消えた蛙は魔法の世界で…   作:五月雨☆。.:*・゜

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ミーは、敵の弱点を見つけましたー。

 

 

 

「…まだ死なないでよ。化猫の宿(ケットシェルター)に着くまでは遊ばせて欲しいなァ」

 

 

「化猫の宿…?」

 

 

「僕たちの最初の目的地さ」

 

 

「何故…そこを狙う…ッ」

 

 

地に手を付き何とか上半身を起こすジェラール。

ミッドナイトはゆっくりと振り返り、口角を上げましたー。

 

 

「その昔、戦争を止めるためにニルヴァーナを造った一族がいた。…ニルビット族だ。しかし、彼らの想像以上にニルヴァーナは危険な魔法だった。だから自分たちの造った魔法を自らの手で封印した」

 

 

「…(マスター…)」

 

 

饒舌に語るミッドナイト。

 

 

「悪用されるのを恐れ、彼らは何十年も何百年も封印を見守り続けた。そのニルビット族の末裔のみで形成されたギルドこそが、化猫の宿さ」

 

 

彼らは再びニルヴァーナを封印する力を持っている。

だから、滅ぼのだといいましたー。

 

 

「この素晴らしい力を眠らせるなんて惜しいだろ!?この力があれば、世界を混沌へと誘えるのに…!」

 

 

「く…っ」

 

 

「…そしてこれは見せしめでもある。中立を好んだニルビット族に戦争をさせる!」

 

 

ミッドナイトは両腕を広げ、高らかに語りましたー。

 

 

「ニルヴァーナの力で奴らの心を闇に染め、殺し合いをさせてやるんだ!ゾクゾクするだろ!?」

 

 

「っ下劣な…!」

 

 

吐き捨てるように言うジェラールに、ミッドナイトが冷たい目を向け、そしてゆっくりと歩み寄りましたー。

 

 

「正しいことを言うフリはやめなよ、ジェラール」

 

 

「ッ」

 

 

「君こそが闇の塊なんだよ?汚くて、禍々しくて、邪悪な男だ」

 

 

「違うッ!」

 

 

「違わないよ」

 

 

ミッドナイトが幼子に言い聞かせるかのようにゆっくりと語りましたー。

その言葉はジェラールの心を蝕むように浸透して行きましたー。

 

 

「君は子供たちを強制的に働かせて仲間を殺し、妖精女王までも殺そうとした」

 

 

「…、っ」

 

 

「君が不幸にした人間の数はどれくらいいると思う?君に怯え、恐怖し、涙を流した人間はどれくらいいると思う?」

 

 

「、…」

 

 

ジェラールが目を逸らそうとするが、ミッドナイトがそれを許さない。

更に、優しくスッとその手を差し出しましたー。

 

 

「ジェラール、こっちに来なよ」

 

 

「ぁ…」

 

 

「ジェラール、君なら新たな六魔に相応しい…」

 

 

「めんどくさいんですからー。」

 

 

「…、!」

 

「ん?」

 

 

怯えるジェラールの目に、フラフラと立ち上がるミー、そして妖精女王の姿が目に入りましたー。

 

 

「…私は…ジェラールの中の光を知っている」

 

 

妖精女王が今までに見たことのない装備を換装しましたー。

それは異国のものを思わせる衣と薙刀。

 

 

「…へぇ、まだ立てるのか」

 

 

「貴様らのくだらん目的は私達が止めてやる。…必ずな」

 

 

「…噂通りだね、フラン、エルザ…、―――――壊し甲斐がある!おいでエルザ、フラン。…いや、妖精女王、闇ギルド潰し藍霧の幻術師。君たちの本気を見せてくれ」

 

 

ミッドナイトは挑発的な笑みを浮かべましたー。

そして、と言っても、と言葉を続けますー。

 

 

「僕に君たちの攻撃はあたらないけどねェ」

 

 

「…っ!」

 

 

妖精女王がタンッと地を蹴り、薙刀を握る手に力を込めましたー。

 

 

「…はぁ!」

 

 

「速い…!しかし…ッ」

 

 

そのスピードは目にも止まらぬもので幾つもの斬撃がミッドナイトを襲いましたー。

だが、やはり斬撃は全て弾き飛ばされミッドナイトの背後の壁を砕くだけましたー。

 

 

「いくら素早く動けても、僕のリフレクターは破れないよ」

 

 

「……」

 

 

ミーも形態変化した杖で鋭い斬撃を繰り出すが全て弾かれ掠りもしないですねー。

 

 

