自動人形は魔法使いと夢を見る   作:2号E型

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ふとした思いつきを気付いたら書いていました。リリカルなのはでNieR:Automataのクロスって見たこと無いななんて考えたらつい……。
単発ですので、続きません。


これは呪いか、それとも罰か

 

 俺の名前は2E……いや、正確に言えば2Bが俺の名前。とある実験のために作られた『自動人形(Automata)』。……そして、原作には登場しない、否存在し得ない異物(イレギュラー)。それが俺という存在……だったのだけれど。

 どういう訳か知らないが俺は全く知らない場所に転送されてしまったらしい。なにせ周りは知識にあるとおりの標準的な大きさの木々や、全く壊れていない建物。そして我々■■■が忠誠を誓う人間が――――って、あれ? ■■■ってなんだったっけ……? 可笑しいな、記憶に異常が見られる。と言うかそもそも俺は何故こんな場所に転送されてしまったんだ?

 異常のある部分を探るついでに少し記憶を漁ってみるか。

 

 

 遡ること数日前。

 その日も俺はせっせこせっせこと機械生命体の殲滅に明け暮れていたのだっけ。

 司令官に俺が命じられたのは現在9Sと行動を共にしている2Bに接触しないようにしながらの現地レジスタンスの護衛とその他周辺の機械生命体の殲滅任務。これがまた難儀なもので、9S率いる2Bの二人はAutomataであるが故に睡眠など取ることもなく動き回っているから接触しないようにするのが大変なのだ。特に便宜上イヴと呼ばれる機械生命体との戦闘の時は大変だった。見付からないよう隠れ忍びながら辺りにいる機械生命体をぶち殺さなきゃいけなかったのだからもう大変。

 なんど任務を放棄してトンズラしようかと思ったことか……いやまあその場合俺は同じE型の奴らに狙われることになるからしなかったケドも。

 

 あぁいや、思考が脱線した。

 えぇっと、それで見事9Sと2Bがイヴをぶっ壊して……あぁそうだ、その後幾日か過ぎて大体的な機械生命体殲滅作戦が始まったんだ。俺は鉢合わせになると駄目だし元々通常のAutomataより特殊だからってんでそのまま現地待機で指令があるまで近くの機械生命体を殺し続けてた。

 んでその時に遭遇した機械生命体にハッキングされて、フルボッコもとい壊されかけて――――その時目の前に出来た変な歪みの中に遮二無二逃げ込んだんだ。それで……気が付けばこんな場所に倒れていた、と。

 回想はこんな所か。ちょうどバグが発生している部分も見つけたし、これを修復して――――いや、俺ポットねぇじゃん。出来ねぇよ。

 

「はぁ……八方塞がり、か……しょうがない。ここがどこか、何故こんな場所に居るのか考えても仕方ないし取り敢えず移動するか」

 

 後のことは後で考えれば良いだろ、と思考を放棄して立ち上がろうとして……違和感に気付く。どうも視界が何時にも増して低いのだ。

 それに手も少し小さい気がする。服などもどういう訳かぶかぶかであり……そこまで確認してイヤな想像が頭を過る。

 いやいや、そんなことあるわけが無い、と頭を振りながら否定してみても、そもそも俺という存在が非科学的、あり得ないことの積み重ねで存在しているわけだから否定しようにもしきれない。

 だがしかし、俺という個体は機械で作られておりこんな現象は物理化学的に有り得ない。いや、でも現にこの身は否定しようもない程の現象で見舞われているわけで。

 

「……私の身体……なんで、縮んでるの……?」

 

 オーバーヒートしそうなほど頭をフル回転させ、肯定と否定の繰り返しの果てに脳内で処理できなかった疑問が口から吐いて出る。

 そうして現実を直視して、俺は一度フリーズするのだった。

 

 

 “それ”を恭也と美由希が感じ取ったのはちょうど恒例の鍛錬から帰る途中のことだった。

 空間が罅割れるような違和感……或いは何か異物が紛れ込んだような不快感。それを二人が感じ取れたのは偏に御神流と呼ばれる剣術使いであると同時に空間把握能力に長けていたからだ。

 

「美由希。感じたか?」

「うん……と言っても、少し変な感じがしたくらいだけど」

 

 慣れない感覚に恭也と美由希は咄嗟に臨戦態勢を取りながら違和感の出処を睨みつける。

 そうして背中に忍ばせた小太刀に手を掛けながら――――

 

「ここは俺が先行する。美由希は父さんにこのことを知らせてくれ」

 

 言外に美由希は逃げろ、と告げる。それに驚いたように「えっ!?」と声を上げながら視線で何故と恭也に問いかける。

 いや、美由希自身分かってはいる。美由希と恭也ではハンデを背負っているとは言え恭也のほうが確実に強いことを。そしてこの場合即座に動ける美由希がお父さんに知らせに行ったほうが最善であると。だが、それで納得出来るかと言われれば否である。

 仮にもし違和感の根源が敵対してくる何かであったとして、そして恭也だけでは勝てない場合ハンデを背負っている恭也は逃げることも出来ず殺されてしまう可能性もある。またお父さん――士郎にこのことを知らせたとしても士郎は恭也より多大なハンデを背負っている身だ。

 故にこそ。

 

「私も一緒にいくよ。恭ちゃんだけに行かせたら、多分後悔すると思うから」

 

 力強く恭也の目を見つめながら美由希は宣言した。

 そうしてお互いに視線を合わせながら警戒すること数秒、根負けしたのは恭也の方だ。溜息を吐きながら、せめてと「危なくなったら何が何でも逃げろ」と告げて違和感の元へとゆっくり歩きだす。

 元々、ハイそうですかと美由希が帰らないだろうと考えていたことも比較的早く根負けした原因でもあろう。

 

 恭也の言葉に小さく頷きつつ、美由希も忍ばせていた小太刀を抜く。

 

 そして数分歩き違和感の元へと付いた時。そこに居たのは――――

 

 

 

 ――――ぶかぶかの服を着ながら同じく大きさの合わない眼帯から片方だけ琥珀色の目を覗かせた、少女の姿だった。

 

 

 フリーズすること数分。風によるものではない草の擦れる音と生命反応に一度意識を取り戻す。

 そして音の発生源に視線を向けて――――あまりの驚愕に目を見開いた。

 

「にん……げん……?」

 

 そこに居たのは紛うことなき人間であった。俺達Automataの悲願。存在意義。求めて止まない存在。

 あぁ……これは、ダメだ。別に俺自身人間に対して何か思うことが有ったわけじゃないのに、こうして姿形を見ただけでこれ程心が揺さぶられるとは……正直、Automataとしての本能、いや潜在意識を舐めていた。

 だってほら、さっきまで自分の体のことと取り巻く環境に頭を働かせていたのに、今では目の前の人間の事しか考えられない。

 

 涙など流すことはもう無いとさえ思っていたのに、視界が歪む。機械の体からは涙が滲んで溢れてくる。

 

 咄嗟に身体を抱きしめて唇を噛み締めなければ、今にも声を上げて泣いてしまいそうだ。

 

「え、えっと……大丈夫? 何かあったの? お父さんとお母さんは……」

 

 声をかけられ、思わず肩が震える。頼むから今は止めてくれ。抑えが効かなくなりそうだ。

 そう言おうと口を開けば、吐いて出るのは嗚咽ばかりで。

 そうして自分自身の感情を持て余していると、突然身体が温もりに包まれる。思考が抱きしめられたのだと理解するのと、幼子のように声を張り上げながら泣き出すのはほぼ同時のことだった。

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