コードギアスーシャーリーのギアス完結編ー   作:レイガース

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死は変えられない。だが、死んだ者が世界をかき回すというのなら、それは間違った解釈である。時空を行き来する道具もまた同じことであり、未来や過去を変えようとするならば、必ず全てが滅びゆくことになろう。本来の生きている存在以外が変えようとする時は。

完結編も中盤に近いところまで差し掛かりました。この回も2話〜3話分を収録しています。エリア11は支配され、中華連邦とEUは戦争が始まります。シャーリーが何を選択するかによって物語も大きく変わります。早くも死してしまうキャラもいて、テレビアニメと同じキャラが早く参加します。コードギアスのゲームや小説、マンガなどを追加で読んでいる方にも、驚きの展開が続々出てくるので楽しみに読んでくださいね。


ブリタニア帝国滅亡と古代ブリタニア帝国再臨

一人の老化を帯びた女性が、天に両手を上げて叫んでいた。

 

「おお、クローノスの神よ!もう我が国はお終いじゃ。父親がお父様に国を継がせたばっかりに、その弟に国を支配されてしまう。これも宿命なのじゃろうか」

 

老女は、ほとんど命の灯火を尽きかけていた。

 

「一つだけ方法があります。兄君の子どもを隠して、遠い国に逃げるのです。未来の国の復興のために」

 

一人の男がそう言った。老女はその子どものいる場所を書き写し、男に与えて亡くなった。男は記された地へ赴き、廃墟と化した城へ入る。そこには、小さい赤子と抱き抱えて亡くなっている母親がいた。男はその赤子を手に抱き、遠くの国へ港を通じて渡った。十数年が経ち、立派に育ったかつての赤子だった青年は、ある小国の姫君の婿にと気に入られ、その姫君に娘の赤子を宿す。小国だったブリタニア帝国はその赤子の娘御の誕生を機に大きくなっていく。その赤子の娘御の名は、エメラルダ・ユン・ブリタニアであった。

 

 

現在、中華連邦の蓬莱島。ゼロが天子を強奪して、黒の騎士団と中華連邦軍が激突。星刻とカレンのナイトメア対決はカレンが捕らえられて緒戦は敗北。黒の騎士団浮遊戦闘艦イカルガは、天帝八十八陵に撤退。ゼロは停戦交渉を申し入れ、天子の命が危ういと伝えるが、中華連邦の大宦官たちは生死を否定。天子を殺そうと図り、ゼロの思惑によって録音された大宦官の発言が中華連邦全域に放送。人民の一斉蜂起により、大宦官の指揮は停滞。大竜胆(ターロンダン)を破壊され、乗っていた大宦官3名が死亡。シュナイゼルは撤退をせざるを得なくなる。

 

「今こそ、合衆国中華の建国の刻!」

 

星刻の呼び声と共に、合衆国中華へとまとまり始めた。黒の騎士団総帥ゼロも次の攻略地へ計画を移行させようとするが、その日から違和感を抱いていた。中華連邦領土が合衆国中華になろうとしている頃、キャサリンはアルテスに作成開始の合図を送る。その他にも、ブリタニア帝国内からもキャサリンの指示に従い、ナイトメアが多数ペンドラゴンへと出撃する。

ブリタニア本国内や中華、EUでも全国規模でエリア11一斉蜂起の放送が流れ、世界は大混乱の渦に飲み込まれる。シャーリーは学園を守るため、エデンの騎士団を政庁から呼び寄せ、生徒会の仲間に、自分がエデンだと告げる。もうエリア11にルルーシュが戻り帰れる場所は無かった。ナイトオブラウンズ枢木スザクの帰れる居場所も。

 

それから一週間が経った。皇帝シャルルが支配したエリア全土は一斉蜂起で消え、ほとんどの総督の命が散った。皇帝シャルルは帝国から逃げ、神根島に向かった。

 

「兄さんから連絡があった。神根島の遺跡の近くで止めよ!」

 

「イエス、ユア マジェスティー!」

 

ブリタニア帝国などどうでもいいが、自分たちにも危機が迫っていることは知っていた。ブリタニア本国はもうお終いだった。統治支配エリア全土が陥落した今、本国にいる皇族等は関係なかった。

 

「来たね、シャルル。詳しいことは、中で話そう」

 

V.V.がそう言うと、シャルルの手を握って遺跡へ向かう。シャルルはもう迷っている時間はなかった。計画を進めなければ、必ず全てが破滅すると。

 

