Empty of the story   作:うえすぎけんしん

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第57話 聖剣カリバーンと慰霊碑

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 トレス王国王都ティラストリア、いわくトレス王国を建国した初代国王が愛した王妃の名前であるとか。

 最初こそ吹けば飛ぶような小国であったが、仁に溢れる王の人柄と勇猛な騎士団の力により、多くの民から慕われいくつもの国と同盟を結び今のような大国となったとされている。

 

 という話をエリアルドにされながら王都を案内されている今日この頃。

 博物館や美術館は見て回るのに時間がかかるし、何よりこの面子だと退屈するだろうということで大通りを見て回っている。

 時折エリアルドが『ここは創業~年、あそこは今流行りの~』など紹介してくれているなか、チラチラと後ろ手に隠しているガイドブックを見ているのは皆気付いているがあえて何も言わないでいた。

 色んなお店を回っていくなか、男性陣は武器や防具のお店に、女性陣は可愛らしい小物やスイーツのお店にテンションを上げていた。

 まぁルートはスイーツのお店の時に女性陣に混じって目を輝かせていたのだが・・・

 そんなこんなで街の中央広場まで歩いてきた一行は前方に人だかりを発見する。

 

「あれは・・・・・観光ツアーかな?」

 

 旗を持った女性を先陣とした集団は種族から服装までバラバラで、見る限り王都の観光に訪れた旅行者であることが窺える。

 見たところ次は広場にある大きな石板のようなものの所へに向かっていくようだ。

 

「丁度良いじゃねぇか、こっからのガイドは本職の人にやってもらおうぜ」

 

 恐らくガイドブックを見ながらガイドすることに参ったのだろう、これ幸いといち早く観光客の群れへと走って行った。

 まぁその方がいいだろうということでルート達も後を追うと、丁度タイミング良く話が始まるところだった。

 

「はい、皆さ~ん。ここでは先の聖戦の慰霊碑が見られます」

 

 ガイドのお姉さんの後ろ約10メートルの位置にある慰霊碑は横30メートル、縦10メートル、厚さ2メートル程の巨大なもので、後ろから見ている自分達からはお姉さんとの比較でより大きく見えてくる。

 

「皆さんは15年前の聖戦を覚えておられますか?」

 

 今からおよそ15年前に終結した聖戦、始まりは1年遡って16年前に起こりました。

 当時の魔王ベリアルは突如世界中に宣戦布告をし、アトラース山を南下すると周辺諸国を次々と侵略していったのです。

 そして大国であったサザン帝国を滅ぼし、王城であったクク城を侵略の拠点にしました。

 当時大陸有数の大国であったサザン帝国を滅ぼされた事に脅威を覚えた各国は、魔王討伐の為連絡を取り合い連合軍を組織することにしました。

 国や人種の垣根を越え、柵を抱えながらも共通の敵に立ち向かったのです。

 そこから1年、戦いどんどんは激しさを増し多くの犠牲を出しながらも遂に───

 

「クク城にて、見事魔王ベリアルを討ち滅ぼしたのです・・・その時魔王ベリアルを討ち取ったのが───」

「「「七英雄~~~!!!」」」

 

 観光客達から打ち合わせをしたかのような歓声が飛ぶ。

 それだけ七英雄は有名で人気なのか・・・道理で知らないなんて言ったら驚かれる訳だ。

 

「さて皆さん、七英雄全員の名前、知ってますか~?」

 

 あちこちから次々と英雄の名が叫ばれていく。

 

「うんうん、やはり皆さん知ってますよね」

 

 〝聖勇者〟エリック・ディ・アルステイム・トレス

 〝天災(ディザスター)〟アレイスター・テンペスト

 〝芸術王(トップアーティスト)〟レオナルド・インフィニー

 〝錬金術師(アルケミスト)〟イクス

 〝陰陽天孤〟セイメイ・安倍

 〝戦神〟ローグ・ガレッド

 〝死神〟ゼロ

 

「聖戦にて大活躍をされた七英雄、王子でもあったエリック殿下は残念ながら魔王討伐時に亡くなられてしまいました。その後大魔宝具(アーティファクト)〝聖剣カリバーン〟は、エリック殿下を埋葬した日の晩、独りでに宙に浮かびこの岩に突き刺さったとされており、正義の心を持った次の勇者を待ち続けていると言われています」

 

 岩に刺さっているあの剣、大魔宝具だったのか・・・でも、大魔宝具なんだとしたらちょっと管理が杜撰じゃないかな?一応警備の人はいるみたいだけど・・・いいのか?

 大魔宝具は魔導具の最上位クラスで、現存しているそのほとんどが古代に産み出された物であるため大変貴重な筈なのに。

 

「このカリバーン、代々勇者と呼ばれる方にしか引き抜けなかったらしく、聖戦が終わってから15年間引き抜けた方はまだいません。今は王家の許可が無ければ触ることはできませんが機会があれば是非挑戦してみてください」

 

 ここでのガイドは終わったようで観光客を次へと誘導するお姉さん。

 時間もそろそろいい頃だったのでルート達もキーパーが取ってくれた宿へ向かうことに。

 

 

 同刻、街の外れにある公園に向けて、怪しい集団が集まりだしていた。

 その場の誰もが同じ様に剣を提げ、同じ様にニヤニヤとした笑みを浮かべていたが、誰も彼らを不審には思わなかった。

 いや、思うことすらできない。

 なぜならその場には彼ら以外誰もいないのだから・・・いや違う、一人だけ彼らの仲間ではない人がいる。

 その人物はまるで彼らを待ちわびていたようにベンチにふんぞり返ってその光景を眺めていた。

 

 

 

 ちなみに、ルート達はその日宿の飯とふかふかのベッドを心行くまで堪能したという。

 

 

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