カンナとツバキがエッチャーを撃破する数分前、
「数の上ではここが一番有利なんだ。気張ってこうぜ!」
そう鼓舞するのはエリアルドだ。
「そうは言ってもこっちは即席チームだよ?あんただってソレ自前の剣じゃないんだろ?」
「それも直に届く。それまでにアイツの攻略法を見つけとこうぜ!・・・ん?おいどうしたロック、震えてんのか?」
「当然ッスよ!俺っちは戦闘経験が少ないンス!なのにあんなに強そうなのといきなり戦えるわけないッスよ!!」
一応武器であるけん玉を構えてはいるが身体がブルブルと震えてしまっている。
そういえばここまで強いやつとは戦ってこなかったなと少し不安になる。
戦闘経験不足のロック、本来の武器がなく本調子ではないエリアルド。
先程エリアルドが言ったように人数的には3対1でこちらが有利ではあるが戦力的にはどうも心許ない。
ロックと殆どかわらない歳であろうカンナとツバキが二人で頑張っている以上何とかエムゥを早く倒して加勢したいところだが、むしろ今は加勢してほしいくらいである。
「男は度胸だぜ!安心しろ、いざというときは俺が二人とも守ってやるよ!」
そう言ってメアリーにバチン!とウインクを決めるエリアルド、が、興味がないのか反応がない。
「グフッ!?ここでスルーされるとは予想外だったぜ・・・」
「何関係ない所でダメージ受けてンスか・・・───っ!」
そんなしょうもないやり取りをしているとエムゥが突っ込んできた。
三人はなんとか避ける。
エリアルドは回避と同時にエムゥに斬りかかるが、エムゥの表皮はとても固くなっており全くダメージか入らない。
すると、お返しとばかりにエムゥはエリアルドに連打を繰り出してくる。
「くっ!そっ!ったれぇっ!!」
なんとか二本の剣で捌ききるが、とうとう耐久力の限界から二本ともボロボロと折れてしまった。
直ぐにでも代わりの剣が欲しいところだがもう落ちていた騎士の剣は全てエムゥに折られてしまった。
そんな無防備なエリアルドにエムゥの無慈悲な拳が迫る。
エリアルドはすぐさま腕でガードの構えをとり衝撃に備える。
しかし、いくらエリアルドでも魔人化したエムゥの拳を食らえばただではすまない。
ましてやケンカ祭りを終えたばかりでコンディションだって悪い筈、その状態でこの一撃を食らえば致命傷になりかねない。
そう判断したメアリーは素早くエムゥへと魔銃を向ける。
が、意図的か偶然か、エムゥはエリアルドと重なる位置にいて撃てない。
───やられたっ!と歯噛みしたその瞬間、メアリーとエリアルドの視界に一つの小さな影が飛び出してきた。
「あ~~もうっ!男は度胸ッスぅぅぅっ!!」
「「ロック!?」」
ロックは自身の震えを振り払うかのようにけん玉をフルスイングする。
けん玉とエムゥの拳がぶつかり合う。
衝撃に思わず後ろに吹き飛ぶロックだったが体勢を整えたエリアルドがうまくキャッチした。
その隙にメアリーは二人の援護射撃として炎弾を数発放った。
ロックの一撃で体勢を崩していたエムゥは回避できずに食らってしまう。
その隙にエリアルド達はメアリーの元へと一時戻る。
「いや~助かったぜロック、ナイス男気だぜ!」
「こ、こうなったらトコトンやってやるッス!!」
一撃入れて吹っ切れたのか鼻息荒くやる気を見せるロック。
思ったよりもやるなコイツと思いながらふとエムゥを見ると、けん玉が当たった右拳から血が出ていた。
いや、ソレだけではない。
右拳だけブスブスと焼けている。
先程まで何発当てても身体の表面を少し煤けさせるくらいしか効果が無かったのにだ。
「なるほど、硬いのは表面だけでそれより中はそうでもねぇってわけか・・・・・」
そう言ってブツブツと何かを考えるエリアルド。
とその時、来た!エリアルドの元についにあれが届いた。
「お~い!待たせたなエリアルド!ハァハァ、流石に重かったぜ・・・」
肩で息をしながらエフェルが持ってきた剣は・・・でかかった。
長さは2メートルはあるだろう。
両刃の剣で柄のところに青い水晶のようなものが二つついている。
見る者が見ればわかる、水の魔力石だ。
先程まで魔法を使っていなかったのは、この剣無しでは使えなかったからだろうか。
「助かったぜエフェル。ちょうど剣が無くなって困ってたところだ」
「どうする、俺も加勢するか?」
「疲れてるだろうが頼むぜ」
見るからに格闘職のエフェルだが大丈夫か?と心配になるメアリーだったが、エフェルはちゃっかり自分用の専用ブーツも装備してきていた。
「作戦がある、時間もねぇし手短に話すぜ──」
「なるほど、それならいけそうだな」
「やってみる価値はあるねぇ」
「やってやるッスよ!」
やる気は充分、後は行動に移すのみ、そう思ったその時
ドゴォォォォォォォォンッッッッッ!!!
