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それを聞いた妖精女王が動こうとした時に火竜さんが評議院数人の頭を掴み暴れ出しましたー。
「ナツ!」
「何してるの!?相手は評議院よ!!」
氷の変態さん星霊女が言いましたー。
「そいつは仲間だ!!連れて帰るんだぁっ!!」
「うおおおおぉい!!三枚に下ろしたろうか!?」
火竜さんと幻覚のスクアーロ先輩はそう叫びながらジェラール評議院を押し退けようとしましたーが…。
「よ、よせ…」
ジェラールが呟くが火竜さんは止まることはないですよー。
「と、取り押さえなさい!!」
ラハールさんの指示を受けて評議院が火竜さんを取り押さえようとしますけどー。
「いけ!!ナツ!!」
「グレイ!?」
氷の変態さんが評議院たちを体当たりしましたー。
「こうなったらナツはもう止まらねぇからな。気に入らねぇんだよ。ニルヴァーナ防いだ奴に労いの一言もねぇのかよ!!」
「それには一理ある、その者の逮捕は不当だ!!」
「ジュラさんに賛成だな。そいつの解放を求めよう!!」
氷の変態さんの言葉にジュラさんとリオンさんが賛同して加勢し始めましたー。
「悔しいけど、その人がいなくなるとエルザさんが悲しむ!!」
パルファム変態さんも次々と評議院を倒していきましたー。
「もう、どうなっても知らないわよ!!」
「あいっ!!」
星霊女と青猫も参戦し始めましたのでミーは幻覚の先輩達を消しましたー。
「お願い!!ジェラールをつれていかないで!!」
ウェンディが泣きながら叫ぶ
「来い!!ジェラール!!」
火竜さんは評議院に掴まれながらも懸命にジェラールに向かって手を差し出しましたー。
「お前はエルザから離れちゃいけねぇっ!!ずっとそばにいるんだ!!エルザのために!!だから来いっ!!俺たちがついてる!!仲間だろ!!」
火竜さんの言葉にジェラールは震えていた。
「全員捕らえろぉぉぉ!!公務執行妨害及び逃亡幇助だー!!」
ラハールさんの言葉で評議院が次々とミー達を捕らえられたのだー。
「行くなジェラール!!」
火竜さんはジェラールに向かって力いっぱい叫ぶ。
「もういい!!そこまでだ!!」
妖精女王が大声を出すとその場にいた全員が動きを止めたのだしたー。
「騒がしてすまない。責任は全て私がとる!!ジェラールを、つれて、いけ!!」
妖精女王がそう言うとジェラールは少し微笑んだようにミーは見えましたー。
「エルザ!!」
「座ってろ!!」
「はい!!」
火竜さんが妖精女王に突っかかろうとしたが妖精女王の一言で正座したのでしたー。
ジェラールは再び評議院に掴まれ歩いていった。
「そうだ」
ジェラールは立ち止まり振り返ったのですー。
「お前の髪の色だった」
「!?」
ジェラールがそう言うと妖精女王は驚いた顔をしていましたー。 ジェラールはそのまま評議院の車へと乗り込むと…。
「さようなら、エルザ」
「あぁ…」
そうして評議院はジェラールをつれてその場を去っていったのでしたー。
めでたしめでたし
とは、ならなかったのでしたー。
いま、ミー達は化猫の宿で休んでいましたー。
皆さん服がものすごいボロボロだったのでミー達のギルドで作った服に着替えてもらっているのですー。
早々に着替えたミーはギルドの中に入りマスターの前に腰かけていましたー。
「マスター」
「なぶら。フラン、よくやってくれたな」
マスターがイスに座ったままミーに言った。ミーは聞きたかったことを聞くことにしたのですー。
「ミーはマスターがニルビット族だったなんて知らなかったですけどー。」
「なぶら…隠しておったわけではない。言う機会がなくてな」
マスターは少々決まりの悪そうな顔をしましたー。いや、別に責めようと思ってるわけじゃないんですけどねー。
「フラン、ワシは今回の連合軍のことを受けてな。以前から一つ決めておったことがあるんじゃ」
唐突にマスターがそんなことを言ってきましたー。
「何を決めたんですかー?」
「ウェンディに本当のことを話そうと思ってな」
「!?」
本当のこと、というとミーには一つしか思いつくことがない。それはつまり……。
「ギルドのみんなのことですかー?」
「そうじゃ」
マスターは頷いたのですー。まぁ確かにいいタイミングかもしれないですけどー。
「ウェンディ、泣きますよー?」
「お前がいてやればウェンディはそこまで悲しむことはない」
「そうですかー。」
「フラン~!!どこ~?」
ミーとマスターが話していると遠くからシアンがミーを呼ぶ声が聞こえできたのでミーは立ち上がりましたー。
「じゃあマスター。ミーはこれで…」
「なぶら」
ミーはその場を後にしようとすると…。
「フラン!!」
ミーは不意に名前を呼ばれてその場で振り返ると…。
「ワシも7年間、お前達といれて楽しかったぞ」
その時のマスターの笑った顔は今までの中で一番幸せそうな顔をしていたのでしたー。
それから少ししてミー達は化猫の宿の前に集合したのでしたー。
「妖精の尻尾、青い天馬、蛇姫の鱗ラ、そしてフランにウェンディ、シャルルにシアン。よくぞ六魔将軍を倒しニルヴァーナを止めてくれた。地方ギルド連盟を代表してこのローバウルが礼を言う」
マスターはそう言って会釈したのでしたー。
「ありがとう。なぶらありがとう」
「どういたしましてマスターローバウル!!六魔将軍との激闘に次ぐ激闘!!楽な戦いではありませんでしたがっ!!仲間との絆が我々を勝利に導いたのです!!」
