旅の初っ端からメンバーが増えた。
王都を出たといっても、しばらくは魔物もあまり出ない街道なので、ルート達は歩きながら自己紹介をすることにした。
隣国といっても国から国へ移動するのでそれなりに時間はかかる。
急ぎの用でもないので馬なども使わず歩いているので尚更だ。
それに、長い間一緒にいるのならお互いの事を知っておいた方が色々と都合がいいだろう。
「じゃあ俺から、名前はルート。冒険者だよ。ランクはBで今は15才だよ。」
必要最低限な自己紹介である。
「情報が少なすぎるだろ・・・」
「一度にたくさんの情報を与えられても、脳が処理しきれずに覚えられないモノさ・・・それに、会話は繋いでこそ意味があるからね」
なるほど、そういうものか・・・ こういうところも良く考えていると評価をまた一つ上げて自分も自己紹介をする。
「あたしはメアリー。冒険者でランクは同じBで18才だよ。武器は
ルートは、撃たれないようにというか、撃つなよと思ったが口には出さない。
ちなみに、冒険者にはG~SSSまでランクがある。
G~Eランクまでは初心者、Dランクに上がると一人前、Bランクまで上がると一流、Aランクでは超一流と呼ばれるようになり、Sランクからはいろんな所に顔が利くようになるなど有名になる。
SSランクの人に会えればかなりの幸運であるし、SSSランクの人は生ける伝説とまでいわれている。
勿論そこまでの冒険者は滅多におらず、圧倒的に低ランクの冒険者の方が多い。
Eランクまではわりと直ぐ上がれるのだが、冒険者に向いていない人はそこで終わってしまうことが多い。
運良くDランクに上がれても、そこからはランク一つ一つが大きな壁になっており、確かな実力が無ければ上へは上がれない。
上がれないだけならまだしも、無茶をすれば死んでしまう。
冒険者とはそういうシビアな世界なのだ。
「なるほどぉ。ルートさんにメアリーさんっすね?覚えたッス!じゃあ俺っちの番ッスね!俺っちはロック!魔導具職人になるため修行中の12才ッス!ギルドには所属してないッス!武器は"コレ"ッス!」
そう言って荷物から取り出したのは大きな鉄製のけん玉?だった。
「あっ!今けん玉が武器かよ!ってバカにしたッスね!?これはただのけん玉じゃないッス!俺っち特製の魔導具なんス!」
ロック特製けん玉はその大きさがロックと同じくらいあるのでその重さは相当な筈だが、ロックは軽々と持って見やすいように角度などを変えながら色々と説明してくる。
流石はドワーフと言えるだろう。
まぁ、あれを入れたバッグを背負ってここまで走ってきた時点で相当な力があることは分かるが・・・
「修行中と言ったけど、トレス王国に何か用事でもあるの?」
修行中に他国へ遠出なんて師匠に怒られないのかと聞くと
「師匠とは言っても、魔導具の師匠ではないんスよ。同じドワーフとして魔法とか色々と教えてくれたんス。師匠は鉱石とかの研究をしてて、『世界中回って珍しい鉱石を取ってこい!』って一人追い出されたんス・・・いや~でも良かったッス!何せ一人で外出したこともほとんど無かったもんで右も左も分からず・・・」
まぁそんな人間がいきなり世界を回って来いと一人にされたら不安だろう。
・・・そんなことより、
「戦闘経験はあるの?」
これから旅をするのだ。
魔物と戦うことになるだろうし、人とも戦うことになるかもしれない。
そんなとき使い物にならなければ邪魔になるだけだ。
「魔物を少しだけッス!素材取りなど師匠に言われたときに!あっ!でも、弟子の中では相撲と小物作りは一番だったッス!」
「「・・・・・・・」」
ルートとメアリーはしばらくお互いを見つめ合った後
((しばらくは楽できそうにないな))とため息をはいた。
・・・しかし、12才の少年一人になかなか無茶な指令を出す師匠だと思ったが、ルートの師匠もあまり変わらないので世の中の師匠はそういうものなのかとルートはまた一つ賢く?なったのだった。
「さて、メアリー。ここから一番近い町はどこ?」
そろそろ互いの自己紹介も終わったので話題を変えてみる。
「そうだねぇ・・・ここからだとライトの町が近いね」
「どんな町かしってる?」
「まだ王都とそんなに離れてないからね。都会と田舎の間みたいな感じで、ライトの町から森や山へ魔物討伐に行く冒険者も多いよ。結構人もいるし賑やかなとこさ」
メアリーは行ったことがあるようで色々と教えてくれた。
「そうだ。森に寄ってから町へ行こう」
「なんだい急に?」
「まだ日も浅いし、お互いの力を見せといた方がいいと思ってね」
このまま町に行ってもいいのだが、早めにロックの力を見ておきたかったのだ。
戦闘経験が無くてもそのパワーは確かなものだし、この辺りならまだそんなに強い魔物も出ないのでここでなら最適と判断した。
「おっ!いいッスね~!俺っちのけん玉捌き、見せてやるッスよ!」
ロックはやる気マンマンだ。
「・・・そうだね。もしかしたらこいつ結構やるかも知れないし、ダメでも経験させとくに越したことはないからね」
メアリーも賛同してくれた。
というわけで一行は近くの森で三人パーティによる戦闘を試してみることにした。