呪われたユートピア~最強の能力で知らぬ間にハーレム出来た〜   作:天之夜

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#4 冒険はここから

アイラとラルクの二人は、心地よく揺れる馬車の中にいた。

 

馬車を借りて王国へ向かってる最中だ、操車はラルク。

 

「アイラ、今この王国に向かってるんだけど、ここで宿を確保したら暫くは魔物でも狩る予定なんだ、確か聖属性だったよね? 等級は何?」

 

村で買った地図を指差し、これからの予定を告げる。

 

等級というのは、魔法の強さを示すものだ。例えば『占術魔法』をまだ使ったことも無いとする、この段階が『E』、ある程度使っているが『D』という風に熟練度に応じて上がっていく、だが元々才能がある者は、早熟したり、初めから等級が『B』なんてのもある。

 

「私はもう長く使ってるのでA級です、ラルクはどうなのですか?」

 

この年でA級…相当高いな。

 

「僕も多分A級くらいかな」

 

特殊なのか分からないが、一度自分の等級を占って見た所判定が『???』だったので結局分からなかった。

ん、待てよアイラの等級がAって事はフォレストベアも余裕で狩れるんじゃ、いやそもそも家出少女だった、あの時は寂しさで怒ってたのか。

 

「お互いなかなか高いですね、これなら旅の途中盗賊に襲われようと大丈夫ですね!」

 

「「止まれ止まれぇー!!!!!!!」」

 

嫌な予感がする、これが昔本で読んだフラグというやつか。

 

現れたのは盗賊と見られる六人組、一番前にいる大男がリーダーらしい。 それぞれ武器を構え、臨戦態勢だ。

 

あのヒゲもじゃもじゃの人がリーダーなのかな、占ってみよう。

 

占いは目に魔力を集中させて発動する、片目が輝いて中二病みたいになるため、いつも占う時は片手で抑えている。まあその行為も十分中二病っぽいけどな。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

名前 ルーシー=ドルマン

性別 女

職業 盗賊のお頭

称号 殺人者 強姦者 窃盗者 男装王

魔法 火属性魔法B級

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

女!? あの筋骨隆々なおっさんみたいな人が!?

えーと、僕の占い間違ってないよね。 的中率は100%だから外れないよね。 強さはそこまでじゃないけど、酷い犯罪者だ。

男装王は意外と的を射ているのでは?

 

僕の動揺を悟ったのかアイラが取り乱した。

 

「ラルク?そんなに強い相手なのですか?」

 

「い、いやそこまで強くは無い、ちょっと諸事情で取り乱しただけだから」

 

「強くないだとぉおお!!?!!!?!」

 

リーダーがブチ切れ、筋肉が一段階膨張した。

やばいだろ、絶対薬やってるよ、筋肉ムキムキは多分副作用でしょ。

 

「アンタら! やってしまいな!」

 

「「うぉおおお!!!」」

 

突っ込んでくる手下達をアイラが止める。

 

「『聖域』!! 」

 

己に敵対するものを拒む壁を作る防御系の魔法、聖属性の基本だ。

 

「じゃあ僕も」

 

片手を出して心の中で唱える。

 

『呪針』

 

魔法は属性に応じてそれぞれ応用やアレンジが効く。

例えば黒魔術特有の黒い魔力を、槍型に形成し相手を貫くと、貫かれた相手は普通にダメージも通るし、状態異常にもかかる。

今回は針くらいのサイズで六本飛ばした、付与した状態異常は麻痺。

針くらいだと聖域に穴が空いてもそこまで強度低下には繋がらない。

 

『麻痺』の状態異常は通常ある魔物の得意とする領域の一つであり、そこらの一般人なら声は出せないレベルだ。

 

「ぐっ!……」

 

「よし、アイラ行こう」

 

「放置ですか!?」

 

何を驚いてるんだ、こんな奴らを殺したら色々と面倒になる。

多分後数分したら麻痺が解けるから、早めに去りたい。

 

必死に顔を歪めもがく男達(若干一名変なのもいるが)の横を、悠長に馬車で通り過ぎてゆく。

傍から見れば盗賊全員の時が止まるという、パフォーマンスを披露しているようにも見えるだろう。

 

しばらく走って、なんとなく後ろが静かな気がした。

振り返るとアイラは寝ていた、今日の朝もクマが何とか言っていたし、寝れなかったから疲れていたのだろうか。アイラ一人が寝ているだけでぱっとしない馬車の貧相な雰囲気がガラリと変わる。もしも誰かがこの馬車の中を見ていたなら、お姫様が王宮から抜け出してお昼寝しているように見えるだろうか、それとも僕が攫ってるように見えるのだろうか。どちらにせよ、それらはアイラの気品と美貌の美しさによって形成される妄想であり、さっきのルーシーなどでは論外だ。

