Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第47話 舞踏会?いえ、武闘会

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「キャァァァ~!!!ロバート様~!!」

「私と踊って~!!」

 

 王子様、ロバート・ディ・アルステイム・トレスが登場するなり会場の女性達は大フィーバー。

 金がある、権力もある、顔もいい、そのうえ人柄も良いとなれば民衆からの評価が高いのも当然だ。

 王族の中で一番民衆との交流が多いためそれだけ支持もある。

 しかし・・・あの様子ではまさか自分がこれから暗殺されるなんて思っていないだろう。

 ・・・・・ロバート王子が登場した瞬間、マークしていた連中の空気が変わった。

 周りのように騒がず、気配を薄めて暗殺の機会を伺っている。

 ・・・・・確かに気配の消し方はうまいし見た感じ戦闘経験もそれなりに豊富そうだ。

 だけどそれだけじゃ暗殺は出来ない。

 木を隠すなら森の中、人を隠すなら人混みの中、周りが騒いでいるのならそれに合わせて自分達も騒ぐ。

 こういった人が多い場合は気配を消すのではなく気配を合わせ紛れさせないといけない。

 対象に僅かな違和感すら与えないためにも風景の一部にならないといけないのだ。

 つまり彼等は殺しには慣れていても暗殺には慣れていない、そうなれば自分に利がある。

 

 自慢ではないが、ルートは暗殺に手慣れている。

 役に立つからと師匠から散々教え込まれたのだ。

 そんなルートから見れば彼等はまだまだ、気配の消し方も見る人が見ればすぐ見破れる程度のものだ。

 

 ・・・ん?彼等の視線、向いているのは王子じゃない・・・?

 王子の少し後ろにいる髭の男に向いている・・・けど敵意の籠った視線じゃないな。

 まるで餌を目の前にしてお預けをくらっている犬のようだ。

 となるとあれが例の大臣か・・・襲撃のタイミングはあの大臣次第って訳か。

 まぁ今はまだ近くに護衛の騎士がいるから手は出さない筈。

 それならロバート王子に狙われてることをこっそり教えておこう。

 現行犯じゃないと信じてはもらえないだろうが危機感を持たせておくことはできる。

 

「では、次に私と踊ってくれるのはどちらの女性かな?」

 

 もう5人の女性とダンスを踊った。

 プログラム通りならそろそろステージから会場中央に踊る場所を移動する筈、襲うとしたらそこだろう。

 

「シンディ、王子と踊って計画を伝えて」

『りょっ、了解しました!』

 

 はしたなさこそ曝さないが女性たちが猛烈なアピールをしていく。

 シンディも負けじとアピールをしようとするがやはり恥ずかしいのか顔が真っ赤だ。

 

「おぉ、ウム、次は君だ」

「ハッ、ハイッ!お願いします!」

 

 羞恥心に悶える姿が良かったのか無事シンディが選ばれた。

 

「君はとても可愛いな。とうだい?今度食事でも」

「あの、お気持ちは嬉しいのですが、直ぐにお伝えしたいことが───」

 

 

「・・・・・・・フム、話は分かった。だが俄には信じられないな」

 

 やはり親しい大臣が自分を狙っているというのは直ぐに信じられるものではないのだろう。

 

「でも、このままじゃ襲われてしまいます、直ぐに中止にした方がいいです!」

「いや、それは出来ない。皆この舞踏会を楽しみにして来てくれている。それに殆どは既に排除してくれたのだろう?」

 

 確かにそうだが、大人しく王子様が引っ込んでくれたらそれで済む話なのに・・・

 

「何より君とのダンスを終わらせたくないのさ・・・」

 

 エフェクトで星がキラリと輝いて見える程のウインクを決める。

 この自然な感じ、きっと普段からやり慣れているのだろう。

 とりあえずシンディとのダンスを止めるという選択肢は無いようだ。

 

「ところでお嬢さん、お名前を伺ってもいいかな?」

 

 危機感などまるで抱いていないように話しかけてくる。

 

「えっとシン・・・シンデレラです!」

 

 思わず本名を名乗りそうになったがなんとか誤魔化す。

 

「シンデレラ・・・灰かぶり姫の主人公と同じ名前だ」

「あっ、本当ですね・・・」

 

 シンディは咄嗟に名乗っただけなので気付いていなかったが童話灰かぶり姫の主人公もシンデレラという名前なのだ。

 

