消えた蛙は魔法の世界で…   作:五月雨☆。.:*・゜

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ミーはウェンディを助けに向かいますー。Part2

 

 

 

「な…」

 

 

「これは…」

 

 

洞穴の入り口で固まるナツとシャルル。

二人の目の前には、フランが憑依している白い鳥、倒れているハッピー、膝をついて震えているウェンディ、妖しい笑みを浮かべたブレイン、――――そして、二人に背を向けている碧い髪の人物。

 

 

「ごめんなさい…っ…私…」

 

 

「…」

 

 

「っ…!」

 

 

ゆっくりとナツを振り返る碧髪の男。

その顔を見てナツの中に親しみ…いや、憎しみが溢れ出した。

 

 

「ジェラール…!!」

 

 

そこにいたのは、楽園の塔で自分が確かに倒したはずの男―――――ジェラール。

ナツは眠っていたはずの怒りに顔を歪める。

 

 

「ごめん…なさい…っ…ごめんなさい…っ」

 

 

零れ落ちてくる涙を拭い誰にもでなくただ謝り続けるウェンディ。

 

 

「この人は…私の…っ…恩人、なの…」

 

 

「っウェンディ!!アンタ、治癒の魔法を使ったの…!?何やってるの!!その力を無暗に使ったら…っウェンディ!!」

 

 

シャルルが全部言い終わる前にその場に倒れこむウェンディ。

そしてフランの憑依を解いたことで倒れるムクロウ。

ジェラールはナツから視線を外し倒れたウェンディを無言で見つめる。

 

 

「何でお前が…こんなところに…、っ!!」

 

 

ナツが勢いよく手に炎を灯し、怒りのままに走り出す。

 

 

「ジェラァァールゥゥゥ!!」

 

 

「…」

 

 

敵意剥き出しで自分に向かってくるナツ。

ジェラールはナツに視線を戻して冷たく見据えたまま無言で攻撃を放つ。

 

 

「どわぁっ…!」

 

 

「ナツー!!」

 

 

その攻撃はあまりにも強いもので、直撃を喰らったナツは壁を破壊しドサッと崩れ落ちる。

 

 

「相変わらず凄まじい魔力だな…」

 

 

ナツをあっさりと吹っ飛ばしたジェラールに近付くブレイン。

これで戦力、ニルヴァーナの場所、全てが揃った。

ブレインは勝ち誇ったような笑みを浮かべる。

――――…がしかし……

 

 

「…」

 

 

「っ何…!?」

 

 

突如ジェラールが背後のブレインを振り返りナツに放ったものと同じ攻撃を仕掛けた。

咄嗟に顔を隠すように腕で庇うがあまりの衝撃の強さに地面が耐え切れず大きな音を立てて洞穴の床が抜け落ちた。

 

 

「…」

 

 

ジェラールはナツや落下したブレインには目もくれず、無言で洞穴を後にする。

その足取りは確かなものでしかし向かう場所がどこなのかは誰も知らない。

 

 

「エルザ――――――…」

 

 

森の中

 

 

ドンッという音がして衝撃で折れた大木が地に倒れる。

 

 

「何て速さだ…ヤロー…!!」

 

 

そう悪態付くグレイの見上げる先には高速で移動し続けるレーサーの姿。

レーサーはグレイを見下ろすように大木のてっぺんに上り口を開く。

 

 

「俺のコードネームはレーサー。誰よりも速く何よりも速くただ走る!!」

 

 

「ハッ、フランには勝てねぇくせに何言ってやがる」

 

 

ニヤリと嘲笑うかのようにレーサーを挑発するグレイ。

その挑発に眉を寄せ駆け出そうとするレーサーだが悠然と上空を飛行する"者"が目に入り動きを止める。

上空を飛行する者。

それは、ウェンディとハッピーとフランの白い鳥を助け出したナツたちだった。

気を失っているウェンディをシャルルが抱えて飛び、その横を険しい顔をしたナツがフランの白い鳥を抱えてハッピーに抱えられ悠々と飛んでいた。

 

 

「助け出したか…!!」

 

 

「っ馬鹿な…!!中にはブレインがいたはずだろ…!?どうやって…」

 

 

「ぶちのめしたに決まってんだろ!!」

 

 

「クソッ…行かせるか!!」

 

「!!」

 

 

グレイが止めに入る前に太い枝を蹴り上げナツたちに向かうレーサー。

 

 

「ナツ!!避けろー!!」

 

 

「!、どわっ!?」

 

 

グレイの声に反応するナツだが時既に遅く。

頭上に現れたレーサーに蹴り落とされてナツたちは地に落下する。

 

 

「っ、うおォぉぉ!!」

 

 

先に落下したナツは打ち付けてガンガンと痛む身体を気合で動かし、遅れて落下してきたウェンディを受け止める。

 

