ロックの実力を把握しておくため、ルート達はライトの町の手前にある森へとやって来た。
「この辺りにはどんな魔物がいるのかなぁ?」
「まだこの辺りじゃあそんなに強い魔物はいないと思うよ?せいぜい狼とか熊の魔物じゃないかい?」
狼も熊の魔物も十分強いのだが、二人とも冒険者ランクがBなので雑魚扱いだ。
狼は動きが素早い上に群れで行動するし、熊は耐久力が高い上に一撃の威力が高く意外と素早い。
どちらも鼻が良く利く上に、魔物化して身体能力や表皮の固さが上がり体も大きくなっているのにも関わらず、二人にとっては何の問題もないらしい。
「狼に熊の魔物ッスか~・・・まだ闘ったことないッスね~」
どうやらロックはまだ闘ったことがない種類らしい。
ルートとメアリーは見るからにパワー系なけん玉を持つロックに『初見の相手にアレで戦えるのか?』と口には出さないまでも少しだけ心配した様子で見つめていた。
妙にやる気なロックを先頭に前衛後衛どちらのカバーにも直ぐに入れるようルート、魔銃による遠距離射撃が得意なメアリーを後方に一行は森を進んでいく。
すると、森に入って5分・・・・・
ガサガサッ ガサガサッ
「これは・・・・・熊の魔物だね」
ルートがそう言うやいなや、熊の魔物が出てきて、こちらに気づいた瞬間襲いかかってきた。
「早速来たッスね!ここは俺っちに任せて欲しいッス!」
そう言って魔物に向かっていくロック。
グォォォォォッ!!
魔物はその鋭い爪を横凪ぎに振るった。
「甘いッス!」
ロックは宙に跳びその爪を回避する。
「頭がお留守ッスよ!」
ロックはけん玉の皿で無防備な魔物の頭を思いっきり叩きつけた。
「グォッッ!!??」
なかなか効いたのか、魔物は頭をフラフラさせているがまだ致命傷にはなっていない。
「ならコレで!」
ロックは、けん玉の玉を外し玉に隠れていた剣の部分で魔物の心臓を突き刺す。
すると、今度こそ魔物は倒れて息絶えた。
「どうッスか?このくらい朝飯前ッス!」
あっさりと倒せたからか、どことなく自慢げなロック。
「ふーん。なかなかやるんじゃないかい?・・・・・ルート?」
「・・・・・・・・・?」
ルートは何か考え込んでいるのか返答はない。
するといきなり、ロックが倒した熊の魔物に近づき何やら観察し始めた。
「どうしたんだいルート?」
何か不自然な点でもあったのかとメアリーが問いかけると
「これは・・・これなら恐らく・・・・・」
何やら一人でボソボソ喋って、遠くを見つめて集中し始めた。
「?何してるンスか、アレ?」
ロックは、ルートが何をしているのかをメアリーに聞いてみる。
「感知魔法を使ってるのさ・・・・・あの顔は・・・何か見つけたって顔だね」
そう言われルートを見ると、何か獲物をロックオンしたような鋭い目を遠くへ向けていた。
「何を見つけたんだい?」
「着いてからのお楽しみ♪」
さっさと教えてくれればいいのに・・・メアリーはそう思ったが、いつもよりテンションの高いルートを見て
(これは・・・相当良いものを見つけたようだね)
ルートのテンションが上がるものとは何かを考え始めた。
「う~~~、気になるッス~~~!!・・・お宝?それとも伝説の武器?早く見たいッス~~~!!!」
ロックは相当期待しているのか、どのような伝説の武器なのか妄想しはじめて心ここにあらずだ。
「そろそろ静かに・・・もうすぐだよ」
人差し指を口に当てるジェスチャーを二人にして、静かに茂みの方へ歩き出す。
二人もそれに習って歩いていると
ブブブブブブブブンッ!! グォォォォォッ!!
何かが戦っているような音がする。
茂みの陰からそれを覗くと・・・・・
大量の蜂の魔物と熊の魔物5体が戦っていた。
「な、なんだいこりゃ!?」
「すごい数の蜂ッス~!?」
お宝でも伝説の武器でもなく魔物同士の集団戦に驚く二人
「熊がハチミツを求めて巣を襲ったんだろうね」
どうやら熊はハチミツを食べるため、蜂は巣を守るために激闘を繰り広げているようだ。
「何で戦ってるって分かったんだい?」
最初に熊の魔物が現れたときになぜそれを見抜けたのか聞いてみる。
「あの熊、こっちに気がつく前に既に興奮状態だったし少しハチミツの臭いがしたんだ。それに、体に小さな傷がたくさんあったからもしかしてと思ってね」
相変わらずよく視ていると感心する。
「ハ~~~!すごいッス!!お宝じゃなかったのは残念スけど、あの情報でそこまで見抜くとは名探偵ッスね!!」
ロックは目をキラキラさせながらベタ褒めしてくる。
「それはすごいんスけど・・・これを見せてどうするンスか?まさか参戦するとか言わないッスよね?」
恐る恐る尋ね、否定の言葉を待つが
「勿論参戦してハチミツをぶん盗る!」
眩しいくらいの笑顔で言い切るルート
「・・・・・・・・・・!!??」
「ハァ~、言うと思ったよ・・・相変わらず甘いものには目がないねぇ・・・」
言葉も出ないほど驚くロックと、途中から分かっていたようなメアリー
楽しい楽しいハチミツ採取が始まる。