GOD EATER -the last blood-   作:ポラーシュターン

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赤染の狼 -3-

先程の膠着状態から一転して、その場は目まぐるしく動く、乱戦の様を呈していた。

 

「どうするの、正直ちょっとキツイよ?!」

「あのマルドゥークを倒せれば良いのだがっ・・・!」

 

槍を、槌を振り回しながら、悔しそうにエリナ達が言い合う。

 

そして同じように鎌を閃かせつつ、

リヴィはちらりと遠方を見て、二人に聞こえるように叫ぶ。

 

「他のアラガミに囲まれる前にあちらに向かう!」

 

マルドゥークは依然動かない。

代わりに激しさを増したガルムの動きに、

三人はダメージこそ受けていないものの、決定打も与えられていない。

 

司令塔であるマルドゥークを潰せばこの連携は崩せるが、

そうならないために、あれは遠く離れたところに陣取っているのだ。

 

「いいのリヴィさん、見て、あの顔!どう考えても罠だけど!」

「もちろんコレット嬢も分かっているとも!

だが、ここでジリ貧では仕方が無い・・・!」

 

リヴィも頷き返す。

 

エリナが忌々しげに指摘したマルドゥークの顔については気のせいだが、

こうまで徹底して見物を決め込んでいる用心深さなら、

進路上に他のアラガミを呼び寄せているのは想像に難くない。

 

だが、明らかにそれ以上の数が、この場に向かってくる気配がある。

 

いかに強力な個体とはいえガルム2体に後れを取る自分達ではないが、

さらに続々と中型、大型のアラガミが押し寄せてくるならば無事では済まない。

 

 

リヴィは決断した。

 

「2体とも足止めしてから、次の接敵まで全力で走る!」

と、さりげなくスタングレネードを見せ、二人が頷くのを確認する。

 

もはや新規に製造する目途が立たない今、なけなしのスタングレネードだ。

 

「3秒後!」

 

リヴィはそう叫んで、自分の神機を頭の上に掲げた。

 

そして咬刃を展開する。

 

先程からリヴィの咬刃を使った遠隔攻撃を何度も見ていたガルム達は、

それに素早く反応した。

 

どちらを狙っているのか、天高く伸びたその刃を警戒する。

 

 

同時に二頭の眼を引く。それが狙いだった。

 

 

神機を上に掲げつつ、リヴィが片手でひょいと放ったスタングレネード。

 

それが刃の先端を見ていたガルム達の視界へ、下から滑り込んで炸裂した。

 

強烈な光に目を灼かれたガルム達は怯み、隙を晒す。

 

「走れ!」

 

そのまま鎌を振り下ろせば片方には深手を負わせられたかもしれないが、

リヴィはその好機を捨て、目的通りの行動を指示した。

 

遠すぎてスタングレネードの効果を受けていないマルドゥーク。

 

その感応能力がどこまで応用できるのか不明だが、

恩恵を受けたガルムの行動が、リヴィたちの予測を上回る可能性があった。

 

エリナ達は迷うことなく駆け出す。

 

その元へと向かうべく見据えたマルドゥークは、

手下の不甲斐ない様を見て唸っているように見えた。

 

 

 

「遠い・・・!」

「だが思ったほどアラガミはいない、これなら・・・!」

 

エリナとエミールがマルドゥークを見失わないようにしながら走り続け、

リヴィはその後に続いていた。

 

スタングレネードの効果が切れたガルムと、

リヴィたちを包囲しつつあったアラガミ達が追ってきているはずだが、

このペースであれば、それに追いつかれるより先にマルドゥークに手が届く。

 

あのまま逃げの一手を打っていたらどうなっていたか分からない。

 

だが、とリヴィは思う。

 

最善ではあった。だが、これが正解なのかどうかも、分からない。

 

何故なら、マルドゥークが動いていない。

奴はずっとこちらが見える位置にいる。

 

こちらに向かってくる自分達を脅威に感じたのならば、

逃げるか、戦うために降りてくるはずだ。

 

依然として動いていないということは、

まだ自分達は、奴の想定内の行動をしているのだ。

 

距離が縮まるにつれ、悪い予感は増していく。

 

「・・・そろそろ何かあるかもしれない、二人とも気を付け・・・」

そうリヴィが言い終える前に、突然、二人が神機の装甲を広げた。

「!」

 

声を上げる間もなく反応せざるを得なかったのだとリヴィが悟った瞬間、

視界に光が瞬き、鼓膜を爆音が叩いた。

 

直後、二人がリヴィに向かって飛んできた。

 

「うあっ!?」

「あうっ」

 

鎌が当たらないように慌てて手を広げ、リヴィはエリナを受け止める。

 

「どぅおああああ!?」

 

・・・エミールは、そのすぐ横をそのまま後ろに飛んでいった。

 

リヴィは抱き止めたエリナの無事を確認し、

その叫び方と転がり方を見て、エミールも大丈夫そうだと結論付ける。

 

そして前を向き、リヴィは、二人を吹き飛ばしたものの正体を見る。

 

「・・・あれは」

 

 

そこにいたのは、リヴィが予想だにしていなかったアラガミだった。

 

一瞬意識が飛んでいたらしいエリナが、顔を上げ、その姿をみとめる。

 

そして彼女のその名を呼んだ声にも、戸惑いが滲んでいた。

 

「・・・ラーヴァナ・・・?」

 

光沢のある金属質の外殻。

正面に転回した巨大な砲塔。

それらはラーヴァナの特徴であり、その輪郭は確かにそれと一致している。

 

しかし・・・それ以外が、違った。

 

燃えるような朱色ではなく、紫がかった装甲色。

 

バイザーの代わりに、骸骨のような模様が刻まれた、兜状の装甲に覆われた頭部。

 

赤く灼熱しているはずの太陽核の代わりに、

より純粋なオラクルであることを示す、白紫の光を湛えたエネルギー核。

 

そして何よりも、その顔の両脇から角のように、

あるいは牙のように突き出した・・・異形。

 

エリナが、あっ、と声を上げた。

 

「・・・神機・・・!」

 

そこにあるのは一対の、ロングブレード型神機だった。

 

見れば、肩の部分から左右にせり出したフレームにも同じように神機が接合しており、

そのラーヴァナの身体には、計4本のロングブレードが癒着している。

 

それはその個体が、これまで見たことのない新種であることを示している。

 

・・・ラーヴァナの、神融種。

 

「あのアラガミは神融種をも操れるのか?!」

 

後ろの方で、エミールが驚きの声を上げているのが聞こえた。

 

まるで、とっておきの本命を用意していたかのような配置。

 

待ち伏せこそ予想していたが、新型神融種という未知なる敵の出現は、

リヴィたちにとって最悪に近い状況だった。

 

リヴィは一瞬怯んだが・・・歯を食いしばり、現れた敵を見据える。

 

退くも進むも、どのみち戦わねばならない相手だったのだ。

 

それが明らかになったからと尻込みする理由はどこにもない。

 

「・・・突破するしかない!」

 

リヴィはそう叫んで、構える。

 

ここが、正念場だった。

 




あとがき:とうとうやらかしましたが、オリジナルアラガミ。
原作で物足りないなと思っていた神融種のカテゴリに、ちょいと混ぜ込み。
神属性のラーヴァナと思って頂ければ。
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