まるで噴火でも起きたかのような爆音に思わず目を向けると・・・・・カンナとツバキがエッチャーを打ち倒していた。
「すっ、凄いねぇ・・・・・」
「マジかよ・・・・・・・」
まさかあの二人に先を越されるとは・・・・・予想外の実力に少し唖然としながらも即座に気持ちを切り替えてエムゥに集中する。
「行くぞっ!!」
先ず駆け出したのはエリアルドとエフェル。
エリアルドは大剣を前方に投げたかと思うとその剣の上に乗って地面を滑り出した。
いや、正確には地面を滑っているのではない、剣から地面に水を出しその上を波乗りしているのだ。
エフェルは普通に走っているがあれも魔法で強化されているのだろう、緑色の魔力が見えることから風の魔法だろう。
二人はそのままエムゥの周りを高速で移動しながら攻撃をしていく。
エムゥもそれを迎撃しようとするが、如何せん二人の動きが速くトリッキーな為捉えられない。
そうするとどうだろう、エムゥの身体に徐々に切り傷が生まれていく。
さっき漸く傷をつけたばかりだというのにあっさりとだ。
それに危機を覚えたのかエムゥは両者を引き離すかのように腕をブンブンと振り回し始めた。
「今だロック!!」
「はいッスっ!!」
ロックはけん玉の玉をエムゥの腕目掛けて飛ばした。
すると、玉を繋ぐ鎖が腕に絡み付きエムゥの右腕の自由を奪った。
「フンヌゥゥゥゥゥゥウウウッ!!」
突然ロックとエムゥの綱引きが始まる。
いくら魔人化したと言ってもロックはドワーフ、力比べならそうそう負けはしない。
たまらずエムゥが左腕も使おうとしたそのとき、
「ウオォォォラァァァァァァァッ!!"
バシュゥゥゥゥゥゥゥッ!!
エリアルドがエムゥの左腕を斬り落とした。
「エフェルっ!」
「分かってる!」
左腕を斬り落とした直後、二人それぞれエムゥの両膝に素早く移動したと思ったら、
「「オラァァァッ!!」」
全力の蹴りを膝裏放った。
所謂膝かっくんを受けたエムゥは右腕をロックに引っ張られた状態のまま膝をついてしまう。
「さぁ、出番だぜ!メアリー!!」
直ぐにその場から飛び退く二人。
「準備OKさね・・・
魔銃から超高密度の炎が撃ち出され、
ボォォォォォォォンンンンンッッッ!!!
激しい音と共にエムゥを直撃した。
腕で防ぐこともできず直撃、ゴォォォォォと激しく燃えている。
それでも魔人化の生命力が高いのかエムゥは炎の中でもがいている。
それに見かねたのか、
「
一思いに首を跳ねエムゥを終わらせた。
何にしてもこれで後はジーコとバーズだけだ。
当初の予定通り加勢に入れば勝率は上がる。
問題はルートとハゴロモがどこまで持ちこたえているかだが・・・・・
ザシュッ!!
どうやらルートの方も今決着が着いたようだ。