エリア11政庁の総督室に、誰かが訪ねてきた。

 

「どうぞ、お入りなって」

 

「失礼します」

 

キャサリンの前に来たのは、シャーリーだった。何やら気難しい顔をしている。キャサリンは微笑んで、

 

「どうしたの、シャーリー?笑顔、笑顔!」

 

それでも、シャーリーは笑顔になれなかった。キャサリンの一連の騒動と動きにより、エリア11全土は崩壊状態。シャーリーはナナリーが行方不明と聞かされて納得もできていない状況でもある。

 

「貴女も少しは勘付いているんでしょう?自分の出自のこと。ビスマルクから聞いたって情報もあるわ」

 

シャーリーは勘付いているのは確かだったが、別のことも勘付いていた。それは、自分とルルーシュが引き離されたということ。もちろん、ロロや機密情報局全員も任を解かれ、ロロはギアスを封じられ、地下の監獄に放り込まれている。なぜ、シャーリーだけを捕まえずエデンの騎士団からも外し、世界をここまで混乱させたのか。シャーリーは聞きたいことが山ほどあったが、聞くのを止めにした。

 

「本国は、エリア11は、ブリタニアはどうなるのですか?」

 

唐突に聞いたシャーリーに、そうねと呟き、キャサリンは笑う。

 

「蘇って生まれ変わるのよ。現皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの帝国滅亡をきっかけにね」

 

シャーリーは顔色一つ変えなかったが、内心は困惑していた。ルルーシュを守りたいのに、契約やキャサリンには逆らえない威圧を感じる。D.D.も見かけないし、どう動いたらいいか分からなかった。

 

シュナイゼルと同行したナイトオブラウンズたちは、エリア11や本国に帰ることができず、また他のナイトオブラウンズたちにも合流できず、近くの隠れ家に身を潜めていた。

 

「どうしたものかね、この展開は。まるで、計られたみたいだよ。私の居ぬ間にね」

 

「世界が大混乱。各地でジャミングが働いていて、本国との通信も思うようにいきません」

 

カノンは、何度も通信を起動させるが繋がらなかった。これは予期せぬ出来事の数々だった。シュナイゼルがせっかく手にしたEUの分裂した国々もクーデターで崩壊。英雄の登場でEUは新たな連合を作り始めている。

 

「EUの英雄アルテス・ミスト。EUのイレブンと手を組み、反旗を返したか」

 

シュナイゼルは長い考えにふけるのであった。

 

 

合衆国中華の領土の黒の騎士団拠点、蓬莱島では、その本部でルルーシュとC.C.は沈黙していた。

 

「エメラルダ。そう言ったのだな、ルルーシュ?」

 

「ああ。数百年前のブリタニアの女帝と名乗っていた」

 

C.C.は腕を組み、また沈黙する。再び口を開いたC.C.は、

 

「いたな、そんな女。だが、どうするつもりだ?ナナリーを助けるせよ、今の合衆国中華では日本に向かえないぞ」

 

「分かっている!皇帝の動きは本当なのか?」

 

C.C.は頷く。ルルーシュは自分の新型ナイトメア蜃気楼にC.C.を乗せ、神根島に向かうことにした。スザクもナナリーを救うべく、シュナイゼルに許可を取り、アヴァロンでエリア11に突入する。

 

シャーリーは用意された専用部屋で寝ていた。シャーリーは夢にうなされ、目を覚める。最近、よく見るこの夢。あの時の夢だ。記憶を取り戻し、世界を信じられなくなった時と。

 

「もうすぐ、私の死んだ日なんだ。色々あって、日が経つのを感じなかったな〜」

 

シャーリーは吊るされている、エデンの服と仮面を見る。何のために、エデンになったのか。ルルーシュを助けるためではなかったのか。それが何だ、この状況は。歴史が狂い始めているではないか。シャーリーは立ち上がり、決意した。エデンの服を着て、仮面を被る。シャーリーはこれまで調べていた仮説を立て、ある場所に行く。

 

「やっと見つけました。だいぶやつれていますが、大丈夫ですか?」

 

両手を鎖に繋がれ、抵抗したかのように、機密情報局兼アッシュフォード学園教師、ヴィレッタ・ヌウがいた。

 

「…シャーリーか?地下の牢屋に行け。そこに、ナナリー総督がいる。逃げろ、この日本から…」

 

「ヴィレッタ先生!」

 

鉄格子越しに、シャーリーは呼びかける。この言葉を伝えるためだけに、最後の体力を残していたようだった。ヴィレッタ残して居場所を知ったのは、別の階で捕まっているロロに聞き、ここに来たのだ。

