Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第45話 舞踏会潜入

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サンドリヨン城、トレス王国王家所有の城の中でも一般大衆に馴染みの深い建物のひとつ。

普段より貴族の披露宴、絵画の展覧会、宝石類のオークションなど様々な催し物に利用されている。

今宵は舞踏会、それも王子主宰とあって物凄い人数が詰めかけて来ている。

それでもこの人数を収容してしまえるあたり、流石は王家所有の城というところだろう。

 

「おい、早くしないと王子様来ちゃうぜ?」

「心配しなくてももう来るさ」

 

ルート達より一足先に会場に来ているメアリーとエリアルドはあくまで一般人を装いながらルート達を待っていた。

犯人グループの顔はシンディしか見ていないので、怪しい奴がいないかをさりげなくチェックするくらいしか今のところやることがない。

と言っても、メアリーは美人なので先程からよく声をかけられ、それをエリアルドがガードしているためエリアルドだけは忙しそうだが・・・・・

もう大分時間も経過し10時を回ったので新たに入場してくる者もいない。

恐らく犯人グループもこの会場に揃っているのだろうが顔が分からないので手が出せない。

急いでくれ、とメアリーとエリアルドが外へ続く扉へ声なく叫んだとき、ゆっくりと扉が開かれた。

この時間に入ってくる者など一人しかいない、シンディだ。

 

「綺麗だ・・・・・・」

 

エリアルドが思わずそう呟いたままポ~と見惚れてしまっているがそれはしょうがないだろう。

それだけ今のシンディは魅惑のオーラを放っている。

エリアルドの呟きが聴こえたのか、周りの人達もシンディの方を振り返る。

するとエリアルドと同じようにポ~と見惚れてしまった。

 

「あの・・・・・皆さんからジッと見られているのですが・・・」

 

シンディが思わずひきつりそうになったのを堪え、笑顔を浮かべながら小声でそう呟く。

 

『問題ありません。皆様シンディ様のお美しさに見惚れているだけです』

「そんなことあるわけありません!きっと皆さん私の事を場違いだと目で訴えているに違いありません・・・」

 

自分で言っておいて少し泣きそうになるが何とか堪える。

 

『大丈夫でございます。それに先程、ルート様とロック様にもお褒めの言葉をいただきましたでしょう?』

「あんなのお世辞に決まってます・・・」

『・・・・・失礼ながら・・・ルート様ならともかく、ロック様があのようなお世辞をつける性格だとは思いません』

 

確かに・・・・・ロックはまだ子供、気持ちをストレートに表現してしまうという性格なのはこの数日でよく理解した。

空腹、退屈、興奮、美味、どれも素直に言葉に出してきていた。

ということはロックは素直に自分を可愛いと言ってくれたということ、・・・・・それはそれで恥ずかしい・・・・・

 

『そんなことより、任務をお忘れにならないようにお願いしますよ』

 

そうだった、恥ずかしがっている場合ではない。

王子様がまだ現れていないのは僥倖、早く〝見つけなくては〟・・・・・

 

「あれ?シンディちゃん俺達に気づいてないのか?通りすぎちまったぜ・・・・・おーい───」

 

人が多すぎて気づけなかったのかと思い、呼びかけようと挙げかけた手をガッ、と誰かに掴まれる。

その手を掴んだのはルートだった。

何故かウェイター格好をしている。

左手にはグラスを幾つか載せたトレイを持っており本格的だ。

 

「なにやってんだおま──「お飲み物のお代わりはいかがでしょうか?」──ぅえ?じゃあ、はい・・・・」

 

話しかけるなオーラを全開にされて思わず消沈してしまう。

ルートはそのままエリアルドとメアリーにグラスを渡していくのだが・・・周りにバレぬよう黒い豆のようなものをそっと一緒に渡す。

エリアルドとメアリーが共に疑問符を浮かべているが、ルートは去り際に耳につけろというジェスチャーを送ると二人とも大人しく耳に〝ソレ〟を嵌め込んだ。

 

『遅くなってゴメンね?』

「「!!?」」

 

二人の耳に直接ルートの声が届いてきた。

何とか声を出すのは堪えたがひどく驚いた。

 

『これは通信機。ロックが作ってくれたんだよ』

「通信機?」

『離れてても相手の声が聞こえるし自分の声も届けられる魔導具さ。これで連絡がとりやすくなる』

「な、なるほどなぁ・・・ちょこっとびっくりしちまったぜぇ・・・けど、何でお前がウェイターの格好してんだ?城の中を調べるんじゃなかったのか?」

 

突然のことに跳ね上がった鼓動を治めつつ訊ねる。

本来の作戦ではルートは会場には入らず、その外を見回り不審者を探すというものだったのだ。

それが今はウェイターをしている・・・・どういうことだ?となるのは当然のことだ。

 

『初めまして。魔女でございます』

「・・・・・あんた誰だい?」

『協力者だよ。会場の外は彼女に担当してもらってる・・・大丈夫、信頼できるよ』

 

ルートがそう言うのなら信頼できるのだろうが・・・・・まだ顔も見ていない相手だ、すんなりと受け入れることはできないが一応納得する。

 

「それより、シンディちゃんちょっと目立ちすぎじゃねぇか?さっきからちょいちょい声かけられてるぜ?」

 

確かにこそこも謎だ。

シンディ含めた自分達3人は会場に紛れながら犯人グループを見つけ警戒する作戦だった。

それなのに今のシンディは一般客に紛れることもできずやや浮いているのだ。

まぁ可愛いからそれはそれでいいのだが・・・・・イテテ!

ニヘラ、と思わず笑みが出てしまったのかメアリーに尻をつねられた。

 

「そこなんだけどね・・・・ちょっと作戦を変更することにしたんだ・・・・・」

 

何となくルートが悪い笑みを浮かべている姿が想像できてしまった。

 

『ゴニョゴニョゴニョ・・・・・・・・・・・』

「フムフムフム・・・・・・・・・・」

 

時間もないので手短に作戦を二人に伝える。

 

『それじゃあシンディ、頼むよ?』

『がっ、頑張ります!』

 

それぞれが配置に着く。

うまくいけば王子が出てくる前に大体の脅威は取り除けるかもしれない。

 

『作戦・・・開始だ』

 

 

 

 

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