バカップル製造機、なちょすです。
心霊番組一人で見れますか?
私は無理です。
今回は怖いぞぉ⋯ブラックコーヒーが必要ですよぉ⋯。
『お分かりいただけただろうか?』
「⋯どこ?」
「もう、あそこだよりょーくん!顔あるじゃん!!」
夏の定番。
花火とか夏祭りとか楽しい事が頭に浮かぶが、もう一つあることを忘れないでほしい。
心霊番組⋯。
どうして人はこの時期になると怖いものに惹かれてしまうのだろうか?
確かに幽霊だとか呪いだとか、やたらリアリティのあるヤツは怖いけどさ。
それでも⋯それでも俺が今怖いのは!!
「ひゃ〜⋯うわ、怖っ!」
隣にいる、腕に抱き着く一つ年上の彼女。
当たってます。挟まれてます。
「ち、千歌ねぇ⋯。」
「ん?どしたの??」
「その⋯当たってる⋯。」
「ほぇ?」
「⋯む、胸⋯が⋯⋯。」
「わぁっ!!///ご、ごめん!!///」
「い、いや!こっちこそごめん!!」
あの告白の件以降、千歌ねぇが過剰なスキンシップを取ってくるのは家の中か沢山人がいる所だけになった。
2人きりの時にやると恥ずかしいようで、顔を真っ赤にしてしまう。
⋯むしろ人が多いところの方が恥ずかしいんじゃなかろうか?
でも本当は構ってもらいたいようで、歩いてる時でも袖をきゅっと掴んでくることがある。
口にはしないけど耳まで真っ赤になってるもんだから、俺の方ももちませんよ。えぇ無理ですとも。
ちょっと前まで頼れるお姉さんだったのに⋯本来の妹属性に加えてそんなピュアな部分見せられたらもう⋯。
「ご馳走様です。」
「へ?何が?」
「ううん、こっちの話。ミカン食べる?」
「食べるー!♡」
「じゃあ⋯はい、皮がむけましたのでどうかお納めを。」
「うむ、よきにはからいたまえ♪はい、どーぞ?」
千歌ねぇがミカンを1粒差し出してくる。
ん?どーぞ??
「食べないのりょーくん?」
「食べていいの?」
「勿論!はい、あ〜ん♡」
「あ、あ〜ん⋯⋯美味いでふ。」
「えへへ⋯///りょーくん、私も!私も食べたい!」
「はい、どうぞ。」
「む〜⋯。」
「へ?」
「りょーくんは食べさせてくれないの??」
「そそそそんなわけ無いじゃないか千歌ねぇ!はいあ〜んっ!!」
「あ〜ん!ん〜美味しい〜〜〜♪」
危ない危ない⋯ミカン大名のご機嫌を損ねるところだった⋯。
未だにあ〜んっていう文化はちょっと恥ずかしくてなれないんだよなぁ⋯。ちなみに俺の指までちょっと食われたことは内緒だ。
「ほれそこのバカップル。そろそろ寝なよー。」
「はーい!」
「バカップル⋯。」
美渡ねぇと志満ねぇに付き合ってる事は話してある。
ニヤニヤされたぐらいで特にお咎めは無かったが、その日以降美渡ねぇにはちょくちょくバカップルと呼ばれている。
そんなにですか??
何はともあれ確かにもう遅い。明日が休みとはいえ千歌ねぇは朝練もあるみたいだし、そろそろ寝るか⋯。
「じゃあ千歌ねぇ、俺はそろそろ寝るよ。」
「うん、お休みりょーくん。」
いつも通りの何気ない1日がまた終わった。
だけど何だろな、この⋯ちょっと寂しい感じ⋯。
前まで多かったスキンシップが減ったからなのかな?
付き合ってるだけでも幸せなのに、欲張りな自分がいる。寂しいのかもな⋯。
「り、りょーくん?」
「ん?どうしたの千歌ねぇ??」
暗い部屋の入口から声がする。
「その⋯一緒に寝てもいい?」
「へ?」
「あっはは⋯心霊番組見ちゃったから怖くなっちゃって⋯。」
「⋯ふふっ、俺で良ければどうぞ?」
「えへへ、ありがと///お邪魔しま〜す。」
布団に潜り込んでくるなり抱き着いてくる彼女。
さっきまでの寂しさは、もう感じることは無かった。
本当⋯単純だな、俺って。
「ん〜、やっぱりここが落ち着く♪」
「そりゃ良かったよ。寝れそう?」
「うん⋯もう眠く⋯なって⋯⋯。」
それから数分もしない内に、スヤスヤと寝息を立てる千歌ねぇ。
寝顔は残念ながら見えないけど、これ以上は贅沢というものだろう⋯。
ふふっ、昔は俺が怖いのダメで千歌ねぇに良く抱きついてたのに⋯待てよ?
もしかして⋯いや、よせ。これが事実だったら俺は悶え死ぬ事になる。
しかし気になる⋯俺は気になる事があると夜も眠れない男だから⋯たとえ我が身を犠牲にしようとも、暴いて見せようこの真実!!
「千歌ねぇ、眠った?」
「すぅ⋯すぅ⋯。」
「流石に寝ちゃったか。じゃあこれから言うのは俺の独り言で勝手な解釈だな。⋯千歌ねぇ、嘘ついたでしょ?」
「⋯⋯。」
「本当はあの時と同じで、心霊番組とかお化けとか怖くなかったんだよね。でも怖がって⋯ううん、怖がった『ふり』をしてず〜っとくっついてきてた。夜も一緒に寝ようって言って。⋯⋯寂しかったんでしょ?」
スヤスヤと立てていた寝息は聞こえない。
代わりに抱き着いてくる力がほんの少しだけ強くなった気がする。
あぁ、やっぱり⋯。
「俺も寂しかったよ。だからまたこうしてる事が凄く嬉しい。ははっ、理由なんか無くったっていつでもこうしていいのに。でも⋯ありがとう、『千歌』。」
俺も眠くなってきた⋯。
今言ったことが本当かどうか、分からないけど⋯もし、この人と俺が同じような考えだったら。
⋯嬉しいよな。
「独り言も話したし、そろそろ俺も寝るかな。お休み⋯千歌。大好きだよ。」
そこで俺の意識は途切れた。
「⋯⋯そういう事、思ってても言わないでしょ普通///う〜⋯寝れるわけないじゃん馬鹿ぁ⋯///」
チュッ。
「⋯今日はほっぺたで勘弁してあげるのだ!///お休み、りょーくん♪。」
短編ですね。
いや〜実にホラー回でした⋯。
口実作って一緒に寝ようとかホラー過ぎますよ(歓喜)
あれ、用意してたブラックコーヒーが切れてるな。