クラブが帰った後、ルートも自室へ戻り必要なものを持った後自分も風呂へ向かった。
なかなか遅い時間からなのか男湯にはルート一人だ。
この広い露天風呂を貸切状態とはまるで貴族にでもなったようだと思う。
隣の女湯からはチラホラと声が聞こえてくるのはやはり美肌の湯だからだろう。
湯の色は無色透明だが肌触りは少しとろとろしている。
なんとなく湯が肌に吸い付き潤いを与えてくれている気がするのだか、美肌の湯に入っているからそう感じるだけなのだろうか?
しばらく露天風呂を堪能したルートは明日の朝風呂を楽しみにしつつも部屋に戻ることにした。
男湯の暖簾をくぐり廊下に出ると、ちょうどハゴロモ達も女湯から出てきた。
ルートがクラブと話していた時間を考えると結構な長湯だったようだが、これも美肌の湯だからだろうか。
「おお、ルートも今出たのかの?いや~ついつい長湯してしまった」
「ちょっとのぼせぎみだよ」
ハゴロモとメアリーの言葉にカンナとツバキがウンウンと肯定する。
四人とも肌が火照っていて妙に色っぽい。のだが、ルートはなんでもないようにスタスタと部屋に戻ろうとする。
すれ違う人たちは皆メアリー達の色っぽさに目を奪われているのだが流石ルートだと思うメアリー。
そのまま売店の前を通りすぎようとしたルートにハゴロモが待ったをかけた。
「ルートよ、風呂上がりには牛乳を飲むものなのじゃ」
「牛乳?あぁ、ミルクのことか」
「そうじゃ。特に温泉に入った後の牛乳は格別じゃぞ?」
ヤマト出身のハゴロモがそう言うのならばと牛乳を買うことにする。
すると、普通の牛乳の他にも『コーヒー牛乳』、『フルーツ牛乳』、『イチゴ牛乳』などバリエーション豊かである。
「いろいろあるけど、どれがおすすめなの?」
「妾はこれじゃな」
そう言ってフルーツ牛乳を選ぶハゴロモ。
カンナはイチゴ牛乳を、ツバキは普通の牛乳を選ぶ。
メアリーは少し迷った後コーヒー牛乳を手に取る。
ルートも大分迷ったが、まぁ明日の朝風呂の後に他のも飲んでみようと今回はイチゴ牛乳を選んだ。
早速飲んでみると、まぁなんということでしょう!牛乳の中のイチゴのほのかな甘みと香りが口と鼻いっぱいに広がります。
「おいしい・・・」
「おいしいねぇ」
ルートとメアリーは二人して思わずホゥっとしてしまう。
風呂上がりの一杯がこんなにも素晴らしいものだったとは・・・
『風呂上がりにはキンキンに冷えたエールが一番だ!』と師匠は豪語していたけどお酒が好きじゃない僕にはこっちの方が合っている。
部屋に戻り布団に入る。
襖で仕切られた二部屋で男女は一応別だ。
今日もいろいろあったが面白い一日だったな。
美味しいものも食べられたし蕎麦打ちも経験できた。
変な男爵に絡まれて謎多い公爵にも目をつけられた。
いい温泉に入れて風呂上がりの一杯を覚えた。
ヤマトの文化はアール王国とは全く違うから面白い。
近いうちに行ってみるのもいいだろう。
その時はハゴロモに案内してもらおうかな?
・・・・・なんだかもう眠たくなってきた。
・・・・・布団がいいからかな?
・・・・・・・とりあえず朝一にもう一度風呂に入ろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝
朝日が登り始めようとしている時間にルートは朝風呂に入りに来ていた。
「予定より早く来ちゃった・・・あれ?先客がいる?」
てっきり一番風呂だと思っていたのだが二人目だった。
まぁいいかと思い静かに湯船に浸かると、先客だった男が湯船から上がった。
・・・よく鍛えられている。冒険者かな?
男は体を軽く拭くとルートを見ずに、しかし確実にルートに向けて言った。
「トレス王国に入ったら気をつけろ・・・お前達は狙われている・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
ルートは返事をせず黙って湯に体をまかせている。
男はそれだけ言うと風呂から出ていった。
どうやら今日もいろいろありそうだ・・・・・