた。剛力、持久強化、瞬発強化、鉄皮、金剛殻、魔力鎧のスキルを獲得した。

 

ハヤト「ウィーが『さトゥーは魔力操作が上手い』って言っていただけあるぜ。難しい魔力循環も一発で成功させるなんてな。さっきの瞬動と身体強化は相性が良いから併せて訓練すると良い。」

 

サトゥー「はい。ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

『BGM:激闘』

 

スキルの伝授を終えて、次は実戦。

 

ハヤト「剣を抜け。まずは魔力を通せ。」

 

剣と盾を構える。

 

サトゥー「はい。」

 

自作の鋳造魔剣を出した。

 

ハヤト「魔剣か?随分魔力の通りが早いな・・・まぁいい。次は魔力の刃の延長線上に伸ばす感じで鋭き研ぎ澄まさせてみる。繰り返している内に『魔刃』スキルが使えるようになる。」

 

サトゥー(これはありがたい。ポチやタマに教える時は今の説明を使うとしよう。)

 

ハヤト「さて、そろそろ本番に行こう。俺様との実戦で戦い方を覚えろ。寸止めを心掛けるが、気を抜くと死ぬぞ?行くぞ!」

 

サトゥー「はい!」

 

ライト「レディー・・・ファイト!!!」

 

合図と同時に、両者の剣が激突。周囲に魔力が溢れた。

 

サトゥー(この前の模擬戦で学んだのか、ハヤトの斬撃は常時表示しているレーダーやログウィンドウの陰から襲って来る。表示をオフ。)

 

レーダーとログウィンドウの表示をオフにした。狭かった視野が広く感じた。

 

サトゥー(視野が広い。視線の動き、体の重心の位置、筋肉の動きを反映した僅かなシルエット。そして呼吸・・・ハヤトの聖剣が動き出すよりも早く、その軌跡の未来位置が予測出来る!)

 

するとハヤトが高速斬撃を繰り出したが、サトゥーはそれを鋳造魔剣で受け流した。

 

ハヤト「驚いたぜ!本当にレベル30の動きか?」

 

サトゥー(いつもより体が軽い。何かのスイッチが入ったかのように驚く程鮮明に情報が入って来る。まるで未来が読めるように・・・その感覚を確認しなくては・・・)

 

ハヤトの聖剣を避け、鋳造魔剣で弾いた。

 

サトゥー(予測し、捌き、時にはわざと攻撃を受け止めて相手のバランスを崩す。もっと・・・もっとだ!剣を振る前の僅かな切っ先の揺らぎ。剣の柄を握る微妙な力加減。空気の流れや地面から伝わる振動まで感じ取れる。殺気をフェイントに使う斬撃や気配を通りにした変わり身だって全て見抜いて模倣してやる!)

 

ハヤトが聖剣から巨大な魔法弾を放った。サトゥーはそれを鋳造魔剣で粉砕してハヤトに攻撃を与えた。

 

 

 

 

『先読み:対人戦』、『空間掌握』、『シャイニング・ヘキサ』、『虚撃』、『虚身』、『サガ帝国神皇流剣術』。この6つのスキルを得た。

 

そして『剣の舞手』の称号も手に入れた。

 

 

 

 

ハヤト「まさか、俺様がクリーンヒットを貰うなんて思わなかったぜ。」

 

ライト「模擬戦終了。勝者サトゥー。」

 

 

 

 

『BGM:休息』

 

模擬戦が終わり、アリサが泣きながらサトゥーに飛び込んだ。

 

アリサ「ご主人様ぁぁあああああ!!怪我!怪我はない?」

 

彼の身体中を触る。サトゥーに怪我は無い。

 

アリサ「もう!あんなに大人気ない本気攻撃してご主人様が大怪我したらどう責任取ってくれるのよ!!結婚前から寡婦なんてイヤよ!」

 

ハヤト「すまないアリサ王女。サトゥーがあんまり俺様の技を吸収するから面白くて。」

 

ライト(ハヤトが黒竜のブレスを吹き散らかしたシャイニング・ストラッシュを使った時は確かに驚きだ。)

 

ハヤト「言いたくなかったら黙秘でも構わんが、お前達はやっぱりルモォーク王国に召喚された8人目と9人目とやらなのか?」

 

サトゥー「分かりません。」

 

ライト「分かったら苦労はしない。」

 

ハヤト「・・・どう言う事だ?」

 

サトゥー「私達はどうやってこの世界に招かれたのか判らないのです・・・」

 

ライト「俺も何で呼ばれたか判らねぇ。」

 

こっちに来た顛末を流星雨やユニークスキル情報をカットして伝えた。そして勇者ナナシがサトゥー、仮面ライダークウガと勇者ラットがライトである事も黙秘。

 

ハヤト「仮眠から目覚めたら荒野にか。しかも目覚めと同時に蜥蜴人に追われるなんて、中々ハードな人生だな。」

 

2人の肩に手を置いて慰める。

 

ライト(慰めてるつもりか?)

