Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第33話 対魔人?戦 開戦

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魔人化した三人と本物の魔人一人との戦い、正直戦力不足は否めない。

エリアルドの焦りやハゴロモの普段と違った真面目な顔を見ればわかる。

苦戦は必死、負けることは十分あり得る。

むしろ全滅したっておかしくはないかもしれない。

幸いなことにあのバーズとかいう魔人は魔人化した三人の戦闘データをとるため少し上空で様子見の構えだ。

まったく戦闘に参加してこないという保証はないが他に戦力を割くことくらいはしても大丈夫だろう。

となると、どう戦力を分けるかが問題だな・・・・・

 

「あの魔人の牽制は妾がしよう」

 

自分と同じことを考えていたのか、はたまた心を読んだのか、ハゴロモは最も危険であろう役目を引き受けると言ってきた。

 

「でも・・・」

「妾が一番の適任であろう?」

 

そんな危険な役目を任せるわけにはいかない、と普通の男ならば言うのであろうが・・・言えなかった。

なぜならルートもハゴロモに任せるのがベストだと考えていたからだ。

遠距離攻撃ができて自衛がしっかりとできる、なおかつ観察眼もあるのはハゴロモしかいないだろう。

メアリーも候補には挙がったのだが、彼女は敵と一対一で戦うよりもパーティで共に戦う方が向いている。

それに正直ハゴロモの方が強い。

それを理解したからこそハゴロモも誰より先に名乗り出たのだろう。

そうと決まれば次は魔人化した三人だ。

なるべく早く倒してハゴロモを支援したい。

こういう場合は戦力が偏ってでも確実に敵を減らした方がいい。

変にバランス良く分けてジリ貧になったんじゃ魔人を牽制する意味がない。となると・・・・・

 

「僕がジーコを抑える。エル、メアリー、ロックはエムゥを。カンナとツバキはエッチャーをお願い。エムゥを倒せたら先にカンナ達の援護を」

「それはいいが・・・大丈夫か?こいつらまだガキンチョだろ?」

 

ロックとカンナとツバキのことを言っているのだろう。

だが間違ってはいない、子供だもの。

 

「それでもやるしかないよ・・・それに、彼らの実力は僕が保証するから」

 

彼らは強い。

そこらの冒険者よりもよっぽどだ。

ロックは戦闘経験こそまだあまり無いが、ドワーフ特有の怪力とポテンシャルがそれを補ってあまりない。

というかそもそも、実力もないのにこの場に立つのをメアリーが許すはずがない。

彼女はこの中で最も優しい乙女であるのを僕は一番理解しているからだ。

僕の後押しがあったからか、エルはそれで納得してくれた。

唯一不安があるとすればカンナとツバキだ。

ハゴロモ程の身分の者の護衛をたった二人でこなしているというからにはやはり強いのだろうが、未だ彼女達の本気の戦いというものを見たことがない。

それでも反対意見がハゴロモからも出てこないところを見ると問題は無さそうだ。

そこまで決めて各々が自分が戦う敵へと向き合う。

バーズもそれを察したのか、三人を少し離れた場所へバラけさせた。

 

「なんだ余裕のつもりか?わざわざこっちに合わせやがって!」

 

いや違う、実験データを取りやすくするためだ。

恐らく今の状態で彼等が連係プレーは出来るかは分からない。

だから一人一人のデータを取ろうとしてるんだ。

データさえ取れれば彼等が負けようがどうでもいいんだろう。

バーズの実力があれば僕らをまとめて相手もできるしさっさとこの場から逃げることだってできるからな。

まぁこっちにのってくれるというならありがたい。

さっさと倒して全員で相手をしてやる。

 

「カンナ、ツバキ、今日は周りを気にせず派手に暴れてよいぞ?」

「「ハイッ!!」」

 

 

いよいよ始まるか・・・・・近くで見るとより凄いな・・・

禍々しい気配に強い生命力、ハッキリと何かを判別できるのか疑問に思う血走った目・・・・・はっきり言ってこれに理性や自我があるとは思えない。

魔人化と言うよりモンスター化と言った方がしっくりくるほどだ。

確かに力を得たのかも知れないがこれでは────っ!!

 

ドォォォォォンッ!

 

いきなりジーコが突っ込んできた。

試合開始のゴングも鳴っていないのに・・・・・まぁ試合じゃないし当然か・・・・・

それにしても、獣のような突進だったな。

あのジーコとはとても思えない。

やはり彼等にはもう自我は無いのか・・・・・

ジーコに続くように他でもドォンドォン!と突進しているのであろう音が聞こえてくる。

人の心配をしている場合ではないが一応確認しておく。

エル達は・・・・・うん、しっかりと避けている。

メアリーはしっかりと魔銃で反撃をしている。

カンナ達は・・・・・────ッ!?受け止めている!?

 

エッチャーの強力な突進をカンナは真正面から受け止めていた。

多少後ろにズルズルと押し込まれはするが、しっかりと受けきった。

 

「そんな突進じゃカンナを押し出しなんてできないよ!」

 

受けきったかと思えば今度は逆にエッチャーを弾き返した。

なんて怪力だろう。

 

 

 

「いや~すごいなぁあの子、すごい怪力だ。見たところドワーフではなさそうだけど・・・」

 

バーズはハゴロモの警戒など意に介さず戦況を眺めている。

 

「しっかし、ヒートアップし過ぎで自我が消えてるなぁ・・・少し頭を冷やせば戻るかな?」

 

そう言ってバーズは闇の魔法を三人の頭にかけた。

一瞬動きを止める三人。

すると獰猛さは消えていないが獣のように突進してくることは無くなった。

それどころか完璧ではないにしろ試合で見せていたような構えをとりだした。

 

「おぉ~成功!自我が殆ど無くなっても魂に染み付いた動きは身体が覚えてるってやつ~?」

 

 

・・・厄介だな

ただ考え無しに攻撃してくるだけなら楽だと思ったけど、ああいうのは無意識のうちにでも技が出るよう体に刷り込まれてるものだ。

ただでさえ魔人化で身体能力が跳ね上がってるのに技まで使えるのならその威力は想像もつかない。

いよいよもってやり辛い。

正直今の自分の剣術だけじゃ倒せないかもしれない・・・

その時は・・・・・久しぶりに魔法を使うしかないな・・・・・・・

 

 

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