*
暗い森の中を一人風を切って駆け抜けるミー。
時折太い木の枝の上で立ち止まり周りをぐるりと見渡しましたー。
…相変わらず嫌な感じですー。
それに、少し離れただけなのに仲間の魔力の気配が薄れていて、どこに誰がいるのかよくわからないですしー。
しかし、幸いなことに滅竜魔導士は鼻が効くそうなのでよかったですー。
微かに残っている奴等の匂いを辿ればウェンディと雄猫に会えることですしねー。
ミーはスッと目を閉じる。
「隠れてないで出て来て下さいよー。」
挑発を含んだミーの声が樹海に響き渡りましたー。
その声をきっかけに大勢の人間が木々の間からゾロゾロと姿を現し出しましたー。
皆が手に何かしらの武器を携えてニヤニヤと下品な笑みを浮かべていましたー。
気持ち悪いですねー。変態雷親父と同類なんじゃないんですかー?
「ヘヘヘ、気付いてたか」
「逆に聞きますけどー。気付いてないとでも思って居たんですかー?殺気ダダ漏れでしたよー。」
「ハッ、おうおう兄ちゃんよォ。自分が置かれてる状況がわからねぇのかぃ?」
人相の悪い男は馬鹿にした様にそう言い、他の者に何か目配せをしましたー。
目配せを受けた者たちは笑みを浮かべながら頷きぐるりとミーの周りを取り囲み武器を構えだしましたー。
「俺らは六魔将軍の傘下のギルド、紅い鮫(ブラッディシャーク)だ。連合の奴らは俺たち鮫の餌食になって貰うぜ」
「…確かに此処は“樹海”ですけどー。、水はないですよー?」
「フン…生意気な口叩けるのも今のうちだぜ!!」
紅い鮫と名乗った者たちはフランの安い挑発に乗り、雄叫びを上げて走り出した。
「「でぇやあぁぁぁ!!」」
「喰らいやがれぇぇぇ!!」
「はぁ…終わらせましょうー。」
魔力を纏った武器が一斉にミーへと振り下ろされましたー。
だけど、振り下ろした先にミーは幻覚で消えて居らず砂煙が立ち上っているだけですー。
「っ、いねぇ…!?」
「どこ行きやがった…!!」
「…こっちですよー。」
上からの声に、皆さんバッと空を仰ぎましたー。
そこには、藍色の魔力を右目に纏わせたミーの姿。
「…1、地獄道」
右目に纏った魔力に六道眼を回して六から一に振り回して皆さんに1番の地獄道を見せましたー。
藍色の魔力は、闇ギルドの連中の周りに蓮の花が付いた火柱が現れ始めましたー。
「な、何だありゃ…!?」
「火柱だ…!」
「ひ…、ヒィ…!」
「…さぁ、死んで下さいよー。」
ミーは、大量の火柱を出してから次々に男たちへと襲い掛かりだしましたー。
「ぎゃ…!」
「ひ、何だよこれ…!!?」
「離れ、ろ…オォ!!」
「無理ですよー。」
火柱は男たちの身体に火傷をさせて行きますー。
まぁ、幻なのでそう思ってるだけなんですけどねー。
「っあが…っ」
「ヒィィ…ッ!!」
格の違いを感じて逃げ出す者もいましたが無理に決まってるじゃないですかー。
馬鹿ですねー。
「っ、んのォォ!!」
「ひ…!?」
一人の男が渾身の力で振り下ろされた刀剣は火柱を斬り落としそのまま霧散する。
してやった、という表情を浮かべて他の火柱同じように落とそうと男が目を放した瞬間に斬られた火柱は再び落とした男の身体を縛り付けましたー。
「が、あぁぁ…!!」
「ひィィィ…!」
「…さようならですー。」
ミーの声に火柱は空へと大きくなって行きましたー。
「あぐぅ…!?」
「ぐぁ…み…耳、が…っ」
「、っう…」
幻覚の代償で幻覚汚染が始まり、周りの男たちの意識を暗い闇へと連れ去りましたー。
糸が切れたようにバタバタと倒れこむ男達。
「…」
ミーは無言で地に降り立ち、周りを見渡しましたー。
立っている者は自分以外に誰も居らず紅い鮫の者は一人残らず地に伏したようですー。
「霧はは鮫をも喰らいますー。アホのロン毛隊長には勝てないですけどー。……少し時間を掛け過ぎたましたー。」
そう小さく呟き鼻を澄ませましたー。
早くウェンディを探し出し出しますかー。
ウェンディとブレインの微かな匂いだけを頼りに樹海を只管駆けるミーですが…
「これは、やばいですねー。」
前方の木々たちを見ると急にスピードを落として立ち止まりましたー。
「――――な、何よこれ…!」
同時刻、ナツ、グレイ、シャルルもフランと同じ反応をしていた。
二方の目の前には、唯でさえ暗かった樹海を更に暗く…いや、どす黒くした木々がたくさん茂っている。
木々からは黒いオーラが洩れ、禍々しい雰囲気が漂う。
「木が、黒い…!?」
「気っ持ち悪ぃー…」
うぇー、という顔をするグレイとナツ。
そして、がら空きのその背後に、何者かが迫っていた。
「…ん?」
気配を察知したナツが後ろを振り返ると、奇抜な恰好をした猿…のような男たちがいた。
「ニルヴァーナの影響だって言ってたよなー、ザトー兄さん」
「あまりにも凄まじい魔法なんで、大地が死んでいくってなー、ガトー兄さん」
「ちょ、ちょっと…!囲まれてるわよ…!」
気が付けば周囲にはたくさんの男たち。
ナツたちは完全に包囲された。
「やられた…敵は6人だけじゃなかったのね…!」
「ハッ、こいつは丁度いい」
「うほほほ!丁度いい!」
あまりの数に顔を青くするシャルルとは反対に、ナツとグレイは余裕そうな表情を浮かべている。
ナツに至っては、猿の真似をし、囲んでいる男たちを馬鹿にしている。
「っ、何言ってんのアンタたち!早く突破して逃げないと…!」
「逃げる?馬鹿言え。せっかく向こうから出てきてくれたのに」
「はぁ?」
意味が解らないといった表情を浮かべるシャルルに、グレイはニヤリと口角を上げ、その手に冷気を纏わせる。
「奴らの拠点の場所を聞き出す!」
「待ってろよ!ハッピー、ウェンディ!」
ナツも好戦的な笑みを浮かべ、やる気満々と炎を纏った腕をぶんぶんと振り回す。
「何なのよ…妖精の尻尾の魔導士は…!」
――――その頃、イヴにレン、ジュラにリオンにシェリーもまた、六魔将軍の傘下の闇ギルドに囲まれていた。
…そして、イヴとレンと逸れてしまった一夜もやはり闇ギルドに囲まれていた。