Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第44話 謎の魔女

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舞踏会への潜入が決まり、時間もないので直ぐに準備を始める。

・・・・・と言っても簡単な役割の打ち合わせくらいしかやることはない。

それが終わると暫くは自由時間だ。

 

「あっ!潜入ということは〝アレ〟が役に立つッス!」

 

現場での連絡手段として簡単なハンドサインを決めていると、ロックが何かを思い出したようだ。

 

「〝アレ〟?」

「ちょうど試作してたいいものがあるンス!でもまだ調整が済んでないんで仕上げてくるッス!!」

 

そう言うとドタドタと慌ただしく自室へと戻っていった。

しかし・・・・・潜入に役立つもの?今のところイメージできないがあの自信満々なロックを見るかぎりそれなりに期待はできるだろう。

 

そして時間は過ぎ夕方、シンディの継母達はドレスと化粧をバッチリ決めいそいそと馬車に乗り込み城へと向かって行った。

舞踏会が始まるのはもう少し暗くなってからだが、恐らく馬車が一杯で城への道は大渋滞になると思われるので早めに行ったのだろう。

しかし王子様が舞踏会に現れるのはもっと遅くなってから、確か11時頃だっただろうか?

それまでは一般客達で交流を深めたりと立食パーティーを行うらしい。

つまりルート達は最低夜の11時までに城に着けばいいということになる。

 

 

更に時間は過ぎ夜の9時、メアリーとエリアルドは怪しい奴を探しに先に城へ向かった。

本当はルートとシンディも一緒に向かいたかったのだがロックがまだ部屋から出てこないので先に二人を向かわせたのだ。

だがしかし、そろそろ自分達も城へ向かわないと王子様の登場に間に合わないかもしれない。

ロックには申し訳ないがそろそろ城へ向かおうかと一声かけに行こうとしたその時、

 

「出来たッスよ~~~!!」

 

ロックが大きな声と共に階段をかけ降りて来た。

手には何やら小さな豆のようなものを数個持っている。

 

「えぇっ!?もう二人行っちゃったンスか!?」

 

メアリーとエリアルドが城へ向かった事を知ると酷く落ち込んだがしょうがないだろう。

いつ出来上がるかわからなかったのだから、いつまでもここで油を売っているわけにはいかないのだから。

 

「それで、何を作ったの?」

「フッフッフ、こいつは画期的ッスよ?」

 

相当自信があるのだろう、凄いドヤ顔だ。

もったいぶらないで早く教えて欲しいのだが・・・・・

 

「続きは後にした方がよろしいのではないでしょうか?」

「そうですよルートさん!ロックさん!今は早く・・・・・・・あの~、どちらさまでしょうか?」

 

いつの間にか玄関口に全身をマントで覆った人物が立っていた。

声と背の高さから少女であると推測される。

顔はフードを深く被っているためよく分からない。

はっきり言って怪しいことこの上ない。

 

「私は・・・・・・・・・・・魔女・・・です」

 

何だ今の変な間は・・・・・魔女なんて普通は名乗らないだろう。

 

「あの、お名前は?」

「・・・・・魔女です」

 

何がなんでも魔女で押し通すつもりらしい。

それで、その魔女さんはなんの用なのだろう?

 

「私が皆様を城までエスコート致します」

「エスコート?何で?」

「今説明している暇はありません、急ぎ外へ・・・と、シンディ様、そのドレスで舞踏会へ向かわれるおつもりですか?」

 

何か変だろうか?シンディのドレスは赤い普通のデザインだが問題でもあるのだろうか?確かにシンプルだが今回は潜入が目的なのだから派手すぎては意味がないのだが。

 

「これしか持ってないのですが・・・・・」

「致し方ありません、では失礼します」

 

ドスンッ!と空中から大きな黒い箱を出した魔女。

恐らくマジックバックの類いだが何に使うのだろう?

 

「中にドレスがありますのでお着替えを」

 

突然のことに混乱するシンディを無理矢理押し込み着替えさせる魔女・・・・・なんか酷く強引だ。

 

「あの・・・・・着替え終わりました・・・」

 

出てきたシンディのドレスは、青を基調とした丈の長いドレスではっきり言って派手だ。

派手だが薄い金髪と相まってとても綺麗だ。

シンディの佇まいもあってよく似合っている。

 

「大変よくお似合いですよ・・・・・では馬車へ。履き物、メイク、ヘアセット等は馬車の中で行いましょう」

 

淡々と述べ馬車に向かおうとするがこのドレスはダメだ。

 

「ちょっと待って、このドレスじゃ目立つよ───」

「ルート様、光が強ければその分影は濃くなります。潜入だからといって必ずしも息を潜めることは無いのです」

 

フム、確かにそれも一理あるか・・・・・むしろシンディには変に潜入させるよりもそっちの方がいいかもしれない。

そう思い新たに作戦を練り直しながら馬車へと向かう。

が、馬車が一台も停まっていない。

 

「あれ、何で!?いつもなら・・・・───」

 

そう、いつもなら街の外れであるこの辺りでも馬車はそれなりに停まっている。

街の中央から離れているからこそ需要があるからだ。

しかし今日は舞踏会、城へ行ったまま馬車が戻ってきていないのだ。

馬車がない以上走っていくしかないのだが・・・・・自分はともかくロック達が走って向かうには距離がありすぎる。

シンディはドレスにヒールなのだから尚更である。

 

「こんなこともあろうかと・・・ヨイショっ」

 

またもドスンッ!と大きなものを取り出した。

今度は・・・・・馬車だ。

カボチャの形をしたカボチャの馬車だ。

だが変だ。マジックバックは生きたものは入れられない。

そんなことをすれば死んでしまう・・・・・のだが・・・

目の前の馬はヒヒーンっ!と元気に嘶いて蹄を鳴らしている。

試しに触ってみると・・・・・なるほど、冷たい。

きっとゴーレムか何かなんだろう。

・・・・・しかし何でカボチャなんだ?こんなこともあろうかとって用意が良すぎるだろう・・・・・

 

「さぁ、時間がありません。皆様お急ぎを」

 

二人とも呆気に取られ口をパクパクさせたままそろそろと馬車に乗り込んでいく。

この怪しい魔女の真意は図れないが、今のところ特に悪意などは感じられないため大人しくルートも馬車に乗り込む。

 

「ではそちらのドワーフの方、御者をお願いします。馬は勝手に走ってくれるので格好だけで結構ですよ」

 

ロックは「あ、はいッス・・・」と力ない返事をして御者席へ座りなれない手つきで手綱を握った。

すると馬達はピッタリと息を合わせたように走り出していく。

結構速いのだが馬車はほとんど揺れない。

どうやっているのか振動がほとんど伝わってこないし車輪の音も殆ど聞こえない。

本当に馬が勝手に走っているのだろう、ロックが手綱を操作している気配はない。

それなのにカーブもスムーズにスイスイ進んでいく。

このスピードなら遅れる心配は皆無だろう。

 

ルートが馬車を眺めている間に魔女がシンディのメイク等を着々と進めていく。

人のメイク行程を見るのは失礼かなと思ったルートは流れていく風景を暫く眺めていることにした。

 

さぁ、城までもうすぐ。

ちゃっちゃと王子様を救ってしまおう。

 

 

 

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