消えた蛙は魔法の世界で…   作:五月雨☆。.:*・゜

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本日、2話目です!!
よろしくお願いしますm


ミーは、ウェンディを助けに向かいますー。

*

 

 

 

「…っと、参ったぜ」

 

 

とある洞穴内部に、レーサーの息を吐く声とガシャンという重々しい音が響いた。

 

 

「思ったより時間が掛かっちまった。こんなに重けりゃスピードだって出ねぇってもんだ」

 

 

「何を言うか。主より速い男など存在―――…いや、並ぶ男がいたな」

 

 

「チッ、それを言うなよブレイン。…ってか、『闇ギルド潰し藍霧の幻術師』と比べんなよ」

 

 

はぁ、と頭をかくレーサーを見るとブレインはくっく、と口角を上げレーサーの運んできたものに目を移した。

視線の先には、禍々しい装飾をして厳重に鎖が巻かれた棺桶と思わしき物。

 

 

「ウェンディ、お前にはこの男を治してもらう」

 

 

「わ、私!!そんなの絶対にやりません…!」

 

 

「そうだそうだ!!」

 

 

「……」

 

 

キッと表情を引き締め、ブレインに反論するウェンディとハッピーとムクロウ。

だが、ブレインは面白おかしそうに笑みを浮かべている。

 

 

「いや、お前は治す。治さねばならんのだ」

 

 

ブレインの声を合図に棺桶を封じていた鎖が勝手に解かれていく。

そしてその蓋も溶ける様に消滅していく。

 

 

「…、っ!?」

 

 

棺桶の中に納められていた人物が姿を現した時、ウェンディが驚きに目を見開く。

力なく下を向いた中の人物に従いはらりと垂れ下がった碧い髪。

 

 

「この男はジェラール。…かつて、評議院に潜入していた。……つまり、ニルヴァーナの場所を知る者」

 

 

「、…!」

 

「そんな…そんな…!」

 

 

「(なるほどー。)」

 

 

驚きに声を失い、肩を震わせるウェンディ。

そしてハッピーも、一歩、また一歩と後ずさる。

フランはムクロウに憑依していた。

―――――…そう、棺桶に納められていた人物とは、ジェラール。

楽園の塔事件以来、生死不明となっていたがどうやらブレインに保護されていたようだ。

しかしその体には、楽園の塔での戦闘で負った傷が痛々しく残っておりその肌は今にも崩れそうだった。

また、意識を失った顔には生気が感じられず恐ろしいほど真っ青だ。

 

 

「っ、ジェラールって…、ぇ?えぇ…?どうしてここに…何で生きて…――――」

 

 

「ジェラール…」

 

 

「知り合いなの!?」

 

 

状況が読み込めず、頭を抱えるハッピーは、ウェンディの呟きで更に混乱してしまう。

 

 

「…エーテルナノを浴びてこのような姿になってしまったのだ。…だが、死んでしまったわけではない。元に戻せるのはうぬだけだ」

 

 

そう言ってブレインは茫然としているウェンディに目を向ける。

 

 

「ジェラールが…何故ここに…」

 

 

未だに信じられない、といった表情のまま固まっているウェンディ。

 

 

「ジェラールって…あのジェラール…!?」

 

 

「!!ハッピーもジェラールを知ってるの…?」

 

 

「知ってるも何も…!こいつはエルザを…みんなを殺そうとしたんだよ!!それに評議院を使ってエーテリオンまで落としたんだ!!」

 

 

「(さて、どうしましょうかー。)」

 

 

怒りに顔を歪めるハッピー。

ウェンディは悲しげに俯いてしまう。

ムクロウ(フラン)は考えていた。

ブレインは妖しげな笑みを浮かべる。

 

 

「この男は亡霊に憑りつかれた亡霊。哀れな理想論者。こんな男でも、うぬにとっては恩人だ」

 

 

「…」

 

 

「恩人…?どういうことなの?」

 

 

ハッピーが首を傾げながら問うがウェンディは再び俯き何も答えない。

 

 

「…さぁ、早くこの男を復活させろ」

 

 

「っダメだよ!絶対こんな奴復活させちゃダメだ…!」

 

 

「…」

 

 

「ウェンディ…!」

 

 

「…」

 

 

全く動こうとしないウェンディに痺れを切らしブレインが懐にしまってあった短剣を鞘から引き抜く。

そして、意識のないジェラールの首筋へとその切っ先を向ける。

 

 

「復活させぬのなら…」

 

 

「っやめてぇぇ!!」

 

 

ウェンディの悲鳴と短剣が突き刺さる音が洞穴に響き渡った。

 

 

「お願い…やめて…」

 

 

そう悲痛な呟きを溢し、膝から崩れ落ちるウェンディ。

ブレインが突き刺したのは、ジェラールの首筋から僅か数ミリ横の棺桶の板。

ブレインは黙って短剣を引き抜き別の手をウェンディに翳す。

 

 

「っきゃ…!」

 

「うわぁ!?」

 

 

そしてその手から衝撃波を放ち、ウェンディの真横の地面を抉り取った。

 

 

「治せ。うぬなら簡単だろう」

 

 

「っ、ジェラールは悪い奴なんだよ!?ニルヴァーナだってとられちゃうよ!!」

 

 

「…それでも私…この人に助けられたの…」

 

 

ポタポタと涙を流すウェンディ。

 

 

「大好きだった…、っぅ…」

 

 

「ウェンディ…」

 

 

「ぅ、っ…何か悪いことしたのは噂で聞いたけど…私は信じない…!!」

 

 

ぐっと膝に力を込め、立ち上がるウェンディ。

 

 

「何言ってんだ!現においらたちは…」

 

 

「ジェラールはあんなことするはずない!!」

 

 

ハッピーの声を、ウェンディが涙雑じりの大声で遮る。

 

 

「お願いです…少し考える時間をください…」

 

 

「ダメだよウェンディ!」

 

 

「……よかろう。五分だ」

 

 

ブレインの言葉を聞き、無言でジェラールを見つめるウェンディ。

ハッピーはこの状況をどうすることもできず、ただただナツたちが早く到着することを祈るしかなかった。

 

 

あれから四分が経過し、決断のときまで残り少なくなってきたそのとき、

 

 

「ハッピー!!ウェンディー!!フランの白い鳥ー!!」

 

 

洞穴の外からよく知る声が聞こえてきた。

 

 

「あ!!ナツだ!!」

 

 

「…レーサー、近づけさせるな」

 

 

「オーケー」

 

 

ブレインの命令に短く答え、一瞬で姿を消すレーサー。

 

 

「…」

 

 

「…時間だぞ」

 

 

遂に約束の時間になってしまった。

未だに決断できていないウェンディの頬を冷や汗が静かに伝う。

 

 

「ダメだよウェンディ…!」

 

 

「チッ」

 

 

「うわぁ…っ!?」

 

 

ジェラールを復活させることを反対し続けていたハッピーをブレインが怒りに顔を歪めながら攻撃する。

攻撃を受けたハッピーは呆気なく吹っ飛び壁に激突してしまう。

 

 

「失われた魔法(ロストマジック)、治癒魔法…。今使わずしていつ使う?」

 

 

「…」

 

 

「やれ!」

 

 

「っ」

 

 

ビクッと肩を震わせるウェンディ。

その瞳は、死んだように眠り続けているジェラールただ一人を映していた。




フラン「コメント下さいー!!作者が好きなキャラでコメントを返しますよー。あっ!!お気に入りもよろしくでーす。」
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