Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第31話 怨恨

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ガキィィィィィンッ!!

 

エリアルドが、拾った二本のロングソードで貴族を狙った攻撃を防いだ。

それは魔人による空からの攻撃、ではない。

魔人による攻撃によって騎士が倒された隙を狙った、魔人以外の何者かによる攻撃を、である。

 

「・・・・・やっぱりあんたらだったか・・・」

 

そう呟くエリアルドの視線の先には三人の男達、エムゥ、エッチャー、ジーコがいた。

彼らの表情はさっきまでとは変わっていた。

ケンカ祭りの最中はまるで子供のように本当に楽しそうに戦っていたのにも関わらず、今の彼らからは一切の"喜楽"の感情を感じられない。

貴族様はそんな彼らの冷たい表情を見て思わず「ヒィッ!」と小さく悲鳴を漏らしてしまっている。

 

「退いてはくれぬか?」

「それは無理な相談だジーコ、これも仕事なんでね」

「・・・やはり情報は漏れてしまっていたか・・・」

 

ジーコは少しため息をつくが、端からそれも視野に入れていたのか動揺は見せない。

 

「いやいや、情報なんてほとんど無かったようなもんだぜ?容疑者の詳しい情報どころか人数さえも分からなかったからな・・・その上まさか魔人とグルだったなんて、やってらんねぇぜ・・・」

 

やれやれと顔を横に振るエリアルド。

3体1ではやはり分が悪いのか、頬から汗が垂れている。

 

「なぁルート、さっきからそこで見てるだけじゃなくて加勢に入ってくれてもいいんだぜ?」

 

少しだけ視線をこっちに向けて支援要請をされた。

まぁそうだろう、ただでさえ数で不利な上空には魔人もいるのだから・・・でも、

 

「自分の武器がないし、さっきの攻撃でメアリー達が心配だから探しに行かないと・・・」

 

そう、今はメアリー達を探しに行くことが優先事項第一なのだ。

悪いがここで貴族様がどうなろうと知ったこっちゃない。

 

「自前の武器がないのは俺も同じだ!少しは俺のピンチを察して助けてやろうって気が起きねぇのか?」

「ピンチなのは察してるけどそのピンチに僕が介入するメリットがない」

「ったく、大会中にも思ってたが冷めた野郎だぜ・・・・・わかった!俺の賞金半分やるから手伝っ────!」

 

最後まで言い切る前に上にいる魔人からまたも魔法の気配を感じる。

悠長にお話を許してくれはしないみたいだ。

 

「何ブツブツ言い合ってんだ?つか邪魔」

 

そう言って炎弾をエリアルドとルートに向けて撃ってきた。

どうやら貴族には当てないようで邪魔者だけを排除する狙いみたいだ。

とりあえずルートは回避を行う。

エリアルドの方は・・・まぁ何とかするだろう。

ジーコ達も巻き込まれないように今は近づいては来ないだろうし・・・

 

ドカァァァンッ! ズガァァァンッ!

 

ルートは回避をなんなく成功させ一応エリアルドの安否を確認する。

エリアルドはロングソードで何とか炎弾を防いだようだがそのせいで2本とも破壊されてしまっていた。

 

「ふぅん、唯の雑魚じゃないわけね。なら、これならどうだ?」

 

そう言うと魔人は今度こそ貴族目掛けて炎弾を放った。

ジーコ達も想定と違っていたのかひどく驚いている。

といってもルートは貴族様を助ける義理はないので傍観を決め込むつもりだが、エリアルドは破壊された剣を放り捨て貴族の元へ駆ける。

策など無いのかただ覆い被さり文字通り身を盾にしている。

誰もがエリアルドと貴族が火達磨になると思ったその瞬間

 

ドバァァァァンッ!!

 

炎弾が空中で爆ぜた。

いや、何かに相殺されたのだ。

皆がその出所に目を向けると、

 

「弱いもの虐めとは、感心しないねぇ!」

 

愛用の魔銃を担いだメアリーが立っていた。

それに続くようにロック、カンナ、ツバキも各々の武器を構えている。

ハゴロモは端から武器を使わないので手ぶらだが・・・

 

皆が無事で安心した。と思うルートだったが、同時にこれは自分も戦わないといけない流れなんだろうなぁ・・・と諦めてハゴロモから刀を受け取り戦闘体制をとった。

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

メアリー達が現れたことで魔人はジーコ達の所へ降りていった。

 

「お前らがさっさと殺さねぇから増援が来ちまったじゃねぇか」

「申し訳ないバーズ殿、必ず奴は我らが殺します。いざとなれば"コレ"を使ってでも」

 

ジーコはそう言って懐に伸ばした手を戻しこちらに向き直った。

 

「お主らはその男が過去に何をしたのか知っておるか?」

 

そこから彼は昔話を語りだした。

 

「7年前、ブリガント帝国がトレス王国に侵攻してきた際、我等3人は戦争時の徴兵クエストに参加した。その際冒険者達で結成された遊撃軍の指揮を執っていたのがそこにいるエヌルト・フォン・ボイルだったのだ────」

 

何てことだ・・・・・ここで漸く貴族様の名前が出るとは・・・・・もうずっと最後まで"貴族様"で通すものだと思っていた。

おっと、そんなことに驚いている場合ではない。

一応ちゃんと話くらいは聞かなければ・・・・・・

 

成る程、つまりはこういうことか・・・・・先の戦争で貴族様、もといエヌルトは出世欲に駆られ功を急ぎ、無茶な突撃で遊撃軍を全滅させてしまったと。

それがバレるのを恐れて父に泣き付き、遊撃軍はブリガント帝国の卑劣な罠により奮闘虚しく全滅した。と自分の失態を隠蔽したというのだ。

それは恨まれて当然だろう。エヌルトも、まさか生き残りがいたとは!?と驚いて顔を青くしている。

まぁこの事がバレれば出世どころの騒ぎではなくなるし、余罪なんかもたくさん出てくるだろう。

こういう奴は目的のためなら汚いことなんか平気で何度でもやるタイプだからな、父親の関与も含めて御家とり潰しとかだろうなたぶん。

まぁそんなことはどうでもいい。

今の問題はそんな復讐のためにメアリー達を巻き込んだってことだ。

魔人と協力関係にあるんだったらこんな人の多い時じゃなくても襲撃できただろうに・・・まぁそれもあの魔人の思惑の一つなんだろけど・・・旅を邪魔した責任はとってもらおう。

 

 

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