「成る程、シンデレラの名に違わぬ美しさだ・・・」

 

 もう完全に口説きにかかっている。

 そのキメ顔に周りの女性達が次々射ぬかれていく。

 ───と、その時、ルートは大臣がロバート王子から距離をとっていくのを見逃さなかった。

 

『皆、来るよ!』

 

 バンッ!とシャンデリアの明かりが消え会場が暗闇に包まれる。

 恐らくシャンデリアへの魔力回路を切ったのだろう。

 辛うじてテーブルに置いてある蝋燭が明かりを保っているが会場内を照らすには全く光量も数も足りない。

 突然のことに会場内は混乱しているが、またロバート王子の演出かと思っているのかパニックまでは起きていない。

 そんな中ロバートとシンディに複数の影が近付く。

 護衛の騎士達は気付いていないようだ。

 男達は隠し持っていたナイフを取り出し構える。

 

「ロバート殿下の首、貰っ───っガァッ!?」

 

 先頭を走っていた男の腕に何かが飛来しナイフを弾き飛ばした。

 カランカランと転がったソレはウェイターが使うお盆だ。

 

「メアリー、明かりを!」

「分かってる!」

 

 ルートの指示のもとメアリーが天井に火の玉を飛ばす。

 それにより会場内をシャンデリアにも負けない輝きが包む。

 

「エル!」

「おうよ!明るくなりゃこっちのもんだぜ!」

 

 たかだかナイフごときに負けはしないとルートとエリアルド応戦する。

 しかし、とても二人だけでカバーしきれるものではない。

 メアリーは火の玉の制御を怠れないため戦闘に参加できない。

 そのため一人がロバートに迫って来た。

 

「むっ、来たか!シンデレラ嬢、下がって「下がってて下さい!」いたま・・・え?」

「死ねぇぇぇぇぇっ!!」

 

 シンディは軽く腰を落とすとナイフを手の甲で弾き逸らす。

 その勢いのまま華麗な後ろ回し蹴りを相手の首に決め吹き飛ばした。

 

「素晴らしいな。美しい上に強いとは・・・・・素敵だ・・・」

 

 ロバートのシンディに対する評価がまた上がった。

 まぁ、そこはルートも異論はない。

 今の動き、とても護身術程度のレベルではない。

 

 

 シンディの活躍もあり犯人グループは無事に倒せた。

 配慮も考えて一応気絶だけで済ませている。

 途中から騎士達も応援に駆けつけたお陰で来賓客にも被害はない。

 

「ご無事ですかロバート殿下?」

 

 如何にも、私心配してました!という顔で大臣が近寄ってくる。

 

「あぁ大事ない・・・ところでゲイツ、なかなか面白い余興を催してくれたな?」

「申し訳ありません、賊に入られる警備体制を敷くなどこのゲイツ、大臣失格でございます・・・・・」

「惚けるな、お前がこやつらと手を組んでいるのは端からお見通しだ!」

 

 いや、さっき知ったばかりだろうあんた・・・思わずツッコミそうになったが空気を読んで堪える。

 

「そんな!何かの間違いでございます!私はロバート殿下をお慕いもうしております!」

「よくもそんな嘘をペラペラと・・・証拠も揃っているのだ、観念せい!」

 

 証拠って、どっちが嘘つきなのか・・・・・

 まぁやりたいことは分かる、ロバート王子は大臣に自白させたいのだろう。

 それで真相を確かめようとしている。

 

「そんな・・・そんな・・・・・私は・・・・・・・」

 

 フラフラと何か弁明しようと近付いていくが何も言葉が出てこない。

 その代わりにとスッと隠しナイフを取り出し王子に迫る。

 

「私は貴様を殺さなければいけないのだァァァッ!!」

 

 そう来ると読んでいたルートがサッと間に入りゲイツを投げ飛ばす。

 最後の奇襲も失敗し騎士に捕まりこれで一件落着、とはいかなかった。

 

「くぅぅぅ、致し方ない。これは使いたくなかったがもはや猶予はない!」

 

 ゲイツはスーツのボタンを開け隠し持っていた最終兵器を取り出した。

 

「動くなぁっ!これは魔力爆弾だっ!!」

 

 

 最後の最後にどえらいものが出てきたものだ・・・・・

 

 

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