「銀行強盗だァァァァァァ!!!」
食事も終え宿に向かおうとしたルート達にそんな声が聞こえてきた。
正直めんどくさいなとは思いつつも外に出てみると、銀行強盗犯であろう武装し覆面で顔を隠した男達四人がちょうどこちらに走ってくるところだった。
「なっ、なんだてめぇら!?邪魔だ!どきやがれ!!」
強盗犯がルート達に怒鳴る。
ルート達が店から出てきたことで強盗犯達を通せんぼうした形になってしまった。
野次馬も集まりだし、向こうの方から警備兵が駆けてくるのが見える。
騒ぎが大きくなれば直に騎士団も出てくるだろう。
前にも後ろにも逃げられなくなった強盗犯は剣を抜き戦闘体勢をとる。
「捕まるわけにはいかねぇからな・・・・・覚悟しな!!」
向かってくる強盗犯を見て正直めんどくさいと思いながらも迎え撃つことにするルート。
「食後の運動にちょうどよいな!カンナ!ツバキ!行くのじゃ!!」
ハゴロモは腕を組み仁王立ちでそう指示する。
自分は戦わないのかとは思うが、まぁこの程度の相手ならそう人数は要らないと気持ちを切り替える。
ちなみに、ロックは満腹で動けず、メアリーは野次馬がいて銃を撃てないのでルートだけが戦う。
見た感じ、体は鍛えられているが武装もボロく計画も杜撰なので、大方金に困った冒険者崩れが突発的に起こした事件なのだろう。
敵の攻撃をヒョイヒョイかわしながらそう考える。
「なっ、なんだコイツ!?当たらねぇぞ!?」
「くそっ!!早くしねぇと逃げらんなくなっちまうってのに!!」
二人がかりでも傷ひとつつけられずに焦る強盗達。
力任せに剣をブンブン振っても当たるわけがないのだが、焦っているせいでどんどん動きが単調になっていく。
あまり長引かせてもいかんと刀に手をかける。
「フッ!」
「「ガッ!?」」 バタバタッ
一瞬で二人の脇腹に刀を振るい意識を奪う。
勿論峰打ちでだが・・・
横を見るとカンナとツバキも敵を倒している。
カンナは恐らく殴ったのであろう。
敵の鎧の腹の部分が陥没していて苦しそうに悶えている。
ツバキは自身より背が数十cmも高いであろう男を涼しい顔で組み伏せている。
「うむ!見事じゃ見事じゃ!」
ハゴロモは満足げに頷いている。
まぁこんなものかと警備兵に引き渡そうしたその時、
「キャァァァアアアッ!!」
「おいテメェら!そいつらを離しな!」
野次馬の中から一人の男が出てきた。
しかも少女を一人抱えて首筋に剣を当てている。
このタイミングで出てくるということは十中八九コイツ等の仲間だろう。
「油断したね・・・」
まさかもう一人仲間がいたとは・・・十分考えられる事だったと反省する。
その気になれば少女を救出出来るのだが、少女の首筋にある剣が危険であるし、犯人を殺すことになるのでやめておきたい。
少女に人質だけでなく、自分のすぐ後ろで人が死ぬところを見させてしまうとトラウマになる可能性がある。
さてどうしたものか・・・そう思案していると、
「まったく・・・やることが小悪党じゃのぅ~」
やれやれといった感じでハゴロモが前に出る。
「なんだとッ!?テメェ、コイツがどうなってもいいのか!!」
グッと少女を抱える力を強める。
「出来るのか?お主ごときに」
コケにされて怒ったのか、傷でもつけて本気なのを分からせてやろうと剣を動かそうとするが・・・
「うっ、動かねぇ!!?何でだ!?」
犯人の体は時間が止まったかのように微動だにしない。
顔だけは動くようで自分の体や周りをキョロキョロと見回している。
「テメェ!何しやがった!?」
それはルートも思った。
突然犯人の体が動かなくなったのだ。
封印系の魔法かとも思ったが魔法を使ったような素振りは無かった。
そう考えていると、犯人の腕がギギギッと動き少女が解放される。
少女は抱えられていた状態から解放されたのだが落下はしない。
そのまま宙に浮いている。
その光景に皆が驚愕していると、ユラユラ~~とゆっくり少女がハゴロモの元へと飛んでいく。
ハゴロモの力なのだろうがルートでも理解が追い付かなかった。
「よしよし、怖かったじゃろう~もう大丈夫じゃ!」
頭を撫でているが、正直人質になった恐怖よりも今の不思議体験の方がインパクトがあったようで動けずにいる。
そうこうしている間に犯人達は警備兵に連行されていった。
「す、すげぇぜアンタ等!」
犯人が連行され現実に戻ったのか、野次馬達から歓声があがる。
少女も親達と無事を喜びあっている。
すると警備兵が一人近寄ってきた。
「犯人逮捕にご協力、ありがとうございます。」
「いえいえ、たまたま近くにいただけですので・・・」
ここは謙虚に返しておく。
事情聴取とかが面倒だからだ。
それはハゴロモも同じなようで、
「ふわぁ~~・・・眠いのぉ~宿に向かおうぞ・・・」
事情聴取は明日することにしてルート達は宿に向かった。
見たことも聞いたこともないハゴロモの力・・・・・なかなか興味深いと思いながらその日は眠った。