Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第22話 ケンカ祭り④

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最後の一人ラリーゴが倒された。

ルートは3人をじっと見つめ、確実に意識を奪ったことを確認するとくるっと踵を返して会場を後にした。

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ・・・・・・ウッ、ウォォォォォォォォォォッッッ!!!』

 

一気に勝負が決したこと、アッサリとルートが会場を後にした事に会場が静まり返るが、誰をきっかけに一気に沸き上がった。

周りから口々に「凄いガキだ!」「今年は荒れるぞ!」「是非ともトレス国軍に」などとルートを絶賛する声が聞こえてくる。

ルートの活躍につい自分も嬉しくなるメアリーだったが、ルートがさっさと会場を出ていったことを思いだしハゴロモ達を連れて後を追った。

 

「あ~もうどこに行ったんだか・・・」

「う~ん・・・あっ、いたッス!」

 

そう言うロックの指差す方へ目を向けるとルートがいた。

 

「モグモグモグ・・・・・あぁ久しぶり・・・モグモグ・・・今日はもう宿に帰る?・・・モグモグモグ・・・」

 

どうやら試合中屋台のご飯を食べられなかったのがショックだったらしい、怪我らしい怪我もなかったルートは一目散に屋台へとやって来ていた。

 

「まったく・・・あんたがいきなり帰るからインタビューとか出来なくて司会者とか困ってたんだよ?」

「だって別に喋ることなんかないし・・・モグモグ」

「そこは適当に「勝ててうれしいです!」とか言って笑顔振り撒いとけば良いんだよ」

「そうッスよ!一人だけ浮いてたッス!」

「そうじゃそうじゃ!一人で食べずに妾達にも食べさせるのじゃ!!」

「そうだそうだ~!カンナ達にも頂戴~!」

 

ルートは食べるのを止めないし、ハゴロモとカンナは食事への興味しかなくて話を聞いてないし、それを見ているツバキはヤレヤレといった表情を浮かべてはいるがなにもしないし、ロックも援護はしてくれているがチラチラと食事へ目移りしている。

何を言っても無駄だと悟ったのかメアリーは諦めることにした。

せめてこの祭りの間は好きにさせておくことにしよう。

なんたって祭りなのだから。

 

 

そんなこんなで祭り2日目、ルート達は試合会場へと来ていた。

 

「なんか・・・昨日と雰囲気が違くないスか?」

「しょうがないだろう?昨日あんな活躍したんだ。周りの目だって変わるさ」

 

ルート達を見る周りの目は一晩で一気に変化していた。

畏怖、羨望、期待、中には艶かしい視線もある。

宿の店主も昨夜は直々に挨拶に来た。

恐らく、ルートが優勝でもすれば『チャンピオンが泊まった宿』とか『チャンピオンが贔屓にしている宿』などと宣伝して客を集めたいのだろう。

屋台の店員もサービスしたりして気を引いてきている。

まぁ、ルートはサービス自体にしか興味がないので店員の思惑など知ったこっちゃないのだろうが・・・

ついでに、ハゴロモ達もちゃっかりサービスしてもらっていた。

 

昨日の予選が終わって本線出場者が10人出揃った。

今日は二回戦までの6試合が行われる。

まず一回戦を2試合行い、そこで勝った二人と残りの六人で二回戦を行う。

なぜ一回戦を行うのかは簡単、参加人数が多くてブロックが増えたからだ。

普段はきっちり8ブロックで分けられて直ぐに準々決勝に進めたらしい。

参加人数が増えたこと自体は嬉しいらしいので今後ブロック数などを見直していくらしいのだが・・・

話は戻って今日の試合、組み合わせはランダムで当たるらしい。

 

「サァーッ!!早速一回戦を戦う四人を決めるぜぇーッ!!」

 

ダララララララララララッダンッ!!

