Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第18話 謎の男サーヴ

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岩場から出てきた昨夜の男は籠手や脛当などを身に付け腰にはロングソードを一本差している。

只者ではない雰囲気を感じとったのか皆も警戒している。

 

「どちら様かな?後ろの彼らはお仲間?」

 

一応聞いてみる。昨夜会ってはいるが、未だ岩場に隠れている奴等との関係が不明である以上昨夜の忠告の件を話してもいいものか分からないからだ。

後ろの奴等はともかく、彼からは敵意が感じられない。

 

「フッ、やはり分かるか」

 

そう言うと、ゾロゾロと岩場から人が出てきた。

防具も武器も年齢もバラバラ、恐らく冒険者か傭兵だろう。

 

「恨みは無いが、死んでもらうぞ・・・ッ」

 

そういうや否やロングソードを抜いて素早い動きで斬りつけてきた。

こちらも刀を抜いて彼の剣を受け止め鍔迫り合いになる。

 

「あなたは本当に敵なの?」

 

周りには聞こえないような音量で聞いてみる。

 

「・・・なぜそう思う?」

「敵意や殺意が感じられないから・・・」

 

今の彼の剣からは敵意や殺意が全く感じられないのだ。

もしかしたらこうして話せるように近づいてきたのかもしれない。

 

「俺はクローバー公爵の使い、名はサーヴだ。ガルパスの様子からこうなることは予想がついていたと俺を潜入に出したのだ」

 

なるほど、昨日の今日で直ぐに襲うには領地に帰って兵を集めるのに時間が足りない。

そもそもそんなことをすれば上に報告がいってしまう。

恐らくすぐ近場のゴロツキや傭兵を金で雇ったのだろう。

 

「奴等は冒険者崩れの傭兵達だ。」

「ならさっさと倒して先に進みたいんだけど」

「それは無理だな」

「なんで?そこまで強そうなやつがいるようには見えないけど・・・」

「お前達の力を見るように言われている。特にお前は直接俺が相手をするようにとも、な!」

 

そう言って距離を取る。

どうやら話し合いは終わりらしい。

メアリー達も内容までは聞こえなかったようだが大体の状況は分かってくれているみたいだ。

サーヴが合図を出すと傭兵達が一斉に襲いかかってくる。

サーヴの指示なのかルートにだけ向かってこない。

どうやらサーヴはルートと一対一で戦いたいようだ。

 

 

 

「うわわっ!!来たッス!」

「ハゴロモ様どうします?」

「どうするもなにも、降りかかる火の粉は払わねばならぬじゃろう・・・あの男がどういう立場なのかは知らぬが今はルートに任せてこやつらをさっさと片付けてしまおうぞ」

「それがいいね。けど数が数だ、お互いをカバーし合っていくよ!」

 

こちらも話し合いは終わったようで傭兵と交戦していく。

ロックとカンナが全線で交戦、ツバキがその身軽さを活かして二人の援護をしていく。

メアリーは遠距離から攻撃し、ハゴロモは敵の飛道具等を弾いたり軌道を変えて敵にぶつけている。

 

いったいどれ程の金を使って集めたのか、4、50人はいるのではないか。

それでもお互いをカバーしながら着実に数を減らしていく。

 

「・・・・・・?ほう、すごいな・・・あのルートとまともに打ち合っておるわ」

 

敵の数も減り少し余裕ができたハゴロモはルートと剣激を繰り広げるサーヴに感嘆した。

ルートはその圧倒的なスピードでサーヴを翻弄しつつ刀を振るっていく。

対するサーヴもルートの動きを見切り剣で応戦し、隙を見て蹴りで反撃している。

このまま長期戦になるかと思われたが次の瞬間ルートが距離をとった。

 

 

「あなた、何で剣を使ってるんです?」

「・・・今更何を聞いているのだ?」

 

ハゴロモも思わず耳を疑ってしまう。

武器だから、それ以外にないと

しかしサーヴは少し笑っているように見える。

 

「僕の動きを見切る動体視力、最小限の動きでかわす技術、反撃で繰り出す蹴り技、そのどれもが見事なのに・・・・・どうして剣技だけそんなにお粗末なんです?」

「!?・・・・・・・フッ」

 

サーヴは一瞬驚いた顔をしたが直ぐにポーカーフェイスに戻り少し笑った。

 

ハゴロモはよくわかっていなかった。

自分は剣を扱わないのでしょうがないだろうが、それでも素人目に見てもサーヴの剣捌きはさまになっていると思う。

現にルートの攻撃を防いでいる。

思わずルートに問いかけようとしたが、その前にルートが居合いの構えを始めたので後にした。

 

「ほう、雰囲気が変わったな。ようやく本気か?」

「力量を見たいんでしょう?」

「(・・・・・・・・来る!!)」

 

一瞬の静寂の後ルートが跳び出した。

 

速いな!?さっきまでの比じゃない!

 

驚嘆しつつもしっかりとルートの動きを目で捉え剣を振り下ろす。

刀と剣が交差する。

 

キィィィィィィィィンッ!!!

 

動かない二人。

その上空からクルクルとなにかが落ちてくる。

カランッ、と落ちてきたのはロングソードの上半分だ。

サーヴは折られた、いや斬られたロングソードを握ったまま動かない。が満足げに笑っている。

 

「・・・・・ふぅぅぅ・・・」

 

集中したのか、息を吐いて刀を鞘に納めるルート。

 

「これで、満足してもらえますか?」

「あぁ、満足だ。やはり慣れない剣など使うものではないな・・・しかし、特別変な型でもないと思っていたがよく剣士でないと分かったな」

 

「そうッスよ!少なくとも俺ッチよりもよく振れてたッス!」

「カンナもそう思うよ?さっきの人たちよりもきれいだった」

 

いつの間にか終わっていたようでロック達も今の戦いを見ていたようだ。

数が数だっただけに少し疲れているが無傷だ。

それはともかく、確かに傭兵達より型はきれいだった。

それこそまさにお手本のように・・・・・!!

 

「ハゴロモは気付いたみたいだね。体の動きなんかは洗練されてるのに剣の動きはそうでもない。足の運びや間合いの取り方の癖なんかを考えると普段は格闘を専門にしてることは直ぐにわかるよ。でも剣技はお手本のような基本の動きだけ、普通は極めるにつれて段々自分だけに一番合った動きになるはずなんだよ」

 

「フッ、やはり昔少し習った程度の剣術ではこんなものだな・・・しかし、戦いの中でも発揮されるその観察眼と洞察力、予想以上だ」

「どうする?まだやる?」

「いやいい、君の実力はよくわかったよ。それに、俺はこれからこれの後始末をしなきゃならない」

 

そう言ってメアリー達が倒した傭兵を指差す。

 

「これからもこういったことが起こるかもしれないが、お前達なら大丈夫だろうな・・・そうだ、近々ナポーリという町でケンカ祭りが開催されるらしいぞ」

「ケンカ祭り?」

「武器や攻撃魔法は使用禁止の拳と拳で戦う祭りだ。行ってみるといい」

 

正直あまり興味はなかったが、祭りというだけあって出店も多くあるそうなので行ってみることにした。

もちろんサーヴのことを皆に説明した後に。

 

 

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