Do you remember me?   作:弟月 凌

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第5話

「ふわぁーあ。…やっと終わったな」

菓子パンの袋を開けながら幸広は寝転がった

 

場所は屋上…の扉の上

つまり学校内で1番高いポジション

そして幸広の特等席

 

ここを確保するためだけにHRが終わってすぐパンが入ったコンビニ袋をひっつかんで教室から出てきた

 

その速さ、由衣は「まるで突風だね〜」と言うだろう

 

そんなことはさておき

寝転がったままパンを口にくわえ、ポケットからスマホを取り出した

イヤホンを耳に入れ、迷わずサウンドレコーダーのアプリを呼び出し最新の録音を聞く

 

イヤホンから録音特有の静けさの音と人のざわめきが聞こえ始める

やがてすぐ聞きたかった声が聞こえてきた

『……さて、そろそろ撮影タイムを終えるよ。早く本題に入りたいからね…。ではいいかな?』

 

「…あったりー」

思わずニヤッとするのを抑え、耳元に神経を傾ける

 

 

『別に顔を出しても私は捕まらないよ。なんなら写真でも(・・・・)撮ってみればいい。映像(・・)なんて簡単に消せるのだから』

 

 

スクリーンに映ってた男の台詞だ

明らかに映像のことしか言っていなかった

ということは一定の画像があるものを選択して消せる機械なのではないか――――そんな事を考えてとっさにサウンドレコーダーを起動してみたのだ

 

つまり音声だけなら消される可能性は低い

どうやらその推論があってたようだ

 

 

 

と思ったのだが

 

 

 

 

 

 

 

 

甘かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――――――――これを聞いているということは私のトリックを見破ったらしいな。とても嬉しいよ』

「っ?!」

予想外の声に固まる

どういう、ことだ?

 

『これは音声だけで録った人のみ聞けるものだよ。…まあ、何人がこれを聞いているのか分からないから誰も聞いていないのかもしれないがね』

淡々と声は告げていく

 

『残念だけど先ほどの音声は機械で録音できない音に変えていた。だから再度聞けないよ。ただその代わりといっては何だがヒントをいくつかあげよう』

 

『1つ、機械は音声のみは消せない。まあ、これを聞いている人はもう分かっているかな』

 

『2つ、隠している箱は全部で5つだ。屋外に2つ。屋内に3つだ。もちろん学校の敷地の中にある』

 

『3つ、隠し場所は消えた生徒のよく行っていた場所や、思い入れが深い場所だ』

 

『4つ、…これはヒントではないがこの音声はタイムリミットまでしか聞けない。録音もできない。

…音だけじゃ消せないんじゃないのかって?これはその前から設定した音声だからね。外国の映画で見たら消滅するビデオがあるだろう?そんな感じだよ』

 

ざわめきが大きくなる

誰か今日クラス内で休んでるか?

そんな声が聞こえた

いいや、誰も休んでないぞ

答える声が聞こえた

 

『…映像がダメなら音声のみにしてみよう、その発想の転換は称賛に値するよ。まあ失敗したみたいだけどね』

 

…本当にあの男は心底嬉しそうな声を出すよな

混乱する幸広の頭にそんなことがよぎる

 

『さて、せいぜい私を楽しませてくれよ?最後まであがいてみてくれ』

 

 

 

 

 

 

そして数秒の沈黙の後、先ほど聞いた台詞が響く

 

 

『先輩でもあり、後輩でもあり、同級生でもあるこの生徒を君たちは救えるかな?では健闘を祈ろう』

 

そこで録音が終わった

 

 

* * * * * *

 

 

「相手の方がやっぱり上手だったかー…」

寝転がったまま、うめくように幸広はつぶやいた

 

あれから録音を聞き直したが何度やっても結果は同じ

ヒントのことだけしか聞けない

 

遠隔操作で映像を消しているのかもしれないと思っていたのにこれじゃ

何のために今までの間、スマホを機内モードにしていたのかという虚しさだけが残る

 

「だぁー!!くっそ!!!」

スマホを脇に置き、勢いをつけて起き上がる

そしてポケットにつっこむと微妙にさっき寝転がったいた場所より端の方に移動し腰かけ、足をぷらぷらさせる

 

ほんの少し前までこの宝探しみたいなゲームに参加する気がなかったが気が変わった

 

 

あの男に一泡吹かせてやる

 

 

負けず嫌いの幸広の闘志に火がついた瞬間であった

 

 

「…その前に残りのパンを食べよっと」

誰に宣言するわけでもなく、身体を捻ってコンビニの袋に手を伸ばす

 

カシャン

 

「やっべ」

身体を捻ったことによってポケットの形が変わり、スマホがポケットから滑り落ちてしまった

拾おうと視線を動かし

「んお?」

小ぶりな箱が目にはいった

 

というかその箱の上にスマホが落ちてた

大きさは横10cm、縦5cm、高さも5cmぐらいだ

スマホを拾うために手を伸ばそうとして表面にくぼみを見つけ手を引っ込めた

 

「これ、さっきの話の箱か?」

少し考えながら手を伸ばしてスマホを持ち上げる

持ち上げる時にスマホにつけたふくろうのストラップがくぼみにあたり

 

カチッ

 

鍵が開いた

 

スマホと箱を交互に見やり

「…嘘だろ?」

1人苦笑いをしながら幸広はゆっくりと箱のフタに手を伸ばした

 

 

* * * * * *

 

 

箱の中には卓球のピンポン玉が2つ入っていた

 

「なんでピン球が入ってんだ?」

これもヒントなのだろうか

幸広は首を傾げながら箱の中からピン球を1つ取り出してみる

 

ひっくり返してみるとマジックで「問」という字が大きく書かれている

もう1つも手に取りひっくり返してみると「の」とひらがなで書かれていた

 

もんの?といの?何が言いたいんだ?

わけが分からないままとりあえず箱とピン球をスマホのカメラで撮る

 

そして元通りピン球を箱の中に戻し、担任教師に箱を見つけたことを報告するため幸広は立ちあがった

 

 

* * * * * *




…ピンポン『玉』なんでしょうか、それともピンポン『球』?
普段の呼び方がピン球なんで分からない…
わかる方、もしよかったらこっそり教えてください(´・ω・`)
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