呪われたユートピア~最強の能力で知らぬ間にハーレム出来た〜 作:天之夜
「ほら、大丈夫だった」
そう言うと呆然としていた彼女が手の甲を見せぐっと顔を近づけてきた。
「大丈夫だったって、何したんですか?」
「君って、なんの属性の魔法が使えるの?」
「ま、魔法ですか、私は聖属性の魔法が使えます」
聖属性か、珍しいな。
この世界において魔法というものは誰もが当たり前に持っている能力だ、その属性は一人につき基本一つと言われている。
火属性、水属性、風属性、土属性、無属性の五つがあり、聖属性は珍しく特殊な能力なため無属性と同じ括りにされている。
無属性と言えば聞こえは悪いかもしれないが、その能力には同じものは一つとして無い、つまり固有魔法だ、かなり昔に読んだ絵本には英雄が登場しており、無属性を所持していた為、世間一般では大変羨ましがられる。
「珍しいね、僕は無属性なんだけど、ちょっと特殊でさ」
「特殊ですか?」
「そうそう、僕の能力は『占術魔法』ていうやつなんだ」
「『占術』ってどういう能力なんですか?」
「んー、みんなが普通に使ってる『占い』もあるけど、何より特別なのは、黒魔術の能力を持っていることかな」
「黒魔術の能力が無属性の魔法に…?」
少々難しい話かもしれないが、元々黒魔法というのは存在していた、それも無属性以上の希少性で。
だが数百年前、とある大国の民が黒魔法で王を殺害した。 黒魔法は魔物と戦う時より、対人の方が真価を発揮するというのが判明された。
それからというもの、黒魔法は危険視され生まれた子供は属性検査にかけられた、もし持っていたらその場で処刑、なんでも黒魔法はその人の心を侵食してしまうらしいのだ。
やがて六つの属性のうち、黒魔法が消え、禁忌とされる黒魔術に変わった。
「黒魔術は呪いや弱体化かけるだけではなく、それの逆も出来るんだ」
「つまり、呪いを解除する事も出来るし、強化することも可能なんですね?」
「そう、君頭いいね」
「ありがとうございます、それでそれとこの奴隷印を解いたのとどのような関係が?」
「やっぱ訂正、頭悪いね君」
「なんなんですか!?」
「呪いを解除できるって言ったろ、僕がなんの為にその話をしたと思ってるんだ」
「奴隷契約が…呪い?」
「正確には呪いの一種だけど、そういうこと」
「私は助けられたのですか。 あの、ありがとうございます。
先程の失礼の数々をお許しください、私に出来ることなら何でもします、なにかお礼をさせてください」
「いや、お礼はいいんだけどさ、この契約証、誰から貰ったの?」
「それは奴隷商人の方から貰いました」
「奴隷商人か…」
「どうかしたんですか?」
「あー、いや何でもないよ、じゃあ僕はそろそろ行くね」
そう言えば用事があったんだった。
僕が荷物を背負い、草原に向かって走ろうとすると彼女は呼び止めて来た。
「待ってください!」
「まだ何かあるの? 僕急いでるんだけど」
「帰るところも食料もないのです、どうか一緒に連れて行ってくれませんか?」
「分かった、だけど今急いでるから、戻ってくるまでしばらくここで待ってて」
「ありがとうございます」
僕は急いで駆け出した。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
村にて。
何やら商人の乗った馬車などが村の前に集まり、活気よく村人と交渉している、一ヶ月に一度、この付近を通る商隊が様々な品求めてやってくるのだ。
「おーい!リバーリザードの皮一枚1000ステラだぞー!」
「こっちはカルの木材と葉、そして木の実が合わせて1万ステラだー!」
「バラ売りはできないのかこれ?」
「村の骨董品と交換でどうだい?なかなかいいだろ」
「おい誰か! 次の荷物を運んでこい!」
「僕の家の近くで取れる良質な魔物達の素材が2万ステラからだよー!」
「それ買った、残りは全部くれ!」
「毎度ありー! はいお釣り」
「王国製ナイフとショートソードがそれぞれ2000ステラー!」
「あ、それ僕ほしいな、1800ステラでどう? もちろん両方ね」
「んー、まあ兄ちゃんに免じて、、いいだろう!!毎度!」
次々と交渉は進んでいき、それは夕方近くまで続いた。
「取り敢えずこれで良しと」
僕は売った素材で手に入った大金を革袋に入れ、買った装備を装着した。 売ったものは全部で13万ステラになった。買ったのは男女用服をそれぞれ一式ずつとフード付きローブを二着。 あとナイフと剣も買った。
何故これを買ったかと言うと、旅に出るためで、その理由はいくつかあるが、やはり奴隷契約についてが大きいだろう。
奴隷契約証には呪いがかかっていた、すなわち、呪いをかけている人が居る…という事になる。 数百年前から黒魔術を検出するための属性検査が行われ始めたが、その時より前に生きていたなら、充分いる可能性がある。
多分と思うが普通の人間ではないだろう、亜人か魔族のどちらかと寿命的に考えられる。
黒魔術は使い方を誤れば大量殺戮をも可能としてしまう恐ろしいものだ、ただでさえ精神を蝕まれるのに、そんなものを持ったやつが、奴隷契約証などを製造しているなど怪しすぎる。
それにもう森に潜伏しているのも終わる時期か…。どちらにせよ一度確かめなければならないだろう。
今日は宿にでも泊まろうかな。ん、、何か忘れているような。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
???「ううっ寒い……あの人はまだ帰ってこないのですか、もしかしたら見捨てられたとか……ハックチュ!」
置いていかれるヒロイン。