「「「さすが先生!!」」」
パルファム変態さんがかっこよくポーズを決めながら言うと三人衆達がそれに向かって拍手した。
「ちゃっかりおいしいとこもっていきやがって」
「あいつ誰かと戦ってたっけ?」
それを見て氷の変態さんと星霊女があきれていましたー。
「終わりましたのね」
「お前たちもよくやったな」
「ジュラさん」
蛇姫の鱗の皆さんも任務成功を喜び合っていたのでしたー。
「皆さん、ニルビット族のことを隠していて本当に申し訳ない」
そんな空気の中マスターが話を始めたのでしたー。ついにあのことをウェンディに話すのですかねー。
「ぜんぜん気にしてねぇのに?」
「あい!」
青猫と火竜さんがそう言うけどー。
「マスター。私も気にしてませんよ」
ウェンディがマスターにそう言うとマスターは小さくため息をついてしましたー。
「皆さん、ワシがこれからする話をよく聞いてくだされ」
ミーはウェンディをチラッっと見るがウェンディは「なんだろう?」といった顔をしていましたー。
「まずはじめに、ワシ等はニルビット族の末裔などではない」
「えっ?」
ウェンディが小さく呟やきましたー。まぁ、ミーもさっきまで知らなかったんですけどねー。
「ニルビット族そのもの。400年前ニルヴァーナをつくったのはこのワシじゃ」
「何!?」
「うそ…」
「400年前!?」
「はぁ…」
「……」
マスターの突然のことにみんな驚いたのでしょうねー。
「400年前、世界中に広がった戦争を止めようと善悪反転の魔法、ニルヴァーナをつくった。
ニルヴァーナはワシ等の国となり平和の象徴として一時代を築いた。しかし強大な力には必ず反する力が生まれる。
闇を光に変えた分だけニルヴァーナはその"闇"をまとっていった。
バランスをとっていたのだ。人間の人格を無制限に光に変えることはできなかった。闇に対して光が生まれ、光に対して必ず闇が生まれる」
「そう言われれば確かに…」
マスターの話を聞いて氷の変態さんは何か思ったようですねー。
「人々から失われた闇は我々ニルビット族にまとわりついた」
「そんな…」
「地獄じゃ。ワシ等は共に殺し合い全滅した」
マスターの話を聞いて連合軍は驚愕していますー。
「生き残ったのはワシ一人だけじゃ。いや、今となってはその表現も少し違うな。我が肉体はとうの昔に滅び今は思念体に近い存在。
ワシはその罪を償うため…また……力なきワシの代わりにニルヴァーナを破壊できるものが現れるまで、400年、見守ってきた。今、ようやく役目が終わった」
そういうマスターの顔は晴れやかなようにも見えましたー。しかしそれを聞いた俺たちは全員驚きと悲しい気持ちに包まれるていましたー。
「そ、そんな話…」
「フランよ…」
ウェンディが震えながら言う。マスターは頷いたのでミーはマスターの後ろにいるミーの仲間が次々と消し始めた。
「マグナ!!ペペル!!何これ・・!?」
「みんな!?どうしたの~!!」
「アンタ達!!」
ウェンディが次々と消える仲間を見て驚いていましたー。まぁ、昨日まで…一緒にいた仲間でしたからねー。
「どうなっているんだ!?人が消えていく!!」
「フラン!!みんなが……」
ウェンディがミーの方を向きましたが…しかしミーは真実と幻覚の補助をした事で黙っていた罪悪感から顔をあげることができなったのですー。
「騙していてすまなかったな、ウェンディ。ギルドのメンバーは皆……ワシとフランのつくりだした幻じゃよ。」
ウェンディの目から涙がこぼれ始めたのでしたー。
「何だとぉ!?」
「人格を持つ幻だと!?」
「何という魔力なのだ!!」
ジュラさん達もその光景に驚いていましたー。
「ワシはニルヴァーナを見守るためにこの廃村に一人で住んでいた。7年前一人の少年がワシのところに来た」
「一人の少年」
妖精女王が呟やいた。
一人の少年、そう、ジェラールでしたー。
「少年のあまりにまっすぐな眼にワシはつい承諾してしまった。一人でいようと決めていたのにな…」
「ウェンディのために作られたギルド…」
「そんな話聞きたくない!!バスクもナオキも消えないで!!」
ウェンディが耳をふさいでしまいましたー。
「ウェンディ、フラン、シャルル、シアン……もうお前達に偽りの仲間はいらない」
マスターそう言って火竜さんたちを指差したのでしたー。
「本当の仲間がいるではないか」
マスターはそう言ってニッコリと微笑むと…そしてマスターの体も徐々に消えていったのですー。
「ウェンディ、フランに心配ばかりかけるなよ。フラン、お前はもっと周りを頼りなさい。一人で抱え込んでいちゃいけない。お前達の未来は始まったばかりじゃ」
「マスター!!」
ウェンディがマスターの元へと走るが…。
「皆さん、本当にありがとう。この子達を頼みますよ。」
そしてマスターが完全にいなくなってしまうとミー達のギルドマークが消え始めたのでしたー。
「マスターーー!!」
マスターがさっきまでいた場所でウェンディは泣き叫ぶ。シャルルとシアンもうっすらと目に涙を浮かべていましたー。
「今まで黙っててごめんなさいですー。ウェンディ。」
「ひっく、フラン」
ウェンディはミーを抱き返し再び泣いてしまったのですー。
「愛する者との別れの辛さは……仲間が埋めてくれる」
妖精女王がミーの肩に手を置き言った。ミーとウェンディはそちらを見ると…。
「来い、妖精の尻尾へ」