Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第13話 温泉街タマツクリ蕎麦打ち対決

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ハゴロモ達と共に行動し始めて5日目、アール王国の国境に近い温泉街タマツクリにたどり着いたルート達。

何でも温泉に肌が綺麗になる効能があるとかで王都から離れているにも関わらず賑わっている。

タマツクリという名からも分かるようにここにはヤマト出身者やヤマトの血縁者が多い。

 

「おぉ!ここがかのタマツクリか!」

「おや?ルートでもタマツクリは知ってるんだねぇ?」

「師匠は温泉巡りが趣味のひとつだったらしいから、修行中何度も温泉話を聴かされたよ・・・」

「へぇ、あの人にそんな趣味があったなんてねぇ・・・」

 

知り合いの意外な趣味を知ったメアリーだった。

 

「でも、やっぱりヤマトって感じだね。王都とは雰囲気がやっぱり違うよ」

「確かに、建物なんかも王都とは違うねぇ・・・」

 

周りの建物を見渡しながら呟く。

どの建物も王都ではあまり見ないような作りをしている。

普通廊下は家屋の中にあるものだが、ここでは外に面する壁に廊下がある。

屋根も広く建物の外に出っ張っている。

 

「なんじゃ、ヤマトの家屋を見るのは初めてかの?」

 

まるで田舎民が始めて都会に出てきたときみたいにキョロキョロと物珍しそうに辺りを見渡しているとハゴロモが聞いてきた。

 

メアリーと二人揃ってそうだと答えると途端に得意気な顔になり、

 

「そうかそうか!では妾がヤマトのことをいろいろと教えてやろうではないか!アッハッハッハッハァッ!!」

 

胸を叩いて説明役を買ってでた。

ここまで戦闘以外で活躍しておらず、土地の情報などはメアリーが詳しかったのでここに来てやっと自分の出番かとつい嬉しくなったようだ。

 

ひとしきり笑った後、先程ルート達が見ていた家屋を指差しちゃんと説明し始めた。

 

「廊下が外側にあって驚いたじゃろう?逆に妾もヤマトを出たときは驚いた・・・あれは縁側というのじゃ・・・なになに?・・・ヤマト特有な四季で変わる庭の景色を楽しめる上に、風や日光をたくさん取り込むことができるのじゃ!・・・屋根が出っ張っているのは軒先と言ってのぉ。おかげで雨も入りにくいしのじゃ!」

 

ちょいちょいツバキがカンペみたいな物を見せていたが説明はきちんとできている。

 

「あそこで日向ぼっこするのはとても気持ちいいのじゃ~~~懐かしいのぉ~」

 

本当に気持ちいいのだろう、カンナとツバキもうんうんと深くうなずいている。

 

その後もいろいろと説明をしてもらいながらゆっくりと進んでいると、ちょうどお昼頃になっていた。

 

「お腹減ったッス~」

「そうだね、そろそろいい時間だね」

「ふむ、そうじゃのぉ・・・おっ!あんなところに蕎麦屋があるぞ!ムム?それに蕎麦打ちも体験できるらしいぞ!」

 

ハゴロモの指差す方を見ると確かに蕎麦屋があり『蕎麦打ち体験やってます』と書かれている。

 

「ルートよ!どちらがより美味な蕎麦が打てるか勝負ぞ!!」

 

お昼を食べようとしたら突然勝負を仕掛けられてしまった。

しかし自分達で打った蕎麦を食す・・・なかなかいい機会かもしれない・・・よし!やってみよう!

ということでルート、メアリー、ロックチーム対ハゴロモ、カンナ、ツバキチームの蕎麦うち対決が始まった。

 

蕎麦打ちの手順はまず①蕎麦粉と小麦粉を混ぜる、②水をいれる、③こねる、④延ばす、⑤切る、⑥茹でるとある。

①はもうすでにお店の人にやってもらってあり、⑥もお店の人が盛り付けまで仕上げてくれる。

なので、①水を入れてこねる人、②生地を薄く延ばす人、③切る人と三人で分担してやることになった。

 

誰がどこを担当するかも勝負の鍵である。

①はとても大事なのは明白である。ここでつまずけば取り返しがつかないしなかなか力がいるらしい。

②は丁寧な仕事が要求される。より薄く、しかも均一にしなければ茹でた後に食感などが損なわれるからだ。

③は一発勝負だ。切ってしまえば戻れない。メンタルの強さと繊細さが求められる。

 

協議した結果ルートチームは①ロック、②メアリー、③ルートという人選になった。

一方ハゴロモチームはまだ協議している。いや、揉めている。

 

「妾が切りたいのじゃ~!」

「ハゴロモ様は包丁すら持ったこと無いではないですか!」

「しかし、こねたり延ばしたりは少々地味ではないか!」

「料理に派手さを求めないでください!負けてもよろしいのですか!?」

「そっ、それは嫌じゃ!妾は勝ちたいのじゃ!!」

「ならばここは諦めてください!」

「んむぅ~~~~~・・・し、しかし・・・・・」

 

その後5分揉めた後、①カンナ、②ツバキ、③ハゴロモという人選になった。

 

「それでは、はじめ!」

 

ノリのいいお店のご主人はスタートの合図までやってくれた。

 

「よ~しいくッスよ~!」

 

ご主人の教え通り水を少しずつ入れてはダマにならないように指先で手早く混ぜていく。

流石ドワーフ、やはり手先は器用だ。

対するカンナはロックより少し拙いが良くできている。

 

お互い混ぜ終え、次はこねる工程だ。

流石はドワーフ、巨大なけん玉を操る怪力でどんどんこねていく。

・・・・・ドワーフって実は蕎麦を打つの凄い向いてるんじゃないか?その証拠にご主人が『ほぅ、あんちゃんやるじゃねぇか・・・』といった顔でロックを見つめている。

さすがにカンナには不利か?と思ったが、なんとロック以上の力強さと速さでこねていく。

負けじとロックも食らいつく。

ご主人もその熱い戦いに涙を流している。

 

続いて延ばす工程になった。

メアリーは慣れた様子で打ち粉をかけ伸ばしていく。

やはり普段から料理していると違うのだろう。初めての蕎麦打ちでも臆せず挑んでいる。

対するツバキもメアリーに負けていない。スッスッと無駄のない動きでどんどん伸ばしていく。

ご主人はまたも熱い視線を送っている。

 

「けっこう難しいもんだねぇ・・・」

「やはり職人さんのようにはいきませんね・・・」

 

二人ともそうは言っているが初めてでこれなら上出来だろう。

そして二人は生地を畳み始めた。

いよいよ最後の勝負だ。

 

フゥーーー・・・

ルートは深呼吸をする。

大丈夫、切るのは得意だ。

美味しい蕎麦を食べるため、やってやる!

一足早くルートが切り始める。

スタッスタッスタッスタッとリズミカルに切っていく。

そのペースはなかなか早いのだろう。職人さんも『ほぉ』と感嘆の息をもらしている。

それを横目にしていたハゴロモは「フッフッフ」と不適な笑みをうかべる。

 

「とくと見ておれ店主よ!妾が真の蕎麦打ちというものを見せてくれる!!」

 

 

果たして蕎麦打ち対決の行方は!?

 

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