Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第17話 トレス王国入り

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謎の男から助言?をもらった後、ルートはそのまま湯に浸かりながら考えていた。

自分達が狙われる理由はなにか・・・

冒険者として捕縛した悪人、殺害した者の仲間、ヤマトの貴族らしいハゴロモを狙っている可能性だってある。

そもそも先程の男は自分達を狙う側の人間なのか?

もしそうならなぜ注意勧告などするのか?

自分を襲うような気配など全くしなかったが、ただの情報提供者という線もあるか・・・

・・・いや、今一番考えられるとすれば昨日のトレス王国の男爵だろうか?

あの性格からして昨日のうちに連絡して刺客を送ってきたのかもしれない。

タイミング的にも地理的にもそれが一番納得がいく。

 

「ふぅ~、そろそろ出るか・・・」

 

あの男が何者かはまだ分からないが嘘は言っていなかった気がする。

国境を越えるときは気をつけるようにしよう。

 

そう思いながら部屋へと戻っていった。

 

 

「またおいでくださいませ」

 

女将さんたちに見送られながら宿を出る。

これから国境を越えトレス王国に向かう。

国境は割りと直ぐなので風呂での事を話しておく。

 

「そんなことがあったのかい?」

「うん、だから最低一回は襲われるかもね」

「そんなの返り討ちッスよ!」

 

メアリーとロックは特に心配していないのか、むしろ少しやる気になっている。

 

「ん~~~~・・・やっぱり恨まれる覚えはないのぉ・・・」

 

全く見に覚えがないのかハゴロモは考えるのをやめた。

 

「昨日の男爵には恨まれてるかもね?」

「?なぜあやつが恨むのじゃ?妾は正論を言っただけじゃろう?」

「貴族はプライドの塊のような人が多いからね、民衆の前で恥をかかされたのが許せないのかもよ?」

「そんなことでわざわざかの?ふむぅ、貴族というのはよほど暇なようじゃのぅ・・・」

 

何やら感慨深そうにしているが貴族なんて大体そんなものだろう。

一代で今の地位に就いている貴族なんてほとんどいない。

先祖の功績の積み重ねで今の地位があるのにそれを理解せず地位や権力を振り翳す貴族は多い。

ガルパスは間違いなくそのタイプであろう。

昨日のクローバー公爵なんかは珍しいだろう、まずあんなのとはオーラが違う。

 

そうこうしているうちに国境の関所だ。

ここで身分証などを見せて許可が出れば国外へ出入りできる。

 

「僕とメアリーは冒険者ギルドのギルドカードがあるけど、ロックは何か持ってるの?」

「勿論ッス!師匠とこのために商業ギルドのギルドカードを作りに行ったから抜かりはないッス!」

 

ロックは大丈夫なようだ。

正直ここで持っていないと言われたら非常にめんどくさかったところだ。

 

「ハゴロモたちは?」

「案ずるな、そもそも妾たちはヤマトから来たのじゃぞ?持っておらんわけがあるまい」

 

そうだった、ヤマトから来たのなら身分証なり許可証なり持っているに決まっている。

まぁ無くても出入りは出来るが・・・(密入国的な意味で)

しかし、ギルドに入っている様子は無さそうだし・・・やはり貴族の許可証か?

・・・・・おっと、そろそろ自分達の番だ。

 

「次の者」

「はい」

 

関所の役人にギルドカードを渡す。

役人はギルドカードを一瞥した後こちらの顔を見て本人かどうか確認してくる。

 

「トレス王国へは何をしに?」

「旅です。世界中を廻ろうかと」

「おぉいいねぇ~・・・ホイ、よい旅を」

 

そう言って許可印を押してカードを返してくれた。

この許可印がない者は密入国者だと一発でわかる。

 

その調子でメアリーとロックも問題なく許可が出る。

 

「次の者」

 

いよいよハゴロモ達の番だ。

 

「ほれ」

 

そう言って一枚の紙を出すハゴロモ。

 

「フムフム・・・ん?んんん!?ええええェェェエ!?」

 

突然役人が大声をあげる。

ハゴロモは『またか・・・』といった表情だがそんなに驚くことだろうか?ここはアール王国とトレス王国の国境、貴族なんて割りと来るだろう。

護衛らしい護衛がついていないことに驚いているのだろうか?

 

「え、えーとそのう、ご、御本人様でよろしいでしょうか?」

 

軽く震えながらハゴロモに聞いてくる。

 

「当然であろう。妾が "ハゴロモ・アメノミヤ" 本人じゃ、わかったらさっさと通せ後がつかえておる」

 

役員たちは大層驚いていたが無事通してもらえた。

役員だけでなく、他の一般人やメアリーまでもが驚いている。ロックはよく分かっていないようだが。

 

気になったのでメアリーに"アメノミヤ"について聞いてみることにする。

 

「ねぇメアリー、アメノミヤってどんな家なの?」

「はぁ!?あぁいや、あんたは七英雄も知らないんだったね・・・」

「俺っちも聞きたいッス!」

「あんたもかい?しょうがないねぇ・・・」

 

メアリーにまたも呆れられてしまったがちゃんと教えてもらえるようだ。

 

「いいかい?アメノミヤってのは七英雄の一人セイメイの家の名で帝を守るヤマトでも相当位の高い家だって話さ」

「聖戦時の父上の働きによって位が上がったのか有名になってしまったらしくてのぉ、どこに行ってもこの調子で参っておるのじゃ~・・・」

 

いい加減飽き飽きしたと軽く落ち込んでいる。ん?父上?

 

「父上ってことは・・・・・」

「あんたセイメイの娘だったのかい!!?」

 

メアリーが過去類を見ないくらい驚いている。

しかし、身近にこんな大物がいたとは・・・

 

「あれ?でもセイメイさんって帝を守るのが仕事なんでしょ?何で魔王を倒しに行ったの?」

 

帝が前線に出ていたのならわかるがそんなことあるはずがないので何故だか聞いてみた。

 

「先の帝が変わったお方だったらしくてのぉ、攻撃は最大の防御、大元を倒した方が早いと父上を魔王討伐に向かわせたのじゃ」

 

なるほど、確かに変わっている。

 

そこから暫くはハゴロモやセイメイの話で盛り上がり、そろそろ関所も見えなくなり山道へと入ろうかというところで近くの岩場に気配を感じた。

それも複数。

 

「本当に来たみたいだね・・・」

 

目で合図をしていつでも戦闘に入れるようにと身構えると、見覚えのある男が岩場から一人出てきた。

 

やはり風呂で忠告してきた男だった。

 

 

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