Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第20話 ケンカ祭り②

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ケンカ祭り当日、晴天に恵まれ町は朝から昨日以上の熱気に包まれていた。

屋台で飯を食う人、入念にストレッチをする人、気分が高まっているのか思いを叫ぶ人、瞑想をして精神統一している人、そんな人々がいる中ケンカ祭りの初日が始まろうとしていた。

 

「やるからには優勝を目指しなよ?」

「勿論」

 

今回参加するのはルート一人だけだ。

 

「ハゴロモ達は?」

「もう観客席の場所取りに行ったよ。思ってたより混みそうだからねぇ・・・」

 

確かに凄い人の数だ。

参加者だけで500人を越えているのだから観客はもっと多いだろう。

流石はこの町の一大イベントだ。

 

ちなみにこのケンカ祭り、予選と本選が存在する。

参加人数が多いため予選ではいくつかのブロックに分け、各ブロックの勝者達で本選を行うのだ。

予選で1日、準決勝までを1日、決勝と三位決定戦で1日の計3日間行われる。

 

「ルートは何ブロックなんだい?」

「Jブロックだから最後だね」

 

過去最多の500人越えの参加人数のため50人程を1ブロックに合計10ブロックに分けられている。

強い者がいれば早く終わるブロックもあるが、10ブロックもあるので待ち時間が長い。

 

「まぁ試合を観ながらイメトレでもしておくよ」

 

控え室には試合を観られるモニターがあるので選手の戦闘スタイルなどを見ておくことが出きる・・・といっても予選を突破しなければその予習も意味ないのだが・・・

 

「まぁなんにせよ、予選くらいスパッとクリアしなよ」

「どうかな?僕より強い人なんてまだまだいっぱいいるだろうし」

「相変わらずのネガティブ思考だねぇ・・・」

「慢心してないだけだよ」

「あたしらが応援してんだから頑張りなよ?」

「勿論」

 

 

メアリーと別れた後Aブロックの試合が始まった。

とりあえず警戒すべき相手や参考にするべき動きなどをチェックしていく。

するとルートの眼が一人の男を捉えた。

その人物は昨日知り合ったエリアルドであった。

実に楽しそうに戦っている。

殴る、蹴る、防御する、かわす、豪快で勢い任せなように見えるが、ちゃんと相手の動きを見て的確に反応して動いている。

すると、そんなエルに危機感を抱いたのか周りの5人の男達がエル一人に照準を合わせた。

危険なやつは早めに潰しておきたいのであろう。

複数で一人を狙っても何らルールに問題ない・・・そもそも50人もの乱闘なのでルールなどあってないようなものだ。

そうこうしているうちに五人が一斉にエルに襲いかかる。

五人同時には捌ききれないようでダメージを負っているようだが確実に一人また一人と倒していく。

エルの戦いっぷりに観客が沸き、エルに負けじと周りも奮起し試合はどんどん白熱していく。

 

試合は進み数は十人を切った。

そこでルートはあることに気付いた。

(エルの力が増してる?)

普通長時間戦えば体力が落ち動きが鈍る。

ましてダメージを受けていればそのスピードは早まる。

にも拘らずエルの一撃は衰えていないどころか、むしろ増しているようにすら感じる。

息を乱し、身体中に擦り傷や痣をつくっているのにも関わらずだ。

実際ダメージを受け体力も落ちているのだろう。動きのキレもスピードも最初の時より落ちている。

しかしパワーだけは上がっているという不思議、ルートが考え込んでいるうちにエルがAブロックを勝利した。

 

Bブロック出場者が控え室から出ていく、それと入れ替わりでエルが戻ってきた。

軽く治療してもらったのだろう、所々簡単な湿布や包帯が巻かれている。

 

「ようルート!見たか俺の勇姿を!」

「おめでとうエル。凄かったよ、ケガはちゃんと治してね」

「おう!早速宿に帰って休むとするぜ」

「他の試合は見ないの?」

「予習とかは苦手でな・・・だから目の前の敵に全力でぶつかるだけよ!」

「ようするに脳筋なんだね」

「・・・もう少しオブラートに包んでくれよ」

 

自覚があるのだろう。少し悲しそうな目をしてエルは部屋を出ていった。

 

そんなこんなで予選は続き、Iブロックの試合が終わった。

 

「ようやくかぁ、待ちすぎてくたびれたよ」

 

軽く首の凝りをほぐして試合会場に向かう。

ずっと控え室にいたので気づかなかったがもうすぐ夕方になろうかという時間だ。

それでも観客の熱気は衰えていない。

一応試合前に周りを確認しておく。

やはりというかマッチョが多い。ボディビルコンテストかと間違えるくらいにだ。

実力者であろう者の姿もちらほら見える。

無駄のない筋肉を纏った大柄な男、道着を着た熟練者の風格をもった男、舌舐めずりをしながら獲物を探すかのように辺りを見回す男など警戒する人物をサーチする。

 

(あの人達とは距離があるし。戦うとしても試合の後半だろうし、まずは周りの奴等で小手調べといこう)

 

『それでは本日最後の試合!Jブロックの勝者は誰だ!?試合開始ィィィィィ!!!』

 

熱の入った司会者の号令と共に試合が始まった。

 

さてどうしようかとルートが考えていると

 

「ああ?昨日のガキンチョじゃねぇか?」

「ちょうどいい、まずはこいつをやっていいスタートをきろうぜ!」

 

昨日絡んできた二人だった。

ルートのサーチに引っ掛からなかったということは雑魚だろう。

しかしそんなことなど知るよしもない二人は何も言い返さないルートを見て気をよくしたのか襲いかかってきた。

勿論、そんな素人同然で隙だらけな攻撃などルートには当たらない。どころか眼中にもないようで一瞥もされずに顎と鳩尾にカウンターを決められ意識を奪われる二人。

あまりに綺麗で無駄のない完璧なカウンターに周りからの警戒度が跳ね上がる。

ルートから先に潰そうと一斉に襲いかかってくるが、そのすべての攻撃をしっかりと見切り、かわし、いなし、反撃していく。

まるで舞っているかのような見事な立ち回りに会場が湧く。

 

「ヒャーーーッ!?ルートさん凄いッス!」

「すごーい!踊ってるみたい!」

「今までのどの試合よりも圧倒的です!」

 

ロック、カンナ、ツバキも興奮して見入っている。

 

「でもまだまだ本気じゃないねぇ。本命のために温存してんのか本気を出すまでもないとおもってるのか・・・」

「うむ!このたこ焼きはソースが最高なのじゃ!!」

 

メアリーの横で口元にソースと青のりをつけながらたこ焼きの解説をするハゴロモ。完全に試合よりもご飯に熱を入れている。

 

「少しくらい見てやりなよ?」

「あんな雑兵共などいくら数がおってもルートには無意味じゃろう。ルートも他の実力者の方しか見ておらぬしの」

 

そう言ってパクパクとたこ焼きを食べていく。

見てないようでいてよく見ている。

ルートをよく理解しているとは思うが・・・・・この細い体のどこにそんなにも入っていくのだろう?正直試合よりもそっちの方が不思議なメアリーだった。

 

「さぁっ!!!試合もそろそろ大詰め!!残るは、そのパワーで全てを薙ぎ倒してきた42番ラリーゴ!極めた武道で数多を沈めてきた322番テラカ!目にも止まらぬスピードで意識を刈りまくってきた461番フィウチー!そして、息も乱さず舞うように蹂躙してきた512番ルート!!果たしてこの中の誰が本選へ進むのか!?いよいよ最終局面だァァァッ!!!」

 

 

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