 

 

一人くだらないことを考えながら王国へ馬を走らせていく。

それからは特に何もなく、穏やかな昼下がりの道を馬車に揺られ続けたのだった。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

結局、王国に着いたのは夜になった。

アイラはまだ寝ている、この馬車は門の横にある貸出屋に渡さないといけないので、アイラを背負い、一応彼女のフードを被せておく。

寝ている美少女を背負うという行為は、誘拐に間違われかねない。

検問では見られるかもしれないが、この気持ちよさそうに寝ている彼女を起こしたくはない。

 

検問は衛生兵一人だけだった。

この王国は、小さい方なので、そこまで警備は必要じゃないらしい。

口元に指を立てて静かにするようにお願いすると、背負ったアイラのフードを外して見せた。

すると衛生兵さんは一瞬アイラに見蕩れたあとにニコッと笑い、小声で話し始めてくれた。

 

「通行許可証は有るか? 無ければ500ステラを払うんだ、その背負っている女の子を含めたら1000ステラだな」

 

「通行許可証は持ってないので、はい1000ステラちょうどで」

 

「了解した、念の為に荷物の検査をしてもいいか?」

 

「はいお構いなく」

 

荷物と言っても、洋服と体を拭くための布しか持っていない。

今まで村に何度か訪れあの商隊の人達と何度も素材やら薬草を交換してるので金だけは沢山ある、額にして2億ステラくらいだろうか、しばらくというか、普通に暮らせば一生金には困らないだろう。

ステラは五つの種類の硬貨で世界に広く使われている。

ステラ硬貨=100ステラ 銅貨=1000ステラ 銀貨=1万ステラ 金貨10万ステラ 大金貨1000万ステラ となっている。

長年に渡り大量に金を貯め、両替したので大金貨が18枚に金貨15枚、あとは銀貨と銅貨がそれぞれ数枚。

 

「よし、特に危険なものは無いな、通っていいぞ、あとクエスト以外でここを通る時にはまたお金がかかるからな、気をつけてくれ」

 

「ありがとうございます」

 

とても親切で仕事の早い人だった、確かにあの人一人であそこの仕事はもう充分だろう。

 

門を抜けると懐かしいような新鮮のような感覚を覚えた。

様々な店や家の光が幻想的に風景を彩り、辺りからは夕食の匂いが漂ってくる、活気良い男達の声がいくらか聞こえてきて、喧騒を生み出す一つとなる。

 

取り敢えず宿屋に行かないとな。

 

金には困ってないので、良さそうなところを選んだ、店の名前は『安らぎの城』城と言う割にはそこまで城っぽくない、屋敷の方が近い気がする。

 

中に入るとカランという音と共に、グラマラスなおばさんが出迎えてくれた。

 

「あら、いらっしゃい。随分可愛い子ね、私は宿主のマリーよ」

 

「すごく可愛いですよねアイラ」

 

そこまで言って気づいたが、アイラは検問を抜けてからまた、フードをかけ直している、つまり顔は見えないはず、、、。

マリーさんの獲物を見るような目がとても怖い。

 

「あなたアイラっていうの? なかなか可愛い名前じゃない」

 

「僕はラルク、アイラはこの子の事」

そう言いフードをちらりと外すと、マリーさんはふふふと笑った。

 

「ふふっ、先客がいたわねそれもVIPの、今日はどうするの?」

 

なんの先客だよ。

 

「今日は取り敢えず一泊で」

 

「あいよ、これが部屋の鍵で、お風呂はいつでも入れるわよ、あと、朝ごはんだけは出るから、食べたあとにお金は払ってね、宿泊込みで2000ステラ、二人で4000ステラね」

 

「わかりました」

 

部屋は広く、ベットは大きなのが一つしか無かった。

 

マリーさんめ…。

 

アイラをベットに下ろすと、ロープを脱ぎ畳んで置く。

 

まだ日が落ちたばかりでお腹も空いているから一旦酒場にでも行ってこようか迷ったが、アイラが起きるまでお風呂にでも入る事にした。

 

お風呂は火の魔石を利用しているようだ。

 

魔石は地下で取れる鉱石のひとつで、はじめに受けた属性の石になる特殊な石、火で炙れば火の魔石に、水に漬ければ水の魔石になる。

 

 

久々の暖かいお風呂に浸かり、身体を休め、これからの旅に心を踊らせる所なのだが、何故だか不安で仕方がない。

艶のある薄紅の髪をかき揚げ、ラルクはそう思うのだった。

 

 

 




ラルクが敬語とタメ語をごちゃ混ぜにしているのは森にばかりいて、人とあまり話さなかったのが原因だと思います……
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