Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第48話 闇夜に咲く花

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 魔力爆弾・・・たしか魔石を利用したもので意図的に魔石内の魔力を暴走させて爆発を起こす兵器、だったかな?

 

「ほぉ、魔力爆弾まで用意しているとは・・・伊達に大臣の位に着いているわけではないな、ゲイツよ」

 

 いや、結構ピンチだと思うのだが・・・えらく余裕だなロバート殿下。

 

「ふん、いつまでその余裕な態度を保っていられるかな?」

 

 ゲイツは袖から新たなナイフを取り出すとゆっくりロバート殿下に近づいていく。

 護衛の騎士達はすぐさまゲイツ捕縛に動こうとするが、

 

「動くな!いいか、この爆弾は栓を抜いて5秒後に大爆発を起こす。もちろん逃げても間に合わん・・・」

 

 5秒か・・・短いな。

 見た感じ、恐らく無理に外そうとしても起爆するんだろうな・・・

 ならどうする?ゲイツを取り押さえることは簡単、問題は爆弾をどう処理するかだ。

 爆弾を確実に無力化するにはどうしたらいい?

 ・・・・・ダメだ、どういう条件で起爆するか明らかでないのに解除は出来ない。

 時間が立って勝手に起爆する可能性もある以上ゲイツを捕縛しても安心は出来ない。

 ・・・・・しょうがない、少々荒っぽくなるけどやるしかない。

 今は奴の〟5秒〝って言葉を信用しよう。

 

「いい皆、時間がないからサクサク動いてね?・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

『ていう作戦なんだ。よろしく』

 

 こちらの了承も得ずに一方的に作戦だけ告げられる。

 理由は何となく分かるけどうまくいくの?正直ぶっとんでいる気がしてならない。

 でもやらなきゃロバート殿下を見殺しにすることになっちゃう。

 それじゃあ今までのことが無駄になる。

 ・・・・・うん、やるしかない!

 

「さぁ、ロバート殿下、ここで大人しく私に殺されるか、それとも皆仲良く爆弾で死ぬか、選ぶがいい!」

 

 優位に立ち余裕ができたからか右手でナイフを持て遊ぶ。

 左手も横に広げているがいつでも爆弾の栓を抜けるだろう。

 

「・・・ロバート殿下、少し時間を稼いでください・・・・・」

「・・・・・・・・・・何か策があるんだな?」

 

 こちらを信用してくれているのか、現状他に手がないのかは分からないがとりあえずやってくれそうだ。

 

「・・・・・ゲイツ、なぜこんなことを?」

「ふん、答える義理などない」

「どうせ死ぬんだ、冥土の土産に教えてくれないか?」

「どうでもいいだろう!さっさと選べ!」

 

 いい調子だ、そのままもう少し・・・・・

 

「私に恨みがあるのか?それとも国にか?」

「私が私怨でこんなことをする男に見えるのか?」

「見えないから疑問に思っているんだ」

「貴様とお喋りをする気はない。これ以上時間はかけられないのでな、今すぐ選ばなければ即座に爆破する」

 

 時間稼ぎなんてはじめからお見通しか?でも・・・・・もう十分だ。

 

 

 ボカァァァァァァァァンッッッ!!!

 

 突如天井が轟音と共に崩れ落ち、皆が反射的に身を屈める。

 崩れた天井からは月が顔を覗かせ、うすら暗い室内を淡い光が照らす。

 土煙がたつ穴の真下には小さな人影がひとつ。

 

「俺っち、参上ッス!!」

「───っ!!?」

 

 突然の乱入者に動揺するも直ぐ様爆弾の栓を抜こうとする。

 が、当然それを許さない者がいる。

 

 ルートは、栓を抜こうとするゲイツの腕に盆をフリスビーのように投げ弾くと、一気に距離を詰める。

 ゲイツもそれを許さないように右手でナイフを振るうが、そんな素人同然な動きでルートに傷を負わせられる訳がない。

 逆にナイフを奪われて床に組み敷かれてしまう。

 捕縛は完了、しかしこれだけでは爆弾の危険は排除できていない。

 奪ったナイフを使い素早い動きで爆弾をゲイツから取り外すとそれを直ぐに投げ飛ばす。

 

「おし来たぁ!任せとけ!」

 

 エリアルドは爆弾を優しく受け止めると、いつの間にか引き抜いていたテーブルクロスで包み込みハンマーのようにブンブン振り回し始める。

 回転は徐々に速くなり、次第に旋風を起こし始める。

 

「エル!急いで!!」

「分かってるってぇぇぇのォォォォォっ!!」

 

 エリアルドによって限界まで回された爆弾はとてつもないスピードで放たれた・・・・・空へ。

 先程ロックが空けた穴から勢いよく飛び出す。

 

「メアリー、仕上げを!」

「伏せてな、よっ!」

 

 エリアルドによって投げ飛ばされた爆弾を追撃するように火炎弾が放たれる。

 やがてそれらは城の遥か上空で接触し、雲ひとつない夜空に閃光と共に大輪の花を咲かせた。

 一拍の後、爆風が会場を襲う。

 

「・・・・・・・・・・ちっ!どけぇっ!!」

「行かせるわけな・・・い・・・・・あれ?」

 

 暫しの間周りと同じように呆然としていたゲイツだったが、一瞬の隙を突きルートの拘束を逃れるとロバートに向かって駆け出した。

 もちろんルートは止めようとするのだが、まだ体調が完全でなかったのかフラついてしまう。

 

「ルートさん!」

「くっ、大丈夫!君は王子を!」

 

 倒れたルートの元へ向かおうとするシンディを手で制する。

 確かに今この瞬間、ロバートを守れるのはシンディしかいない。

 

「どけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

 またしてもどこからかナイフを出して向かってくる。

 一体何本ナイフを隠し持っているのかこのおじさん・・・・・

 

「ここは・・・・・通しません!ハッ!!」

「ガハァァァッ!!?」

 

 哀れゲイツ・・・・・シンディのこれ以上ないほど見事な上段蹴りがこめかみにクリーンヒット!

 一撃で意識を刈り取られ力なく床に沈み込む。

 

 

「フゥ・・・・・あっ、ルートさん!」

 

 ゲイツが気絶しているのを確認すると、ルートの元へ駆け寄ってくる。

 やれやれ、今回は彼女がいてくれて助かった。

 まさかあんなところでふらつくなんて・・・・・不甲斐ない・・・・・

 

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