雀と同棲を始めました、なちょすです。
飼ってるわけじゃないですけど、いきなりベランダで巣を作り始めましたんですよ。
親雀の愛を毎日感じております。
さぁバカップル、今回も行きましょう!!前回の続きだよっ!
ふふっ。
喫茶店で波乱の時間を過ごした俺たち2人は公園のベンチに腰掛けていた。並んで座り、両手で顔を隠しながら休憩中。
色々疲れたんだよ⋯主にメンタルが。色々とすり減らしたし、周りからのご要望があれだけで終わらなかったのが一番でかいなぁ⋯。
そしてこの空気。何を話せばいいんですか?誰か教えて偉い人!
考えろ⋯考えろ、涼介!!
『あのっ!!』
被ったぁっ!!
「ち、千歌からどうぞ!?」
「え、あ、じゃあ⋯あの⋯。」
緊張か、恥ずかしさか⋯ほんの少しだけ手汗をかいていたその小さな手が、俺の手をぎゅっと包み込んでくる。
「手⋯握ってていい、かな⋯///」
「勿論。」
「隠すつもりも無いぐらいニヤけてるね⋯。」
「え?そう??♪」
そうなりますよ。だって今まで向こうからそんな事一度も言わなかったのに、今日は千歌の方から来てくれたんだよ?嬉しくないわけないさ!
恥ずかしいから口には出さないけどね☆
「何にせよ、今日は大変だなぁ⋯。」
「ねー⋯どうしたんだろうね。」
「俺達はただ遊びに来ただけ───。」
「だから誤解なんだって!!」
俺達が座ってるベンチの正面。少し離れた所に、1組のカップルがいらっしゃった。何やら揉めてる様子ですね。
「もう聞き飽きたわよ、あなたのそんな言い訳っ!!」
「言い訳なもんか!」
「⋯なんか、壮絶だね。」
「千歌さんや、あまり目を向けてはいけませんよ。」
「うん⋯分かっては、いるんだけど⋯。」
そう言いながらも、どこかチラチラと目の前の光景を確認している。まぁ気持ちは分かるよ⋯。あぁ言うのって自分も似たような環境にいると、どうしても気にしちゃうんだよなぁ⋯不安になるというか何というか⋯。
ん?俺達別に仲悪くないよな??
「ん⋯りょーくん、どうかした?」
「へ?な、何で?」
「何か力が強くなったから⋯。」
「あ⋯あっはは⋯。俺達は大丈夫だよなって、ちょっと心配になっちゃって⋯あ!でも別にやましい事があるとかじゃなくて、純粋に心配になっただけというか何というか⋯!!」
何をテンパってるんだよ涼介⋯焦る事なんか何も無いじゃないか。こんなにアタフタしてたら逆におかしいだろう。
何で俺ってこうなんだろうな⋯⋯。
「りょーくん。」
「ん?何⋯」
「ちゅっ♡」
頬に触れる柔らかい感触。
微かに感じたミカンの香りが、体の中へスッと落ちていく。
「⋯へ?」
「えへへ⋯ちょっと頑張ってみた♪」
「千歌⋯。」
「私もあんまり人の事言えないけど⋯これでもりょーくんの事は分かってるつもりだよ?だから⋯そんな顔しないでよ、りょーくん。ね?♪」
そう言って優しく抱き締めてくれる。
ずっと近くに居て、この人の可愛さにキュンキュンしっぱなしだったけど⋯やっぱり敵わないな。
一つ年上のお姉さん。ただ隣に居るだけじゃなくて、『隣に居れるように』って思ってるのは⋯俺だけじゃ無いのかな⋯。
『⋯⋯⋯。』
⋯物凄い視線を感じる。
予想はしてた。けどそれ以上に鋭い視線が刺さる。これ、絡まれたくないなぁ⋯。
「俺達にも、あんな頃があったな⋯。」
「ふふっ、確かに。でもあの時はあなたが私を抱き締めてくれたじゃない。」
「そりゃあ⋯泣いてる顔させたくなかったし⋯。」
「⋯ごめんね、キツい事言っちゃって。」
「いや、俺の方こそ⋯変な誤解を生むような事しちゃったからさ⋯ごめんな。」
お、無事解決したようですね。良かった良かった⋯いや良くない。確かに時間も経ってきたし俺達以外人も居ないけどさ⋯ここでキスをされるととても困ります。
「ひゃ〜⋯///」
ウチのピュアッピュア少女が覚えたらどうするんですかっ!!両手で顔隠してるけど指の隙間から見てるんですよっ!?