 

「あぶねー…!!っ、ハッピー!!シャルル!!フランの白い鳥!!」

 

 

「「ぅー…」」

 

 

「ホー!!」

 

 

バッと二人に顔を向けるナツだが、ハッピーとシャルルは落下した衝撃で目を回している。

白い鳥改めムクロウは飛んでいる。

 

 

「だぁァぁ!!くそおぉォー!!」

 

 

「行かせねぇって言ってんだろ!!」

 

 

ウェンディ、ハッピー、シャルルを抱え上げ雄叫びを上げて走り出すナツ。

その後追うレーサーだが突然目の前に現れた者によって顎を蹴り上げられる。

 

 

「ぐは…っ」

 

 

「無事ですかー?」

 

 

「「フラン!!」」

 

 

ナツを背に庇うように立つフランは外に連れ出され濃くなったウェンディやハッピーやムクロウ匂いを辿りここに来てようやくウェンディを発見した。

フランは既に助け出されているウェンディをチラッと見やり、安堵の息を吐く。

 

 

「よかったですー。ムクロウも良くやりましたねー。」

 

 

「ホー!!」

 

 

「―――――チッ…またお前か…!!」

 

 

「こっちの台詞だですー。」

 

 

顎を抑え憎々しげに呟くレーサーと槍の先端ををトントンと地に打ち付け苛立たしげに言うフラン。

二人の間でバチバチと火花を散った。

 

 

「…く」

 

 

コイツの速さは次元が違うとは分かっていてもやはりフランとの勝負を望んでしまうレーサー。

足に力を込めフラン目掛けて地を蹴るレーサーだが背後にいたグレイが突然二人の間に割り込み魔法を放つ。

 

 

「アイスメイク 城壁(ランパード)!!」

 

「がっ…」

 

 

目の前に突如現れた氷の壁に、勢いを殺し切れずに激突するレーサー。

 

 

「グレイ!!」

 

 

「…行けよ!!コイツは…ハ、ハァ…俺が…やるって言ったろ…!!」

 

 

苦しげに息を切らすグレイ。

先程氷の造形魔法で巨大な壁を創り出したときに魔力をかなり消費してしまったようだ。

 

 

「けどお前!さっきので魔力を使い過ぎただろ!!」

 

 

「いいから!!フランの動物の力があればエルザのとこまですぐに着く!!」ここは死んでも通さねェ!!行け!!エルザのところに…!!」

 

 

フランは黙ってグレイを見つめると意を決したようにナツとウェンディをしっかりと腕に抱え匣口したベスターに乗った。

 

 

「おわっ…フラン!!」

 

 

「雄猫とシャルルを離さないで下さいー。もっとスピードを上げるのでー。ベスター」

 

 

「っ、わかった!!」

 

 

ナツがギュッと二人を抱きしめたのを確認しフランはベスターに死ぬ気の炎を込めて更にスピードを上げた。

 

 

【―――ナツ君、フランくん、聞こえるかい?】

 

 

「その声は…!!」

 

 

「キラキラの王子様風の人ですねー。」

 

 

頭の中に響くような声が聞こえてきた。

どうやらそれはヒビキの声のようだ。

驚きに困惑しながらもナツがウェンディとハッピーは無事だということを伝えるとホッと息を吐いていた。

 

何でも分かれた時からずっと通信を図っていたのだが何故か今まで誰にも繋がらなかったらしい。

様々な理由が考えられるが取り合えずハッピーはダメージや魔力の低下で繋がらなかったそうだ。

 

 

【でも本当に繋がってよかったよ…それに、まさかフランくんがナツ君たちといるなんてね】

 

 

「成り行きでー。」

 

 

【僕たちのところまでまだまだ距離があるけど、フランくんの動物ならすぐに着くね……よし、これからこの場所までの地図を君たちの頭にアップロードする】

 

 

「あぁ?アップルがどーした?」

 

 

「アップロードですよー。」

 

 

聞き慣れない言葉に首を傾げるナツ。

だが、すぐに驚いたように声を上げた。

 

 

「おおぉぉ!!」

 

 

「これが古代書(アーカイブ)ですかー。」

 

 

ヒビキの魔法、古代書から直接頭に与えられるエルザの位置情報。

 

 

【フランくん、できるだけ急いでくれ!!エルザさんの体はもう限界だ…!!】

 

 

 

「わかりましたー。(これ以上炎を使いたくないんですけどー。)」

 

 

ベスターの地を蹴る足に更に死ぬ気の炎を込めると、一気にぐんっとスピードが上がった。

 

 

【頼んだよ!!】

 

 

 

そう言って、ヒビキの声は途絶えた。

どうやらフランとナツとの通信を解いたらしい。

 

 

「うぉーっし!!エルザのとこまでもう少しだ!!」

 

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