Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第24話 ケンカ祭り⑥

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ルートがケインを倒し、本選の一回戦が終わった。

 

「一回戦を勝ち抜いたのは~!エリアルド選手とルート選手だぁぁぁ!それじゃあ早速二回戦からのトーナメントを決めるぜぇぇぇ!」

 

相変わらずこの司会の人はテンションが高い。

 

「ダララララララララッダンッ!一試合目、エリアルド選手対エフェル選手!二試合目、アイル選手対エムゥ選手!三試合目、ジェイコブ選手対ジーコ選手!四試合目、エッチャー選手対ルート選手!」

 

と、いうわけで二回戦なのだが、エルとルートは一回戦を戦ったため二試合目と三試合目を先に行うことになった。

 

二回戦一試合目(二試合目)はアイル対エムゥ。

アイルはなんでも7年連続でこの祭りの本選に出場している実力者でかなり注目されている若手らしい。

エムゥは過去に出場歴はないらしいが、終始怪しい笑みを浮かべており緊張感などは欠片も感じられない。

 

さてそんな二回戦、向かい合う両者は見た目からして対極的である。

細身ではあるがよく鍛えられており目には『今年こそは・・・』という闘志を燃やすアイル。

巨漢でありどっしりとしたその体躯はまるで巨木を思わせるがニヤニヤとした笑みを絶やさないエムゥ。

見た感じはスピードタイプのアイルとパワータイプのエムゥの対決、一体どうなるのかと皆が見守る中ゴングが鳴った。

 

アイルはゴングと同時にエムゥに突っ込んだ。

一撃を与えると一旦距離をとってまた突っ込む、どうやらヒットアンドアウェイを得意としているようだ。

しかもその速度は段々と加速していき威力も上がっていく。

エムゥは咄嗟にガードする。隙を見つけては反撃をするがアイルの動きが速くて当たらず牽制にしかなっていない。

 

「完全にアイルさんのペースッスね」

「あぁ、しかも徐々にペースを上げて威力も上げてきてる・・・・これはアイルで決まりかねぇ・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 

ロックとメアリーが早々にアイルの勝ちを予想するがハゴロモはなにも言わない。

屋台飯を食べてはいるが目だけはジッとエムゥを見ていた。

・・・・・・・・・押さえきれていないその笑みを・・・・・・・・

 

 

数分後、未だ決着は着いていなかった。

あれからもアイルは攻撃を当て続けていた。

ペースも更に上げ、速さだけでなく回転なども加えた攻撃は確実に威力を上げているにも関わらずエムゥを倒せない。

エムゥのタフさに皆が呆れている中、その違和感をアイルは感じ取っていた。

 

「なんか・・・変だねぇ、あいつ・・・」

「確かに、あのタフさは異常ッスね・・・」

「いや、それもそうなんだけどさ・・・・・なんかこう・・・・・・」

 

メアリーもその違和感に気づき始めていた。

 

「そろそろ終わりかい?なかなかいい攻撃だったけどそんなに気持ちよくはなかったなぁ~」

「!?」

 

エムゥはあまり堪えているようには見えなかった。

それに不気味さを覚えたアイルだったが、悔しさの方が勝ってしまいエムゥにまた突撃していく。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

彼の全力なのだろう。今までよりもダントツで激しい攻撃を繰り出していく。

まだ上があったことに笑みを浮かべるエムゥだったが、

 

「ワンパターンだなぁ、飽きちゃった」

 

そう言うと今までよりも速い動きで反撃の張り手を放った。

 

「くっ!!?」

 

頭に血が上っていたが危機を察してギリギリで避けて距離をとる。

しかし・・・・・

 

「避け方もワンパターンだなぁ」

「なっ!?」

 

気づいたときにはもう遅かった。

その体躯でどうやってと思うような速度でエムゥはアイルに近づきアイルがその気配を察知したときには張り手がもうすぐそこまで迫っていた。

 

パァァァァァンッ!!

 

自身を地に打ち付けるように放たれた張り手をろくに受け身もとれずにアイルは食らってしまった。

動こうにも身体が限界を訴えているのか全く動かない。

それを見て司会は宣言した。

 

「勝者!エムゥ!!!」

「ん~もっと僕を気持ちよくさせてほしいなぁ~」

 

喝采が沸き起こったが、エムゥの発言によりピタッと止んだ。

 

「ひぇ~~一撃ッスか!」

「あのエムゥって奴、傷を負うほど強くなる能力でももってんのかい?」

「いや、それはないじゃろう」

 

メアリーが考察しているとハゴロモがそれを否定する。

 

「何でだい?最初の方は攻撃も当たらなくて防戦一方だったじゃないかい?」

「当たらなかったんじゃなく当てなかったんじゃろうな」

「なんでそんなことをしたんスか?」

「理由は二つじゃろう。一つは相手の回避のパターンを把握して一撃で決めるため・・・」

「二つ目は?」

「性癖じゃろうな」

「「へ?」」

「痛みに快感や興奮でも覚えるのじゃろう・・・メアリーが言うたように力こそ増しはせんがテンションは上がってあおったろうな」

「「えぇ~・・・」」

 

二人ともドン引きだ。

カンナとツバキも口にはしていないが顔に不快さが滲み出ている。

 

「それでも急所なんかは的確に防いでおったようじゃが・・・まぁ、ただの変人ではないことは確かじゃ」

 

ハゴロモはそこまでいい終えるとまた屋台飯を食べ始めた。

 

 

続く二試合目(三試合目)、元軍人だというジェイコブ対ジーコという初老の男、始まってみれば一方的だった。

軍で習ったのであろう格闘術を繰り出すジェイコブの攻撃を、ジーコはヒョイヒョイと最小限の動きだけでかわしていくのである。

また、時たま食らうカウンターもジェイコブの力を利用したもので、自身の攻撃が倍になって返ってくるので消耗するのはジェイコブだけ。

最後には地面に大の字になって息を乱し降参するジェイコブと、それを息一つ乱さず薄ら笑いすら浮かべて見下ろすジーコの図が出来上がっていた。

 

これで二回戦もあと二試合、エリアルド対エフェルの試合とエッチャー対ルートの試合だけである。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・何やら、嫌な予感がするの・・・・・・・・・」

 

ハゴロモは言い様のない予感を感じていた。

このケンカ祭り開催中に何か嫌な事が起こる気がすると

 

 

 

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