 

シャーリーは警備員にギアスをかけ、ナナリーのために不自由しない特別な牢屋に入る。ナナリーは顔を上げ、懐かしい足音に涙する。

 

「シャーリーさんですよね?良かった。無事だったんですね」

 

「私は助けに来たの。ナナちゃんを。ルルのために」

 

「お兄様の?」

 

シャーリーは錠を開け、ナナリーを牢屋から出し、

 

「ナイトメアを用意してあるわ。少し狭いけど我慢してね。安全な場所に着いたら、知っていること全て話すから。もう誰も、悲しい思いはさせたくないの」

 

シャーリーはナナリーを連れ、ナイトメア待機場所に走った。途中で遭った警備員にもギアスをかけていき、無事に政庁を脱出する。シャーリーは自分の専用新型ナイトメア、アテナの格納部にナナリーを詰め、車椅子を畳んで席の後ろに置く。アテナが動き出すと、外が騒がしいのに気付く。壁が破壊され、ランスロットが現れた。

 

「シャーリーか?ナナリーはどこに?」

 

「今、格納部に入ってる!脱出の手助けしてスザクくん!」

 

スザクは頷き、シャーリーを援護しながらアヴァロンまで案内する。アヴァロン艦内では、シュナイゼルとカノン、ジノやアーニャが全国放送を見ていた。テレビ映像には、あのキャサリンが映っていた。

 

『この度、全エリアが蜂起し、私の愛国ブリタニアは崩壊。同じブリタニア人のクーデターもあり、私以外の皇族はほとんど処刑されました。ここに追悼をしたいと思います」

 

キャサリンの行動にも何か変な感じだった。まるで内心は笑っているように思えた。シュナイゼルはスザク、ナナリー、シャーリーに気付き、近寄るよう促す。

 

「皇帝陛下が神根島に向かっていると情報が入った。ゼロも向かっているらしい」

 

「僕に行かせてください!ゼロは陛下の命を狙っています!」

 

ふむ、とシュナイゼルは言い、少し沈黙した。

 

「言いだろう。だが、少し休んでから行くがいい。色々、準備が必要だろう」

 

「シュナイゼル閣下。ご協力感謝します!」

 

スザクは自分の部屋に向かって歩いて行く。シュナイゼルはナナリーを引き寄せ、シャーリーに車椅子を押させる。

 

「話を聞かせてもらいたい。今のキャサリンについて全て」

 

ナナリーは頷く。もうキャサリンを誰も信用できずにいた。

 

 

アーニャは自分の部屋でブログを更新していると、急に気が遠くなるのを感じた。この頃、どんどん酷くなっている。アーニャは頭痛にやられ、頭を下げて少し気絶すると、口が笑みをして、立ち上がる。アーニャはそのまま、スザクの部屋に向かう。

 

エリア11旧政庁では、数個に区切られたマスの映像に、一人ずつ各国のリーダーが映っていた。

 

『予定通り、全てが上手くいきました。後はキャサリン皇女のなさりたいようにお願いします!』

 

『こちらも上と同じ。キャサリン皇女のなさりたいように』

 

キャサリンは微笑み、嬉しそうに両手を合わせる。彼等は全員、本来は歴史の中で暗殺されたり、処刑されて名を残せなかった人物ばかり。D.D.が不在の理由は、時空を行き来して彼等にギアスを与え、歴史を変えることだった。シャーリーにしたように。

 

「じゃあ、これで全部ね。みんなご苦労様。みんなの国の安全は保証するわ。それじゃあ、始めましょうか!」

 

キャサリンは支度しておいた皇帝服に着替え、部屋をスイッチで作り変える。まるで、ブリタニア本国のペンドラゴンのような玉座もあった。

 

『全世界の皆さん!長い間、苦しめて大変申し訳ございません。ここ日本の方々も解放し、不自由のない暮らしを提供致しました。私は皆さんに再び、お伝えしたいことがあって全国ネットにて放映しています』

 

キャサリンは間を少し空け、口を開く。

 

『私はここに、新たな統治国家、大聖ブリタニア教国を建国することをここに誓います!ブリタニア教国は人種、血族、性別問わず、誰もが等しく生きられる正しき国となるでしょう!』

 

世界各国の幹部や蜂起した人民は、その言葉に賛同し、大きな歓声を上げる。悪逆女皇帝キャサリンの誕生の瞬間であった。

 

 

ー第五話に続くー

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