Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第19話 ケンカ祭り①

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サーヴと別れてから一行はナポーリの町に着いた。

ナポーリは都会というほどでもないが、祭りがあるからなのか人で賑わっており活気に満ちていた。

 

「凄い人ッスね~・・・・・」

「ムキムキの人がいっぱいだ~」

 

ロックとカンナはたくさんの人に驚いている。

まぁ確かに例え王都であろうと道行く人の多くが筋骨隆々であれば驚いてしまうのも無理はない。

 

「こりゃ宿とれるかね~・・・?」

「こんなに人がいては屋台の飯にありつけぬやもしれんのぉ・・・」

 

メアリーは宿の心配、ハゴロモは屋台の心配をしている。

しかし宿がとれないのは少し困るな・・・自分は大丈夫でもメアリー達はそうはいかない。

うちは女子が多いし周りは男が多い。今も周りから様々な視線がぶつけられている。

羨む視線、殺意のこもった視線、下衆な視線など様々だ。

実際皆美人ばかりなので今までの町でも同じようなことはあったのだが、今回は周りは男ばかりで好戦的な上祭りが近く気分が高揚しているからかいつもの比じゃない。

これで野宿なんかになったら邪な考えを持った輩が夜襲ってくる可能性は高い。

 

そんな心配をしながら宿をとりに行く。

やはり満室ばかりだったが何とか宿を取ることに成功する。

受付のおばさんがうちの面子を見て何かニヤニヤしていた気がするけどけど気のせいだろう・・・

とにかく、宿も無事にとれたことだし、屋台を廻ってみることにしよう。

 

流石はケンカ祭りの屋台、屈強な男達が好みそうな肉やボリュームのあるメニューが多い。

お腹が減ったのであろうハゴロモ達に急かされ早速串焼きの屋台に向かう。

 

「おや?あんた達明日のケンカ祭りを見に来た観光客かい?」

 

屋台のおっちゃんはルート達を見るなりそう聞いてくる。

というか明日なのか。

 

「そうですけど、何か?」

「いや、この時期ここに来るのはケンカ祭りの参加者ばっかだからよ、女子供連れて歩いてんのは珍しいのさ」

 

なるほどどうやら自分達のようなのは珍しいらしい。

 

「なんならあんちゃんもケンカ祭りに参加して嬢ちゃん達に男見せてやりな!きっと惚れ直すぜぇ?」

「いや、僕らはそんなんじゃないんで・・・」

「なんでいつまんねぇ・・・俺が若い頃はケンカ祭りで男見せて数々の女を夢中にさせたってのによう」

 

おっちゃんはかつての自分に酔っているのか心ここにあらずなようだ。

でも確かによく鍛えられている。大体五十代前後であろうがその鍛えられた肉体は未だ健在なのだろう。

 

「おじさんは祭りに出ないの?」

 

カンナが首をかしげながら聞くと『古傷のせいで満足に戦えないんだ』と言って串焼きを一本サービスしてくれた。

本当は自分だってまだ戦いたいのだろう、少し悲しげな表情を浮かべている。

 

「まぁ、ものは試しであんちゃんも参加してみたらどうだ?賞金も出るし騎士団にスカウトされるかもしれねぇぞ?」

 

なんでもこのケンカ祭りは即戦力を望む騎士団が毎年視察に訪れているらしい。

ここで結果を残した強者が過去何人も厚待遇で騎士団入りしているとのこと、それで皆のやる気を上げているのだとか。

・・・スカウトはともかく賞金か・・・・・

 

「う~ん、僕出てみようかな?」

「な、なら俺ッチも出たいッス!」

「カンナも出た~い」

 

ルートが参加を表明するとロックとカンナも名乗りをあげる。

 

「あ~、子供は出れんぞ?」

「「え~~~!!?」」

「なんだ、規約を知らずに見に来たのか?」

 

がっくりとする二人を慰めつつ説明してくれた。

 

①参加資格者は成人(15才以上)とする。

②武器の使用を禁ずる。

③身体強化以外の魔法を禁ずる。

④気絶する、降参する、枠外に出る、審判が止めるまで試合を続ける。

⑤殺してはいけない。

 

という規約があると教えてくれた。

ちなみに『殺してはいけない』はまだこの祭りができたばかりの頃祭りとは呼べないほど殺伐とした殺し合いが行われていた時代の後できたらしい。

 

しかし、参加資格があるのは僕とメアリーとハゴロモだけか・・・二人はどうするのかな?

 

そう思い二人を見ると

 

「銃が使えないんだからパスするよ。まぁ子守りは任せときな」

「神通力が使えないのであれば仕方ない・・・妾は屋台の方を担当しようぞ」

 

二人は参加しないらしい。というかハゴロモは別の祭りを開催しそうだが・・・

 

おっちゃんから説明を聞いた後ルートは参加受付をしに行く。

やはり大規模なイベントであるらしく、凄い参加人数なようで参加表はびっしりだ。

 

「すいません、僕も参加したいのですが」

「え?・・・あ、はいかしこまりました!参加受付ですね?」

 

一瞬驚かれたがちゃんと登録してもらえたし番号も貰えた。512番だ。

やることはやったし皆の元へ帰ろうとすると

 

「おいおい、今年はこんなガキンチョが参加すんのか~?」

「痛い目見る前におとなしくママのとこ帰った方がいいぜぇ~?」

 

変な二人組に絡まれた。

口振りから察するに何度も祭りに参加していて腕に覚えがあるのだろう。

こちらが何も言い返さないでいると

 

「おいお前ら、そのへんにしときな!」

 

長身の男が二人を諌めに入ってきた。

 

「チッ!おい、行こうぜ!」

「あぁ、せいぜい祭りを盛り下げんなよ?」

 

長身の男の眼力に押されたのかその場から去る二人。

 

「大丈夫だったかボウズ?ああいう奴もいるだろうがせっかくの祭りだ楽しもうぜ!あっ、俺はエリアルド、エルってよんでくれ。冒険者だよろしく」

「別に困ってなかったけどありがとう。僕はルート、同じく冒険者だよ」

 

軽い自己紹介と共に握手をする。

聞けば彼も祭りの参加は今回が初めてらしい。

普段は剣を使っているらしいが、先の二人に比べてもよく鍛えられている。無駄に筋肉をつけているわけではなくバランスよく適度に引き締まっている感じだ。なかなかの実力者だろう。

これ以上時間をかけるとハゴロモが空腹で暴れそうなので皆の元へ戻ることにする。

 

「明日はよろしくな!ルート!」

 

出会って数分だというのになかなかフレンドリーだ。

 

「こちらこそ、エル」

 

お互いの健闘を誓って別れる。

その日は皆で屋台巡りをして早めに体を休めた。

 

 

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