あぁ可愛いっ!!
結局⋯さっきまでの喧嘩が無かったかのようにカップルは何処かへと歩いていった。
『⋯⋯⋯。』
再び訪れる静寂。本当に⋯どうするんですかこれ⋯。
「り⋯りょーくんは、さ?キス⋯したい?」
「へぁっ!?ま、まままままぁ?したくないと言えば嘘になると言いますか⋯。」
恥ずかしい話⋯俺達が阿智村へ泊まりに行った時以来、キスはしていない。あんまり多くやるものでもないと思っていたし、特別感を持たせたいっていうのが俺達2人で出した答えだったから。が、しかし───。
「⋯⋯⋯する?お、大人の⋯キス⋯///」
俺、死ぬかもしれない。
「大人のって⋯ち、千歌さん?どういうのかご存知で⋯?」
「それくらい千歌でも知ってるよ!///し、舌⋯とか───。」
「わー!わーーー!!分かった!OK!!言わなくても大丈夫っ!!」
真っ赤になりながら、必死になって説明しようとする彼女の言葉を止める。何だろう⋯物凄く恥ずかしくなってきた。このいけないことを言わせてる感⋯先生、もう直視できません。
ここはなんかこう⋯クールに?スパッと決めよう。俺の頭から導き出されるベストアンサーは⋯これだ!!
「⋯家でなら、したい⋯かも。」
「っ⋯そう、なんだ⋯///」
何がベストアンサーだ馬鹿野郎!素直な欲求ダダ漏れじゃないかよぉっ!!
「あ、いや、そんなにマジで考えなくて大丈夫だよっ!?本当に、千歌に強要したりするわけじゃないしむしろ今の生活で満足というか⋯!」
「だ、大丈夫っ!私頑張るからっ!!」
「えっ。」
「あ⋯い、今のは違くて⋯うぅ〜⋯///」
「昼間っから何話してんのよ⋯。」
『わぁああああああっ!?!?』
後ろから聞こえた声に腰を抜かし、2人揃ってベンチから滑り落ちる。
声の主は、何故ここにいるか分からない堕天使だった。
「驚きすぎじゃない?」
「よ、よよよよ善子っ!?何でここにいるんだよっ!?」
「何でって⋯勝利の凱旋よ。」
「⋯負けたんだな、宗谷。」
「私の14戦14勝。」
「これは酷い。」
そういやアイツ、めっちゃめちゃゲーム下手くそだったっけ⋯。頑張れ我が友よ。道のりは果てしないぞ。
「まぁもう少ししたら宗谷も来るだろうし⋯そっちの邪魔したりしないから安心してよ。」
「いや、別に邪魔というわけじゃ⋯」
「あ!それじゃあ善子ちゃん達も一緒に回ろうよ!」
「え⋯?」
「皆で回った方が楽しいだろうし、私達も今日は色んな人に振り回されてるというか何というか⋯///」
「⋯良いの?」
「今更畏まるような間柄でも無いだろ?それに⋯俺はお前の事、邪魔だって思ったことは1度も無いよ。」
そう言って難しい顔をしている堕天使へと笑いかける。真面目な顔をしてると美形なのは認めるけど、今の顔は別の事で悩んでる顔だ。昔っから世話になってる人に⋯そんな顔して欲しくはないよな。
「⋯⋯そういう所よ⋯。」
「ん?何か言った?」
「何も言ってないわよ、泣き虫小僧。」
「んだとこのスクールアイドル!」
「ぷっ⋯相変わらず悪口下手ね。じゃあ今日はお言葉に甘えるわ。」
「善子ちゃんが丁寧な言葉を使ってる⋯!」
「な、何よ!私だってそんくらいは使うわよ!///」
「随分気まぐれな堕天使だなぁ⋯。」
「あ、千歌ちょっとお手洗いに行ってくる。」
『りょ。』
「うわっ、ビックリした⋯そこハモるんだ。すぐ戻ってくるね!!」
そう言ってトテトテ小走りでトイレへと向かっていった。ここに残されたのは俺達2人。千歌とは別の意味での静寂が訪れる。
「どう?上手くいってる?」
「んぁ?あぁ⋯バッチシ。」
「その割に浮かない顔してるわね。」
