やたらと虫に好かれる、なちょすです。
今日もバカップルは真っ赤になります。
初ちゅっちゅ♡を終えた2人の旅路。
最終日は徹底的にイチャつきます。
どうぞご覧あれ。
「りょーく〜ん、おーきーてーよー!」
破壊力を秘めた声と共に体を揺さぶられる。朝が来ているのは自分でも分かっているつもりだ。
しかし、いかんせん布団から出られない⋯。寒いとかめんどくさいでは無く、昨日あんなことがあった手前まともに顔を合わせられないんだ。
だから取り敢えず寝た振りをする。
「ねぇってば〜!」
「⋯ぐぅ。」
「ぐぬぬ⋯まだ起きないか⋯。」
我ながら酷すぎる演技力だけど、それに気づかないこの人はどれだけピュアなんだろう。
まぁかれこれ5分ぐらいやってるから、そろそろ起きないと悪いかな⋯。
よし、腹を括ろう。
「起きないと⋯ち、ちゅー⋯しちゃうよ?///」
前言撤回。
このままの現状維持決定です。
いやね?やましい事とか関係無しにこんな事言われて『じゃあ起きよう』ってなる男の子なんて居ないと思うんですよ。
ちゅーの部分だけ小声だし⋯。
「ほ、本当にしちゃうよ?///」
「⋯ぐん。」
「うぅ〜⋯!///りょーくんが悪いんだからね!!///」
ぐんってなんだ俺。
目を閉じていても、顔の上に影がかかっているのは分かる。めっちゃ近いのも分かる。吐息が聞こえるぐらいには⋯。
「う⋯うぅ⋯起きてよ〜⋯///」
ヤバイヤバイヤバイ。
何だこれ⋯何かもうガバッといってしまいたい⋯!
キスするとかしないの前にその距離で話されたら色々なリミットが外れそうなんですよ!
1分近く待ってもこのままなのは余りにも俺の体に毒だ。
生殺しだよこれ。拷問です。
うん⋯諦めよ。
この距離をキープする為に彼女の後頭部に手を回す。
「へ?///」
「⋯やるなら一気に来てくれた方が有難いです。」
「うぅえあぁっ!?お、起きてたの!?///」
「結構前から。」
「んぐぐぐぐ⋯!動けない〜⋯!///あ、あの⋯りょーくん⋯近いんだけど⋯///」
「千歌が近づいて来たんだもん。千歌だけに。」
「ほんっと叩くよ!?///」
「おはよ、千歌。」
軽く彼女の言葉を無視して口の横にキスをする。朝からマウスtoマウスは不味い。主に理性と恥ずかしさが⋯。
「えっ、あ、やぁ⋯うぅ〜⋯///」
彼女はそのまま力無く俺の体の上に崩れ落ちくる。
「⋯動けません。」
「知りませんっ!!///」
「なんて事でしょう。」
「⋯緊張しないの?」
「してないと思います?」
「心臓が早いからしてると思う。」
「ならそれが答えです。」
これは後々黒歴史になることだろう⋯あんなことが許されるのは少女漫画に出てくるイケメンだけだ。
「何で敬語なの?」
「恥ずかしさで混乱してるのです。」
「⋯顔真っ赤だもんね。」
「⋯お互い様です。」
起きよう。やることはやったんだ。もう起きてもバチは当たるまい。
あ、ちなみに昨日の件があったから呼び方も変えたよ。
むくりと起き上がると、彼女は俺の体の上をゴロゴロ転がり落ちていく。
なんだこの可愛い生き物。
「じゃあ飯に行こうか⋯。」
「う、うん⋯ねぇ。」
「ん?んむっ!?」
完全に油断していた俺の口が塞がれた。
なんて事だ⋯朝からマウスtoマウスだなんて⋯!!