「ほら?…、…ッぐは…ァ!?」

 

 

余裕の表情を浮かべるミッドナイト。

だが、すぐにその顔は苦しみに歪められましたー。

何故かミーが放った蹴りが弾かれることなくミッドナイトの腹部に減り込んだのですー。

 

 

大きく後方に吹き飛ばされ、壁に激突するミッドナイト。

何が起こったかわからないという顔をしていますー。

 

 

「二つですー。」

 

 

「貴様の魔法には二つの弱点がある」

 

 

「、!?」

 

 

「(二つの弱点…だと…!?この…僅かな時間の中で…?)」

 

 

 

ミーと妖精女王の言葉に、ミッドナイトとジェラールが驚愕の表情を浮かべましたー。

 

 

「一つ目、魔法や武具を曲げられても人間の体を曲げることはできない。ミーの蹴りをわざわざ避けないで弾くなり体を曲げるなりすればいいですよねー?」

 

 

「それとさっきの攻撃。私の鎧ではなく可能なら体を曲げれば手っ取り早いはずだ」

 

 

「、……フン…だったら、何だと言うんだい!?」

 

 

ゆっくりと起き上がりそしてミッドナイトが腕を捩じる様に振るいましたー。

ミーは大きく後方に飛び退いてリフレクターの効果から逃れますー。

――――…が、妖精女王はもろにリフレクターを受けてしまい、ミッドナイトの意思の元衣がその体を絞め上げ始めましたー。

カランッとエルザの手から薙刀が滑り落ち、換装が解けましたー。

 

 

「…そうだとしても、本気を出せば衣服を使って君たちを仕留めることも可能だ!」

 

 

「…二つ目は、これだ」

 

 

ギリギリと衣服を絞め上げるが、当の本人は冷静な顔のままですー。

それが気に食わなかったのか、ミッドナイトは眉を寄せ更に妖精女王を絞め上げようとしましたー。

…だがその時

 

 

「っ、!?」

 

 

ミッドナイトの頭上に幾百もの黒い剣が出現しましたー。

呼び出したのはミッドナイトから距離を取っているミー。

 

 

「攻撃は奴にあたらないというのに…」

 

 

「、く…!」

 

 

ミーの行動を訝しげに見つめるジェラール。

変わって、ミッドナイトは何故か冷や汗を流していましたー。

 

 

「バイバイですー。」

 

 

「、うわあああぁぁあっぁぁ!」

 

 

ミーの声に、幻覚の黒い剣が一気にミッドナイトへと降り注ぎ、その肌を斬り裂きましたー。

ミッドナイトはのた打ち回るように地を転がり悲鳴を上げましたー。

 

 

「っ、うぐ…ぅ…」

 

 

「私の鎧を捻じ曲げている間、貴様は剣を避けてかわした」

 

 

「、…」

 

 

「何故剣の軌道を曲げてかわさなかったのか…。つまりは、曲げられる空間は常に一カ所ということだ」

 

 

「自分の周囲か敵の周囲のどちらか一カ所だけですー。妖精女王に魔法を掛けている間は自分の周囲にリフレクターを展開できないのですー。」

 

 

 

「(、…何という洞察力…!)」

 

 

この短時間の戦闘でミッドナイトの弱点を二つも見つけここまで追い込んだ二人にジェラールが唖然としていましたー。

 

 

「…そして、この悠遠の衣は伸縮自在の鎧…」

 

 

妖精女王が己を絞めつけている衣に手を掛けグッと引っ張りましたー。

すると、衣服の拘束が解け妖精女王の体が自由となりましたー。

 

 

「その魔法は効かん」

 

 

「ッ…!」

 

 

歯を食いしばり、悔しげな顔をするミッドナイト。

妖精女王が再び薙刀を換装しましたー。

 

 

「この鎧を含めると弱点は三つだな」

 

「残念でしたー。」

 

 

「…っ!くそ…ッあと少しだったのに…ィ!」

 

 

まるで今までの分をやり返すかのような嫌味たっぷりのミー。

ミッドナイトは悔しみに地を何度も叩来ましたー。

 

 

「勝負はついた。大人しく降参するんだな」

 

 

「うぅ……、……フフフ…」

 

 

もうミッドナイトに勝ち目はない。

誰もがそう思ったその時、ミッドナイトが突然面白可笑しげに笑い出しましたー。

 

 

「…もう真夜中だ…もう遅い。―――――もう少し早く僕にやられて安らかに眠っておけば、恐怖を見ずに済んだのにねェ…?」

 




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