ハチミツを採取し、ルート達がライトの町に着いたのは日がもうすぐ暮れ始めようとしている頃だった。
「いや~~~、やっと着いたよ~~~・・・」
ルートはやっとライトの町にたどり着いてダレていた。
「アンタがハチミツをちょいちょいつまみ食いしてたからだろう?本当なら昼過ぎくらいには着いてたんだから・・・」
メアリーとロックが蜂の魔物の討伐部位を回収している間にルートはハチミツを採取する係だったのだが、ついついその甘い香りにつられて手が伸びてしまっていたのだ。
「さて、先に宿をとる?ご飯にする?」
「俺っちもうお腹ペコペコッス~~・・・」
ロックはお腹を押さえてご飯を所望してくる。
そういえばここへ来る間後ろからずっとグゥ~、グゥ~と聞こえてきていた。
まぁ、お昼を食べていないからそれはしょうがないことなのだが・・・
一刻も早くロックの胃に何か詰めないと倒れてしまいそうなので適当な店を探していく。
さすが王都からも近い町だけあり、様々なジャンルの料理屋が並んでいる。
旅を始めて最初の食事、さてどれにしようかと悩んでいると・・・・・
「う~~~・・・妾はお腹がすいたのじゃ~・・・」
「うわぁ~~・・・いいにおいのするお店がたくさんあるぅ~~~!!」
「どのお店にしますか?何か食べたいものはありますか?」
同じように腹をすかせている三人娘がいた。
腹をすかせている女性は白髪の長髪を後ろでひとつに束ねている。
年の頃はルートと同じくらいだろうか
色々な店に目を輝かせている少女は赤茶色の髪が特徴的で首から小さな槌のようなものを下げている。
背はロックより少し小さく、年はロックと同じか少し下だろうか。
白髪の女性に食べたいものを聞いている少女は黒髪を後ろで三つ編みにしている。
年はこちらもロックと同じくらいだろうか。
そして三人に共通するのはヤマト風の服を着ていることだろう。
ルートは店選びを失敗しないように身体能力強化の魔法で嗅覚を強化し店を探す。
「また無駄なことに魔法を使って・・・・・」
メアリーは呆れているが、ルートがこうやって選んだ店に今までハズレはなかったので止めはしない。
三人娘の方では・・・
「クンクン・・・こっちなのじゃ!妾の鼻がこっちだと言うておる!」
ルートと同じことをやっていた。
その女性とルートは導かれるように同じ店に歩を進めていき、
「「ここだ(じゃ)!!」」
と同時に叫んだ。
「「ん?」」
店の前でお互いを見つめ合う。
「ほぅ、この店を選ぶとはなかなかできるのぉ・・・」
「そっちこそ、なかなかいいセンスをしてるよ・・・」
「「・・・・・・・・フッ」」
ガシッッッ!!
何かを認めあったのか固い握手をかわす二人
「妾はハゴロモじゃ!お主は?」
「ルートだよ・・・よかったら一緒に食べない?」
「うむ!今宵は楽しい夜になりそうじゃの!」
こうして二組は一緒に食事を摂ることになった。
二組が入ったのは少し年期の入っている、しかし綺麗にされている店で確かに食欲を刺激する香りが漂っている。
6人は席につきメニューを頼んだところで、料理が来るまで自己紹介をすることにした。
「僕はルート、こっちはメアリー、こっちがロックだよ」
「よろしくね」
「よろしくッス!」
ルートが紹介し、二人が挨拶をする。
「妾はハゴロモ、こっちの赤茶色はカンナ、こっちの黒髪はツバキじゃ」
「よろしくねぇ~!」
「よろしくお願いします」
ハゴロモは古風な感じ、カンナは元気っ子でツバキは真面目で丁寧な感じだ。
お互いの名前を確認したあと料理が運ばれてきた。
お互い腹も減っていたので続きは食べながら行うことにした。
モグモグモグモグ
「ふーん、じゃあカンナとツバキはハゴロモの護衛なんだね」
「護衛をつけろと周りがうるさくてのぉ~・・・堅苦しい奴らを連れていくのは嫌じゃったから昔から遊んでいた二人を連れてきたのじゃ」
どうやら三人は旅をして回っているらしい。
護衛をつけているということはハゴロモは結構高貴な身分なのだろう。
「どうして旅に出ようと思ったの?」
「父上の、昔世界を回った話をずっと聞いておったのでな。何でも楽しいことや美味しいものに溢れておるらしいではないか。ならば妾が行かぬ手はないと思ったのじゃ」
ハゴロモは高貴な身分の割りになかなか自由人らしい。
「ルート達はトレス王国に行くのじゃろう?」
「そうだよ」
「妾達も次はトレス王国に向かう予定なのじゃ!共に行こうぞ!」
ハゴロモは相当ルートを気に入ったのか、トレス王国まで旅を同行する気らしい。
別に構わないと答えようとすると、メアリーがルートに小声で聞いてくる。
「見たところ高貴な人っぽいけど大丈夫かい?厄介事抱え込まなきゃいいけど」
どうやらハゴロモに何かあった際自分達に責任が降りかかってくる可能性を考慮しているらしい。
するとそれが聞こえたのか、ハゴロモが大丈夫だと言う。
「心配するでない。父上はその辺放任主義じゃし、妾の性格も皆よく知っておる。何かあっても謝罪されこそすれ責任を取らせようなどとは誰も言わぬ。それに・・・妾達は強いぞ?」
目を細め不適に笑いながら自画自賛している。
相当自信があるのだろう。
正直、ルートは最初に三人を見かけた時から只者ではないと思っていた。
隙だらけなように見えてしっかり周りを見ていたし、何よりハゴロモからなんとも言えない覇気のようなものが伝わってくる。
ひょっとしたら自分より強いかもしれない・・・そう思ったほどだ。
結局、ハゴロモ達も旅に同行することになった。
食事も終えて宿に向かおうと席をたったその時、
「銀行強盗だァァァァァァ!!!」
店の外からそう聞こえてきた。
どうやらまだ眠れそうにはないらしい・・・