 

「まずは一試合目!エリアルド選手対イーラ選手!!続いて二試合目!ケイン選手対ルート選手!!こいつはいきなり盛り上がりそうだぜェェ!!」

 

司会の煽りに会場も盛り上がる。

 

「あちゃー・・・一試合目からかぁ~」

「何か問題あるんスか?」

「他の6人より一試合多くやらなきゃなんないから不利なのさ」

「ライバルに分析されるからのぉ・・・」

 

そう、出来るなら一試合目に強敵同士で潰しあってくれるのが一番なのだ。

それを見て分析できれば自分と戦うときにハンデとなる。

まして予選であれだけ活躍したルートを傍観する選手などいないだろう。

現に本選出場者の何人かはルートを観察している。

 

微妙なにらみ合いが少し続いた後、一試合目を戦うエリアルドとイーラを残してルート達は控え室へと戻っていった。

メアリー達も一試合目に視線を向ける。

 

「ちなみに、この二人ってどういうタイプなんスか?」

 

ロックが問う。

というのも、ロックはハゴロモ達の屋台飯を買いに行っていたので昨日の試合をよく見れていないのだ。

しょうがないのでメアリーが説明することにする。

 

「ええとね・・・・・」

「二人とも我流の直感タイプじゃ・・・と言ってもエリアルドの方は普段は武器を使っとるのじゃろう、身体捌きは悪くない。・・・イーラの方は普段から拳で戦っておるのじゃろうが、持ち前のパワーに自惚れておる節があるのう・・・」

 

メアリーが説明しようとしたらハゴロモが横入りしてきた。

しかもメアリーよりも情報量が多い。

昨日はご飯ばかりに集中していると思ったが試合もちゃんと見ていたようだ。

この辺はルートとよく似ていると思う。

 

まぁなんにせよその通りだろう。

エリアルドの身長が推定190cmくらいあるのに対し、イーラの身長は300cmはあるのではないかという大巨漢だ。

それに加え物凄い筋肉、盛り上がり過ぎて今にも破裂しそうである。

正直フィジカルだけならイーラが圧倒的有利そうだが、予選を見ていた感じあまり賢そうではない。

ただ敵に向かう、そのパワーで倒す、その筋肉で防ぐを地でやっていて正直野生の猛獣を見ているようであった。

まともに正面からやりあわなければエリアルドにも十分勝機はあるだろう。

 

「さぁそれでは本選の一試合目!スタートォォォッ!!」

 

いよいよ始まった。

ゴングと同時にイーラが突進するがエリアルドは勿論避ける。

イーラは気にしていないようでまたも突進する。

突進、避けるを何度か繰り返す。

流石に学習したのかイーラはジリジリと距離を縮める。

エリアルドもしっかりと構え直ぐに行動できるようイーラをよく観察している。

やはり先に動いたのはイーラだ。

ある程度近寄った瞬間右腕をエリアルドに振るった。

それなりにスピードもありすんでのところで避ける。

かなりのパワーなのか地面が抉れる。

 

「なんというパワー!!エリアルド選手防戦一方だ!!」

 

確かにエリアルドはまだ一度もイーラに攻撃していない。

攻撃する隙がない・・・訳ではないだろう。

隙を突いた後の隙を攻撃されるのを警戒しているのだろう。

あの筋肉の鎧の前ではしょうがない、生半可な攻撃では動きを止めることもできないのだから。

ならばスタミナ切れを狙うか?いや、予選を見た限り直ぐにスタミナ切れを起こすようには見えなかったし、イーラの攻撃を避けるエリアルドもスタミナと集中力が必要であるはず。

・・・正直エリアルドの勝機を感じなくなってしまった。

そうメアリーが思い始めたとき、エリアルドの目が光った。

それはイーラが今までよりも少しだけ大きく、少しだけ横振りに右拳を放ってきたタイミングだった。

エリアルドがその右拳に自身の左の拳を全力で放つ。

その余波でエリアルドは後ろに少し吹き飛ばされたが手応えを感じたのだろう、笑っている。

イーラはというと、・・・・・動かない。

エリアルドが警戒もせずにスタスタと近づきチョンッと押した。

すると、ズドォォォンッ!とイーラは倒れてしまった。

意識がないのを確認したのか審判がエリアルドの勝利を宣言する。

 

「勝者!エリアルド!!」

『ワァァァァァァァァァァァ!!!!』

 

割れんばかりの歓声が響き渡る。

 

本選一回戦一試合目はエリアルドの勝利に終わった。

 

 

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