ジーコ達+魔人と戦うことになった。
戦うことになったことはいいんだけど・・・・・実はまだ魔人と戦ったことはないんだよなぁ・・・一応師匠から対魔人戦のアドバイスはもらってるんだけど・・・相手が飛べるなんて聞いてないですよ師匠・・・
『いいかルート、魔人はその名が指す通り魔法に特化した種族だ。威力から範囲までそこらの魔法使いとはレベルが違うからな。・・・あぁ、あと攻撃魔法だけだと思ってたら足を掬われるぞ?中には身体強化までえげつないのがいるからなw』
あれ?最後笑われてたような?・・・まぁいいか。
とにかく魔人相手にむやみに突っ込むのは愚策、暫くは様子を見たいんだけど・・・"あの"人たちもヤル気満々だからなぁ・・・・・
「おいおいおっさん達、あんたらは俺とルートに負けてるんだぜ?それに今回はこっちは武器を持ってるし味方だっている。いくらそっちに魔人がついてるっていっても勝ち目は薄いんじゃねぇか?」
確かに、僕もそう思っていた。
魔人を味方につけれたのなら魔人に任せておけばいい。
自分達の手で恨みを晴らしたいのだとしても正直力不足だと思う。
となるとやはり奥の手でもあるのだろう。
さっき『"アレ"を使ってでも』って言ってたしな・・・
「今のわし等にお主達を超える力はない。それは直接戦ったわし等が一番よく分かっておる・・・じゃがな、それを見越さずにここに来るほどわし等はバカではないつもりじゃ」
そう言うと3人は示し合わせたように懐から同じ注射器を取り出した。
見るからに『自分、危険です!』と激しく自己主張しているかのような妖しい紫色の液体が入っている。
「エムゥ!エッチャー!覚悟はよいな!?」
「「もちろん!!」」
二人がそう返すや否や3人は自分達の首筋にソレを一気に注射した。
ドクンッ・・・・・ドクンッ・・・・・
少しの間場が静まり返る。
僕たちは勿論、ジーコ達も、更には魔人までもが笑みを浮かべながら次の展開を早く早くと急かすように視線を向けている。
「ウッ!アアアアアアア゙ア゙ア゙ッ!!??」
ジーコが突然苦しみだした。
いや、ジーコだけでなく他の二人もだ。
3人とも苦しむように悶えている。
体中の血管が肌に浮き出てきて脈動している。
そうかと思えば筋肉、骨、体全体が脈動し始めた。
それに伴い体がどんどん大きく、禍々しく変形していく。
肌の色は黒ずみ、目は焦点を失っているように見える。
「ゴアァァァァア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!!」
変身が終わったようだ。
体は3メートルほどまで大きくなり、咆哮はとても人のものとは思えないものに変化した。
こうなってはもう自我はないかもしれない。
・・・・・だが強い。
さっきまでとは比べ物にならないくらい強くなっている。
奥の手は伊達では無かったようだ。
「エフェル!いつまで寝っ転がってんだ!!」
エリアルドがエフェルに叫んだ。
エフェルはさっきの魔人の一撃の余波で 他の本選出場者と共に気を失っていたようだ。
新たに騎士達が落とした剣を二本拾いながら続ける。
「エフェル、直ぐに俺の剣を取ってきてくれ!!ジェイコブのおっさんは騎士団に連絡!他は一般人の避難誘導とエヌルトの保護を頼む!」
そう早口に指示をするとジーコ達に向き直った。
こういう非常時に即座に指示を出せる辺りそれなりに修羅場を乗り越えてきたのだろう。
しかし不味いな。当初は魔人だけに気を配っておけばいいと思っていたが、なかなかどうしてジーコ達も危険性が増してきた。
あの状態になってどういう攻撃をして来るか・・・・・ん?
よくよくジーコ達を観察してみると、頬や首筋など場所はバラバラだが魔人と似た紋様、確か『
「あれは・・・・・」
「気づいたか?あれはヤツと同じ
ルートの気づきにエリアルドが答えてくれた。
彼の焦りは恐らくその魔人化と呼ばれる現象が原因だろう。
「いや~うまくいったうまくいった♪魔人化は無事成功。あとは実践データだけだねぇ」
魔人バーズは満足していた。
彼は上からの命令でこの魔人化のデータを取ってくるように言われていた。
このままうまくいけば上司に良い報告が出来、出世のチャンスがあるかもしれないと思えば笑わずにはいられない。
「ねぇ、魔人化って・・・・・何?」
とりあえず戦闘が始まる前に気になることは聞いておこう。
「あ?文字通り魔人になるってことだ。人間や獣人なんかが魔人の力に覚醒してパワーアップすんのさ。大抵は先祖に魔人の血があってそれが起因になるんだが・・・前例は殆ど無いって言ってもいいんだが・・・・・」
「今回奴等はそれを人為的に起こす力を手に入れたってことだよね?」
「あぁ、まだ完成してないことを祈るぜ、ったく・・・」
エリアルドの剣を握る力が無意識に強まる。
無理もないだろう、さっきまで一人だった魔人が四人になったのかもしれないのだから・・・
流石にバーズ程の力にまでは覚醒していないとしても苦戦は必死、そんな戦いの火蓋が今切って落とされようとしていた。