銀行強盗犯を捕縛した翌日、ルート達は簡単な事情聴取と謝礼を受けた後街を出ていた。
別に先を急いでいるわけではないのだが、特に長居する理由もないのでまだ見ぬ楽しみを求めて先へ進んでいるのだ。
ライトの町を出てしばらく、会話の種も少なくなってきたのでハゴロモ達のことを聞いてみた。
「ハゴロモ達はヤマトから来たんだよね?」
「そうじゃ」
「ヤマトって今ゴチャゴチャしてるんじゃない?よく出てこれたね?」
「妾達は京から出てきたのでな、相変わらず東は喧しいし西は西で少し不穏じゃが・・・まぁ妾には関係ないしの」
ヤマトはひとつの国でありながら、完全な統治はなっていない。
かつては一人の王がヤマト全域を治めていた時代もあったが、ヤマトの血なのか自分こそが王にというような者が後を絶たず、ここ数年は他国との外交も少ないピリピリした状態が続いている。
何より、ヤマトには王の他に"帝"と呼ばれる遥か昔より続く血族が存在しているのだ。
帝とは神の子孫だと言われており、国を統治することはないのだが、例えヤマトを治めた王であっても帝より上の立場になることはない。
それほど帝は絶対的な権力を持っている。
直接統治に口を出すことはないのだがその存在を疎ましく思う者も多く、それが原因で過去に何度も戦が起こり国が割れ今の状況に至る。
「ヤマトでは息が詰まって退屈しておったのじゃ・・・しかし外の世は楽しいのぉ~。どんなものかと思っておったが、出てきて正解だったのぉ・・・」
余程京での生活が退屈だったのか、目がキラキラしている。
「?ヤマトって国ッスよね?なのにひとつじゃないんすか?」
ロックはよく分からないのか首を捻って聞いてくる。
「ヤマトとはそういう国なのじゃ。内乱が後を絶たずトップがコロコロ変わる・・・それでも帝が居るお蔭でヤマトという形だけは続いておる。まだ誰もヤマトに平穏をもたらしたことはないのじゃ・・・」
今のヤマトに呆れたようにため息を吐きながら説明してくれる。
今のヤマトも、数年前までは平穏までもう一歩というところだったのだが、トップが病死してしまい、後継者を名乗る者が複数現れまたしても群雄割拠の時代に戻ってしまったのだ。
現在は二人の後継者が西と東に別れ今は戦力を整えているのか、それとも自分達の領地の統治に忙しいのかぶつかり合うことはなく沈静化している。
「侍共は戦にやる気じゃが、それに付き合わされる民はたまったものでわない・・・」
ハゴロモは空を見上げながら怒りにも悲しみにも似た顔で語る。
「おっと・・・妾らしくなかったのぉ~・・・ささっ、先を急ごうぞ」
ごまかすようにカンナの頭を撫でつつ先へと進む歩を早める。
その後はヤマトの名物の話などでまた盛り上がりながら進み、その日は川の近くで野宿をすることになった。
「野宿するにあたって分担を決めよう」
人数も多いので役割を分担することになった。
主に食料調達、調理、寝床の用意である。
「取り敢えず寝床はロックにお願いできるかな?」
「了解ッス!」
敬礼をしながら了承するロック。
土魔法が得意なロックなら適任だろう。
「調理は僕とメアリーがするね」
ルートは昔から野外で生活することも多く、修行の一環で身に付けているので料理は結構できる。
メアリーも昔から母の手伝いなどで家事は結構できる。
・・・普段サバサバしているわりにそのあたりは女子力が高かったりする。
「ハゴロモ達は食料をお願いね?」
「妾は味見係をしたいのじゃが・・・まぁよいじゃろう」
サボりたいのが丸分かりだが了承してくれた。
自分達で料理するよりはマシだと思ったのだろう、早速カンナとツバキを引き連れて森へと入っていった。
ロックも魔法で寝床を造っていく。
ルートとメアリーも調理をするため調理場を作製しにかかった。