Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第1話 暗闇に潜む瞳

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闇夜

 

夜中1時を過ぎた頃

 

少女は恐怖に震えていた

 

昼間、街を歩いていたところ複数の男に突然連れ去られ、気がついたときには椅子に縛られていた。

目隠しをされ、眠らされていたので、此処がどこでどれだけ移動したのか分からない。

何故自分がこんな目に遭うのか、彼女は薄々理解していた。

彼女の名前はエミリー。

街の銀行屋の一人娘である。

恐らく自分を連れ去った男達は自分を人質に身代金を要求するのだろう。

 

下から男達の笑い声が時折聴こえてくる。

今大声を出せば誰かが気付いて助けに来てくれるだろうか?

いや、それはないだろう。

あそこまで大胆に誘拐していったのだ。

それに口も縛られていない。

恐らく大声を出しても構わない場所、街から結構離れているのだろう。

今大声を出しても彼らの機嫌を損ね、口も塞がられるか暴力を振るわれ黙らされるだろう。

お金の為に殺されはしないだろうが痛いのは嫌だ。

無事に生きて帰る為には身代金の受け渡しが済むのを黙って動かず待つのが一番だ。

 

父は身代金を払ってくれるだろうか?

いや、きっと払う。

父は娘の自分から見ても相当に自分を溺愛している。

そんな娘の為なら少々の大金でも払ってしまうだろう。

自分のせいで父に迷惑をかけてしまう。

 

そもそも、身代金を受け取った男達が自分をおとなしく受け渡す保証もない。

こういう状況で人質が無傷に帰ってきたケースは少ない。

口封じのため殺されたり、傷物にされたり、この手の犯罪を犯す者達は当初の約束なんて守らない。

それもそうだろう。

社会のルールを守れないような者達が、自分達から取り決めた約束だとしてもそれを守るとは思えない。

自分も恐らく無事では帰れない。

状況を整理し、自分の今後を考え覚悟を決めた彼女だが

その肩は震えていた。

真っ暗な部屋でただ一人、誰にも気づかれることなく。

 

 

 

 

少女が一人覚悟を決め震えている頃、少女を誘拐した男達は今後のことについて話していた。

 

 

「いや~、それにしてもうまくいったな!」

「ああ、顔も隠してたし、ここの拠点も街から離れてるから直ぐには特定されないだろう。それより、身代金の要求は済ませたんだろうな?」

「ああ、シールが女の靴を証拠に身代金要求の手紙を出してきた」

「そうか、明日の昼には大金が手に入る。それまでは

"一応"、気を抜くなよ?」

「"一応"、な?分かってるよ。・・・おっと、そろそろ見張り交替の時間だ。早く行かないとディーンの奴にどやされる」

「頼んだぞ、ビーズ」

「あいよ、エーヨン」

 

見張り交替のためビーズはディーンの元へ向かう。

 

「おーい、待たせたな~・・・ってアレ?ディーン?おーい!ディーン!?」

 

いくら呼び掛けても返事どころか姿すら現さない。

トイレにでも行ってるのかと思い、遅れたことをうるさく言われなかったことに安堵しつつ見張りをすることにした。

そんなビーズを暗闇から二つの青い目が見つめていた。

 

 

 

ビーズが部屋を出て行ってから少しして、誰かまた部屋に入ってきた。

エーヨンは、本でも読んでいるのか顔も向けずに声をかけた。

「ディーンか?見張りご苦労だったな」

「・・・」

エーヨンの問いに返事はない。

それを不思議に思ったエーヨンは顔を上げて相手を見た

「ん?ディーンじゃなかったか?・・・誰も、いない?」

そこには誰も居らず、ただドアが開いているだけだった。

 

何か異変を感じたエーヨンは、側に置いてある剣を取ろうと手を伸ばした。

「ん?」

さっきまであったはずの剣がなくなっている。

これはマズイ!そう思った瞬間──

 

エーヨンの腕に剣が突き刺さった。

 

「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!!??」

腕の痛みに驚愕しつつ、相手を殺そうと振り向こうとしたその時、

 

シュパッ!

 

エーヨンは何者かに首を切られ息絶えた。

 

 

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