 

ハヤト「所でお前達は勇者ナナシと勇者ラットを知っているか?」

 

サトゥー「はい、存じております。」

 

ライト「この前カリナを救った勇者だと噂で聞いた。」

 

ハヤト「アイツらはシガ王国が召喚した勇者なんだろう?勇者ヤマト・・・いや、王祖ヤマトが勇者召喚の術式を後世に残していても不思議じゃない。だが、勇者ナナシと赤い複眼の男はあの黄色野郎を手玉に取る程の規格外な奴だ。もしかしてアイツらは本物の王祖ヤマトじゃないのか?」

 

ライト「さぁな。正体は未だ不明だ。」

 

知らないとは言わない。

 

ハヤト「リーンが言っていた王祖ヤマトの伝説にある無晶霊廟の話が史実だったらな。魔術的なコールドスリープで眠っていた王祖ヤマトが現代に蘇った可能性だって・・・」

 

サトゥー(何だか話がトンデモ方向に逸れ始めた。)

 

ライト(後々面倒臭そう。)

 

アリサ「紫色の髪なら、私と同じ転生者なのではないでしょうか?」

 

ハヤト「成る程。それもあり得るか・・・」

 

サトゥー「それよりもハヤト様。これを。」

 

青銅の弾丸数発をハヤトに手渡した。

 

ハヤト「青銅の弾丸?」

 

サトゥー「魔力を流してみて下さい。」

 

ハヤト「ああ。」

 

言われるがままに青銅の弾丸に魔力を流すと、弾丸から魔力が溢れた。

 

ハヤト「これは!?まさか聖なる武器か!」

 

サトゥー「はい。トリスメギストスと名乗る仮面の錬金術師から譲って頂いた品です。軸を用意すれば矢として使えるそうです。」

 

ハヤト「・・・成る程。そう言う事か。サトゥー、その錬金術師と会う方法はあるのか?」

 

サトゥーは首を横に振った。制作者名が空欄になっている事からナナシを連想している。

 

ハヤト「それにしても使い捨ての聖なる武器とは・・・」

 

サトゥー「それはハヤト様がお使い下さい。私が持つより宜しいかと存じます。」

 

ハヤト「いいのか?」

 

サトゥーの希望としては、次の『魔王の季節』まで魔王に出て来て欲しくないが、巫女長の不穏な発言もあり、黄肌魔族みたいな強い奴と遭遇した時に役立つかも知れないとの事。

 

ハヤト「ありがたく貰っておくぜ。」

 

青銅の弾丸を受け取った。

 

 

 

 

 

 

『BGM:平穏』

 

迷宮遺跡から出て、銀船の前に着いた。

 

ハヤト「俺様達は他の魔王復活の予言があった場所に向かう。」

 

ライト「え?もう行くのか?」

 

ハヤト「ああ。シガ王国の迷宮都市セリビーラとヨウォーク王国を確認した後、パリオン神国に向かう予定だ。」

 

ライト「そうか。」

 

ハヤト「アリサ王女。また会う日まで無事で。」

 

手を伸ばすと、アリサがハヤトの手を両手で優しく握った。

 

アリサ「ハヤト様のご武運をお祈りしております。」

 

ハヤト「・・・・!!」

 

彼女の天使のような笑顔にハヤトが顔を真っ赤にした。

 

ライト・サトゥー(彼は真性のロリコンだったようだ。)

 

ハヤト「笑うなサトゥー!ライト!いいか?くれぐれもアリサ王女の可憐さに我を忘れたりするな!『YES!ロリータ NO!タッチ』の精神を厳守だ!」

 

ライト「分かってるって。」

 

 

 

 

こうしてハヤトは銀船に乗って、仲間達と共に魔王復活の予言がある場所へ向かった。

 

アリサ「行っちゃったね。」

 

サトゥー「ああ。そうだな。」

 

ライト「また会えるさ。何処かでな。」

 

勇者ハヤトと邂逅する、またその日まで。

 

 

 

『ツヅク』




         キャスト

       ライト:山崎大輝

      サトゥー:堀江瞬
       アリサ:悠木碧

   ハヤト・マサキ:熊谷健太郎




DEATH MARCH83「黒街」
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