「おはよ、りょーくん♡」
「⋯これは夢だ。寝よう。」
「うぇえっ!?ちょ、起きてってば!!千歌やり損じゃんっ!!///」
ふふっ、もう騙されないぞ。朝からこんな事が起きるのは大抵夢さ。どうせ目を覚ましたら何事も無かったかのように⋯。
「起きろぉっ!涼介ぇっ!!」
「ぶほぁっ!!??」
ノーガードの腹部に落下してくる肘鉄。
これはあれだ⋯朝に食らっていいやつじゃない⋯いや、いつ食らっても嫌だけど本当に⋯無理⋯。
「ごめん⋯なさい⋯ガクッ。」
「よし、じゃあご飯食べに行くよー!」
「はい⋯あの、首⋯締まって⋯。」
お構い無しにズルズルと引き摺られる。
決めた。からかう時は5分だけにしよう⋯。
飯を食べ終えた俺達は、着替えて荷物を纏める。志満ねぇ達にお土産も買っていかなくちゃいけないしね。流石に同じタイミングで着替えられないから、先に着替えてもらってる間におトイレタイム。
「何買っていこうかな⋯蕎麦とか?いやいや、美渡ねぇは食べるだけだろうな⋯。」
ブツブツとシンキングタイムを繰り返す。部屋に戻ったら千歌に聞いてみよ。
「千歌〜⋯。」
「わーーーーーーっ!!///」
「失礼しました〜⋯。」
ノックって大事だと思う。それがたとえ旅館であろうが家であろうが、女の子と2人で居る時は忘れちゃいけないね。
「⋯オレンジだったなぁ。」
「見たでしょ?」
「ひっ⋯!?」
閉めたはずの襖の隙間から声がする。
後ろを見てはいけない。きっとホラー映画の主人公達はこんな恐怖と戦っているのだろう。
この間の心霊番組なんかよりよっぽど怖い。
「見たよね?」
「す、すみません⋯。」
「ノック、してね?」
「気をつけます、はいっ!!」
襖がピシャリと閉まる音がする。
おかしいな⋯ああ言うのってラブコメだとラッキースケベって言うんじゃないのか?めっちゃ怖かったぞ。
「あれ、おかしいな⋯涙が出てきた⋯。」
『泣きたいのはこっちだよ馬鹿ぁっ!!///』
聞こえてらした。
まぁそんなかこんなで朝からドタバタしてたものの、何とか荷物を纏め終えた。宿の玄関には女将さんと旦那さんの姿が。
「本当に、色々とお世話になりました。」
「気にしないで頂戴。何か息子と娘がまた出来たみたいで、私も嬉しかったわ♪」
「うぅ〜⋯女将さん〜!!」
「よしよし⋯また来てね、千歌ちゃん。」
「絶対来ます〜⋯!!」
「坊主。」
「は、はい。」
「お疲れさん。」
「旦那さんのお陰です。」
「あら、涼介君に何か悪いこと教えたのかしら?」
「あっはは⋯。」
実はキスした事をこっそり伝えて2人でガッツポーズしてました、なんて言えるわけがない。
何にせよ感動の別れ⋯俺までつられて泣きそうだ⋯。
「じゃあ、そろそろ行きますね。」
「ええ。また会えるのを楽しみにしてるからね。」
「じゃあな。仲良くしろよ?」
旦那さんの問いかけに、2人で目を合わせ答える。
『勿論っ!!』
こうして俺達は旅館を後にした。
◇
「さてさて⋯土産は買った。帰りの電車にも時間はある。何をしようか?」
「んむ?んむむむんむ。」
「ごめん、俺のタイミングが悪かったね。飲み込んでからにしようか。」
「んぐっ。」
ほっぺたをリスみたいにパンパンにしている。
くっ⋯油断してると俺の理性を壊しにかかってくるなこの人は。
「ぷはぁっ!そんなに時間あるの?」
「ん〜⋯そんなには無いけど半端に残ってるね。」
「そっかぁ⋯。あ、じゃあ写真撮ろうよ!この町の景色も、私達の事もいっぱい撮って思い出にしよ!」
そう言うと、カバンから何やらゴソゴソと棒のようなものを取り出した。
「それ何?」
「ふっふっふ⋯その名も『自撮り棒』!!」
「何か女子高生みたいだね。」
「女子高生だよっ!?」
「ふふっ⋯それでどうするの?」
「これに携帯をつけて〜⋯はい、りょーくんこっち寄って!」
「こ、このぐらい?」
「もっと!」
「こうか!?」
「もっと!!ぎゅ〜って!!」
「OH!!」
「はい、チーズ!!」
カシャッという音とともに、一枚の写真が保存された。
不意打ちをくらって何だか凄い顔をしている。
「⋯これ撮り直しきくかな。」
「駄目です!これも大事な旅の思い出、一瞬の輝きなのです!」
「そうなんですか。」
「そうなんです!」
もう少しキメ顔したかったけど、隣で嬉しそうに写真を見る彼女の顔を見ちゃったら⋯これはこれでいいかなって思ってしまう。
それから俺達は写真を撮りまくった。
この村に来ることはこれから先何度だって出来るかもしれない。
でも⋯『今の』俺達がこうしてるこの時間は、2度と過ごすことは出来ない。ああしておけば良かったって思わないように、電車が来るまでの間全力で楽しむ事にした。
それから電車は1時間半程で駅へと到着した。窓の向こうで流れていく夕暮れの景色を見ながら、この3日間の事を思い出す。隣で肩にもたれかかって眠る彼女を起こさないように、そっと頭を撫でる。
頭一つ分小さくて、恥ずかしがり屋で⋯頑張り屋な少女。
2人の写真で一杯になった携帯のフォルダに笑みがこぼれてしまう。
この人に隣で笑ってもらえるように、もっと色んな事を知っていかなくちゃな。
「お休み、千歌。」
◇
「あの⋯美渡ねぇ⋯。」
「どした?」
「なんで赤飯が出来てるの?」
「致したんだろ?」
「致してませんっ!!」
「えぇ⋯お前折角2人っきりで同じ布団に寝て3日も過ごしたのに?」
「良いんだよ、キスは出来たか⋯ら⋯⋯あ。」
「ひゅ〜!赤飯でいいじゃん♪」
「忘れてくれぇええええっ!!」
シリアスも楽しいけど、なちょす的にはこっちの方が性に合ってますね。
さぁさぁさぁ!次回は遂にあの人が登場!!シチュエーションもじゃんじゃん拾っていきます!
次回、『シャチだ!イルカだ!果南ちゃんだ!!』
乞うご期待。