「これはキュン死しそうな時の顔だ。」
「あっそ。」
2人になった途端随分素っ気ないじゃないか。どうしたと言うんだ今日の堕天使様は。
「幸せ?」
「⋯幸せだよ。自分があの人とこんな関係になれるなんて思ってなかったからさ⋯。」
「⋯⋯涼介は、さ。どんな時思ったの?千歌さんが⋯ううん、誰かの事が好きなんだって⋯。」
「⋯お前本当に善子か?」
「何よ⋯。」
「いや⋯らしくないなって思ってさ。」
「私だって女子なんですけど。そういう事気にしたりとか、人並みにはするわよ⋯堕天使だけど。」
「そっか⋯。まぁどんな時って言われたら難しいけどさ⋯その人の事が頭から離れない時、かな。」
いつからか、ずっと千歌の事を考えるようになっていた。彼女の一挙手一投足、言葉の一つ一つに一喜一憂して⋯楽しかったんだ。この人の側に居ることが出来たら、どれだけ幸せなんだろうって⋯そんな事ばっか考えてたっけ。
「難しく考えるものでもないんじゃないかな?いや、散々悩んでた俺が言うのも説得力0だけどさ⋯。」
「⋯そう。まぁそうよね。ねぇ、涼介⋯私は───。」
その口から発せられた言葉が分からなかった。理解するまで時間がかかってしまったんだ。
余りにも信じられない言葉は、まるで刃物のような鋭さを持って俺の心に突き刺さる。
そして⋯これが招いた事態を、俺はまだ知らなかった。
◆
「よし、髪型もOK!」
身だしなみを整えてりょーくんの元へと戻る。色んな事があってちょっと疲れちゃったけど、このぐらいじゃへこたれないもん!
明日からまた練習も始まっちゃうから、今日の内にりょーくんと沢山遊んでおかなきゃね♪
ベンチがあった方へ歩いていくと、善子ちゃんとりょーくんの2人が何か話してる。2人とも真剣な顔だけど⋯何話してるんだろう?
「お待たせ───。」
「私は好きよ。」
近くにあった物陰に隠れる。
あれ?何で私⋯隠れたんだろう。自分の手は震えていた。何でか分からない。
好きって⋯言ったよね?善子ちゃん。
何に対して?何でりょーくんと面を向かって?
分かんない⋯分かんないよ⋯。で、でもりょーくんは違うよね!だってさっきまで2人で遊んでたんだし、私達は付き合ってて⋯。
「俺も好きだよ。」
「っ!!」
今の声は誰の声?
「⋯違う。」
違わない。だってずっと聞いてきた声じゃん。
「違う、違う⋯!あの声はっ!!」
あの声は⋯りょーくん。
「あの声は⋯違う、よ⋯。」
目の前で起きた事が信じられなくて⋯耳で聞いた言葉を認めたくなくて⋯。物陰で蹲る。
目からは涙が出ていた。
泣きたいわけじゃないのに。
りょーくんの事疑ってるわけじゃないのに。
「何で⋯?何で、止まんないの⋯?」
どれだけ擦っても涙は止まらない。胸の痛みは無くならない。
善子ちゃんはりょーくんの事が好きなんだ。
りょーくん、も⋯⋯?
目を擦る表紙に、近くにあった草に腕がぶつかる。
「誰?」
「っ!」
「千歌⋯?」
全速力で家まで走り出す。この場にいるのが辛かった。一刻も早く立ち去りたかった。
だって、苦しいんだよ⋯。
こんなの知りたくなかった⋯!
「ちょっ、千歌っ!?」
りょーくんの声が聞こえる。ごめんね、りょーくん⋯気づけてあげられなくて⋯やっぱり千歌じゃ⋯駄目、だったよね⋯。
涙を拭うことも忘れて、ひたすら走り続けた。
「千歌⋯?」
「おっす、涼介。喧嘩でもしたか?」
「宗弥?いや、別にしてないけど⋯。」
「そうなのか?千歌さんすげぇ泣いてたけど⋯。」
「⋯まさかっ!」
「善子?」
「⋯⋯⋯ごめん、涼介⋯多分、不味いことになったかも。」
シリアス突入。
次回をお楽しみに。