ハチミツ採取をすることになった一行。
しかし、それを行うためには大量の蜂の魔物と5体の熊の魔物を相手にしなければならない。
茂みに隠れているルート達の目の前では蜂と熊のハチミツを懸けた激闘が繰り広げられている。
蜂はその数の暴力で、熊はそのタフさと鋭い爪で激しく戦っている。
熊が根負けするか、蜂が全滅するか、どちらかがいなくなればハチミツ採取はやり易くなるし、相討ちにでもなればハチミツを採るだけになる。
ということはしばらくここで様子見か・・・
と、メアリーがそう思ったとき
「メアリーとロックは蜂の方を、僕は熊をやるよ・・・あ、蜂の巣は燃やさないでね?」
メアリーとロックは何を言ってるのか分からないといった顔でルートを見つめる。
「何で戦うんだい?しばらく待ってればハチミツ採取が楽になるのに・・・」
「そうッスよ!バカな俺っちでも分かるッス!わざわざ危険を犯すことないッスよ!」
勿論ここで戦うメリットなどほぼゼロに等しい。
ならなぜ無理に戦うのか、それは・・・
「1秒でも早く・・・・・ハチミツが食べたい・・・・・」
そう、メアリーが言っていたようにルートは甘いものに目がないのだ。
「ハァ、本当に甘いものに対しての執着が凄いねぇ・・・」
しょうがないと諦め魔銃を構え、いつでも行けると目で合図をする。
ロックも察したのか、けん玉を握る手に力をこめる。
そして、ルートの合図で一斉に魔物に向かっていく。
「先ずは分断するよ!」
「了解ッス!"土壁"!!」
ルートの指示で高さ4~5m程の壁を作り蜂と熊を分断するロック。
流石はドワーフというべきか、土の魔法は得意なようだ。
いきなりのことで敵が混乱しているうちにそれぞれの元へ向かい先制攻撃を仕掛ける。
ズバッ! ドドドドドッ! ドガァァァンッ!
ルートは居合斬りで熊を一体、メアリーは水の弾を連射し蜂を数匹、ロックはけん玉の玉を飛ばし蜂を数匹仕留めることに成功する。
「先ずは一体・・・ハチミツの為だ・・・速攻で終わらせるよ」
ルート達の奇襲により一体を殺られた熊達だが、直ぐにルートを敵認定して襲いかかってくる。
「最初に出会った奴よりでかいし強そうだな・・・やっぱりあいつは逃げ出したんだな」
森で一体だけ現れた熊の魔物は、蜂との戦闘で危機を感じたのかその場を離れ、そこで自分達と遭遇したんだろうと推理する。
そんな推理をしながらも熊達の猛攻を歯牙にもかけず余裕をもってかわしていく。
普通の人間なら簡単にかわしてくるルートに警戒して一旦離れて様子を見てくるのだろうが、興奮している熊達は更に怒りを増し力任せに爪を振るってくる。
そうなれば隙も増えてくるもので、腕、足、体を斬りつけられていく。
「これで、終わり!」
スパパパパッッッ!!!
体を次々斬りつけられて体勢を崩した熊達は、目にも止まらぬ速さの居合いで首を斬られてしまった。
「これもハチミツの為・・・・・」
そう熊に言い訳?をしながらもしっかり討伐部位を回収していく。
まだ壁の向こうでは戦闘音がするので、助けには向かわず熊の肉や胆嚢などを切り取ってマジックバッグに詰めていく。
ちなみにマジックバッグとは魔導具の一種で、魔法の力で内部が拡張された袋や鞄などである。
これがあればわざわざ重たい荷物を持ち歩くこともなく移動できるので非常に便利なのだが、安いものでも数万以上するので、一般の人には手を出しづらい代物なのだ。
ルートと別れたメアリーは魔銃先制攻撃をした後、左手に水と火の魔法を同時に出し蜂に向かって投げつけた。
ボンッ!! シュゥゥゥゥゥゥゥ・・・
その魔法は蜂に向かって飛ぶと、爆発した。
が、その爆発自体には特別殺傷力はなく、爆発と同時に広がる水蒸気こそが狙いだ。
いきなりの奇襲に驚いた蜂達の視界を水蒸気によって封じ更に混乱させる。
「ロック!吹っ飛ばしてやりな!」
「了解ッス!巻き込まれないでくださいッスよ!」
そういうとロックは蜂の群れに突っ込みけん玉を振り回し始めた。
水蒸気による霧の中、どんどん蜂がけん玉によって潰されていく。
メアリーはその攻撃から外れ霧の外へ逃げる蜂を撃ち落としていく。
しばらくして霧が晴れるとそこには、大量の蜂の死体と振り回し過ぎたのか目を回しているロックがいた。
「終わったみたいだね・・・ってフラフラしてるけど大丈夫?」
戦闘音が止んだのを確認してルートも壁を跳び越えてきた。
「だ、大丈夫ッス~~ちょ、ちょっと張り切りすぎただけッス~~」
「まぁ、敵ももういないし後はハチミツだけだからゆっくりしててよ」
そう言うと蜂の巣をスパンッと刀で両断しテキパキとハチミツを瓶に詰めていく。
ガサガサッ
「大量だ~~~♪ん?」
グォォォォォッ!!
ここで熊の魔物が更に5体現れた。
仲間の死体を見て怒っているのかこちらに向かってくる。
「二人ともお願いね。今僕手が離せないから・・・ジュル」
「つまみ食いしながら何言ってんだい・・・しょうがない、ロック!ってまだフラフラしてんのかい・・・まぁこれくらいなら一人でいいか・・・」
そう言うと魔銃に魔力を込めて構える。
火の魔法を左手から撃ちだし熊達の真ん中で爆発させる。
熊が怯んだ隙に一体に近づき至近距離で銃を放つ。
「"
ドパァァァッッッン!!!
一撃を受けた熊は体に大きな穴を空けて吹き飛ぶ。
その一撃だけで終わるはずもなく、次の熊に近づく合間にチャージし撃つ。
ドパァッン!ドパァッン!ドパァッン!ドパァッン!
「フゥー、呆気ないねぇ・・・」
あっという間に残りも倒し銃口に息を吹きかける。
「おぉ~!すごいッス~!!」
回復した様子のロックは流石Bランク冒険者だと感動している。
一方ルートは・・・
「んまっ♪フフフッ♪」
ハチミツを堪能していた。